不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

当ブログへようこそ

 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

 これが、当ブログの主張です。
 詳しくは→こちらを参照の事。
 「プレカリアート」という言葉の意味は→こちらを参照。
 コメント・TB(トラックバック)については→こちらを参照。
 読んだ記事の中で気に入ったものがあれば→こちらをクリック。

酷い言い草

2006年12月22日 01時05分19秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 「Dogma_and_prejudice」というブログがあります。昨日、ひょんな事から偶々その存在を知る事になりました。私の所と同じgooのブログです。リンク先から察するに、どうやら拉致板の様です。その中の下記記事が目に入りました。

・「拉致問題は右翼が扇動」? NYタイムズ紙が誤解生む記事(12月20日)
 http://blog.goo.ne.jp/sinji_ss/e/b33fde37e6d2c030f5581ad245c9c971

 当該記事は表題の通り、日本での拉致問題の取り上げられ方や「救う会」運動の現状を批判したNYタイムズ記事に対する反論です。但し、当該記事が私の目を引いたのはその部分ではなく、下記の後半部分の記述です。私の所でも取り上げたNHKのワーキング・プア特集番組の事が、そこでも取り上げられていたからです。

>昨日のNHK(12/19)は、「ワーキング・プア」の特集をしていました。正社員になれない母子家庭の母親が、子供二人を抱えて、昼夜二つの職場で、働きづめになっている姿をカメラが追っていました。「競争社会」について、「努力したものが報われる社会だ」などといった言説が、いかにいい加減なものかという事が、こういう番組を見るとよく分かります。<
>社会問題において、実際に困っている人の側からすれば、「〇〇問題を政治的に利用している」などという言説が、時として酷い言い草になるという事も論者は自覚すべきでしょう。<

 という文脈の中で、「Dogma_and_prejudice」子は、「拉致問題を右翼が政治的に利用している」という左翼や小泉派右翼(穏健保守)の言説に対して反論しているのです。

 私はこの記事を読んで、「救う会」シンパを、ホンの少しですが、見直しました。最近の「救う会」シンパというのはもう、北朝鮮・拉致問題に託けて、ヘイトスピーチを煽ったり自己責任論を垂れ流たりして、弱肉強食や新自由主義を露骨に肯定するような輩ばかりが幅を利かしていましたから。中には、三浦小太郎さんやsakochi2634さんの様に、そうでない人もいるし、山田文明さん(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会・代表)や木村晋介・川人博弁護士(拉致被害者救出に取り組む法律家の会)の様な左翼の人もいますが、そういう良識派はあくまで少数であって、大勢はあくまで「ヘイトスピーチ・弱肉強食」派だと思っていましたから。

 「社会問題において、実際に困っている人の側からすれば~」以下の言説も、こういう人が言ってこそ初めて、それなりの説得力を持つようになるのです。私なども、「ヘイトスピーチ・弱肉強食」的言説を憎む余り、ともすればこの様な打撃的な批判に傾きがちだったので、その事は自戒しなければと思います。

 しかしまた、そうであれば尚更、この事は当の「救う会」シンパにもまた跳ね返ってくるのではないでしょうか。「Dogma_and_prejudice」子は紹介記事の中では小泉派右翼(穏健保守)を主に槍玉に挙げていますが、私からすれば西村派右翼(過激保守)の下記言説も、その本質においては全く同じです。

・師走の国会周辺とタウンミーティング(西村真悟の時事通信)

>従って、仮にタウンミーティングを政府が主催して、発言者が次々と自由に出てきて活発なミーティングが終了すると考えていたとしたら、その担当者は現実を知らない馬鹿である。<
>従って仮にそう考えていれば、現実のタウンミーティングは、国会裏広場にいたプロ達によって牛耳られたであろう。そして、これは目指したタウンミーティングではなく、彼ら左翼プロによって偽装された国民集会となる。<
>従って、政府のミーティングの担当者が、左翼プロに牛耳られる前に、まんべんなく発言者が確保できるように根回ししたのは我が国の現状に鑑みれば無理もない措置であった。<
>つまり、「やらせ」の巧い左翼プロからタウンミーティングをまもる為の「やらせ」は必要であったのだ。<
 http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi

 政府の「やらせ」は、「左翼プロ」の「やらせ」からタウンミーティングをまもる為の必要悪であった―こういう事をこの輩は言っているのです。尤も、その後に「もとよりタウンミーティングの手法に賛同はしない」とかへったくれとか書いていますが、こんなものは煙幕にしか過ぎません。

 世論偽装という民主主義の根幹に関わる問題について、この御仁は一体どう考えているのでしょうか。
 世論の大多数が拙速改定反対・慎重審議を求めていた事、全国の公立小中学校校長の66%が教育基本法改悪に反対していた事、中央・地方公聴会でも与党推薦公述人からでさえ慎重審議を求める声が噴出していた事について、この御仁はどう考えているのでしょうか。
 そして何よりも、私が12月7日付記事で挙げた教育基本法改悪反対理由について、どう説明するのでしょうか。
 これらの疑問に対して、政府は何ら納得いく回答が出来ず、ことごとく答弁不能に陥っていた事実については、どう考えているのでしょうか。

 また西村真悟は、保守の国民新党が他の野党と教育基本法改悪反対で共闘している事の意味を、考えた事があるのでしょうか。国民新党の人たちと言うのは、元々は改憲や教育基本法改正に賛成の人たちです。しかし、今の様な「やらせ」や拙速審議の中では真摯な議論など出来ないという事で、今回の教育基本法改悪には反対しているのです。

