礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

木炭自動車の構造早わかり(少国民年鑑)

2024-12-10 00:16:53 | コラムと名言
◎木炭自動車の構造早わかり(少国民年鑑)

 11月末、神田神保町の古書展で、『少国民年鑑 昭和十四年度』を入手した。東雲堂刊、1938年11月25日発行、古書価330円。
 その386~387ページに、「木炭自動車の構造早わかり」という記事があった。本日は、これを紹介してみよう。

 木炭自動車の構造早わかり

日本ではガソリンを多量に外国から買入れねばならぬ。
そこでなるべくガソリンを使はぬ様にする為種々工夫が行はれてゐるが、こゝに示した木炭自動車は非常に巧妙で近頃続々作られてゐる。木炭自動車は普通の自動車と全々違ふわけでなくエンジンはそのまゝで良いのである。唯ガソリンタンクの代りに、木炭ガス発生装置を備へてゐるだけで、結局木炭自動車の構造といつても如何にしてガスを作るかである。
ここにその図解を掲げる。
ガス発生炉は、上が貯炭室、下が燃焼室になつてゐる円筒形の炉である。
今燃焼室に入つてゐる木炭に火をつける(始めは送風器で風を送つてよく燃える様にする)と、不完全燃焼して一酸化炭素・水素・メタンガスなどが出る。このガスは非常に温度が高く、嵩〈カサ〉が増してゐるので、先づこれを冷却器に送つて十分に冷し、嵩をちぢめて濃くする。かうして出来たガスはまだゴミを含んでゐるから清浄器を通過させて、ゴミや不純物を取りのぞく。清浄器は麻・棕梠〈シュロ〉・コークスなどを使ひ、その中をガスをくゞらせて清浄にするものである。
これでいよいよエンジンへ送つても差支へのないガスとなり、普通のガソリンエンジン(気化器は不要だから取除いてある)へ入つて動力となり自動車を走らせることが出来るのである。
木炭自動車は初め火をつけてから走り出すまでに数分間の時間がかゝるのが欠点であるが、費用は普通ガソリンの半分以上ですむ。
上は数多き種類中の或ガス発生装置の一例に過ぎない。未だこの他種々の方式のものもある。

 最後のほうの「費用は普通ガソリンの半分以上ですむ」は、原文のまま。文脈からすると、ここは、「費用は普通ガソリンの半分程度ですむ」、あるいは「費用は普通ガソリンの半分以下ですむ」とすべきところであろう。



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