◎東洋経済講座叢書の発刊について(1946)
昨日は、小原敬士『アメリカ資本主義の分析』(東洋経済新報社、一九四七)という本について紹介した。
この本は、東洋経済新報社の「東洋経済講座叢書」一冊で、その「第十三輯」にあたる。この叢書は、文庫版よりやや小さいサイズで、ときどき古本屋で見かけるが、いずれも二束三文で売られている。
国会図書館のデータを見ると、第一輯は、今中次麿の『我が民主政治の在り方』(一九四六)で、ページ数は六二とある。この叢書が何冊まで出たのかは不明だが、国会図書館のデータのよれば、第三十二輯の木村達二・木下芳美の『職階制実施上の基本問題』(一九四八)が最後のようである。ページ数は、本によってさまざまだが、二〇〇ページ弱のものが多い。『アメリカ資本主義の分析』は一四五ページ、『職階制実施上の基本問題』は一八二ページである。
本日は、『アメリカ資本主義の分析』の巻末に載っていた「東洋経済講座叢書の発刊について」を紹介してみたい。
東洋経済講座叢書の発刊について
敗戦日本の新生運動は、先づ文化啓蒙運動の展開から始められねばなりません。封建的・軍国的な思惟と認識を、民主主義的なものに急速に切換へることが何よりも先決問題だからであります。斯様な考へ方の線に添ふて、我が東洋経済講座は生まれました。東洋経済は御承知の通り、五十年もの長い輝しい歴史を持つ日本最古の経済雑誌であり、眼を通しての啓蒙的機能に於ては些かその社会的役割を果して参りましたが、情勢の変化に応じて、眼を通すよりも早い直接耳を通しての啓蒙運動にも乗出すことになつた次第であります。
併し、講座制は時間、場所等の制約から、どうしても内容を弘く一般大衆に伝へる点に於ては不十分を免れません。やはり、有意義な講義を印刷に付して大方に頒布する方法が随伴的に必要であります。本講座叢書が発刊されるに至つた所以であります。
講座制の建前として毎回或るテーマを定め、一人の講師の講義を一輯にまとめる方針であります。尤も連続講義が余り大部になる場合には、分冊として数輯に股がることもあるかもしれません。何れにしても、毎回の数輯を一括御精読されることを御勧めする次第であります。
昭和二十一年五月 東洋経済新報社講座部
今日の名言 2015・9・13
◎重いコンダラ、試練の道を
今日の毎日新聞「余録」によれば、歌手の平原綾香さんは、かつて「巨人の星」の主題歌の冒頭を「重いコンダラ、試練の道を」と理解されていたという。「コンダラ」=大リーグ養成ギブス、と誤解したということか。思わず人に話したくなるような話だが、惜しいことに典拠が明記されていなかった。
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