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斎藤元彦のグレート・ハック戦略

2024年11月23日 22時03分00秒 | 都構想・IRカジノ反対!
 
超ド級の情報が飛び込んで来た。兵庫県の斎藤元彦知事が、先の出直し知事選挙で、県議会から不信任を突き付けらたにも関わらず、当初の劣勢を跳ね返して、返り咲く事が出来たのは何故なのか?幾らN国(NHKから国民を守る党)の立花孝志や統一教会からの支援があったとは言え、そんなキワモノ政治家、異端児の力だけで県知事に当選出来るものなのか?ネットさえ駆使すれば誰でも当選出来るなら、闇バイトの元締めでも政治家になろうと思えばなれてしまうではないか?
 
ところが、その謎が、何と当事者の口からバラされてしまった。兵庫県西宮市に株式会社merchu(メルチュ)という広告制作企業がある。そこの代表取締役の折田楓(上の写真2枚の青い服を着た女性)が、SNS選挙の舞台裏を、自分の口からバラしてしまったのだ。何故こんな「手の内を自分から明かす」ような事をしたのか?ひょっとして、自分の手柄を自慢したかったのだろうか?「どう?私って凄いでしょう?」みたいなノリで。まあ、そのお陰で、斎藤陣営の闇が明るみに出たのだから、いわば「ケガの功名」と言うべきなのかも。
 
 
それに対して、斎藤元彦は折田との関係について、「あくまでもポスター制作など公職選挙法で認められた範囲内での業務契約だった」と言い訳している。しかし、実際の写真を見ると、折田は斎藤の選挙カーの上からライブ配信までやってのけている。ポスター制作を請け負うだけのビジネスライクな関係では、とてもここまで入れあげたりはしない。しかも、折田はどの写真にも同じ青い服を着て登場している。青は兵庫県知事選挙における斎藤陣営のイメージカラーでもあった。
 
折田楓の経歴を見ると、兵庫県の地方創生戦略委員やeスポーツ検討会委員、空飛ぶクルマ会議検討委員などに就任している。これらも選挙広報の見返りだとしたら、もはや完全な利益供与だ。現に昨年も、東京都江東区長選挙で、木村弥生という新人の女性候補が、相手の世襲候補を制し当選したが、柿沢未途衆院議員(法務副大臣)の口添えで、違法広報に手を染めた事が問題となり、2人とも役職辞任に追い込まれてしまったばかりだ。
 
今回の兵庫県知事選挙の場合も、斎藤陣営から折田楓に金が流れていたら選挙買収になるし、流れていなかった(折田楓が選挙ボランティアとして応援した)としても、「そんな一介の選挙ボランティアを県の審議会委員の要職に就けて良いのか?」という事になり、どちらもアウトだ。勿論、斎藤以前の自民党県政に問題が無かった訳ではない。自民党県政時代も、官僚上がりの副知事がそのまま知事に横滑りする世襲政治がずっと続いていた。でも、その自民党の知事ですら、こんな露骨な情実人事は行わなかった。
 
しかし、そんなに自民党の知事が嫌いなら、何故、それをずっと批判して来た共産党候補が当選しなかったのか?それは、反共風土の強いこの日本では、共産党も今の立花孝志と同じで、有権者の目にはキワモノとしか映らなかったからだ。そうなると、もう後は同じ保守系の候補に期待するしかない。だから前回の知事選挙でも、維新の会と自民党の一部から支持された斎藤元彦が、相手の世襲候補を制して初当選出来たのだ。
 
でも、結局は斎藤も、同じ保守系の「同じ穴のムジナ」に過ぎなかった。斎藤のやっている事も、昔の自民党のロッキード事件やリクルート事件と同じ金権政治、利権漁りだった。これでは、自民党の世襲政治が維新の万博利権に置き換わっただけだ。いくら新しい装いを凝らしても、本質においては今までの保守政治と全く同じだ。
 
東京都知事選挙で大量得票した石丸伸二も、今回の斎藤元彦も、ともに選挙でSNSを駆使した事で世間の注目を浴びた。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)―X(旧ツイッター)やフェイスブックを積極的に活用して、ネットで支持を集めた。そこでは、有権者は自らネットにアクセスして、自分の手で情報収集して、石丸や斎藤の言う「マスコミが伝えない真実」を知ったように「錯覚」させられる。
 
でも、私に言わせれば、それは「真実」でも何でもない。ただの「錯覚」に過ぎない。何故なら、情報網を握っているのは、あくまでもXやフェイスブックの経営者だからだ。一見「自由な言論空間」のように思えるXも、ネットに情報を提示させる事が出来るのは、有権者ではなくX側だ。有権者は、Xが許可した選択肢の中で、「自由にメニューを選べる」ように「錯覚」させられているに過ぎない。
 
私は鉄道や競馬が趣味だから、その手の情報をよく見る。そうすると、パソコンやスマホの方でも、AI(人工知能)が判断して、その手の情報を優先的に表示するようになる。気が付いた時には、ネットの広告欄も旅行会社の広告や競馬予想サイトの広告で埋め尽くされるようになっていた。これがまだ鉄道や競馬なら、趣味の範囲だから実害は少ない。でも、これが政治の世界で横行するとどうなる?一握りの情報産業に、有権者の意思が左右され、一国の政治が乗っ取られてしまうではないか?
 
