Viedel/KukiHairDesign/ヴィーデル/クキヘアデザイン 四条烏丸 美容室

ヴィーデルは四条烏丸の美容室です。フランス仕込みの技術 ナチュラルで優しく ふんわりとしたヘアスタイル

糧を得て眩しく映える

2020-09-05 12:23:02 | 映画
2016年、アメリカのブッシュ大統領とイギリスのブレア首相が主導したイラク侵攻は、誤りだったという結論が独立調査委員会によって発表される。
前のめりになるブッシュ大統領に、なぜか誰よりも早く協力を申し出たブレア首相。
あの時、米英間でどんな取り決めが交わされていたのか? 
その証拠の一端を掴んだ人物がいた。
イラク戦争の直前、アメリカ国家安全保安局NSAからイギリスの諜報機関GCHQに送られてきた1通のメールを見たGCHQ職員。
そのGCHQのキャサリン・ガンが、とっさにメールのリークを思い立つ。
それは、イラク開戦決議を有利に進めたい米英両国が結託し、決議の行方を左右する国連安保理非常任理事国6カ国代表の通信を傍受せよとの内容だったから。
キャサリンがプリントアウトしたそのメールは、彼女の友人を介して、日曜紙“オブザーバー”によって国内外に告知される。
“キャサリン・ガン事件”として記録される政治スキャンダルは、リークされたメールの信憑性をめぐる駆け引きや、機能不全に陥るメディアの惨状、事実の検証が行われないまま始まったイラク侵攻の愚劣さなど、今も続く戦争の恐怖を突きつけてくる。
それ以上に、これは倫理観に突き動かされ行動した1人の女性の物語。
仕事仲間がGCHQ内で始まった犯人探しの標的になることに耐えられず、自白を決意したキャサリンが、周囲からのいわれのない偏見や重圧を跳ね除けて、むしろそれらを糧にして、国家を相手取った孤独で勇敢な告発者として、次第に逞しくなっていくプロセスは思わず心が躍る。
人間は内面からでなく状況によっても変化し得る。
GCHQを和訳すると政府通信本部。
かつて第二次大戦時にドイツ軍潜水艦の暗号、エニグマを解読したイギリス政府が誇る諜報機関。
そこに所属する公務員でありながら、口外厳禁のメールを外に持ち出したキャサリンに課せられた罪は、「公務機密法違反」。
この公務機密ほど怪しいものはない。
特に、昨今、ほとんどの部分が黒く塗りつぶされた海苔弁のような公文書を目の当たりにして来た日本人は、不信感を新たにするはず。
そんなキャサリンの姿が眩しく映る。