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アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

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 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

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小沢一郎を真に乗り越える為に必要なもの

2010年02月07日 16時18分08秒 | 未完の政権交代
 

 昨年来から続いてきた小沢献金問題は、政治資金団体「陸山会」への4億円寄付がゼネコンからの賄賂によるものかどうかという、一番肝心な事は何一つ解明されないまま、元秘書3名の逮捕・保釈、小沢不起訴という曖昧決着で、とりあえず幕切れとなりました。
 本来ならば、「財界による政治支配」という根幹にこそメスが入れられなければならないのに、追及する方もされる方も、一部の例外を除いて、その根本問題には決して触れようとはせずに、お互いに相手を貶める為の政争の具としてのみ、この問題を利用してきました。だから、盛り上がっているのは、政争に加わっている当事者と、それに加担しているマスコミのみで、それに嫌々付き合わされてきた国民としては、「やっと終わったか」というのが正直な感想です。

 田中角栄や竹下登の愛弟子として、自民党の要職を歴任した後、新進党・自由党と渡り歩いてきた小沢が、清廉潔白な訳がないし、国民もそんな事は薄々分かっていた筈。それでも敢えて麻生自民党から小沢(鳩山)民主党への政権交代を国民が選択したのは、自民党政治の清算を小沢の豪腕に期待したからに他なりません。「同じワルならまだ反自民の方がマシ」という消去法での選択だったのです。
 自民党は、そこが全然分かっていないし、分かる事も出来ない。自民党が自民党である事を止めたら、もはや解党するしかないのは、自民党自身が一番良く分かっているから。だから「財界による政治支配」には一切手をつけず、企業・団体献金廃止にも頬かむりしたまま、ひたすら小沢への個人攻撃ばかりに血道をあげているのです。しかし、これまでの積年に渡る自民党政治の出鱈目さを思い知らされてきた国民には、もうそんな事は通用しない。

 他方で小沢(鳩山)民主党も、何故先の総選挙で国民が政権交代を選んだのかが、もう少しは自覚していると思っていたが、やはり何も分かっていなかったようです。だから、後期高齢者医療制度の見直しや普天間問題にしても、総選挙で示された民意に沿って、今までの自民党政治を改めさえすればそれで済む問題なのに、徒に迷走を繰り返すばかりで、要らぬ混乱を招いてしまっている。
 そうして、自民党政治をそのまま踏襲し続けたばかりに、沖縄・名護市長選での反基地派の勝利という、本来ならチャンスである筈のものまでピンチにしてしまうような体たらくなのですから、もうお話になりません。
 国民は、決してそんな小沢や民主党に満足している訳ではありません。今の小選挙区制の下では、これまでの自民党の悪政を止めるためには、まだ海のものとも山のものとも分からないが、自民党を下野させる最短距離の位置にいる民主党を、とりあえずは支持するしかなかった。だから、みんな民主党に投票したのです。それが本当に分かっていたら、小沢もこれまでのような横柄な態度は決して取れなかった筈です。

 それでも自民党を復活させる訳にはいきません。だから自民党・右翼や産経新聞の小沢民主党バッシングには組しない。しかし、当の小沢民主党も、過去の自民・民主大連立騒動を見れば分かるように、根本においては自民党と同床異夢なので、とても日刊ゲンダイの様に積極的に擁護する気にはなれない。
 では、自民・民主の両党以外であれば何でも良いのかとなると、勿論そうではありません。新自由主義で自民党以上に自民党的な「みんなの党」や、極右反動・排外主義のネオナチでしかない平沼・田母神・在特・新風なんてのは、もはや論外です。右派や新自由主義派に対する批判については、今まで散々書いてきましたので、ここではこれ以上書きませんが。
 だから私は左翼を、とりあえずは共産党を応援し、今も選挙のビラ撒きを手伝ったりしているのです。しかし、では何故、左翼が民主党にとって代わる事が出来ないのか。それをここでは考えてみました。

 確かに共産党は、自民・民主両党よりはよっぽどマシです。それは「政治とカネ」の問題一つとっても明らかです。でも実際には両党よりもはるかに小さい。勿論、それには小選挙区制の影響もあるでしょう。しかし、決してそれだけに解消は出来ないと思うのです。何故なら、私自身が、今はこの党についても、以前ほどには無条件で入れあげるような気持ちにはなれないから。
 何故そう思うようになったのかについては、確かに「いずみ生協」での体験が微妙に影を落としている部分はあると思います。また「ベルリンの壁」崩壊や北朝鮮問題も多少はあるでしょう。しかし、決してそれだけではありません。旧ソ連・中国・北朝鮮の実態なんて、別に今さら産経・正論やSAPIOなんて読まなくても、既に数十年も前から薄々は分かっていた事ですから。
 かつて20数万人の組織勢力を誇った民青(日本民主青年同盟:共産党系の青年組織)が今や2万数千規模にまで落ち込んでいるのも、決して「ベルリンの壁」崩壊や北朝鮮問題などだけが原因ではないと思います。より根本的には、これだけ個人が「自由」に(但し、あくまで括弧付きにですが)情報にアクセス出来る社会で、わざわざ何らかの組織に帰属して、それに縛り付けられている事の意義やメリットが、もはやどこにも見出せなくなったからです。現に、私が離党した最大の理由も、根本的にはそこにありましたから。だから、これは単に共産党や新左翼だけに限らず、実は自民党などにも共通する問題なのです。実際、自民党の党員数なども、過去と比べたら激減していますから。

 これは確かに重要な進歩なのかも知れません。今までは帰属組織の言いなりであった個人も、自分で情報を集め始めて、自律的に物を考えるようになったという事ですから。しかし、一概に手放しで喜べる事ばかりとも限らないのではないでしょうか。
 まず、一見自由に見える情報でも、実は財界・マスコミ資本によって巧妙に操作されているという問題があります。そして、それに対する個人はというと、組織への帰属・忠誠心からの解放と引き換えに、「何も信じられない」不信の荒野に、放り出されてしまったというのが、今の状況ではないでしょうか。この中で、単に左翼イデオロギーだけでなく、人類が長年にわたって獲得してきた自由・人権・民主主義や「科学的な物の見方」といった価値までもが、以前ほどには信用されなくなってきたのではないかと。だから、この問題は実は、単に「マルクス主義の凋落」だけで済まされるような、そんな単純な問題ではないのです。
 60年代にはあれだけ公民権運動やベトナム反戦運動が盛り上がった米国で、今や地動説も信じない人々がネオコンに靡いてしまうようになってしまったのが、その何よりの証拠です。それは日本でも同じで、かつては社会党や共産党を支持した人たちまでもが、スピリチュアルや田母神や小沢の虜になってしまったのも、それが原因ではないかと。

 その様な「不信の荒野」の中で、「一刻も早く自民党政治を変えたい」という、それ自身は当然の要求から、小沢の豪腕に期待する人についても、同じ事が言えるのではないでしょうか。民主主義の面倒な過程をすっ飛ばして、手軽に成果だけを手に入れる為に、誰かの豪腕に他力本願ですがろうとしている、という点で。確かに、その気持ちはよく分かります。私自身がそうでしたから。
 しかし、それでは、ヒットラーや橋下徹・石原慎太郎・森田健作・サルコジ・ベルルスコーニらの豪腕に期待した人と、結局は同じではないかと。消極的とはいえ小沢に一縷の望みを託した私も含めて、その他力本願の「横着民主主義」意識から脱却出来てこそ、初めて国民は小沢・橋下や民主党をも乗り越えて、真の自律や自民党政治の転換を実現できるようになるのではないでしょうか。
コメント (14)
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政権買収

2009年11月27日 23時51分31秒 | 未完の政権交代
官房機密費 政権引き継ぎ時金庫カラ 塩川議員が質問(09.11.20)


 鳩山献金問題が、ここに来て、マスコミによってしきりに取り上げられています。曰く、個人献金の上限枠を超える額が献金されていたとか、実母からの莫大な献金が政治資金収支報告書に計上されていない、とか。
 これだけなら、前・自民党政権時代と変わらぬ「よくある話」でしかない。民主党なんて、何だかんだ言っても、その本質は「第二自民」である事は確かなのですから。「それでも少しでも自民党の悪政を止めてくれるなら」という事で、先の総選挙では多くの人が民主党に一票を投じたのです。だから、それを攻撃する自民党に対しても、「目くそ鼻くそ(どころか寧ろこちらが金権腐敗本家)の自民党に、民主党を批判する資格があるのか?」と言うのが、大方の人の気持ちでしょう。

 私としては、こんな「よくある話」よりも、寧ろ官房機密費の行方のほうが、遥かに気になります。「国益のため」との名分さえつけば、使途自由で領収書も不要の、「掴み金」同然の機密費が、麻生・自民党政権の退陣間際に2億5千万も引き出されたと言うのに、後任の鳩山・民主党政権も、それに対して「前政権の事だから」と済ませるのみで、異を一切唱えないという。鳩山献金問題で、あれだけ自民党に攻撃されながら、この問題では何も反論しようとしない、この不思議。
 かつての社会党がそうだったように、野党時代の主張を軒並み後退しだして。これを「出来レース」と呼ばずして、一体何と呼ぶ。これでは「政権交代」ならぬ只の「政権買収」ではないか。事と次第によっては、自民も民主も只では済まないし、当然済まされる話でもない。

・鳩山首相元秘書を在宅起訴へ 偽装献金2億円超 東京地検(産経新聞)
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091124/crm0911241044006-n1.htm
・実母から首相に十数億円 実母の参考人聴取も検討(同上)
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091126/crm0911260146004-n1.htm
・金庫カラにし自民下野 機密費、突出の2.5億円支出(朝日新聞)
 http://www.asahi.com/politics/update/1120/TKY200911200338.html
・使途不明の官房機密費/自公政権-総選挙2日後に2億5000万円/鳩山政権-すでに1億2000万円(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-11-20/2009112001_01_1.html
・内閣官房機密費について(追記あり)(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
 http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1523.html
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民主党新人議員の可能性と限界

2009年11月19日 00時16分28秒 | 未完の政権交代
 

 以下は、私の行きつけの鍼灸医さん(以下、医と略す)との、ごく最近のある日における診察中の対話からの抜粋です。話を分かりやすくする為に、細部の会話については若干編集を施していますが、基本的な会話の流れについては、実際のものとほぼ同じです。

医:××(私の本名)さん、その後お変わりありませんか?

