安倍総理が退陣表明。
うちの業界は大事件、事故があった際、フロアにチャイムが鳴り響くシステムだ。
なぜかその瞬間、「あっ、シンゾーさん辞めるんだ」って思った私であった。
まあ、それは勘としか言いようもないし、
後付けと言われても仕方ないんだけど、
やっぱりここ数日の安倍さんはおかしかったよね。
やっぱ早過ぎた。
だって、まだ赤絨毯踏んで14年。
フツーだったら、まだまだひよっこだもの。
私も何度か話したり、取材をしてきたけど、
少なくとも官房副長官までは、
まったく緊張なく接することのできるセンセイの一人だったもんねえ。
例えば2002年春、小泉改革一年ってことで、特集を作りますた。
その際、反小泉の頭領としてご登場願ったのが、亀井静香さん。
支える側が官房副長官の安倍さん。
で、当時の両者の力関係と言えば、もう段違い。
安倍さんとこは「うちのセンセイでいいんでしょうか」と及び腰だし、
亀ちゃんとこは「相手は安倍かぁ」と不満げ。
あたしゃ、間に入って木の葉のように揺れたもんです。
それ以外にも、国会議員座談会なんかに出て貰ったり、
時々、ネタがない時はインタビューしたりと、
便利なセンセイ扱いだったんだよなあ、ちょっと前までは…
そんな威圧感のない方が、拉致問題で、
国家のトップにあれよあれよという間に上り詰めちゃった。
それが今となっては、不幸だったのかもね。
ただ、いつかは国を担うという思いはあったんでしょう。
それを感じたのは、これもまだ旧官邸の2002年ごろの話。
官房副長官室で、何やら話してました。
思い出せば、尾身氏やら高市氏からの電話に応対しながら雑談。
まあ和やかに話してたんだけど、安倍さんの表情が急に険しくなった。
なぜかと言うと、私が「小泉さんは…」と言ったから。
まあ、フツー官邸の中では、
政治家、職員、記者を問わず、ある種畏敬の念を含め「総理」と表現するわけです。
しかし、私のようなレベルの半端モノには、どうもくすぐったい。
「政治部さん」って意識も希薄だしね。
で、つい「小泉さんはですねえ」って口をついて出たわけです。
その時の、憤激すら感じさせる「眼」は忘れられません。
彼にとって見れば、「一国の総理はそんな軽いものじゃない」って思いだったんでしょう。
自分の究極の到達点と思っていたからこそ、
親父のなし得なかった夢だからこそ、
その辺の田舎記者の軽口が気に障ったんだろうなあ。
ただ、結局は、
その総理の座の「重さ」に押し潰されちゃったよーな気がします。
皮肉なもんだよね。
で、こんな辞め方をすると、かける言葉もありません。
「捲土重来」とかなんとかも言えないよね。
まだまだ若いだけに、残酷な話です。
近く、週刊誌がスキャンダルを報じるなんてお話もあるよう。
今日がその回答期限だったとか。
その「破壊力」はともかく、すべてがイヤになっちゃったんだろうなあ…
一国の総理が「厭世観」で職を放り投げられても困るんだけどね。
それでもまあ、昔お世話になったお方です。
ご苦労様でした、総理。