 これら全ての疑問に対して、この御仁は「左翼プロ」の一言で全て切って捨てているのです。しかし、「教育基本法改悪反対運動の背後には左翼がいて、倒閣運動に利用している」というこの言い分こそ、「拉致家族支援運動の背後には右翼がいて、拉致を倒閣運動に利用している」という穏健保守の言い分と全く同じではないですか。「社会問題において、実際に困っている人の側からすれば、「〇〇問題を政治的に利用している」などという言説が、時として酷い言い草になるという」という言葉は、そっくりそのままこの御仁にも返ってくる言葉ではないでしょうか。

 また「救う会」運動は、それまでの与野党政治家による「拉致問題の切捨て」に激しく反発し、その結果「家族会バッシング」にも遭いました。しかし、同じ様に国家権力や強者から虐げられているその他の人々、例えばイラクの日本人拉致被害者に対して、どの様な態度を取ったでしょうか。当時の拉致板界隈でどういう「酷い言い草」が展開されたのか、よもや知らないとは言わせません。

 私は「救う会」運動に対して、何も我々の「左翼的」主張に同調しろと言っているのでは、決してありません。そんな事など誰も望んではいません。彼の運動が国防や愛国心教育重視の主張に傾いていくのは、私はその主張には賛同しませんが、彼らの拉致問題解決の論理からすれば、寧ろ当然の帰結です。

 しかし、今回の教育基本法改定劇やかつてのイラク日本人人質拉致事件についてコメントする以上は、当該事件の中で惹起された不条理やデタラメぶりに対しては、たとえそういう側からであったとしても、上記の国民新党やイラク日本人人質への横田夫妻のメッセージの様なアプローチがあって然るべきではないでしょうか。それを、幾ら何でも「左翼プロ」や「イラク3バカ」呼ばわりは、余りに醜い言い草ではないでしょうか。運動者としてそんなアプローチしか出来ないのなら、最初から最後まで何もコメントしない方がよっぽどマシです。

 この様に、イデオロギー云々以前の「運動者としての誠実さ」や「他の弱者へのいたわりや不正義への義憤」と言ったものが、彼の運動からは殆ど感じられないのです。「俺たちは国の主権を守る運動をやっている特別な存在だ」という、他の弱者や大衆運動を見下した様な鼻持ちならない選民意識や、『「左翼に政治的実権を絶対に与えてはいけない」という考えが根本にあるようです。そこから、「政府・自民党を絶対に守らなければいけない」という発想になり、「政府・自民党に都合の悪い事実」に対しては、見ない振り、聞かない振りを続け、「政府・自民党に都合の悪い主張」に対しては、激しく反論』(「Dogma_and_prejudice」の前述の記事より)する意志は強く感じられても。「救う会」運動の関係者は、この事について今一度考え直してみる必要があるのではないでしょうか。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キャッチコピーを変更しました。

2006年12月01日 07時51分54秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 ブログ欄の右上部にあるキャッチコピー(ブログの概要説明文)「戦争もリストラも拉致もゴメンだ!」の、「拉致」の部分を「人権抑圧」に変更しました。それに伴って、当ブログのエントリー記事「ブログ開設宣言」「今こそ改めて「戦争もリストラも拉致もゴメンだ」の声を」や、エントリー分類カテゴリーの当該部分も同様に変更しました。尚、旧サイトのキャッチコピーについては、変更を加えず歴史的文書としてそのままにしておきます。

 何故、変更したのか。それは、「拉致」というと、今の日本の言論状況下では、ともすれば、「横田めぐみ」云々に始まる「日本人拉致」問題としてしか捉えられない向きがあり、「それでは拙ブログの立場・方向性とは少し違うのではないか」という気がしていたからです。
 
 単に「拉致」だけに限ってみても、拉致されたのは日本人だけではなく、タイのアノーチャさんを始め、中国や中東・東欧圏の人々も北朝鮮に拉致されています。そして、朝鮮半島の南北対立の歴史の中では、南も北もお互いに拉致合戦を続けてきました。またそれとは別に、離散家族の問題なども在ります。もっと言えば、拉致は何も北朝鮮だけの専売特許ではなく、例えばイラクやネパール・チェチェン、コロンビア・アルゼンチンなどでも、政府軍・反政府軍や米軍などの外国駐留軍なども共に拉致合戦を繰り広げて来ました。
 そう考えると、単に「拉致」、それも「日本人拉致」に限定した捉え方では、「強制収容所」など、「拉致」よりもっと本質的な北朝鮮国内の人権抑圧問題が視野から外れてしまいます。

 また、旧サイトを立ち上げた段階では、当該部分では主に北朝鮮・拉致問題の事を想定していたのですが、今のブログでは北朝鮮だけでなく中国国内の人権抑圧問題も取り上げ始めていますので、そういう意味でも今の言い回しのままでは間尺に合わなくなってきています。

 そして、北朝鮮や中国の人権抑圧問題の捉え方にしても、ブッシュ・ネオコン流の「悪の枢軸」論や反共カルトの「大紀元・九評共産党」の様に、単に「金正日が悪い」「共産主義が悪い」と言うだけの単純化・一面化した物の捉え方では、経済グローバリズムの進行の下での中国政府と国際資本の結託や、北朝鮮の人権抑圧体制が南北冷戦体制の所産でありその解体抜きに根本的な問題解決にはならない事は、見えてきません。そういう北朝鮮や中国といった「特定の一国」限定の捉え方でなく、国際政治や経済の動向の中で関連付けて見ていかなければ、この問題の全体像は捉えられないのではないか。そう考えたので、キャッチコピーを上記の様に変更しました。