私:お蔭様で、首もすっかり良くなりました。ところで、前にも先生に言っていた、民主党に対する私の素朴な疑問について。解く手がかりとなるような記事をたまたま見つけましてね。読んでみると、結構なるほどと思う部分があって。

医:ほう、それはどんな記事ですか。

私:岩波書店から出ている「世界」という雑誌の最新号に載っていた、渡辺治という一橋大学の教授が書いた論文です(下記注参照)。

私:ほら、あの時私が言っていた二つの疑問があったでしょう。
 「国民生活が第一」「コンクリートから人の政治へ」と、自公政権が進めた弱肉強食の政治をさんざん批判して政権の座に着いた民主党が、何故またよりによって、「事業仕分け」では小泉政権時代のブレーンや規制緩和論者を重用しているのか。また、選挙前は盛んに廃止や見直しを主張していた後期高齢者医療制度や沖縄米軍基地の問題も、政権をとった途端に、自民党と同じような言い訳をやりだしたのか。「コンクリートから人へ」というのも、所詮は「口から出まかせ」だったのか。これが一つ。
 そしてもう一つは、たとえ仮に「口から出まかせ」だったとしても、元は「自民党以上に自民党的」なタカ派の新自由主義者だった小沢が、政権奪回の為とは言え、何故それまでよりも「左寄り」の公約を敢えて掲げたのか。ひょっとして小沢は、少なくとも選挙前には、本当に新自由主義(市場原理主義)から社会民主主義(福祉国家を肯定)に立場を変えていたのか。この二つの疑問について、論文で分析しているのですよ。

医:で、どんな事が書いてありました?

私:まず、この論文では、今度の総選挙で民主党を押し上げた有権者には、正反対の二つの流れがあるという事を、ここ数年間の宮崎県と東京都における自民党と民主党の比例得票率の推移を例に挙げて説明しています。
 小泉構造改革による地方切捨ての結果、かつて保守の金城湯池であった宮崎でも自民党の支持基盤が崩壊し、今や民主党が第一党となっています。あの小泉郵政解散の年(’05年)ですら、宮崎では得票率が下がっています。それに引き換え東京では、郵政選挙で自民党が得票率を一旦4割台にまで押し上げた後、また民主党に挽回されています(上記グラフ参照)。
 つまり、東京の民主党支持者の少なくない部分は、「格差社会批判」に共鳴した宮崎などの地方とは逆に、小泉構造改革の支持者だったのではないか、という事です。同じ民主党でも、小泉構造改革支持の新自由主義的な考え方の人と、それに批判的な社会民主主義的な考え方の人の、正反対の流れがあり、今回はその両方から民主党が支持されたので、あれだけの議席が取れたのだ、という事です。

医:ふむ、今回民主党をここまで押し上げたのは、必ずしも「格差社会批判票」だけではない、「批判票」とともに「格差社会肯定票」も少なからず在る、という事ですね。

私:そうです。民主党支持層には、格差社会を批判する人たちもいれば、逆に格差社会の恩恵を蒙る、六本木ヒルズや田園調布に住む「勝ち組」みたいな人たちもいる、という事です。単純に「格差社会批判が民主党を押し上げた」という訳でもないのです。
 前者を純粋な「嫌・自民」票とするならば、後者は寧ろ「自公政権が進めた構造改革にすら飽き足らない=超・自民」票ともいうべき人たちですです。つまり、自民党による構造改革が頓挫したので、再び民主党に戻った人たち。その中には、民主党すら離党して「みんなの党」に行った浅尾慶一郎みたいな人もいる。

医:ははあ、それで、「生活が一番」とか「コンクリートよりも人を大事に」とか言って、「派遣村」村長を国家戦略室の参与に引き立てたり、貧困率を公表したりして、それなりに貧困・格差問題にも本腰を入れて取り組むかのような姿勢を見せる一方で、「事業仕分け」では、大企業優遇税制や米軍への思いやり予算には一切手をつけず、福祉や医療ばかりを槍玉に上げる、自公政権時代の「経済財政諮問会議」と同じような議論が横行しているのか。
 民主党が「派遣切り」を批判しても、それが新自由主義・資本主義やそれを進めた政財界への批判には直接向かわず、最後には単なる「官僚叩き」に話がすり変わってしまうのも、その為だったのか。

私:それを踏まえた上で、民主党内には三つの潮流があると、その論文には書かれています。
 その第一は、鳩山・菅ら旧さきがけ系の現執行部を中心とする<頭>の部分です。元「社民・リベラル」として「格差社会批判」も口にするが、基本はあくまで新自由主義。だから、「友愛」を唱えながら「保育所の民営化」を進めたりする。
 第二が、小沢・岡田ら旧新進・自由党系を中心とする<胴体>の部分です。元「社民・リベラル」の第一グループとは違い、自民・保守系から新自由主義に移行した人たちです。こちらも基本はあくまで新自由主義ですが、その一方で、昔の自民党的な体質も色濃く残しています。
 第三は、民主党の中堅・新人議員から成る<手足>の部分です。実は、彼の人たちが、民主党を社会民主主義の方向に引っ張っている原動力なのです。薬害肝炎訴訟原告の福田衣里子など、市民運動を背景に当選してきた人たちも、その中には少なくありません。最も今の民意を反映しているのもこの潮流で、渡辺教授もこの人たちに民主党改革の期待を寄せているのですが、如何せん、これらの人たちには、確固たる思想的バックボーンがありません。
 これらの人たちは、確かに露骨な右傾化や新自由主義には批判的ですが、但しその批判も、あくまで心情的な域に止まります。だから、憲法9条改正反対と言いながら、国連のお墨付きさえあれば海外派兵も容認してしまう。そんな人たちなので、下手すると一生<手足>として、鳩山や小沢にあごでこき使われるだけの存在に終わる可能性も、無きにしも非ずなのです。

医:なるほど。福田衣里子も確かに頑張ってはいるのだろうけれど、悪く言えば「薬害肝炎訴訟だけが売り」「それを取ったら只のオバチャン」でしかないわね。
 小沢が、彼らを行政刷新会議のメンバーから外し、ひたすら「党の研修」と「選挙区活動」に縛り付けているのも、単に、一期限りで終わった大半の小泉チルドレンの轍を踏まさないというだけではなく、ひたすら<駒>として働け、という事かも知れませんね。
 小沢が<王将>だとしたら、民主党の顔として自分にはないソフトイメージを演出できる鳩山や、それを支える菅・岡田は、縦横無尽に使える<飛車・角>といった所か。外側から脇を固める社民党・福島や国民新党・亀井や、閣外に「建設的お目付け役」として布陣する共産党は、差し詰め<金・銀>、辻元は一本調子の<香車>だとすると、今はまだ小沢チルドレンにしか過ぎない民主党新人議員なぞ、只の<府>といった所か・・・。<府>がせめて<金・銀>ぐらいまで成長してくれたら、また違う展開も期待できるのだが・・・。

(注)渡辺治「新自由主義転換期の日本と東京―変革の対抗的構造を探る―」(岩波書店「世界」2009年12月号所収)
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ブレフォーたちの呆れた憲法・人権感覚

2009年10月27日 22時41分41秒 | 未完の政権交代
【自民党ネットCM】ブレる男たち


 鳩山・民主党政権が早速ぶれ始めています。米軍基地の見直しと後期高齢者医療制度廃止を巡り、総選挙で掲げた公約を反故にしようとしています。
 前者については「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」、後者についても「後期高齢者医療制度は廃止し、(中略)国民皆保険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する」と、それぞれ連立政権合意で謳っていました。
 それが、前者はゲーツ米国防長官にちょっと脅されただけで早速引っ込め、後者も、自民党・財界から脅されたのか、元々本気で取り組む気なぞサラサラ無かったのか、どちらか分かりませんが、とにかく廃止を先送りしようとしています。

