◎あなたは日本の変革に一役買うことができる
カレル・ヴァン・ウォルフレン著『人間を幸福にしない日本というシステム』(毎日新聞社、1994)の要所要所を紹介している。本日はその九回目。
本日は、第三部「日本はみずからを救えるか?」の第一章「個人のもつ力」から、その冒頭部分を引いてみよう。
この第三部は本書のなかで最も書きづらい。私が言いたいことをあなたにわかってもらうのは、この第三部がいちばん難しいだろうと感じるからだ。
なんらかのやり方でこの日本が、よい結婚生活や子供たち、また自分自身のために、人間の可能性が全面的に開花するような国に変わったらすばらしい、とあなただって思ってくれるだろう。本書のこれまでの部分であなたのその思いが強まってくれていればいいと思う。しかし、あなたはまだ、でも結局それは実現不可能な夢でしかないとも思っているのではないだろうか。
この第三部が書きづらい理由として、日本の本格的な社会的・政治的変革の可能性についての私自身の気持ちが、揺れ動いていることもある。まったく正直な思いをあなたに打ち明けるとすればこうだ――日本が望ましい方向に変われる可能性は大きくない。細川〔護煕〕政権の誕生による五五年体制の終焉はよい兆候だった。しかし、それから先は暗い材料ばかりがつづいている。村山〔富市〕内閣が大蔵省の意向にやすやすと屈したこともその一つだ。私は、これらの事情を真面目に考えている多くの日本人もまた、かなり憂うつになっているのを知っている。
しかし、私は希望をもつのが愚かだとは思わない。日本に民主主義が実現しやすい状況をつくるよう、われわれは努力をつづけるべきだと信じている。悲観主義のほうが正しいと思っていたら、私はそもそもこの本を書かなかった。
あきらめることならいつだってできる。ならばなおさら、いま必要な行動まであきらめてしまわないよう、みずからを奮い立たせねば。だから、さあ私は、あなたは日本の変革に一役買うことができるのだと、さらに説得をつづけてみよう。〈229~230ページ〉
カレル・ヴァン・ウォルフレン著『人間を幸福にしない日本というシステム』(毎日新聞社、1994)の要所要所を紹介している。本日はその九回目。
本日は、第三部「日本はみずからを救えるか?」の第一章「個人のもつ力」から、その冒頭部分を引いてみよう。
この第三部は本書のなかで最も書きづらい。私が言いたいことをあなたにわかってもらうのは、この第三部がいちばん難しいだろうと感じるからだ。
なんらかのやり方でこの日本が、よい結婚生活や子供たち、また自分自身のために、人間の可能性が全面的に開花するような国に変わったらすばらしい、とあなただって思ってくれるだろう。本書のこれまでの部分であなたのその思いが強まってくれていればいいと思う。しかし、あなたはまだ、でも結局それは実現不可能な夢でしかないとも思っているのではないだろうか。
この第三部が書きづらい理由として、日本の本格的な社会的・政治的変革の可能性についての私自身の気持ちが、揺れ動いていることもある。まったく正直な思いをあなたに打ち明けるとすればこうだ――日本が望ましい方向に変われる可能性は大きくない。細川〔護煕〕政権の誕生による五五年体制の終焉はよい兆候だった。しかし、それから先は暗い材料ばかりがつづいている。村山〔富市〕内閣が大蔵省の意向にやすやすと屈したこともその一つだ。私は、これらの事情を真面目に考えている多くの日本人もまた、かなり憂うつになっているのを知っている。
しかし、私は希望をもつのが愚かだとは思わない。日本に民主主義が実現しやすい状況をつくるよう、われわれは努力をつづけるべきだと信じている。悲観主義のほうが正しいと思っていたら、私はそもそもこの本を書かなかった。
あきらめることならいつだってできる。ならばなおさら、いま必要な行動まであきらめてしまわないよう、みずからを奮い立たせねば。だから、さあ私は、あなたは日本の変革に一役買うことができるのだと、さらに説得をつづけてみよう。〈229~230ページ〉
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