でも、有権者はその罠になかなか気が付かない。何故かと言うと、有権者が、あくまでも自分の意志でパソコンやスマホを開いて、自分から情報をつかみに行った気にさせられるから。でも、パソコンやネットに表示される情報は、有権者ではなくX経営者イーロン・マスクの手中にある。イーロン・マスクは米国大統領選挙においてトランプ陣営を支持した。ネットにもトランプにとって好都合な情報を優先的に表示していった。公正を装うために、反トランプの情報もある程度は織り込みながら。米国映画の「グレート・ハック」には、その世論操作の様子がリアルに描かれている。
 
その様子を潮干狩りの砂場に例えるとよく分かる。潮干狩りの砂場も、前夜のうちに、観光業者が砂場にアサリを仕込んでおく。翌朝そこにやって来た観光客は、あくまで自分で砂をかいてアサリを獲るので、まるで自分の力だけでアサリを獲ったかのように錯覚してしまう。実際は観光業者に踊らされているだけなのに。
 
ネット社会になって登場したネトウヨ(ネット右翼)も、そんなネット社会に咲いた徒花に過ぎない。それまで政治には一切関心がなかったのに、たまたま見た動画で、「外国移民がペットを食用にしている」とトランプがデマ宣伝しているのに乗せられて、急に外国人排斥を唱え始める。冷静に考えれば、そんな事あり得ないのに。
 
ネットの情報もメディアと同じで玉石混交。中にはゴミみたいな情報も多数ある。だからこそ、ネット社会になればなる程、ネットの情報も疑ってかからなければならないのに。ところが、マスメディアを「マスゴミ」と揶揄し、陰謀論にはまりながら、「ネットの情報は全て真実」とばかりに、ネットの情報は簡単に鵜呑みにしてしまう人が後を絶たない。だから、いつまで経っても「厨房」(中学生並みの知能しかないネット住民を揶揄する隠語)と呼ばれるのだ。「マスコミ=嘘、ネット=真実」の単純な善悪二元論のままでは、永遠にネットの情報に踊らされてしまうだけだ。

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2 コメント

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「ネットde真実」(苦笑) (まことん@)
2024-11-24 16:24:24
「PR会社」の疑惑も去ることがら、立花孝志のような連中が大手を振って選挙を弄ぶこと、そして立花の動画や演説で「真実」に気付いたなどと嘯く有権者の存在、いずれも日本のお寒い現実を物語っていますね。マスコミが信じられないと言っても、立花がどんな人物か、それこそネットでちゃんと調べれば、分かりますよ。まあ、リテラシーが欠如している有権者が少なくないからこそ、ガーシーのような詐欺師が国会議員として当選したりする訳ですけどね。
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世はまさに「大・毒オトナ時代」 (ぶた猫ぶーにゃんa.k.a.山猫ぽてと)
2024-11-27 09:19:12
プレカリさん、おはようございます。

「世はまさに大海賊時代」

これは漫画・アニメの「ONE PIECE」の物語はじめのセリフですが、アメリカのトランプ返り咲きに続き兵庫県での事態を見てみますと、

「世はまさに大・毒オトナ時代」

と言わざるを得ません。
道理だとか人権だとかよりも「インフルエンサー」が善とされる時代。
毒オトナたちは「インフルエンサー」の犬笛で動いている。
そして、その「インフルエンサー」たちはたいてい大富豪、それなりの資産持ちであることがほとんど。

今回問題になっている「折田某」も企業経営者で資産持ちだ。

名古屋市長選でも日本保守党推薦候補が当選するし、「大・毒オトナ時代」を生きることを覚悟しなければなりませんね。

そうそう、そんな「大・毒オトナ時代」をキーワードで読み解くYoutube「毒オトナ国語辞典」ですが、年末までにはなんとか新作を発表したいと思います。
https://youtube.com/playlist?list=PL0t8GeHl3chbKcg3DxzfuEsnA5fqI0gu6&feature=shared

それでは。
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