・米軍普天間基地/外相「県外移設ない」/方針転換の発言(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-10-24/2009102401_01_1.html 
・後期医療の廃止/厚労相、先送り明言/保険証は奪わず(同上)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-10-24/2009102401_02_1.html

 後期高齢者医療制度については、拙ブログの過去記事「棄民医療制度の冷酷」をご参照下さい。また、沖縄の米軍基地問題については、下記の記事をご参照下さい。いずれも、とんでもない代物であり、廃止や撤去でしか根本的な解決はあり得ない事が、お分かりいただけると思います。

・辺野古での新基地建設計画は、なぜいけないのか?(あつこばのブログ)
 http://atsukoba.seesaa.net/article/39912507.html
・沖縄米軍基地問題について、民主党に言うべきこと(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
 http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1485.html
 http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1486.html

 上記2つの問題、とりわけ現在喫緊の課題となりつつある在日米軍の再編・基地問題については、他のブログでも取り上げられているので、ここではこれ以上は触れません。
 ただ、これだけは言っておきます。実際には革新的代案があるにも関わらず、従来の自民党政治の発想から未だ抜け出せない民主党の足元を見透かした上で、「代案を示せ、示せない以上は廃止も撤去も一切罷りならぬ」と居丈高に言い放つような議論が、自民党・財界・米国筋から出ていますが、何をか況やです。
 たとえ代案があろうと無かろうと、ダメなものはダメなのです。「他に金を借りる当てが無い」からといって暴利の借金を支払い続ける。「禁断症状に耐えられない」からといって薬物依存を続ける。誰でもその愚かさが分かるのに、何故基地問題や医療制度の問題となると、諦めばかりが先に立つのか。それこそが、奴隷根性・植民地根性に絡めとられている事の、何よりの証ではないか。

 但し、そうは言っても、この沖縄や岩国の基地問題でも、後期高齢者医療制度の問題にしても、この程度の鳩山政権・民主党の「ぶれ」については、まだこちらでも想定内でした。元々は保守二大政党の片割れとして財界の肝入りで作られ、「自民党の落ちこぼれ」と「旧社会党の落ちこぼれ」が寄せ集まって出来た民主党。その民主党が中心となって出来た鳩山政権。そんな政党であり政権ですから、ぶれまくるのはある意味当然。こんな事は元より自明の上で、「それでも自民党政権が倒せるなら」という事で、票の一部を回したに過ぎないのですから。
 しかし、「ぶれ」も次の「天皇のお言葉」問題まで来ると、相当重症なのではないでしょうか。何故なら、基地問題にしても医療制度の問題にしても、どちらも政策次元の「ぶれ」であり、そういう意味では、まだ救いようがあるのでは、と思うのです。政策の「ぶれ」だけに止まるのであれば、国民の力で是正も可能でしょう。
 それに引き換え、「天皇のお言葉」問題で図らずも露呈したような、思想次元の「ぶれ」、国内外から憲法観や人権感覚をも問われかねないような「ぶれ」となると、そこから正していかないといけないのかと思うと、いささか気が滅入ります。何故か不思議と、マスコミもあまりこの問題は取り上げていないようなので(産経の様な一部偏執狂メディアを除いて)、ここではこちらを主に取り上げる事にします。

・天皇陛下のお言葉:岡田外相の見直し発言 西岡氏が批判(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091024k0000m010070000c.html

 岡田外相が、国会での「天皇のお言葉」に見直しを求めたのが、同じ与党・民主党の西岡武夫氏に言わせると「越権行為」なのだそうです。「天皇の政治的中立を損なう」との事ですが、何をか況やです。
 「天皇の政治的中立」とか「君臨すれども統治せず」と言うのは、あくまでも「天皇が政治に口出ししてはいけない」という事の筈です。だから日本国憲法第7条で、天皇の国事行為の範囲が厳格に定められているのです。政治に口出ししてはいけないのは、あくまで天皇であって、国民ではありません。主権者たる国民は、天皇制の存廃も含めて、自由に議論できる筈です。だから、憲法第1条にも「(天皇の)地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とあるのでしょうが。
 それを、何が「私どもが政治的にあれこれ言うことは、あってはならない」(西岡)かよ。バカじゃないか。トンデモな難癖つけた西岡も西岡なら、そんな難癖如きにいちいち動揺する民主党も民主党だ。21世紀にもなって「天皇機関説」事件の再現とは。天皇は日本の金正日かい。

 このニュースですが、米軍基地や後期高齢者医療制度の問題では大いに論陣を張っていた先の「しんぶん赤旗」ですら、あまり大きくは扱っていませんでした。そして、他の「ブルジョア・マスコミ」に至っては推して知るべしで、偏執狂の産経など以外は、申し訳程度に触れただけで、取り上げ方も、どちらかというと西岡のほうに同情的な感じなのは否めませんでした。
 しかし私としては、在日米軍再編問題や医療制度の問題よりも、寧ろこちらのニュースのほうで、民主党の「軸不在」ぶりに呆れさせられました。そんな体たらくだから、元祖「ダメ」フォー・(不祥事で閣僚)「辞め」フォー・(政権)「投げ」フォー・(挙句に選挙でボロ)「負け」フォーの自民党ごときにまで舐められるのだろうが!
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続・八ッ場ダム問題考―毒食らわば皿までも

2009年09月28日 23時00分32秒 | 未完の政権交代
 

 先日アップした八ッ場ダム関連記事の続きです。
 「薮蛇」とはこんな事を言うのでしょうか。鳩山新政権の苦難の船出を印象付けるかのような報道ぶりから始まった、この八ッ場ダム建設見直し問題ですが、ネガティブ報道の当初意図とは逆に、このダム建設の恥部が続々と明るみに出てきました。建設推進派による「やらせ」インタビューから、自民党政権時代から続く国交省職員の関連公益法人・ゼネコンへの天下り、巨額補償金の闇から鉱毒汚染の隠蔽まで、もう底なしの様相を示し始めています。

 まずは9月28日付「日刊ゲンダイ」の下記記事(写真左上)から。
………………………………………………………………………………
 群馬県は総理大臣を4人も出した保守王国だし、長野原町には古くから地元のドンもいる。テレビに出て、ダム中止に怒りをあらわにする住民は、「群馬を牛耳ってきた自民党の関係筋ばかり」(事情通)だという。そうでない地元民は、「おかしいと思っても口には出せない。あからさまにダム建設の中止を訴えれば、あとで何をされるか分らない」と語る。しっぺ返しを恐れているから、反対の声が聞こえてこないわけだ。ダム中止反対は、いわば「つくられた民意」(前出の事情通)というから変な話だ。
 もうひとつ、彼らを”推進派”に押しやっているのが「補償金」だ。これまでほとんど報じられていないが、この問題が地元民を縛っている。
「補償金問題は表に出ず、ブラックボックスになっているのが現実です。」
 こう指摘するのは、「八ッ場ダム・足で歩いた現地ルポ」の著者で、ジャーナリストの鈴木郁子氏だ。
(中略)
「立ち退きのための補償金については個々の家の資産によってマチマチで、どこも言いたがりませんし、情報公開を取っても非開示なのです」(前出の鈴木郁子氏)
 本紙の取材では最高の家で10億円近いとささやかれていた。
 移転を決意した人にとって、こうした補償制度が見直されたり、元に戻ることが怖い。それで「ダム建設を計画通りに進めてほしい」の合唱になるわけだ。すでにダム建設予定地周辺には、道路建設費も含めて3217億円の税金が投じられている。ダム本体建設にはさらに1400億円が予定され、そういった工事をアテにしている地元民も多い。地元観光協会や旅館関係者はダム完成後の新しい観光地に期待している。ここで中止は死活問題というのもうなずける。
 しかし、民主党は生活再建を支援するための特別措置法を準備し、何も過去の補償金を召し上げるつもりもない。国が買い上げた田畑をもう一度借りて農業を続ける方法だってある。
 世間は水没住民に同情する人ばかりではない。騒動拡大以来、長野原町の役場には全国から「ダム建設中止は当然だ」「地元だけの損得で反対するな」という抗議の電話が殺到している。(後略)
………………………………………………………………………………

 正にアメとムチ。なるほど、そうやって反対運動を切り崩し、住民の口を封じてきたのか。しかも、話はそれだけに止まらない。そこまでして建設推進に固執する八ッ場ダムが、これがまた普通のダムには非じ、相当イワクつきの”物件”なのだ。

 以下、「八ッ場あしたの会」HPの記述から抜粋。
………………………………………………………………………………
品木ダムでは、中和によって生じた大量の中和生成物と土砂からなる沈殿物を浚渫、脱水し、流域内の周辺山林を借り受けた処分場で埋め立て作業を行っています。上流の火山性の脆い地質が原因で、品木ダムに流入する土砂は当初の予測より遥かに多く、堆砂率はすでに8割を超えていますが、次第に処分場の用地確保が難しい状況となっています(浚渫物はヒ素を含むため、流域外での処分が困難)。中和、浚渫、沈殿物の処分などの総費用は、人件費も含めて年間10億円となっています。
(品木ダムの堆砂データ:略)
中和事業によって、吾妻川の水質は弱酸性となりました(八ッ場ダム予定地で、pH4.77~5.99)。しかし八ッ場ダムが完成した場合、品木ダムが満杯になれば、中和生成物は八ッ場ダムに流入し、八ッ場ダムは中和生成物の沈殿池を兼ねることになります。藻類の異常増殖と相まって、ダム湖は異様な色を呈し、地域にとってマイナスイメージとなることは確実です。
また、中和生成物の流入は、堆砂率の進行要因となり、ダムの寿命を一層短くすることにもつながります。
………………………………………………………………………………

