11月16日の宿は若桜鉄道丹比駅から徒歩数分の旅館に取りました。丹比駅も古い駅舎が残り、国の登録有形文化財に指定されています。しかも、駅舎の柱には古レールが使われ、製造メーカーである米国カーネギー社や八幡製鉄所の刻印も残されています。私が着いたのは夜も更けてからだったので、満足のいく写真は撮れませんでしたが。次ここに来る人は是非良い写真を撮って下さい。
当初は旅館の少ない若桜鉄道沿線を避け、鳥取市内のビジネスホテルに泊まるつもりでした。しかし、どのホテルも既に予約で埋まっていました。今はちょうど蟹漁解禁の時期で、一年中で一番繁忙期に当たるのだとか。そこで、海沿いの旅館は避けて、再び沿線にいくつかある旅館に電話したら、ちょうどこの旅館が空いていました。
だから、最初は余り評判の良くない田舎旅館だと思い、ほとんど期待していませんでした。ところが、建物自体は古民家で古いものの、綺麗にリフォームされ、トイレも浴室も洗面も非常に清潔でした。翌日も家族風呂にしては広めで、久しぶりにセパレートのお風呂で身体を解す事が出来ました。
食事も豪華で、これで1泊1人気8000円とは、にわかには信じられませんでした。欲を言えば、駅から旅館に向かう国道には街灯がほとんどなく、真っ暗闇の中を、隣りの車道を走る車のライトだけを頼りに、歩かなくてはならなかった事だけが不満でした。でも、これは旅館の責任ではありません。次からは日が暮れる前に旅館に着くようにしなければなりません。
しかも何と!旅館の窓から若桜鉄道を走る列車が間近で見れるのです。私が旅館に着いた時は。もうすっかり日が暮れてしまった後だったので、分かりませんでした。翌朝初めてこの事に気が付きました。もうチェックアウトの時間が迫っていたので、写真に撮りそびれてしまいました。次ここに泊まる人は、是非シャッターチャンスをものにして下さい。
翌朝も、私が若桜鉄道の便が少ない事を嘆くと、旅館の主が、並行して走るバスの停留所がすぐそばにある事を教えてくれました。お陰で、時間を無駄にせずに済みました。並行するバスの便数も鉄道と同じぐらいしかなく、しかも鉄道と違い、バス愛好家はほとんどいないので、バスの車内は鉄道以上にガラガラでした。(左上の写真がそのバス停の時刻表)
鉄道が赤字なのは、単に鉄道が不便なだけでなく、地域の景気が冷え込んでしまっているからです。景気自体が浮揚しないと、たとえ鉄道を廃止した所で、バスが黒字になるとは限りません。下手すれば、鉄道廃止が引き金になって、バスもやがて廃止に追い込まれる事になるでしょう。