 この「人権抑圧」の部分ですが、実は「強制収容所」にしようか「個人崇拝」にしようか、少し迷いました。いっその事、「新自由主義(若しくは帝国主義・ファシズム、等々)もスターリン主義もNO!」にしようかとも思いましたが、これだと「新自由主義」とか「スターリン主義」という言葉に馴染みの無い人にとっては何の事だか分らないし。それで最終的に、「強制収容所・個人崇拝・拉致・戦争・リストラ」諸々を全てひっくるめた「人権抑圧」という表現に落ち着きました。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

転載:中国・北朝鮮関連の企画案内

2006年11月29日 09時57分40秒 | 北朝鮮・中国人権問題
※下記の情報がメールで送られてきましたので、拙ブログでも紹介しておきます。いずれも東京都内での企画です。都内・関東在住の方でご関心の在る方はどうぞ。

-------------------------------------------------------------------------
●講演:
 核実験は独裁政権の断末魔か? 北朝鮮で今何が起きているのか?
 RENK代表 李英和による最新情勢分析(12月9日)

核実験を強行した金正日独裁政権。そして、水害などによる被害と冬の訪れの中、飢餓と抑圧に苦しむ北朝鮮民衆。これから北朝鮮はどこへ行くのか、独裁政権の崩壊と民主化に向けて私たちは何が出来るのか、何をしなければならないのか。あくまで北朝鮮民衆の救援と独裁体制の政権変換と民主化を見据えて考える緊急集会です。北朝鮮人権侵害啓発週間開幕前日、RENK代表李英和が講演します。

司会 高英起(RENK東京、ジャーナリスト)
講師 李英和(RENK代表 関西大学教授)
日時 12月9日 午後6時開場 6時半開会
場所 食糧会館(有楽町線麹町駅下車、徒歩1分)
参加費 1000円
連絡先 info@renk-tokyo.org


●討論会:
 「中国の民主化とアジア」(12月10日)

主催=アジアと中国の民主主義を考える会(代表:牧野聖修・前衆議院議員)
電話:090-3510-7606(日本語)、090-2179-9812(中国語)

アジア地域において、政治的にも経済的にも大きな影響力を持つ中国は、残念ながら民主的な国家とは言えず、人権問題をはじめとする多くの問題を抱えています。
これらの問題に取り組む民主化活動家たちは、どのようなことを考え、中国をどのような国にしようとしているのでしょうか。中国が大きな影響力を持つ国であるだけに、民主化の行方もアジア地域に大きな影響を及ぼすものと考えられます。
そこで、中国民主化運動のリーダーである費良勇・民主中国陣線主席、薛偉・中国民主団結連盟主席、そして台湾から世界の民主化を支援している蔡昌言・台湾民主基金会副執行長の各氏が来日するのを機に討論会を開き、意見を交換したいと思います。
皆様のご参加をお待ち申し上げております。

日時=2006年12月10日(日)13時15分から16時45分まで
場所=TKP秋葉原ホール(東京都千代田区岩本町3-3-6 井門岩本町ビル7F)
アクセス:JR秋葉原駅・昭和通口徒歩5分、都営新宿線岩本町駅・A4徒歩1分、東京メトロ日比谷線秋葉原駅・4番出口徒歩4分
会場費=1000円

基調講演=費良勇・民主中国陣線主席
発言=蔡昌言・台湾民主基金会副執行長
   薛偉・中国民主団結連盟主席
   岡田英弘・東京外国語大学名誉教授
   宮脇淳子・東京外国語大学講師    ほか

ウイグル、チベット、北朝鮮等と中国民主化との関係についても、発言予定。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

転載:【中国当局のチベット難民への不当殺害に抗議】(ある国際人権派の雑食系ブログ。(仮))

2006年11月05日 07時09分11秒 | 北朝鮮・中国人権問題
※まことさんのブログ「ある国際人権派の雑食系ブログ。(仮)」から拙ブログにTBされた標記記事ですが、記事内容の重要性・緊急性に鑑みて、拙ブログでも改めて転載の形で紹介しておきます。下記要請事項については、拙ブログからも是非ご賛同・ご協力をお願いします。(注:転載文中にある「当ブログ」と言うのは、まことさんの標記ブログの事です。)

(転載開始)
【中国当局のチベット難民への不当殺害に抗議】アムネスティ・インターナショナルが緊急行動を要請・皆さんもご協力を!

中国当局が9月末にヒマラヤ山脈を越えて中国からネパールに逃げようとしていたチベット人難民を殺害したという事件が起きたことは当ブログでもお伝えしましたが、この事件に関連して、アムネスティ・インターナショナルがこの事件によって中国当局に拘束された人々および行方不明の人々の救援のための緊急行動を呼びかけています。

皆さんもぜひともご協力お願いします。チベット人への不当な虐殺に市民の抗議の声をあげましょう!

【関連情報】

【中国軍兵士によって銃撃されるチベット人難民の映像】(ルーマニアProTV)
「特集 ナンバラ峠難民射殺事件の概要」(アムネスティ日本チベットチーム)
・「中国:チベット人難民銃撃についての独立した調査を許可せよ」(ヒューマン・ライツ・ウォッチ10月26日声明・英語)
「中国軍兵士がネパールに逃げ込もうとするチベット人を銃撃する様子を撮影した映像をルーマニアのTV局が公開!」(当ブログ記事)

--------------------------------------------------------------------------------

【以下、アムネスティのUA(緊急行動)シートを転載】

PUBLIC AI Index: ASA 17/054/2006 12 October 2006

UA ナンバー:UA 277/06     国際事務局発信日:2006年10月12日
AI Index : ASA 17/054/2006
期限:2006年11月23日
国 名:中国
ケース:過剰な武力行使、身の安全の懸念
対象者:6才から10才の年齢の子どもたち約9名(名前は未確認)
    成人男性1名(名前は未確認)
    その他約20名
殺害された被害者: ケルサン・ナムツォ 17才(女性)尼僧
          名前が特定されていないチベット人の少年 13才