 前回記事でも少し触れましたが、火山地帯を流れる吾妻川は、元々は魚も棲めない強酸性の「死の川」でした。八ッ場ダムの建設に先立って、まず川の水質を中和しなければなりませんでした。その為に、八ッ場ダムのさらに上流に作られたのが品木ダムでした。
 このダムは、水質中和の為に上流の支流で投入された石灰ミルクと川の水を、互いに混ぜ合わせてPH値を平常に保つ為に作られました。
 そうまでして、やっとどうにか川の水質をダムの使用に耐え得るレベルにまで改善する事が出来たのですが、その品木ダムも、数十年後には土砂や中和生成物のヘドロが堆積して、使いものにならなくなります。そうなれば今度は八ッ場ダムが、品木ダムに代わりに中和用ダムとして、上流の火山・温泉・鉱山からの硫黄や砒素を含んだ毒水を溜め込む事になるのです。
 もはやここまで来ると、「毒(巨額補償金)食らわば皿(毒水)までも」という他ありません。正しく喜悲劇以外の何物でもない。この一事を以ってしても、日本は明治時代の足尾銅山鉱毒事件の昔から、何も変わっていないのではないかと、思わざるを得ません。水俣病やイタイイタイ病の悲劇を、また繰り返すつもりなのでしょうか。
(下記画像は上から順に、現場周辺図、石灰投入、品木ダム湖などの映像)
 
 
 

 最後に、八ッ場ダム問題に関する所謂「改革派」知事のスタンスも見ておきましょう。同じ「日刊ゲンダイ」の同日付第一面の記事に、彼らの発言が載っています。それらの発言からも、自称「改革派」のこれら知事が、実際はこれまでの保守系知事ともさして変わらない事がよく分かります(下記参照)。こんなエセ「改革派」「地方分権」偽装の「隠れ自民」には、くれぐれも騙されないようにしなければいけません。こいつらも「毒食らわば皿までも」一味の立派なお仲間です。

○上田清司(埼玉県知事)
「民主党の公約そのものがルールを無視したもの。」「カネを返せばいいというものじゃない」
○森田健作(千葉県知事)
「私も視察に行ったが、あの状況で止めるのは大変。地元の人達の国への信頼もなくなり、協力への躊躇が出るのではないか。」
○石原慎太郎(東京都知事)
「基本的に建設反対に反対。7割もできているプロジェクトをやめる意味は、理解できない。」
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前原国交相を孤立させるな!

2009年09月24日 23時13分29秒 | 未完の政権交代
  

・八ッ場ダム交渉不発 意気込む前原国交相、住民「何を今さら」(産経新聞)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/304961/
・地方困惑 高齢者医療、公共事業…ダム以外にも政権交代の波(同上)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/303610/

 何?八ッ場ダム問題についての上記2つの記事の取り上げ方は?
 本来ならば、住民の反発や交渉不発といった現象面だけでなく、その背景にある八ッ場ダム建設計画の問題点や紛糾に至った経過などの、より本質的な事象に迫ってこそ、当該ダムの問題が初めて理解できるのに。それが上記記事では、肝心の紛糾に至った背景もそっちのけに、表層に現れた住民と国交相の対立劇について、ただ興味本位に面白おかしく取り上げているだけではないですか。

 確かに前原や鳩山にも、今回の事態を招いた責任の一端はありますよ。当人たちも、当時政権与党だった「さきがけ」の一員として、八ッ場ダムの着工を許可した事について、当事者としての責任は逃れられません。
 しかし、最も責任を負わなければならないのは一体誰ですか。地元の頭越しに数十年に渡ってダム建設を強行し、ダム反対運動をアメとムチで切り崩し、住民対立と地域崩壊を煽ってきたのは一体誰ですか。元はといえば、全て歴代自民党政府の為せる業ではないですか。

 そもそも八ッ場ダム建設計画が浮上してきたのは何故か。
 戦後間もない1950年に制定された国土総合開発法によって、全国21地域の特定地域総合開発計画が立てられた。いずれも戦災で疲弊した国土の復興・治山治水・電源開発を目的としたものだ。この下で、只見川・北上川・利根川・天竜川・黒部川などの電源開発が一気に推し進められ、水没地住民のダム反対闘争も各地で起こった。現在まで尾を引く熊本県の川辺川ダム建設問題も、この時に始まったものだ。
 当時「日本版ニューディール政策」とも謳われたこの電源開発だが、「特定」とは名のみに21もの地域指定が為された事でも分かる様に、実際は単なるダム乱造・公共工事バラマキ政策でしかなかった。治山治水には殆ど役立たず、逆に土壌堆積・河床上昇・海岸侵食などのダム災害が各地で多発した。得をしたのは、ダムで安価な電力を手に入れる事が出来た電力資本だけだった。
 そのうちに、やがて高度経済成長の始まりと共に、工業開発の重点も、農山村の電源開発から太平洋ベルト地帯での重化学工業コンビナート拠点開発に、徐々に移行していった。ゼネコン利権の対象もダムからコンビナートや高速道路・新幹線に移っていき、過疎地帯の巨大なダム群だけが後に残った。

 八ッ場ダム建設計画もその中で、利根川流域の特定地域総合開発の一環として浮上してきたのだ。(八ッ場あしたの会・八ッ場ダムを考える会HP、Wikipedia各項を参照)
 ただ八ッ場ダムについては、その後も長期間に渡り、着工は中断したままだった。それは、地元での反対運動に加えて、建設地の吾妻川の水質がダム建設に適さなかったからだ。上流部に多数の火山や硫黄鉱山を抱えた強酸性の吾妻川は、別名「死の川」とも呼ばれ、ダム建設に先立って、石灰の大量投入や中和用ダム・沈殿池の建設が必要だったからだ(品木ダムHPを参照)。
 この工事が一通り完成したのは60年代も半ばで、その頃には利根川水系には既に11ものダムが完成していた。建設理由に挙げられた首都圏の水需要も、その後の環境規制・省エネ政策の進展や、高度経済成長の終焉から構造不況に向かう時代の流れの中で、縮小の一途を辿る。既にダム建設の存在意義そのものが無くなっていたのだ。

 その後は、ただひたすらゼネコンを生きながらえさせ、国の面子を立てる為だけに、既に時代遅れと為ったダム建設が推進される事になった。その下で、さしもの数十年に渡る強固な反対運動も、カネの力で次第に切り崩され、移転補償と引き換えの条件闘争に変質させられていったのだ。
 何の事はない。青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場や、沖縄県辺野古の米軍基地の建設問題と、全く同じ構図がそこにあるではないか。原発交付金や基地対策費でカネやハコモノを地元自治体にばらまく見返りとして、安全性が確立されていない危険極まりないものを押し付けられ、住民はそんな故郷に早々と見切りをつけて出て行く。これの何処が産業振興か。後に残るのは、自然破壊、地場産業の衰退、住民分断、地域社会の崩壊だけではないか。

 長らく国に翻弄され続け、既に転廃業し他地域に出ていった人も多数いる中で、反対運動の旗も降ろした今となっては、ダム建設を前提とした生活設計を立てるしかないという人も、地域住民の中には大勢いるだろう。その事自体は、決して責められるものではない。私自身も同じ立場に立たされれば、同じ道を歩むかも知れない。群馬県・川原湯温泉観光協会のHP・掲示板の記述にも、そんな地域の人々の苦悩や無念が溢れている。
 私が心底から許せないのは、そんな原因を作った奴らが、何食わぬ涼しい顔して、加害者の癖に恰も被害者みたいに装っている厚顔無恥に対してである。そんな奴らが、未だ筋を曲げずに反対闘争の旗を掲げている人たちや、遅まきながら自分の非を改め謝罪に訪れた前原国交相を詰る資格なぞ、あろうはずがない。
 奴ら自民党・産経御用メディア・ゼネコン資本は、民主党批判と共に社民党批判も強めている。国交副大臣への就任をゴネて拒んでいる社民党の辻元清美を叩いている。しかし、「脱ダムはイヤだイヤだ」とゴネまくっている奴らの姿も、何の事はない辻元と全く同じではないか。そんな奴らが幾ら辻元を論った所で、傍から見れば目クソ鼻クソでしかない。

