ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

朝湯

2007-04-15 11:56:49 | 日記・エッセイ・コラム

ぼくは口笛で鶯の鳴き声を真似るのが上手。

朝湯に浸りながら
(風呂は母屋の外にある)
通りの向うの藪と啼きくらべ。

はじめは怪訝な声で応えていたが
そのうち本気になってくる。
啼きながら徐々に近づいてくるのが判る。
正体がバレないようにぼくも本気だ。
幸い、風呂場は共鳴するので音色がとても艶っぽい。

ひとしきり啼き競ったあと、
急に黙してしまったので藪の奥に退散したかと思ったが
突然、今度は近くで烈しくさえずる。
ぼくも負けずにさえずる。

しばらく男同士の闘いがつづいたが、ひたと静かになる。

・・・どうだ、参ったか・・・

お互いの様子を探り合っている気持ちが
長い沈黙の間を流れている。

なぁ、この辺でドローにしようじゃないか。
湯のぼせしてきた。