9月30日、ヒマラヤで登山家たちの国際チームは中国国境警備隊がネパールに逃れる途上のチベット人グループを狙撃する様子を目撃し、グループの中には子どもたちの姿も確認されている。尼僧のケルサン・ナムツォを含む少なくとも2名が殺害されたとみられる。6才から10才までの年頃の子どもたち9名と成年男性1名が中国当局によって拘束され、約20名が行方不明と思われる。アムネスティ・インターナショナルは拘束された人々と行方不明の人々の身の安全を懸念している。

ベース・キャンプにいた登山家たちは、狙撃が、中国から逃れる人々がエスケープ・ルートとしてよく使う氷河で覆われたナンパラ峠で、彼らから300ヤード離れた場所で行われたと述べている。中国側の警備隊は約70名のチベット人グループに2回威嚇射撃を行ったと報告されている。グループは散り散りになり、次に警備隊はちょうどそのとき氷河を横切っていた同グループのおよそ20名の人々に照準を合わせたという。1名が倒れ、起き上がってからまた倒れる姿を登山家たちは目にした。そして銃撃が起きてから約36時間後に警備隊が死体を回収する様子を目撃した。この出来事の後、警備隊は登山家たちのキャンプを一時的に占拠し、同キャンプに、連行する前の拘束した子どもたちや大人を連れて来た。

銃撃により、少なくとも1名の死亡、ケルサン・ナムツォの死が確認されている。グループのメンバー43名は何とかネパールに逃れ、非政府組織the International Campaign for Tibet (ICT)とのインタビューの中で少年もまた1名殺害されたと彼らは述べている。その他6名までの死者を出した可能性も示唆する未確認の報告がある。

銃撃にまで至った同事件は不透明なままにある。担当警備は中国人民武装警察から派遣され、特にチベット内の国境警備や山岳パトロールの任務を負っているといわれている。

<背景情報>

チベットでは、宗教、表現そして結社の自由が引き続き厳しく制限され、その結果、おおぜいの人々が基本的人権を平和的に行使することに関わったために投獄されている。中国の各地で行われているように、恣意的拘禁、不公正な裁判、拷問や虐待が依然として普通に行われている。ICTによると、2000から3000名のチベット人が毎年ネパール経由でインドに逃れている。うち約1/3が子どもたちでインド国内にあるチベット人学校に送られ、一方、他におおぜいの僧侶や尼僧が宗教教育を求めインドに向かう。中国から亡命するチベット人が中国とネパール両国の兵士から以前銃撃を受けたことがあった、しかし今回はここ数年の間で世間の注目を集めた最も深刻な事件である。

世界人権宣言は“何人も、その母国を含め、いかなる国を離れる権利、そして自国に戻る権利を有する”と述べている。

法執行官による武力と火器の行使に関する国連の基本原則は、“法執行当局者は、殺害や重傷を負う差し迫った危機にさらされた場合に自身または他者を防衛する以外の目的で火器を使用してはならない・・・・より穏当な手段ではこれらの目的を達成するために不十分である場合にかぎって使用することができる。いかなる場合においても、意図的な死をもたらす火器の使用は、生命を保護するために全くやむを得ない場合のときだけ実行できる“と述べている。

<アクション>

中国語、英語あるいは母語で、以下の内容のアピールを作り、航空便、航空書簡(全世界90円)、電報、ファックスあるいはeメールで、できるだけ早く送ってください。
同じ内容のアピール例文が後に続きます。それをご利用ください。

-報告された中国国境警備隊による民間人銃撃を非難する。
-責任者を処罰することを目的として、銃撃に関わる数々の出来事を早急に明解にし、それを公にして、軍関係者が執り行った手続きを軍とは独立に見直すよう中国政府に要請する。
-当局に対し、銃撃による死者あるいは負傷者の身元を確認し、犠牲者またはその家族に十分な補償を与えるよう要求する。
- 行方不明の約20名の人々と同様に、拘束されたと思われる9名の子どもたちと1名の大人の所在、置かれている状況、健康状態を明らかにし、それぞれの年齢に適した配慮を持って拘禁中の彼らの安全を保証するよう要請する。
-彼らが明らかに犯罪行為で起訴されていない限り、当局は即刻無条件に拘禁されている人々を解放するよう要求する。

<宛先>

中華人民共和国首相
中国 100032 
北京市 西黄城根北街9 
国務院
温家宝 総理 收
ファックス:+86 10 65961109 あるいは 2260 (c/o Ministry of Communication 通信部気付)
eメール : gazette@mail.gov.cn
書き出し: Your Excellency

中華人民共和国公安相
中国 100741
北京市 東長安街14
公安部
周永康 部長 收
ファックス:+86 10 63099216 (なかなか送信できないかもしれませんが、送り続けてみてください)
書き出し: Your Excellency

チベット自治区人民政府議長
Chairman of the Tibet Autonomous Regional People's Government
Jampa PHUNTSOG Zhuren
Xizang Zizhiqu Renmin Zhengfu
1 Kang'angdonglu
Lasashi 850000
Xizang Zizhiqu, People's Republic of China
書き出し: Dear Chairman

<コピーの宛先>

チベット自治区党委員会書記
Secretary of the Tibet Autonomous Regional Party Committee
Shuji
Zhonggong Xizang Zizhiqu Weiyuanhui
Lasashi, Xizang Zizhiqu, People's Republic of China
書き出し: Dear Secretary

駐日中華人民共和国大使
〒106-0046 港区元麻布3丁目4-33
特命全権大使:王 毅 閣下
H. E. Mr. WANG Yi

できるだけ早くアピールを出してください。期限を過ぎた場合はUAセンターまでお問い合わせ下さい。

<アピール例文>

Prime Minister of the People's Republic of China
WEN Jiabao Guojia Zongli
The State Council
9 Xihuangcheng Genbeijie
Xuanwuqu
Beijingshi 100032, People's Republic of China

Dear Your Excellency,

I'm writing you to condemn the reported shooting of civilians by Chinese border control personnel.