 前原国交相といえば、名うての改憲・新自由主義者であり、ある面では「昔の自民党以上に自民党的」とも目される人物である。こと安保・自衛隊・憲法の問題については、彼は私にとっては敵ともいえる立場にいる。
 しかし、ことこの八ッ場ダムの問題については、彼の言っている事こそが正論である。確かに、彼にも以前与党だった時期に八ッ場ダムの着工に手を貸した責任はある。その責任はとってもらわなければならない。但し、その事によって、彼の主張する正論まで否定される謂れはない。
 私は、この問題については、喧嘩両成敗などという曖昧な立場には立たない。明確に彼の側に立つ。正しいのは前原国交相であり、間違っているのは奴ら自民・公明・産経などの利権・反動勢力のほうだ。

(参考資料:引き続き追記・更新中)
・八ツ場あしたの会、八ツ場ダムを考える会
 http://yamba-net.org/index.php
・八ツ場ダム工事事務所
 http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/
・八ツ場ダム - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E3%83%83%E5%A0%B4%E3%83%80%E3%83%A0
・品木ダム水質管理所HP:吾妻川上流部での中和事業の解説
 http://www.ktr.mlit.go.jp/sinaki/index.html
・河川総合開発事業- Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E5%B7%9D%E7%B7%8F%E5%90%88%E9%96%8B%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%A5%AD
・前原誠司HP
 http://www.maehara21.com/index.php
・副大臣就任に「やだ、やだ、やだ!」 社民ドタバタ劇に民主が溜息(同上)
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090920/stt0909201806007-n1.htm
・かわら版~今日の川原湯温泉(川原湯温泉観光協会HP)
 http://www.kawarayu.jp/
・「川原湯温泉・ワイワイ掲示板」・・今日の日直だ~れ(^_-) (同上)
 http://www.kawarayu.jp/yy060517kinkyu-arasiyoke999/yy/bbs/joyful.cgi
・止めよう!六ヶ所再処理工場(原子力資料情報室)
 http://cnic.jp/modules/rokkasho/index.php?content_id=7
・八ッ場ダム 地元の声聞く 生活再建と完成に期待 国交相の対応批判「一方的中止、民主的でない」 山口代表ら視察(公明新聞)
 http://www.komei.or.jp/news/2009/0923/15494.html
・「生活再建しっかり」と塩川氏/八ツ場ダム地元住民と懇談(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-09-25/2009092501_02_1.html
・八ッ場ダム、ユキダルマ式にふくれた「もったいない」の嘘(保坂展人のどこどこ日記)
 http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/7e9bb4637bf027ef7fffcf57c8019bda
・八ッ場ダム報道でヤラセ発覚(きっこのブログ)
 http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2009/09/post-39f8.html
・八ッ場ダム関連に国交相176人天下り!(格差階級社会をなくそう)
 http://blog.goo.ne.jp/fugimi63119/e/ac41a45be3f8e6454de9eab0d53923f4
・八ッ場ダムは中止するべきか(雑感)
 「八ッ場ダムは、品木ダムという爆弾を抱えたダム建設なのである。・・・もし八ツ場ダムができたら砒素を含んだ濃縮をされた水と、砒素中和生成物も自然にたまっていく可能性が大である。」(同ブログより)―この品木ダムこそが「青森県六ヶ所村核燃料再処理工場のダム版」とも言うべきものではないか。
 http://udonenogure.iza.ne.jp/blog/entry/1230873/
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万物は<本質さえもが>流転する?!

2009年09月21日 22時33分32秒 | 未完の政権交代
 当初の記事作成予定を変更して、次に紹介する議論を改めて記事として取り上げる事にします。まずは、9月11日付エントリー記事「戦後64年目にしてようやく憲法に沿った政治が始まる」のコメント欄から、当該議論の部分を引用します。

(引用開始)
●鳩山民主党の二面性 (プレカリアート、2009-09-13 22:57:32)  
(前略)
 つまり、鳩山政権というのは、一事が万事この調子なのです。今までの小泉・安倍政治の様な露骨な改憲・新自由主義路線には、流石に彼らもついて行けず、それらとは一応は一線を画すものの、改憲・新自由主義そのものを根底から批判し乗り越える立場には立てていないので、少しオブラートに包まれると、もう簡単にそちらの方に靡いてしまうのです。
 これは経済政策においても然り。小泉改革を批判し郵政民営化や後期高齢者医療制度の廃止・凍結を掲げつつも、それらの背景にあるグローバル資本主義そのものへの批判がないから、WTO・日米FTA推進などの矛盾した公約も、平気で口に出来るのです。
(中略)
 鳩山政権には、その様な二面性がある事は確かです。その二面性が、ただ純粋に「階級的視点の欠如」や「無知」から来るものなのか、それとも「第二自民の本性を今は隠しているだけ」なのかは、今はまだ何とも言えませんが。
 いずれにしても、そういう、どっちに転ぶか分からない脆さを抱えた政権である事だけは確かです。
 だから対処が難しいのです。徒に追い詰めて改革の芽を摘んでしまっては元も子もないし、かと言って、過度に期待した挙句に裏切られたのでは、何の為の政権交代だったのか、という事にしかならないし。
 いずれにしても、そういう政権だという事だけは、心しておかなくてはならないでしょう。

●口先だけだった麻生・舛添とは大違い (プレカリアート、2009-09-20 00:36:08)
(前略)
・<東国原知事>「僕の座右の銘は『友愛』」 新政権誕生に大きく国が変わると期待(毎日新聞)
※ついこの間まで「俺を自民党総裁にさせろ」とか言っていた男がよく言うよな。橋下と言いコイツと言い、ただひたすら自己の栄達の為に、権力に媚びる事しか頭にない。
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000004-maiall-pol

●可能性と蓋然性 (バッジ@楽観論警戒主義者、2009-09-20 16:52:03) 
>ついこの間まで「俺を自民党総裁にさせろ」とか言っていた男がよく言うよな。
この点ではついこの間まで「自民も民主も同じ穴のムジナ」的な批判を繰り返していた共産党をはじめとする左派の多くも「同じ穴のムジナ」ですwww
イタリア共産党などのいくつかの左翼政党が今日では既に完全に変質してしまっているという事実もあるように、物事は現象面だけで無く「本質」さえもが良くも悪くも変化するとみるのが弁証法的なものの見方です。
有権者・国民の突き上げさえ存在し続ければ、民主党は更に「左」に変わる可能性だってあります!(もちろん「右」に先祖帰りしてしまう可能性も)

●「過渡的な性格をもった新政権」 (バッジ@ネオ・トロツキスト、2009-09-21 12:36:18)
共産党の政治情勢観や誕生した鳩山新政権についての見方が支離滅裂であることについては、既に「さざなみ通信」で原仙作氏なども書いている(↓)けれど、原氏が問題にする共産党中央の「過渡的な性格をもった新政権」という規定やプレさんの言う「鳩山民主党の二面性」についてはもっと良く考えてみるべきことが多いように思うよね。
http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/dc01/situation2/s09092.html

というのも、「二面性」であれ「過渡的な性格」であれ、民主党新政権の「変化」や「発展(または後退)」の可能性、蓋然性についての考察が曖昧だからですよ。
民主党新政権が「二面」的な性格をもつ存在であるならば、その「二面性」はいわゆる「不変の本質」的な永続的・宿命的な二面性なのか否かという点がまず問題になります。
また、もし民主党政権の「二面性」や「過渡的な性格」が、変化・発展の中で解消されて行くような性格のものであるならば、共産党が言う「過渡的な性格」は、必ずしも他の政権によって取って代わられる必要さえないものになるんじゃないでしょうか?
少なくとも、共産党の目標とする「資本主義の枠内での改革」戦略から見て、民主党政権では「絶対に不可能」な政策領域が存在するということをその根拠ともども鮮明に暴露しなければ、この「過渡的」の正確な意味内容は示されませんよ。
(後略)
(引用終了)

 以上がこれまでの当該議論の流れです。該当コメント欄には全文がアップされていますので、そちらも併せてお読み下さい。私がここで俄然興味を引かれたのが、記事のタイトルとしても掲げた、バッジさんからの以下の問題提起です。

―鳩山新政権の持つ「過渡的性格」は、決して「二面性」「同じ穴のムジナ」論に解消出来るものではない。それは、今後の国民の闘いや運動の前進如何によっては、もっとより国民本位(革新的・左派的)なものに進化する可能性を帯びたものである。それは裏返せば、今までの自民党政治に逆戻りする可能性も同時に帯びている、という事でもある。鳩山新政権がそのどちらに転ぶかは、偏に国民の対応如何によっている。

―つまり、変わる可能性があるのは、何も現象面(郵政民営化見直し・八ッ場ダム建設凍結などの個別政策)だけとは限らない。状況次第では、それまでの本質(日米軍事同盟絶対視・FTA推進などの、民主党の持つ「第二自民党」的性格)をも変え得る可能性すら存在する。それを徒に「自民も民主も同じ穴のムジナ」と切って捨てているだけでは、何事も固定的・静止的に捉える「形而上学」的哲学の立場とも何ら変わらない。少なくとも、どんな物事でも変化・発展すると捉える「弁証法」的哲学の立場ではない。

