もうかなり前のことで、確か初演だったと思うが
劇団四季のミュージカル『CATS』を観た。
猫がそんなに好きなら・・・・と、
姪と妹がぼくら夫婦を招待してくれた。
品川駅を降りて寒い中、大分歩かされた記憶がある。
現在もロングラン公演中。
個性的なノラ猫たちが、都会のゴミ捨て場を舞台に
うたと踊りを繰り広げる。
その中の「メモリー」は世界的なヒットソングとなった。
客席にせり出した仮設舞台、
ノラ猫たちが妖しいポーズで膝元にすり寄ってくる。
ふわふわのその尻尾でぼくをくすぐるのです。
そして切ない瞳で、じーっと見つめるものだから
ぼくはたまらず妹にささやいた。
(妻には聞こえないように、そっと)
「一匹、連れて帰りたい」
すかさず妹が小声で応える。
「お金かかるよぉ」
今、本物のノラ猫たちに囲まれて暮らしているが
あのときのあの黒猫のような媚態には出逢えない。