今朝は夜半からの雨が続いています。
日曜の朝は車の音も少なく雨脚だけが静寂の白闇を響かせています。
今は夏鳥が去って冬鳥がやってくる、
いわば端境期のような時期で見かける野鳥も少ない。
そんな時を狙ってか知らないが天気のいい日は、
朝に昼に夕に「キィーキィーキィー」 と野鳥の高鳴きが聞こえ喧しいくらいだ。
これは留鳥である百舌鳥が縄張りを主張する高鳴きです。
ところがそんな百舌鳥でも綺麗な声で鳴くことがあります。
2月に入ると百舌鳥のオスは小さなか細い声で、
自分の縄張りに入ってきたメスに対して、
求愛の唄とダンスを披露したり餌をあげたりするそうです。
これが百舌鳥と呼ばれる所以でしょうか。

見た目はこんなに可愛いのに、
彼の嘴は肉を引き裂くのに適し鷹そっくりな形です。
生の獲物をしとめるのにちょうどいい。
時には自分より大きい鶫すら狙うらしい。
ただ足が細く鷲・鷹のように足で獲物を押さえつけることは出来ないので、
獲物の急所(頭や首)を直接狙って噛みつき、
一撃でしとめるテクニックを持っているとか。
専ら昆虫やカエル、トカゲ、小鳥、ネズミ等を食べる肉食の鳥です。

百舌鳥は仕留めた獲物の一部を、
枝先や木のとげとか有刺鉄線などに刺しておく習性があります。
これが「モズの早贄(はやにえ)」「モズの磔(はりつけ)」
と呼ばれる秋冬の風物詩のひとつですね。
ネットを見ていたら百舌鳥がらみの和歌がありました。
秋の野の 尾花をばなが末うれに 鳴くもずの
声聞きけむか 片聞け我妹わぎも
(万葉集・作者不明 巻十 二一六七)
こんな意味だそうです。
秋の野のススキ(尾花)の穂先で哀しく百舌鳥が鳴いている。
家でひたすら私を待つ妻も百舌鳥の哀しい鳴き声を聞いているだろう。
独り寂しく。
又、百舌鳥はこんなにも多くの俳人に詠まれています。
「草茎を 失ふ百舌鳥の 高音かな」 与謝蕪村
「鵙なくや むら雨かわく うしろ道」小林一茶
「朝鵙に 掃除夕鵙に 掃除かな」 高浜虚子
ならば私も拙句を
< 百舌鳥高鳴き微睡去りし露の朝 >