 バッジさんの問題提起を、私は斯様に捉えました。勿論、それは時と場合と相手によります。幾ら「万物は流転する」といっても、まさか右派の安倍や麻生がチェ・ゲバラやチャべスに豹変する可能性はまず無いのであってw。胡錦濤や金正日のやり方をこっそり見習う事はあってもね(特に石原慎太郎あたりは)。その見極めが出来ずに、小沢新進党憎しだけで自民党とくっついた挙句に、ミイラ取りがミイラになってしまったのが、かつての村山社会党です。また、50年代に「ニワトリからアヒルへ」の進化を遂げらながら、80年代に入って再び労使協調路線に舞い戻った挙句に、解体に至った総評も、その悪しき実例です。

 斯様に、あくまでも時と場合と相手によりますが、今の鳩山政権が、米国オバマや韓国ノムヒョン・比アキノ、ホンジュラスのセラヤ大統領の立場ぐらいには変化する可能性も、決して無きにしも非ずではないかと。勿論、それは自然に為るものではなく、全ては今後の国民の闘いや運動の広がり如何にかかっている(その時に小沢はどう出るか?)。私はそう捉えましたが、他の方はどうでしょうか。

 そう考えると、何かわくわくして来ます。「民主党や自民党のお偉方ではなく、我々国民が政治を動かしているのだ」「さあ、明日も元気に出勤しよう」という気になって来る。少なくとも、「もうこんな新自由主義・弱肉強食の政治は真っ平だ」という国民の苦難に未だ向き合わず、この期に及んでもまだ「国旗の前を素通りするな」とか「もっと規制緩和・大企業減税を」とか「与党新人議員の誰それは元派遣社員だ風俗嬢だ」(差別意識丸出しw)とか、相も変らぬ民主・社民両党叩きや、果ては「落選・失業してしまった何か仕事くれ」(最賃生活やネカフェ難民生活を実体験視察する丁度良い機会じゃないかw)とかいう「お気楽ウヨクお花畑」な議論に耽るばかりの自民党や、そんな自民党をヨイショするしか能の無い産経新聞や「WiLL」の相手をしているよりか(実はこれが当初予定の記事の題材でした)、よっぽど健康的・生産的な議論になると思います。
 私、これを機に、もう十何年かぶりに、若かりし頃に受講した労働学校のテキストを本棚から引っ張り出してきて、「形而上学」「弁証法」の項目を読み直しましたw。「さざ波通信」の記事を読んだのも、もう何年ぶりかも。
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戦後64年目にしてようやく憲法に沿った政治が始まる

2009年09月11日 23時40分21秒 | 未完の政権交代
  

 鳩山・新連立政権を支える民主・社民・国民新3党の連立政権政策合意文を、下記に転載しておきます。
 この政策合意文ですが、確かに私から見れば不満や曖昧な点は多々あります。例えば、消費税率据え置きを「今期限り」でお茶を濁している点や、日米地位協定・米軍基地問題についても「改定提起、見直し検討」に止めている点、教育・農業再生の課題を「子ども手当」や「戸別所得補償制度」だけに矮小化してしまっている問題など、言い出せばキリがありません。
 しかし、それらの不十分さを認めた上でも尚且つ、政策合意文の内容は今までになく革新的なものだと思います。郵政民営化・骨太方針・後期高齢者医療制度・障害者自立支援法の凍結・廃止や、労働者派遣法の抜本改正、生活保護母子加算復活、核廃絶・温室効果ガス大幅削減などの政策が実施されるだけでも、これまでの自公政治からは大きな進歩です。
 その中でもとりわけ私が感動したのは、最終章にわざわざ憲法の項目を設け、これまで自民党・保守政権によってずっと蔑ろにされてきた<日本国憲法の理想実現>を、初めて真正面に掲げた事です。そういう意味では、この政策合意文は、改憲派の小沢・鳩山の思惑をも超えて、日本の民衆が勝ち取った「第二の憲法前文」であり、戦前の宣言に続く「戦後初めての人権宣言」とも言えるものではないでしょうか。その合意に魂を吹き込むのは、偏に我々民衆の力にかかっている事を、痛切に感じました。

(転載開始)
連立政権樹立に当たっての政策合意 
2009年9月9日 民主党・社会民主党・国民新党

 国民は今回の総選挙で、新しい政権を求める歴史的審判を下した。
 その選択は、長きにわたり既得権益構造の上に座り、官僚支配を許してきた自民党政治を根底から転換し、政策を根本から改めることを求めるものである。
 民主党、社会民主党、国民新党は連立政権樹立に当たって、2009年8月14日の「衆議院選挙にあたっての共通政策」を踏まえ、以下の実施に全力を傾注していくことを確認する。
 小泉内閣が主導した競争至上主義の経済政策をはじめとした相次ぐ自公政権の失政によって、国民生活、地域経済は疲弊し、雇用不安が増大し、社会保障・教育のセーフティネットはほころびを露呈している。
 国民からの負託は、税金のムダづかいを一掃し、国民生活を支援することを通じ、我が国の経済社会の安定と成長を促す政策の実施にある。
 連立政権は、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる。また中小企業、農業など地域で支える経済基盤を強化し、年金・医療・介護など社会保障制度や雇用制度を信頼できる、持続可能な制度へ組み替えていく。さらに地域温暖化対策として、低炭素社会構築のための社会制度の改革、新産業の育成等を進め、雇用の確保を図る。こうした政策を展開することによって、日本経済を内需主導の経済へと転換を図り、安定した経済成長を実現し、国民生活の立て直しを図っていく。

 記

1.速やかなインフルエンザ対策、災害対策、緊急雇用対策

●当面する懸案事項であるインフルエンザ対策について、予防、感染拡大防止、治療について、国民に情報を開示しつつ、強力に推し進める。
●各地の豪雨被害、地震被害、また天候不順による被害に対し速やかに対応する。
●深刻化する雇用情勢を踏まえ、速やかに緊急雇用対策を検討する。

2.消費税率の据え置き

●現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない。

3.郵政事業の抜本的見直し

●国民生活を確保し、地域社会を活性化すること等を目的に、郵政事業の抜本的な見直しに取り組む。
 「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する法律を速やかに成立させる。日本郵政グループ各社のサービスと経営の実態を精査し、「郵政事業の4分社化」を見直し、郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築する。
 郵便局で郵便、貯金、保険の一体的なサービスが受けられるようにする。
 株式保有を含む日本郵政グループ各社のあり方を検討し、国民の利便性を高める。
●上記を踏まえ、郵政事業の抜本的見直しの具体策を協議し、郵政改革基本法案を速やかに作成し、その成立を図る。

4.子育て、仕事と家庭の両立への支援
 安心して子供を産み、育て、さらに仕事と家庭を両立させることができる環境を整備する。

●出産の経済的負担を軽減し、「子ども手当(仮称)」を創設する。保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消につとめる。学童保育についても拡充を図る。
●「子どもの貧困」解消を図り、2009年度に廃止された生活保護の母子加算を復活する。母子家庭と同様に、父子家庭にも児童扶養手当を支給する。
●高校教育を無償化する。

5.年金・医療・介護など社会保障制度の充実

●「社会保障費の自然増を年2200億円抑制する」との「経済財政運営の基本方針」(骨太方針)は廃止する。
●「消えた年金」「消された年金」問題の解決に集中的に取り組みつつ、国民が信頼できる、一元的で公平な年金制度を確立する。「所得比例年金」「最低保障年金」を組み合わせることで、低年金、無年金問題を解決し、転職にも対応できる制度とする。
●後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を高め、国民皆保険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。
 医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保を目指す。
●介護労働者の待遇改善で人材を確保し、安心できる介護制度を確立する。
●「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくる。

6.雇用対策の強化-労働者派遣法の抜本改正-

●「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とする。製造業も原則的に禁止する。違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」にあらためる。
●職業訓練期間中に手当を支給する「休職者支援制度」を創設する。
●雇用保険の全ての労働者への適用、最低賃金の引き上げを進める。
●男・女、正規・非正規間の均等待遇の実現を図る。

7.地域の活性化

●国と地方の協議を法制化し、地方の声、現場の声を聞きながら、国と地方の役割を見直し、地方に権限を大幅に委譲する。
●地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられるようにする。
●生産に要する費用と販売価格との差額を基本とする戸別所得補償制度を販売農業者に対して実施し、農業を再生させる。
●中小企業に対する支援を強化し、大企業による下請けいじめなど不公平な取引を禁止するための法整備、政府系金融機関による貸付制度や信用保証制度の拡充を図る。
●中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸付け債務の返済期限の延長、貸付けの条件の変更を可能とする。個人の住宅ローンに関しても、返済期限の延長、貸し付け条件の変更を可能とする。

8.地球温暖化対策の推進

●温暖化ガス抑制の国際的枠組みの主要排出国の参加を求め、政府の中期目標を見直し、国際社会で日本の役割を果たす。
●低炭素社会構築を国家戦略に組み込み、地球温暖化対策の基本法の速やかな制定を図る。
●国内の地球温暖化対策を推進し、環境技術の研究開発・実用化を進め、既存技術を含めてその技術の普及を図るための仕組みを創設し、雇用を創出する新産業として育成を図る。
●新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に、幅広い国民参加のもとで積極的に取り組む。

