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もとはロボット警察だったが、技術開発者に人工知能を植え付けられ、言語を解するようになった。
舞台はヨハネスブルク。
ナイーブなチャッピーは甘い言葉に乗せられやすい。
危難もつぎつぎと降りかかる。
ギャングスタの一味にさらわれたあとは、その傾向に拍車がかかる。
一味の男女はダディとマミーになりきり、チャッピーに強盗の手口を仕込む。
話はさらに飛躍する。
実はギャングスタの一味など可愛らしい。
研究所では科学者が、はるかに悪辣な計画を立てている。
デビュー作「第9地区」でもすでに明らかだったが、美点は「人間に味方しない」こと。
身勝手で強欲な人間のエゴを嫌い、人間に振りまわされるアウトサイダーに親密な眼を向ける。
ピノッキオの目標は人間になることだったが夢をチャッピーに見させない。
その結果、暴力は画面にあふれ、野暮ったいほど露骨な感情表現もときおりこぼれる。
最悪の状況を黙々と生き抜くロボットにエールを送っている。