I respectfully urge the Chinese government to promptly clarify the events surrounding the shooting, to make these public, and to independently review the procedures taken up by the military personnel with a view of bringing those responsible to justice, and urge the authorities to confirm the identity of those who died or were injured in the shooting, and adequately compensate the victims or their families.

I also urge the authorities to clarify the current whereabouts, status and health of the nine children and one adult who are alleged to have been detained, as well as some 20 people who are unaccounted for, and to guarantee the safety of those in detention in a manner which takes into account the needs of persons of their age.

I call upon the authorities to release those detained immediately and unconditionally, unless they are charged with a recognisably criminal offence.

Yours very truly,

CC:
Embassy of the People's Republic of China in Japan
(転載終了)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国家頼みの手法―拉致命令放送と人権擁護法案の共通点

2006年10月26日 01時11分02秒 | 北朝鮮・中国人権問題
・NHK:拉致放送重点化問題 NHKラジオ国際放送への命令(毎日新聞)
>「内閣の重要課題である拉致問題を重点的に取り上げるよう命令を出したい」。菅義偉総務相が検討を表明したNHKの短波ラジオ国際放送への命令放送問題。総務省が従来の方針を転換して、国策に関する具体的な放送事項を命令しようとすることに対し、識者らからは「放送の自由への介入だ」と懸念の声が上がる。総務大臣経験者でもある自民党の片山虎之助参院幹事長も「しない方がいい」と異を唱える。<
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20061023ddm012040159000c.html

 上記の「拉致命令放送」問題ですが、問題はなかなか複雑で、私も正直言って、その是非については今も判断しかねています。

 まず、「命令放送」という概念自体がよく分らない。放送法第33条によると、NHKは建前上は国から独立した非営利法人(日本放送協会)で、国民からの受信料収入によって運営されているのですが、こと国際短波放送の一部については国費で賄われており、その資金枠の範囲内で国が「これこれの放送をせよ」と命じる事が出来るのだそうです。しかし放送の自由との兼ね合いもあるので、今までは放送の具体的内容にまで踏み込んだ命令は出されなかった、という事です。今年度の放送命令も、抽象的に「時事、国の重要政策、国際問題に関する国の見解」の3項目を挙げるに止まっています。
 http://www.houko.com/00/01/S25/132.HTM#s2
 http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060315_9.html

 そんな国際短波放送など聞く事は殆ど無いので、「命令放送」のイメージがイマイチよくわからないのですが、TVでよくやる政府広報や公共CMみたいなものなのでしょうか。「タバコのポイ捨てはダメよ」とか「子供が悪いことしていたらちゃんと注意しましょう」とかいう、公共広告機構のCMみたいな。或いは、以前よく放送していた「北方領土は日本の領土」みたいな。それとも、NHKテレビのハングル講座で紹介されていた、「足の折れた椅子をみんなの手で修理して再び蘇らせるように、国民の団結でIMF危機を乗り切っていこう」という内容の、韓国の公共CMみたいなものか。

 公共広告機構のCM程度の内容なら別に目くじら立てる程の事もないかもしれませんが、それ以上の「北方領土」レベルともなると、政府の主張する「四島返還」以外にも「全千島返還」を求める立場などもある中で、政府の考え方のみを国費で一方的に垂れ流す事については、如何なものかと思います。少し考えてしまいますね。

 それで、「拉致問題を重点的に取り上げるようNHKに命令しろ」という「救う会」などの主張ですが、心情的には分らない事も無いです。『特定失踪者調査会が北朝鮮向けに流している「しおかぜ」という失踪者の安否を問う短波放送に対して、北朝鮮が妨害電波で邪魔している。資金的にも一民間団体だけで担うには荷が重い。ついては、命令放送の形でNHKにも協力して貰えないだろうか。』―こういう事でしょう。「家族会」や「救う会」一般会員の、「藁をもすがるつもりで、利用できるものは何でも利用したい」という気持ちも、それはそれでよく分ります。
 http://www.sukuukai.jp/houkoku/log/200610/20061015.htm

 それで、兼ねてから国際放送を通して国際社会に対する発言力強化を考えてきた日本政府の思惑に乗っかる形で、「拉致命令放送」が俄かに脚光を浴びるようになったというのが、この間の経過です。それに対して、『これは国家権力による政治的介入に道を開くものであり、放送の自由の侵害に繋がる』―というのが、主な反対理由です。こちらもよく分ります。実際、バウネット・ジャパンのNHK従軍慰安婦番組介入事件もありましたから。
 http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/news/2006/1024-9.html

 根本的には、放送法第1条で「不偏不党・権力からの独立」を謳っている公共放送としてのNHKの在り方と命令放送の規定との間に矛盾があり、その整合性がつかない限り、最終的な結論は出せないです。法律論として、現行の政府広報や「北方領土」、韓国の公共CMレベルまで許容されるというのであれば、あくまでも放送法第33条の枠内限定で(この大前提は譲れない)、拉致命令放送を行うのも、心情的にはやむを得ないかな、と思ったりもするのです。ただ私個人としては、「北方領土」放送や韓国の公共CMレベルまで認めてしまうのは、公共放送の建前から言えばオカシイとは思いますが。それなら一層の事、NHKとは別建てで純国営放送を流した方が、余程スッキリする。一番悪いのは、片山・参院幹事長の様に「実質は命令以外の何物でもないにも関わらず、恰もNHKが自主的にやっているかの様に装う」偽装工作です。放送法第33条自体の見直し・改廃も含めた議論抜きに、この問題を議論する事は出来ません。

