手首から足の甲まで40本の鍼を打たれる。
さほど痛いものではないが、
たまに電気が奔るので
打たれるたびに体がこわばる。
気分を和らげようと治療室にはBGMが流れている。
きょうはカーペンターズだ。
鍼灸師がぼくと同じ歳なので
音楽にも時代的共通点がある。
あの頃は毎晩あそびほうけて
年寄りの言う「光陰矢如」なんてへのかっぱであった。
人生ばら色、
時間は湯水のように使い放題。
まさか、今日の様に背中でもぐさが燃えている姿など
想像だにしなかった。
ゴールが見え始まった下り坂にさしかかり
ようやくあの年寄りの言った言葉が身にしみてくる。
フランスのアルタミラと同質の紀元前の洞窟が発見され、
壁には次のような象形文字が書かれていた。
「まったく、今の若者は・・・」 と。