松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

秋の養生 -黄帝内経より-

2008-08-14 | 養生の栞-季節と養生-
立秋を過ぎて季節は少しずつ
秋へと移っています。
そうはいっても、夏の名残り(残暑)は
まだしばらくは続きます。
秋らしくなるのは
重陽の節句を迎える頃になります。

立秋という日は、どちらかといえば
農作業に携わる人達にとって重要かと。
たとえば立秋の日に晴れ渡っていれば
秋の収穫は順調といわれ、
雷が鳴れば冬になると作物の減収が懸念される
などといった言い伝えが残っていたりします。

また、立秋が旧暦7月に訪れる時は
五穀豊穣が期待できますが、
旧暦6月となるときは、五穀が熟していないので
減収となるとも言われているようです。


秋は収斂の季節であり、
万物が成熟して収穫される。
また、徐々に空から強い風が吹き
大地には粛正とした気配が漂うようになるので
秋の養生は以下の内容を原則とします。

日常生活による養生
 鶏と同じように早寝早起きをする

 早寝は陽の気の収斂に順応し
 早起きは肺の気を広げさせるので
 収斂しすぎることを防ぎます。

 また、初秋の季節とはいえ
 暑さはまだ終わっていないので
 天候はたえず変化し、
 「一日の中に四季がある」状況も。
 衣服の調節は
 少しずつ寒くなる季節に順応するよう
 こころがけます。
 着込み過ぎると適応能力に影響を及ぼし
 冬になって風邪をひきやすくなったり
 下痢をしやすくなったりします。


精神による養生
 心を安らかにして陽気をひそめ、
 天地の粛殺した気(厳しい秋の気配)の影響を
 和らげる

 秋の養生は肺に適応します。
 心を静かにし、神(シン)と志が安寧で
 気持ちがのびのびするようにこころがけます。
 心配事を悲しみ(憂い)、感傷的になることは避け、
 進んで解決するよう働きかけて
 草木を枯らす気をなるべく避けるようにします。
 同時に神(シン)の気を収斂させて
 秋の平らな気に適応するようこころがけます。
 

飲食による養生
 秋は燥の気が盛んになるので
 麻(ピリピリしたもの)を食べて燥を潤し
 冷たいものはとらないようにしますが、
 立秋を過ぎた頃はまだ暑さが残っているので
 このあたりは体調をみながら適宜判断します。

 立秋を過ぎた頃になると、
 心や体に夏の疲れがたまってきます。
 不眠や胃腸の不調、動悸、肌荒れなどの
 トラブルも多くなります。

 体にこもった熱をさましたり
 必要な水分を補う面でも
 果物や野菜からも効率よくとるようにしましょう。
 これからは梨がおすすめです。
 水分も多く、シャリシャリとした食感は
 繊維質も豊富であることの証。

 また消耗しがちな体力を補いつつ
 消化のよいものをとるようにし、
 疲れぎみの胃腸への負担を軽くして
 休養をとるようにこころがけるとよいでしょう。


運動による養生
 秋はさまざまな運動を展開する好機でもあり
 それぞれの具体的状況に基づいて
 運動種目を選ぶことができます。

 秋の養生導引法には
 おもに肺を調整する目的があります。
 
 これからの時期の一例としては
 自然な坐姿勢をとり
 両手を拳にして背中に置きます。

 顔を左に向けながら深く息を吸い
 次に徐々に息を吐きながら
 拳で背中を7回叩きます。

 顔を右に向けながら深く息を吸い
 次に徐々に息を吐きながら
 拳で背中を7回叩きます。

 この他にも、季節にあわせた
 呼吸養生法などがあります。