 ただ、「救う会」側の心情も理解できると先に書きましたが、その一方で、増元照明・家族会事務局長の「理屈を言うな、四の五の言わずに賛成しろ」と言わんばかりのコメント(本欄冒頭の毎日新聞記事参照)や、拉致命令放送に疑問を呈する声に対する「拉致被害者の事をどう考えているのか、他人事のように考えやがって」と謂わんばかりの掲示板投稿には、正直言って反発を感じます。この論理は、私から言わせると典型的なダブルスタンダード(二重基準)です。

 一つ典型的な例を挙げます。拉致板常連、拉致問題支援者のうちの多くの人々が、人権擁護法案には反対しているでしょう。曰く「解同(解放同盟)や朝鮮総連などが国家権力と癒着して、差別解消の美名に隠れて、差別利権の温存を図ったり自分にとって都合の悪い言論を弾圧したりする懸念がある」と。
 確かに差別は良くない。ヘイトスピーチにも何らかの規制は必要です。しかし、何を以って差別でありヘイトスピーチであるかを認定するのは、あくまで世論の啓発によるべきであって、国家権力やその威を借りた特定団体によって一方的に決められるべきものではない筈です。これでは、大阪市の不正を追求しただけで差別糾弾されかねません。だから、私も人権擁護法案には反対です。しかし、その運動を主導しているのが、地域人権連(旧・全解連)や共産党や解同全国連などを除けば、後は2chネットウヨクや勝共カルトみたいな奴らが大多数なので、私は「人権擁護法案」反対運動を積極的に支持する気には到底なれないのですが。
 それで、人権擁護法案に反対する時だけ「差別解消の美名の裏に隠された言論弾圧を許すな」とか言っている癖に、いざ自分たちが解同と同じ立場に立たされた途端に「放送・言論の自由の問題など二の次だ、拉致被害者の救出に反対するのか」と一方的に恫喝するかのような、まるで「救う会」の政治路線に反対する(若しくは積極的に賛同しない)者は全て北朝鮮の手先だみたいな物言いこそ、正しく「ラ帝」そのものではないでしょうか。誰も逆らえない大義名分を名目に特定団体の方針を国家権力の力で広めるという点では、解同と同じであるにも関わらず。
 まさか、映画「ホテル・ルワンダ」に出てくる部族対立扇動ラジオ放送局みたいに、公共放送を乗っ取ってヘイトスピーチを垂れ流す事でも夢想しているんじゃあないでしょうねw(ネットを見ていると、それが必ずしも荒唐無稽な絵空事とも思えない)。2ch(大阪ではNHK総合テレビは2ch)の「2ちゃんねる」化なんて、それこそ冗談じゃない。

 それと同時に、こういう国家権力の力に依拠した「国家頼み」の手法は、大衆運動にとっても一歩間違えれば自滅行為に繋がる、謂わば「諸刃の剣」であるという事も、この際に強調しておきたいと思います。

 どうも「救う会」系の人たちと言うのは、元々国家主義的な思考に馴染んできた人が多い所為もあるのでしょうが、国家を必要以上に美化して、何かといえば直ぐ権力で規制して問題を解決しようとしたがるように見えてなりません。従軍慰安婦番組問題然り、大学入試センター試験問題然り。しかし、大衆運動というのはあくまでも世論に訴え喚起するのが筋であって、徒に国家の強制力で個人の意識を変えようとするのは、運動にとっても「禁じ手」である筈です。
 勿論、生活権擁護を求める行政闘争は必要です。しかし、それはあくまで、大企業の横暴を規制するとか社会保障の拡充を求めるといった経済的・社会的規制を求める場合に有効な手段であって、こと政治的自由に関する事柄については、たとえそれが差別解消などの大義名分に基づくものであっても、慎重であるべきです。要求すべきはあくまでも自由の拡大であって、規制ではありません。
 国家権力を利用して勢力を広めようとした運動団体が、保守権力と癒着して腐敗し散々利用されアメをしゃぶらされた挙句に、用済みになれば掌を返したように切り捨てられるのは、左で言えば広島県教委と解同の例の如く(JRと革マルの蜜月も同じ運命を辿りつつある)、右で言えば西村真悟や郵政造反組の切り捨ての如くです。家族会バッシングを裏で操っていたのも国家権力(官邸筋)でしょう。

 「救う会」が短波放送「しおかぜ」の拡充を望むというのであれば、それはそれで、徒に国家の力を当てにするのではなく(それは国家による介入を招く事にも繋がる)、韓国の自由北朝鮮放送と共同で事業をやるなりして、あくまで大衆運動強化路線でいく方が、「救う会」自身にとってもよりマシな選択であると、私は思うのですが。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今こそ改めて「戦争もリストラも人権抑圧もゴメンだ」の声を

2006年10月14日 21時41分14秒 | 北朝鮮・中国人権問題
・北朝鮮制裁 米の臨検、後方支援 周辺事態法を初適用(北海道新聞)

