昔、まだ損保に勤めていた頃、それ以前からの古い友人が仕事を探しているのを聞いて、人事部に紹介したことがあります。
まだバブルの名残があるころで、人はいくらいても足りなかったのでしょう、会社としても常時有能な人材を発掘していました。
彼は有名大学を卒業後、国家公務員になっていましたが、思うところあって退職し、次の仕事を探していたのでした。
中途採用の試験はペーパーテストの後の数次にわたる面接試験という順番で進み、彼は最終の役員面接まできましたので、私はもうここまで来れば合格採用に間違いあるまいと思っていたところ、結果はよもやの不合格。
通常こうした場合、不合格の理由は明かされませんが、だいぶたってからの周辺情報で、その一端らしきものが、真偽のほどはともかく、私の耳にも入ってきました。
かいつまんでいえば、それは彼の話し方、言葉の使い方ということでした。 もう少しいやらしい言い方をすれば、役員から見た時に、彼の発する言葉や態度が金融機関の職員としては相応しくない、自社の体面を保つ上で難があると。 友人の私からすれば、気さくな彼の性格をそのまま体現したような彼の言葉づかいはむしろ好きでしたので、そんなことが理由で彼が評価されなかったということが意外といえば意外でした。
今、立場が変わって、若い講師たちと相対するときに、私は初めてオトナから見たときに気になる、許容できない若者言葉というものがわかる気がし出しました。
私に限るならまだしも、それがたとえば保護者相手になると、「だから~」「なのでえ」などは、失礼以外の何ものでもありません。 こうした不必要に語尾を上げたり伸ばしたりの言葉づかいに加え、最近は「大丈夫ですか」も気に入りません。 「来週ちょっと予定が入ってしまって、(授業に)少し遅れます。大丈夫ですか」なんて言われると、「何を偉そうに。そこはひたすら謝って許可を乞う場面だろうが」などと思います。
コンビニで、レジの子が客に「レシートはお使いになりますか」と訊いたときに「大丈夫です」と答えた子を見たことがありますが、厳密に言えば、この子たち、会話がかみ合っていません。