松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

自然であること-1-

2006-06-04 | 心韻-こころの逸話(エピソード)-
自然な状態には隙がないと思います。
隙がないとは破綻がないことでもあるかと。

不自然さがなければ自然なのかしらん。
自然に溶け込むということは
自らの存在を消し去ることとも違うようです。
自然界の調和を乱すような類いの存在感は消し去って、
ただそこに在るとでもいうような状態でしょうか。

翻ってみれば自分はいかに不自然であることか。
自意識も十分すぎるほどに持ち、
他者から認めてもらいたがっているところもあります。
ただ在ることでは不安すぎて
耐えられそうにない心理が働いています。
たぶん肉体的精神的(心理的)にも
さまざまな破綻を抱えているのだと思います。

こうした状態がストレスを
より強く感じてしまうのでしょうし、
ストレスから身を守ることを迫られることで
更にストレスとなる悪循環を起こしてしまいそうです。

たしかに自分をとりまく外的環境との調和をはかることも
ストレスから自分を守ることになるのでしょうが、
同時に自分自身の内的調和を維持管理しようとすることにも
もう少しだけ目を向けてもいいような気がします。

冷静な視線で事象を見つめることは、
感情を調節する上でも欠かせないものかと
思うようになってきました。
どんな時でもなるべく冷静に客観的に
事象をとらえようとする習慣を身につけることで
たとえば冷静さと冷淡との違い、
共感と情に流されたり溺れることとの違い
といったことなどについても、
少しずつ理解できるのかしらと期待してみたり。

情に縛られやすいと言われる日本人が
そのコントロールの仕方を覚えたら、
ストレスなどとも
もう少しうまくつき合えるようになれそうな
気がするからです。

ストレスを感じることは自然なことです。
自然はストレスをも含めた
包括的、総体的なバランスというものを
教えてくれるのだと思います。
事象と感情とを切り離してみることで
わかってくるものもあるような気がしています。

ただ在ることだけに徹してみようとすることにも
意味がないとは言えないのかもしれません。