>北朝鮮の核実験発表に対する国連安保理の制裁決議が採択の見通しとなったことを受け、政府は十三日、米艦船が北朝鮮船舶の臨検を実施する場合、周辺事態法を初適用し、米艦船への給油など可能な後方支援を行う方針を固めた。すでに米側や関係省庁と協議に入っており、海上自衛隊の基地や、港湾の提供なども視野に、関係自治体とも必要な調整を行う考えだ。<
>米国のシーファー駐日大使は同日、首相官邸で塩崎恭久官房長官と会談し、臨検について「日本は憲法の制約上、できることとできないことがあるのは分かっている」としながらも、「制裁という仕組みが出来上がったときには、日本が意味のある貢献をしてくださることに自信をもっている」と事実上の支援要請をした。<
 http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061014&j=0023&k=200610138675

 「核武装はしない、非核三原則は維持する、平和的・外交的解決を目指す」と、北朝鮮の度重なるチキンレースに対しても努めて「冷静さ」を装っていた安倍政権ですが、ここへ来て愈々その地金を露にしつつあります。安倍政権は、あろうことか、今回の北朝鮮の暴発を絶好の奇貨として、周辺事態法の初適用に堂々と踏み切ろうとしているのです。これは取りも直さず、「朝鮮有事」を突破口にして、日本の民衆を、イラクを始めとする全世界での「ブッシュの戦争」に身包み動員していく為の地均しに他なりません。

 米国のブッシュ政権や日本の安倍政権が「東アジアの緊張緩和」や「北朝鮮問題の平和的解決」を口にするのは、北朝鮮やアジアの平和や人権状況の改善を、決して本心から望んでいるからではありません。それは単に「東アジアの経済市場」を失いたくないからに過ぎません。イラク・中東を主戦場とする「テロとの長い戦争」に専念出来るように、「とりあえず今は中国や北朝鮮とも波風立てずにやっていきたい」というだけの事です。

 これはまた別の面から見ると、80年代以降の、韓国・台湾・フィリピン・ネパール・インドネシアなどにおける相次ぐ民主化闘争の勝利や、中国・ベトナムなどにおける「改革開放」政策によるグローバル化の進展によって、かつてのSEATO(東南アジア集団防衛条約機構)や米比相互安全保障条約に代表されるような反共軍事ブロック体制が瓦解を遂げて、こと東アジアにおいては、如何に米国と言えども、今までの様な冷戦思考・軍事対決一本槍の姿勢を貫く事は出来なくなった、という事でもあります。

 北朝鮮というのは、謂わば、その冷戦体制の瓦解が進む東アジアの中にとり残された最後のスターリン主義体制、戦後の冷戦体制の残滓なのです。長年に渡り東西冷戦の論理にすがって抑圧体制を進めて来たが為に、今更「改革開放」に舵を切ることも出来なくなり、政権存続の為には只ひたすら先軍政治に突き進むしか道が無いのが、今の北朝鮮の金正日体制なのです。
 そして、その冷戦体制の残滓を、根本的に解消するのではなく、今後に想定されるあらゆる世界的規模での「テロとの戦い」の「格好の口実」、軍需利権の「最後の飯の種」として、「生かさず殺さず」残しておきたい、というのが、米帝・国際資本の本音なのです。

 その下で、日本では、ネオコンとネオリベの結託によって、新自由主義的「格差社会」化と新保守主義的「右傾」化が進められ、9条・25条改憲、集団的自衛権(海外派兵)容認、教育基本法改悪、共謀罪の創設などにより、正に戦前日本や911以降の米国に見られるような「戦争・差別社会」が作られようとしているのです。そして、北朝鮮では人民は引き続きスターリン主義的抑圧体制の下に置かれ、中国では国際資本と結託して新自由主義に変質した「共産党」独裁の下で、人民は党官僚と国際資本の二重の搾取に苦しめられているのです。

 今回の北朝鮮の核実験は、米帝・国際資本主導による「生かさず殺さず」戦略に対する北朝鮮スターリン体制側からの「暴発」なのです。今回の「暴発」は「金正日が自ら蒔いた種」であり、そういう意味では主体的責任は金正日の側にあるのですが、それに対して米帝・国際資本の側はどうかと言うと、その「暴発」に対しては、さも驚き怒り憂慮してみせ、如何にも冷静・中立な調停者としての役回りを演じながら、その実、自分たちが進める「テロとの戦い」の格好の口実に利用しようとしているのです。

 80~90年代以降のグローバリゼーション・情報社会化と冷戦構造崩壊によってもたらされたそれぞれ正負の情勢的側面(新自由主義的搾取の深化と、人民の政治的覚醒の進展)の下で、前者に抗い後者に依拠しつつ、北朝鮮に残ったスターリン主義独裁体制(冷戦体制)を、当該国の北朝鮮人民の手で、周辺アジア諸国の社会進歩を目指す人民とも連帯を図る中で、東アジアにおける全人民の平和・民主・人権確立に沿った方向で、如何に精算・解体・止揚していくか―という事が、北朝鮮問題で問われている<真の課題>なのです。決して、米帝・国際資本主導による「テロとの戦争」遂行、「戦争・差別社会」作りや、「日本再生」の名による過去の帝国主義・植民地主義・侵略戦争の全面肯定・居直り、偏狭なナショナリズムや排外主義の扇動や、況してや「三国人に対する日本人の復讐」などにあるのではない。少なくとも私はそう思います。

 先にまっぺんさんと樹木の緑さんの二つの投稿を拙ブログで紹介したのも、あくまでも前述の観点に立ってのものです。拙ブログとしては、徒に「見せかけの時流」に流されたり阿たりする事なく、あくまでも「日本の戦争・右傾化・格差社会化にも北朝鮮の人権抑圧にも反対」の立場に沿って、「戦争もリストラも人権抑圧もゴメンだ!」「イラク戦争も金正日もNO!」の声をあげて行く所存でいます。
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

