礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

自分の中の洋画ベスト10

2025-01-18 02:14:00 | コラムと名言
◎自分の中の洋画ベスト10

 十年ほど前、文藝春秋編『洋画ベスト150』(文春文庫ビジュアル版、1988)という本を入手した。この本には、映画愛好家諸氏が選んだ、みずからの「洋画ベスト10」というものが、数多く紹介されていた。
 その「洋画ベスト10」を見ていって意外だったのは、作家の井上ひさし(1934~2010)が選んだ「洋画ベスト10」の筆頭に、イタリア映画『ミラノの奇蹟』(1951)が挙げられていたことである。この映画は、子どものころ、テレビで観て、強烈な印象が残った。それから半世紀以上、2023年になって、DVDで、この映画を鑑賞したが、記憶していた通りの、あるいは、それ以上の傑作であった。井上ひさしと同じく、私もまた、みずからの「洋画ベスト10」の筆頭に、この『ミラノの奇蹟』を挙げたいと思った。
 今年に入って、映画『白鯨』(1956)を鑑賞した。そのことは、このブログに書いた。「洋画ベスト10」に、この映画を入れている愛好家がいるかどうか調べるために、数日前、久しぶりに、『洋画ベスト150』を開いてみた。すると、藤子不二雄A(1934~2022)が、何と第2位に『白鯨』を挙げていた。藤子不二雄Aに倣ってというわけではないが、私も、この『白鯨』を、第2位に挙げたくなった。
 自分の中では、半世紀以上にわたって、『市民ケーン』(1941)が、洋画ベスト1だった。しかし、以上のような次第で、『市民ケーン』は、第3位に後退することになった。ちなみに、『市民ケーン』を第3位に位置づけている方に、荻昌弘(1925~1988)、三國一朗(1921~2000)がいる。
 第4位を、『激突!』(1971)としてみた。深い理由はない。吉行淳之介(1924~1994)が、これを第4位に挙げていたのに刺激されたのである。ちなみに、吉行和子さんは、この作品を、第2位に挙げていらした。
 こんな感じで、自分としての「洋画ベスト10」を選んでいった。この作業は、なかなか楽しいものった。その結果、得られた「洋画ベスト10」は、次の通り。〔  〕内は、ベスト10の順位が一致している方のお名前である。

1 ミラノの奇蹟(1951)       〔井上ひさし〕
2 白鯨(1956)           〔藤子不二雄A〕
3 市民ケーン(1941)        〔荻昌弘ほか〕 
4 激突!(1971)          〔吉行淳之介〕
5 モダン・タイムス(1936)     〔小菅春生ほか〕
6 大いなる幻影(1937)       〔浅利慶太ほか〕
7 博士の異常な愛情(1964)     〔畑中 純〕
8 アスファルト・ジャングル(1950) 〔神吉拓郎〕
9 或る夜の出来事(1934)      〔双葉十三郎〕
10 キング・コング(1933)     〔つげ義春さん〕

 もし、「ベスト15」を選ぶのであれば、これらに、『頭上の敵機』(1949)、『終身犯』(1962)、『暗黒街の弾痕』(1937)、『Z』(1969)、『オズの魔法使』(1939)を加えたいと思っている。


今日の名言 2025・1・18

◎この十本はわたしの進むべき方向を啓示してくれました

 作家・井上ひさしの言葉。『洋画ベスト150』の509ページにある。井上ひさしは、アンケート回答用紙の「★マイベスト10のご感想を一言……」の欄に、次のように記入している。「十本だけ選べというのは酷だ。キャプラもチャップリンもフォードもヒッチコックもマルクス兄弟も落っこちてしまった。とにかくこの十本はわたしの進むべき方向を啓示してくれました。」

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