Viedel/KukiHairDesign/ヴィーデル/クキヘアデザイン 四条烏丸 美容室

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スポットライト

2016-04-19 09:52:31 | 映画
カトリック教会の神父による集団児童虐待をボストンの新聞が記事として掲載した実話「スポットライト」は、同年にアカデミーを受賞した「レヴェナント」や「マッドマックス」などと比較すると日本では注目を浴びなさそうな映画でしょう。
一見、地味に感じる映画、しかし内容のスキャンダルの大きさは計り知れないもの。
神父が教区の少年に性的虐待をしていたという、氷山の一角を見つけ出し、その後に膨大な数の被害者と容疑者の存在が発覚し、教会が組織ぐるみで隠ぺいしていた可能性が浮上。
ボストンのローカル記事から世界中へと飛び火していった。
昨今では“スクープ”という言葉は週刊文春に代表されるように、ほとんど芸能ゴシップを指すようになってしまっているが、この映画で狙う“スクープ”は、巨悪を暴き、世の中を激震させるタブーであり、危険すら伴う行為と言えるのかもしれない。
記者の仕事は紛争地で銃弾の雨をかいくぐったり、法廷で熱弁を振るうことも有るが、事件の関係者から情報を引き出し、被害者ひとりひとりに話を聞いて回り、疑惑を裏付けるため膨大な資料を洗い直す、そんな作業でもある。
求められるのは、何度もくじけそうになりながら地道な努力を積み重ねるモチベーション。
試されるのは仕事への矜持であり、追及する信念であり、気持ちを代弁できる力でもある。
派手なアクションや人気先行の俳優で、ハラハラドキドキで進行することを望まず、ただ、地道な作業のすき間から、記者たちの心の内が、怒りや葛藤が、仲間同士の絆が、そしてスクープへの情熱が確かに伝わってくる。
地味で結構、シブくて当然。
だからこそジワジワとカッコよさが沁みてくる。
やはり伊達に作品賞を獲ってはいない。