ビートルズについて書かれた沢山の本には、ポール・マッカートニーの発言として、彼ら四人は全員音符を満足に書けなかったし読めもしなかったとのこと。比喩的な言い回しでは、ポールが思いついたメロディを口笛で吹くとジョンがそれに応えて口笛を吹き返して曲が出来上がるのだとありました。
町の修理工場からスタートして一代で世界最大のオートバイメーカーに育て上げた本田宗一郎さんは、自身の本の中で、読書が嫌いで学校のテストの点数も悪かったと言い切っています。モノを作る授業は大好きな反面、習字など発展性の乏しいものはとにかく嫌で仕方なかったと。
こういう話は沢山あります。エジソンやフォードなどもこれらの範疇かもしれません。
これらを読み、そう知ることでヘンな思い違いをして「それでもいいのだ」などと安易で勝手な決めつけをしてよいはずもないのですが、そこから何かが生まれることなど実際には殆ど無いし、でも実際にはそういう人が結構います。
物事を好き勝手に解釈して自分を甘やかす人は、自らを厳しい環境に置いて頑張る人の何万倍もいるとある本に書いてありました。その本には、こうして社会にはしっかり頑張った人と自分を甘やかした結果大した人間にならなかった人とがうまく混在して成り立っているとも書かれていました。
見方によれば、こうして社会あるいは世界は支配する者とされる者とが割合の上でうまく調和しているとも言えます。
聞いたその時はあまり愉快ではありませんでしたが、かつて努めていた損害保険会社の東大出の社長は、よく話していました。
「会社に貢献する社員は15%、会社にとって不要かつ有害な社員も15%、残る70%はどちらにもなる可能性があるだけで、実のところ給料泥棒の域を出てはいない」
似たようなことは、昔通っていた高校の教員も言っていました。
「良い成績を常に取れるのはクラスの10%、あとの連中はただのぶら下がり。ごくまれにそのぶら下がりの中から凄いやつが出てくることもあるらしいが、あまりにも稀すぎてオレはそういうやつにはまだ出会ったことはない」
私は思います。
好むと好まざるとに関わらず、こうしたことは現実の社会を反映したものだと。ちょっと頑張ったくらいですぐに芽が出てくるなんていうことは殆どないのが実際のところで、これは私も好きな「頑張っても全員ができるようになるとは限らないが、頑張らなければ全員がほぼ確実に出来ないままで終わる」という格言のような言葉に通じます。
問題は、一件不公平で過剰なまでの競争を強いられるようにも感じる社会ではあっても、グダグダ言っていないでそこから何を汲み取って活かしていくかということで、それ次第で住む世界が良くも悪くもなるのだと理解して行動することだと。これも本に書いてあったことですけど。