Viedel/KukiHairDesign/ヴィーデル/クキヘアデザイン 四条烏丸 美容室

ヴィーデルは四条烏丸の美容室です。フランス仕込みの技術 ナチュラルで優しく ふんわりとしたヘアスタイル

老兵死なず

2016-01-15 06:25:34 | 映画
アポロの遺児がロッキーから特訓を受け、世界チャンプを目指す。
間違えれば一笑に付されかねないアイディアに「傑作になる」という確信を持たせたのは、中年ロッキーのリング復帰劇で納得させた「ロッキー・ザ・ファイナル」の成功と、シルヴェスター・スタローン自身が“ロッキー伝説”を体現する役者だから。
「ロッキー」によってトップの座に登り、80年代にはアクションスターとして極めたスタローン。
その筋肉ヒーローぶりは強国アメリカのアイコンとなり、そして時代の趨勢と共に勢いを失っていった。
2000年代にはロッキーほかランボーといった当たり役に再び取り組み、また往年のアクション俳優たちの「エクスペンダブルズ」シリーズなど作品を展開させることで、再び役者としての活路を見出している。
打たれて倒れても立ち上がる。
この不屈の姿こそ、まさしくロッキー。
「クリード チャンプを継ぐ男」は、偉大な父の呪縛にあらがうアポロの実子アドニスと、老いがもたらす試練に立ち向かうロッキーの、二つの人生模様を併走させる。
ロッキーがトレーナーとなり、アドニスを世界ヘビー級王座の道へと歩ませるドラマは、必然的に第1作目の「ロッキー」の韻を踏んでいく。
アポロJr.と同世代の観客にロッキー伝説を啓蒙し、スタローン世代には、名作を反復することで涙腺の決壊を促していく。
それぞれ世代差はあっても「強い者が勝つ」という勝負の世界が普遍的であるように、観る者を奮い立たせる「アメリカンドリームの物語」もまた普遍的。
同時に、ロッキーの「贖罪」の物語でもある。
「ロッキー4 炎の友情」で、アポロのエキシビションマッチにセコンドとして立ち会いながら、タオル投下を拒まれ、かけがえのない友を死なせてしまったロッキー。
彼はアポロの息子を一人前のボクサーに鍛えあげることで、自分を苛み続けてきた罪をあがなおうとする。
米ソ対立の代理戦争のようなストーリーから、悪く受け取られがちな「ロッキー4」。
それを正史として踏まえ、今回のような血も沸騰する熱いドラマが生まれるとは。
運命という強敵に向かうアポロJr.と老ロッキーの生きざまは、世代を超えたファイター讃歌として観る者のボディにズンと響く。