リストラされた父。ドーナツを食べてもらえない母。
軍へ志願する長男。
ピアノを隠れて習う弟。
今まで何もおかしいものなんてなかったはずなのに、ちょっとした見過ごしが、いつの間にか深まってゆく家族の溝。
それでも、家族の「みんな」が、「みんな」を思いやるとき、これまでバラバラに奏でていた不協和音が、一つの綺麗な旋律に変わる。そんな「トウキョウソナタ」。
「何故、私は涙が止まらないんだろう？」「訳は無いけれど、なぜか涙が溢れてくる」。
そんなシーンに、その｢何故｣は上手く説明出来ないけれど、その「何故」が言わずとも解るのも人間だと思う。切なくも無く、悲しくも無い。何か安らぎを求めているんだろう。「それが絆なんだって」そんな風に言っている。人間と言う「部分」が見れる、そんな映画です。