9.自立した外交で、世界に貢献

●国際社会における我が国の役割を改めて認識し、主体的な国際貢献を明らかにしつつ、世界の国々と強調しながら国際貢献を進めていく。個別的には、国連平和維持活動、災害時における国際協力活動、地球温暖化・生物多様性など環境外交、貿易投資の自由化、感染症対策などで主体的役割を果たす。
●主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。
●中国、韓国をはじめ、アジア・大平洋地域の信頼関係と協力体制を確立し、東アジア共同体(仮称)の構築をめざす。
●国際的な協調体制のもと、北朝鮮による核兵器やミサイルの開発をやめさせ、拉致問題の解決に全力をあげる。
●包括的核実験禁止条約の早期発効、兵器用核分裂性物質生産禁止条約の早期実現に取り組み、核拡散防止条約再検討会議において主導的な役割を果たすなど、核軍縮・核兵器廃絶の先頭に立つ。
●テロの温床を除去するために、アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討し、「貧困の根絶」「国家の再建」に主体的役割を果たす。

10.憲法

●唯一の被爆国として、日本国憲法の「平和主義」をはじめ「国民主権」「基本的人権の尊重」の三原則の遵守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる。
(転載終了)
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=16994
 http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/other/090909_3party.htm
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「革命」で変わったもの変わらなかったもの

2009年09月07日 20時20分38秒 | 未完の政権交代
  

 早速、民主党中心の新政権を持ち上げたり貶したりする雑誌が、本屋の店頭に並びだしました。前者の代表が「週刊朝日」で、最新号には何と「革命」の二文字が踊っています。後者はそれに対抗して、「月刊WiLL」などで盛んにバッシングに励んでいます。
 それを見て、「そうか、世間ではこの度の政権交代を”革命”と捉えているんだ」と、改めて気付かされました。しかし、本来「革命」とは、社会構造の激変や支配階級の交代を伴ったドラスティックな変化を指すのであって、単なる与野党の政権交代だけでは、普通「革命」とは言わないのですが。だから、かつて70年代に盛んに言われた共産党中心の「民主連合政府」構想ですら、あれだけを取って「革命」とは決して言わなかった様に。まあ、それ程までに、今度の政権交代に掛ける国民の期待感や自民党・ウヨクの危機感が如何に凄まじかったか、という事なのでしょうが。

 その「革命」で「一体何が変わり、何が変わらなかったのか」という点については、ここである程度押さえておこうと思います。
 まずは「何が変わった」のか。その第一は、何と言っても改憲・新自由主義派の凋落ではないでしょうか。下記でも明らかな様に、今まで散々、右傾化や「格差社会」化を推し進めてきた勢力が、自民党の領袖クラスや公明党幹部を初めとして、軒並み枕を並べて討ち死にしているではないですか。勿論、これ位の敗北で諦める敵ではありませんから、ゆめゆめ油断は出来ませんが、しかし奴らの改憲スケジュール(これは憲法9条だけに止まらず14条や25条などを含めた人権条項全体の改悪を意味する)を大幅に狂わせた事は間違いないでしょう。

■落選した主な候補者(「四トロ二次会掲示板」投稿より)

【自民】
海部 俊樹 〈元〉首相
中川 昭一 〈元〉財務・金融相
山崎  拓 〈元〉党副総裁
久間 章生 〈元〉防衛相
笹川  尭 党総務会長
堀内 光雄 〈元〉党総務会長
赤城 徳彦 〈元〉農水相
柳沢 伯夫 〈元〉厚生労働相
丹羽 雄哉 〈元〉厚相
尾身 幸次 〈元〉財務相
深谷 隆司 〈元〉通産相
島村 宜伸 〈元〉農水相
鈴木 俊一 〈元〉環境相
片山さつき 〈元〉財務省課長
佐藤ゆかり 〈元〉外資証券社員
中馬 弘毅 〈元〉行革担当相
船田  元 〈元〉経企庁長官
中山 太郎 〈元〉外相
太田 誠一 〈元〉農水相
【公明】
太田 昭宏 党代表
北側 一雄 党幹事長
冬柴 鉄三 〈元〉国土交通相
【国民新】
綿貫 民輔 党代表
亀井 久興 党幹事長
【無所属】
中山 成彬 〈元〉国土交通相
橋本大二郎 〈元〉高知県知事

■改憲議連の凋落ぶり(「しんぶん赤旗」記事より)

 

 次に「何が変わらなかった」のか。これは、有体に言ってしまうと、「小泉劇場から小沢劇場に変わっただけ」ではないでしょうか。下記資料からも明らかな様に、今度の総選挙で衆院総定数480の2/3近く(308議席)を獲得した民主党も、得票率では42%余と、過半数すら下回っているのです。しかも、これはあくまでも相対得票率(得票比)での比較ですから、絶対得票率(有権者比)で見ると3割も行っていない筈です。実は郵政解散で小泉自民党が「圧勝」した前回総選挙も、得票率で見ると、今回の民主党とほぼ同様の結果に終わっていたのです。(この辺の詳細については草加耕助さんの分析を参照の事)
 これが「小選挙区制のマジック」で、前・今回の選挙結果のどちらも、民意のごく一部しか代弁していない事が分かります。今回の「民主圧勝」劇も、実はその「ごく一部」の中のちょっとした「風向きの変化」にしか過ぎないのです。今回はその「風向きの変化」が民意を一定反映した形で現れましたが、こんな選挙ばかりやっていると、「風頼み・人気取り」のみに堕した「劇場政治」に、ますますのめり込んで行ってしまいます。そうして、民衆の中に政治に対する幻滅がますます広がれば広がる程、その民衆の閉塞感・絶望感につけ込んだファシストが、戦前の様に台頭して来ないとも限りません。それを一番危惧します。

■選挙結果についての参考資料 (四トロ同窓会二次会掲示板より)
 但し、当該資料中の「議席数」は、比例区のみの獲得議席数です。選挙区の分も合わせた議席数(総定数480)の内訳(解散前との比較)は、民主党308(+196)、自民党119(▲184)、公明党21(▲10)、共産党9(増減なし)、社民党7(同)、みんなの党5(+5)、国民新党3(▲2)、改革クラブ0(▲1)、新党大地1(増減なし)、新党日本1(+1)、幸福実現党0、無所属6(▲3)。

 
※Aは全国を単一の比例区としてパーセンテージから比例区180の議席配分を割り出してみました。
※Bは議席総数480の全てを比例代表制で配分したらどうなるかを計算したものです。
投票者のうちの42%が投票した民主党は、衆議院の64%の議席を占める事になり、逆に7%の得票があった共産党は議席の2%しか獲得していません。第一党の民主党だけが1・5倍もの水増しとなり、他の全政党へ投票した有権者の声は削減され、あるいは無視されていることが分かります。(ただし、自民党も比例代表制180議席の中では得票率以上に議席を獲得しています。)幸福実現党でさえ、3議席分の有権者の声を獲得していたことになります。現在でさえ11地区にもズタズタに分断され、「比例代表」の利点を半減させられているにもかかわらず比例代表区を廃止し小選挙区だけにする動きもあり、選挙制度の反動化が進められている事に注目しなければなりません。(以上、当該投稿から引用)

 以上、簡単ですが、今度の「革命」で「何が変わり何が変わらなかったか」を見てきました。変わった(変える事が出来た)点については確信を持ちつつも、変わらなかった(今回は変える事が出来なかった)点についても、きちん自覚しておかなければならないと、今更ながら改めて痛感した次第です。
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ついに小泉・安倍政治から脱却へ

2009年09月02日 16時38分53秒 | 未完の政権交代
 

 今度の総選挙が「民主ボロ勝ち、自民ボロ負け」に終わった理由?そんなモン、これまでの自公与党の政治が、トコトン国民から見放されたからに決まっているではないですか。石破茂(自民党)や前原誠司(民主党)などの当事者自身が、自分のブログや開票速報でのインタビューで、いみじくも語っている様に。それ以外に、他にどんな理由があるというのでしょうか。
 その具体的現われが、自分は当用漢字も碌に読めないくせに平気で人の神経を逆撫でする発言を繰り返して平然としていた麻生太郎であったり、国民には偉そうに躾や道徳を説きながら自分の健康管理も出来ない中川昭一であったりした訳ですが、ではそういう失言や失態さえ無ければ、自民党はこの選挙で勝てていたのかというと、そんな訳ないでしょう。

 また、民主党の公約が国民から絶大な支持を受けたから、自民党に大勝したのかというと、それも無いでしょう。民主党の公約なんて、その場その場でくるくる変わるし、中にはまともなものもあれば(後期高齢者医療制度撤廃や派遣法改正など)、自民党のバラマキや大資本優遇策と瓜二つで、国民から不信・不評を買っていたものもあったのですから(子ども手当創設や高速道路無料化、日米FTA推進など)。
 つまり、「民主党が国民から支持されたのではなく、自公与党が国民から愛想を尽かされた」のです。その中で、「今の大政党に有利な小選挙区制の下で、自民党政治を手っ取り早く終わらせるには、野党第一党の民主党に票を集中させるしか無かった」、これに尽きます。

