信州スロウライフ12ヵ月

野菜や草花と暮らす生活

里山を守る

2009年08月16日 21時47分10秒 | Weblog
昨夜、近くの温泉に入り、真っ暗の夜道を雨が振る中家に向かって下っていった。
途中で前方に何か見え、慌てて急ブレーキをかけて止まった。
すぐ後ろに車が続いており、追突寸前、危なかった。
道路には5匹の鹿の親子らしき姿があり、車のライトに照らされて身動きしない。
クラクションを鳴らすことも出来ず、しばし止まっていたら左右に飛び跳ねて散っていった
標高1200メートルくらいの林に囲まれた土地で、こんな山里近くに鹿が出て、一瞬野生動物が見れる国立公園に来たのかと思いながら、心臓がどきどきしたまま暫く走った。

朝食を終えてテレビを見ていたら、WOWWOWで探求者たちというテーマで、青々とした木々が眼を引いた。
養老猛さんが登場しており、あら、脳の科学者がと思ったら、環境問題の活動もされている。
画面では何度も関西の山林を訪れ、農家の81歳の井筒さんという老人と一緒に山を歩き山の実状を調べている。
戦後、木を植えればお金になると一斉に山に杉を植えてきたが、今になると木々は不健康で枯れ始め、収益は程遠く、農家は後継ぎも少なくなり山の存続も難しくなってきている。
自然に人間は手を入れたが、途中で中断し自然を守れなくなっている。
水の問題にも繋がっていく。
今後日本は森とどう向き合えるのか、手入れという象徴的な、まるで子育てと同様な思想を持たなければ森林は滅びていくという。
81歳の井筒さんは杖を付きながら自分の山林を養老さんと歩き回り、午前中で
31本の広葉樹の若木を掘って来る。
その若木を全部すらすらと名前を言い、その木の特徴を説明して、まるで植物学者のようだった。
広葉樹は森を守る。
それぞれの木は色々の役目を果たしている。
木の種類によって、根を横に張ったり、深く地中に根を掘り下げたり、地中にそれぞれ縦横に根を張り山崩れを防いでいるのである。

都会は全て画一的で、物は溢れ、整った生活をしており、それは石油や油のお陰で、エネルギーが止まったら生活はそこで成り立たなくなる。
里山も自然に手入れをして木々を育て、水を守らねばならない。
自分も里山に移住して来て、歩き回っていると、畑や田んぼや家の周囲の手入れが良く行き届いているのに感心する。
決して草ぼうぼうに伸び切って暑苦しい姿を見ることが無い。
野菜を作る傍ら、土地の手入れをしょっちゅう行なっている。
季節の花を植え、傍を通るのに眼を楽しませてくれる。
山林の下草も刈られて風通しが良い。

鹿が人家の近くに出て来ているが、食べ物が無いのか、増えすぎているのか、段々動物の社会にも異変が起き始めている。
車で走っていると、年に数回鹿に出くわす場面があったが、その都度一瞬夢かと、しばし頭の思考がストップしてしまう。