
ジョセフ・ゴードン=レビットが初監督と主演の「ドン・ジョン」は、女性とのセックスよりもポルノ動画で自慰する方が好きという男が、真実の愛を見つけるまでの葛藤。
そんな肉食男子を自ら演じている。
イケメンでコミュニケーション能力も高い主人公は、ナンパをすれば大抵成功。
でも自分でヤる方がずっと気持ちいい。
それは、どこまでも自分本位な男だから。
ネットでは簡単に理想の女とプレイ内容が見つかるが、リアルではそうはいかない。
どれだけ言葉が上手くイケメンでも、欲望を相手に押しつけるだけの主人公は2人で幸せになる方法を知らない。
人生で一番のセクシー美人とつき合っても、ポルノ鑑賞を止められない。
一方の彼女も、理想の恋人像をジョンに押し付ける。
ポルノを見ないという約束を守れず破局した主人公の前に現れるのは、ワケありな年上女性。
突然ポルノDVDを差し出したりする彼女の言動に眉をひそめながらも、主人公は彼女から自分に欠けていたものを教わる。
娯楽も情報も氾濫して、自分好みの環境に陥りやすい現代。
他者とのコミュニケーションを取らなくてもそれなりに充足できてしまう社会で生きている。
他者と関わる素晴らしさに気づけば、人生はより豊かになる。
これはポルノの話などではなく、前向きにより豊かな人生を掴み取ろうとする男の成長物語かも。
テーマを説教くささも感じさせず、肩の力を抜いて見られるコメディとして撮り上げたゴードン=レビット。
手腕はなかなかのもの。
好青年なイメージも自らの演出によって払拭し、新境地を拓いたのかな?。