 では、国民は自公与党の政治の何処に愛想を尽かしたのか。産経新聞や一部のバカウヨが言うように、「小泉構造改革が不徹底で、終戦記念日に靖国神社に参拝しなかったからw」なのか。それも、そんな筈あるわけないでしょう。偏に、自公与党が進めた弱肉強食(新自由主義、市場原理主義)の格差政治と、それに対する不満や怒りを、強行採決と北朝鮮・中国脅威論、何でも過去美化の歪んだ愛国心扇動で封じ込めようとした姑息さに、国民が「NO!」を突きつけたからに他なりません。それ以外に、一体どんな理由があると言うのでしょうか。
 まあ私としては、そんな産経やウヨクの言い分を、自民党が真に受けて、どんどん国民の思いとかけ離れ、真の保守党(維新政党新風や幸福実現党みたいな極右カルト政党)として再生(転落)してくれた方が、政党の正体がはっきりして(政治が分かりやすくなって)良いと思いますが。勿論、これは民主党内の「隠れ自民」派にも言える事ですが。

 その中で、これまでの自公与党を圧倒してボロ勝ちした民主党ですが、改めて面白い事に気付かされました。それは、私自身は心情的に左派であり、自分の考え方に一番近い政党は共産党、次いで社民党で、民主党はそれよりも遥かにかけ離れていて、自民党よりは多少マシぐらいにしか思っていなかったのが、今の民主党とも結構考え方が近いという事に、改めて気付かされた事でした。
 それが、毎日新聞がウェブサイトで行っていた世論調査「えらぼーと」です。携帯サイトでは10項目、PCサイトでは20項目のアンケートを、総選挙の候補者に施すと同時に、個人もインターネットでそれに回答する事で、それぞれの一致度から、自身と候補者の両方の政治傾向を割り出せるというものです。
 この世論調査のミソは、民主党みたいな寄り合い所帯の政党の候補者に対しても、個別の政治的立場がかなり炙り出されるので、投票する際の判断材料に出来る点です。私もこれを見て、最終的に選挙区は民主党候補に投票を決めました(比例区は共産党に投票)。下記がそのアンケートの結果です。公示日の数日後に行いました。

■質問項目(括弧内は私の回答と、民主党との一致度)
(1)憲法9条改正(反対、62%)、(2)集団的自衛権(見直さず、58%)、(3)核武装(検討せず、90%)、(4) 国会議員の世襲(制限、94%)、(5)衆院定数削減(反対、4%)、(6)企業・団体献金(禁止、90%)、(7)政界再編による議員の政党所属変更(問題ない、8%)、(8) 政治家と官僚の関係(抜本変更、97%)、(9)郵政民営化(失敗、91%)、(10)取調べの可視化(賛成、95%)、(11)小泉構造改革(否定、97%)、(12)消費税率引上げ(反対、94%)、(13)温室効果ガス削減(もっと減、81%)、(14)環境税(導入、84%)、(15)年金財源(税方式、81%、但し今の消費税増税先に在りきの論議の中ではこれは保留)、(16) 製造業への労働者派遣(禁止、76%)、(17) 最低賃金時給千円(賛成、87%)、(18)日米関係(アジア重視で、62%)、(19)アフガン派遣(反対、66%)、(20)北朝鮮政策(未回答なのでデータなし、選択肢が制裁強化・国交正常化の二択しかなく、それ以外の脱北者支援による民主化促進が無かった為)
http://mainichi.jp/select/seiji/eravote/09votematch/etc/?result=2424141344142312221244242312221414242402
※政党別・候補者別の回答一致度については、上記URLからそれぞれの詳細ページをクリックする事で確認出来ます。

 上記結果からも分かる様に、民主党候補の回答が、予想以上に自分の回答に近かったのです。例えば、政党との一致度で、共産・社民との一致度がほぼ100%に近いのは当然としても、民主党とも7割以上の一致度を示している事が、改めて分かりました。9条改憲・郵政民営化・製造業派遣・アフガン派兵の可否についての質問にも、6割以上の候補者が反対の回答を寄せているのです。
 実際、開票速報を見ながら、民主党の選挙区候補について、北海道から順に北関東まで見た限りでは(ここで調査挫折)、圧倒的多数の候補者が、それらの項目にも反対の回答を寄せていました。ただ、小沢一郎や鹿野道彦もアンケートでは9条改憲・アフガン派兵には反対と回答していたりして、このアンケートの結果もどこまで信用して良いか分からないし、東海・近畿などの「松下政経塾」出身者の多い地域では、また少し違う回答の出方になっていたかも知れませんが。

 確かに、これらのアンケートの回答については、当選するまでのポーズにしか過ぎないかも知れません。そして、この選挙結果が、所詮は政治全体の右傾化基調の中での、「なんちゃって左派」の失地回復にしか過ぎない事も、元より重々承知の上です。今や「左巻き」思考の典型の様に思われている「平和憲法・非核三原則擁護」や「生存権擁護・格差社会反対」の主張も、一昔前には自民党ですら口にしていた、国民大多数の意見だったのですから。
 しかし、たとえそれが選挙前のポーズにしか過ぎず、また右傾化の中での相対的な「左派」浮上でしかないとしても、候補者にそれを強いているという事については、もっと自信を持って良いと思います。

 小泉政治の登場以来この方、「平和憲法・生存権擁護」を唱える人たちは、ネオコン・ネオリベ・ネットウヨに押されて防戦一方でしたが、今回の選挙結果で、「逆転大勝利」とまでは言えないにしても、「侵略者を当初の国境線まで一気に押し戻す事が出来た」ぐらいには評価出来るのではないでしょうか。この傾向は既に先の参院選で明らかになっていましたが、やはり衆院選での結果となると、その重みはまた違います。
 これは別の言い方をすると、外見上は、共産・社民の明白な護憲政党が現状維持に止まり、保守二大政党制への流れも強まったものの、その裏では、脱「小泉・安倍政治」派が巻き返しに成功しつつあるとも、言えるのではないでしょうか。(ここで現職総理の麻生ではなく小泉・安倍を引き合いに出しているのも、それ以降の政権はいずれも両者による政治の亜流・変種にしか過ぎないからです。)

 そういう意味では、共産・社民の両党は、今回議席こそ伸び悩んだものの、早い段階から反貧困運動に取り組み、民主党の「左傾」化・「鮮明野党」化にも一定貢献し、今の「自公退陣・民主躍進」の流れを作ってきた事については、もっと自信を持って良いと思います。小選挙区制の影響もあって、自分たちの議席増にこそ結びつかなかったものの、代わりに民主党を「平和憲法・生存権擁護」の方に引き寄せる事が出来たという意味では、「名を捨てて実を取る事が出来た」と言う事も出来るのではないでしょうか。そこが、ますます国民から遊離して極右カルト化の道を辿るしか能の無い自民党とは、決定的に違います。
 問題は、党内6割の護憲派ではなく、残り4割の、いつ古巣の自民党に戻っても不思議ではない改憲・新自由主義派が、依然として民主党の執行部を牛耳っている事ですが(小沢・鳩山を筆頭に)、彼の人たちとて、下手に過去の自民党政治に戻ろうとすればするほど、国民世論との板ばさみに遭って立往生に陥る事については、充分分かっているのではないでしょうか。

 この現象は、改憲・新自由主義派にとっては、少なくない誤算でした。小選挙区制・保守二大政党制の下で、自民・民主の政権たらい回しによって、今までの政治のやり方を続けようと思っていたのに、思っていた以上に民主党が「左傾化」してしまったのですから。残る手立ては、比例区定数削減で、「平和憲法・生存権擁護」派を完全に国会から閉め出してしまう他ありません。
 しかし、それで政権が一時的に持ったとしても、それは「矛盾の先送り」にしかなりません。そんな事をすればするほど、国民の不満は滞留して、いつ何時爆発するかも知れません。それが更なる政権交代(或いはもっと進んで市民革命)に至るか、逆に戦前の様にファシズムの方向に絡め取られてしまうかは、今では何とも言えませんが。

 そういう観点から捉えれば、これを一面的に「国民の勝利」と<だけ>捉えて、「失地回復に成功した」「逆転大勝利だ」と唱えるのも、聊か無理があると思います。あれだけ「蟹工船」ブームや「派遣切り」が問題になったのにも関わらず、共産・社民の比例票が全然伸びなかったのは、一帯何故なのか。今の情勢下では、小選挙区票こそ「手っ取り早く自公政治を終わらせる為に」民主党に票が流れこそすれ、比例票では民主党だけでなく共産・社民両党や国民新党も票を伸ばして然るべきなのに、何故そうならなかったのか(共産491万→494万の微増、社民に至っては371万→300万の減)。
 その解明をしないまま、一時の政権交代だけに酔いしれて小成に安住していると、気付いた時には更なる政権交代(市民革命)どころか、より反動的・極右的なファシズムの方に絡み取られている可能性もあります。そういう意味では、今回の政権交代は、「やっと古臭い自民党政治から抜け出しつつある」という意味では、それ自体が大変貴重な一歩である事は間違いないものの、あくまでも「最初の本格的な一歩にしか過ぎない」と思います。
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