転載:憲章第7章制裁を当然の前提とすべきでない(樹々の緑氏、梁山泊掲示板)

2006年10月14日 21時38分03秒 | 北朝鮮・中国人権問題
(転載開始)
憲章第7章制裁を当然の前提とすべきでない
投稿者:樹々の緑 投稿日:10月12日(木)05時27分52秒

 この投稿は、このサイトの従前の投稿を参照しないままに投稿していることをお許し下さい。約3か月前に、自らの行動能力と「責任」ということを考え、意見表明の範囲を限定すべきだと考えたのですが、この投稿は、その例外をなすものであるために、お許しを請うているのです。また、現時点で必ずしも熟考を経たものでないことも、ご宥恕願います。

 朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」と略記)による核実験実施声明によって、中華人民共和国(以下「中国」と略記)を含めて、国連憲章第7章に定める「制裁措置」を内容とする国際社会の対応もやむなしという結論が、国際社会の主流となっているように感じています。

 中華人民共和国(以下「中国」と略記)政府も、この9日の北朝鮮政府の核兵器実験実施声明を受けて、国連憲章第7章が定める制裁措置に言及した新たな安保理決議に反対しない態度を示しているようですし、大韓民国(以下「韓国」と略記)政府も、韓明淑首相が国会答弁の中で「第7章を援用したとしても第42条の軍事制裁がすぐに含まれるものではない」(日刊「赤旗」2006年10月11日(水)付B版第7面)といっているようです。

 しかし、こういう議論で一番欠落していると思うことは、国家単位の議論によって犠牲にされる、数多くの、「その他大勢」に属する「一般国民」の生活ではないでしょうか。イラクやアフガニスタンやパレスチナでも、このことがいちばん看過されているように思えてなりません。

 私は、この点で、次の四つの点を、特に指摘したいと思います。

 第一は、北朝鮮の「6か国協議への無条件復帰」を求めている諸国であっても、必ずしも憲章第7章に定める「制裁措置」の発動に賛成しているわけではないということです。

 チリ政府の声明における「国際社会は対話によってこの危機を解決すべきだ」という主張も、6か国協議議長国である中国政府の「対話と協議を通じた平和的解決しかない」という強調も、そういう趣旨に受け止めることが可能であるし、何よりも、マレーシアのサイドハミド外相の「国際社会によるさらなる制裁はすでに食料、医薬品、燃料の不足に苦しんでいる北朝鮮の人々にとって助けとはならない」という言葉が、端的にそのような潮流を代表していると言えます(「赤旗」10月11日(水)付第6面)。

 北朝鮮政府の「自国防衛力強化」の主張は、結局「核抑止力」論に立つものであり、すでに前世紀の核兵器廃絶運動によってその破綻が明らかにされているものに過ぎません。アメリカの一国支配主義に対抗するのであれば、まず以てその「核抑止力論」を否定する論理こそ、自国の基礎とすべきであるのに、北朝鮮政府の主張は、そのような国際社会における民衆の運動の成果を、一顧だにする趣きもなく、驚くべき論理としか言いようがありません。
 しかし、私たちはすでに、イスラエルやパレスチナであれ、イラクであれ、タリバン政権を戴いていたアフガニスタンであれ、名もない民衆を無差別に害する行為は是認できないという強固な意思を確認してきたはずではないでしょうか。とくに、政権の行動が一般民衆のコントロールを離れたところで行われている場合に、その民衆の「血で贖わせる」ことに、不条理を感じてきたのではないでしょうか。
 そして、いまの北朝鮮を見た場合、その不条理さは、誰の目にもいっそう感じられるはずではないでしょうか。

 第二は、憲章第7章の「制裁」措置に表立って反対していない韓国政府のような立場であっても、「軍事制裁」には反対しているということです。

 もともと、国連憲章第41条と第42条との規定の文言を見ても明白なように、制裁措置は段階的なものです。ですから、憲章第7章による国連の公式の「制裁措置」には正面から反対しない諸国であっても、軍事的制裁措置に「発展」することには歯止めをかけたいという意向が、「対話」や「平和的解決」を強調している各国政府の態度にも、現れていると思います。
 しかし、国際政治の現実的経験を見ると、「有志連合」だとか「自衛的反撃」だとかの名目で、国連安保理の軍事制裁決定を待たずに、軍事力の行使がなされている事例があったわけです。ですから、このような、憲章の明文規定や趣旨を逸脱した軍事力行使に対して、いかなる態度を採るのかが、今回の北朝鮮の核実験問題に対しても、するどく問われていると思います。実際、アメリカは、アフガンでもイラクでも、泥沼に落ち込んでいるといわれているのです。そこで「血を流している」のは、そこに生活しているイラク・アフガンの民衆であり、軍隊として派遣されている国家の若者なのです。
 そのような、国際社会の近時の経験に即して釘を刺す「制裁措置」の限定(表現は非常に穏やかであっても)をすることなく、漫然と「国際の平和と安全に対する脅威である」という規定づけから、憲章第7章の「制裁措置」を決定することなど、許されないと考えます。それは、イラクやアフガニスタン、最近ではレバノンやイスラエルで無惨にも命を落とした、私たちが名前も知らない無数の人々に対する、冒瀆だと思います。それを、北朝鮮で繰り返さない保障をどのように構築するか、それと無関係に、「北東アジアの平和と安全」が構想されてはならないと考える次第です。
 ちなみに、日本共産党が、去る10日の衆議院の決議に賛成しながらも、「国連憲章第七章に基づく措置を『含め』」という点にとくに言及して、「平和的・外交的解決」を強調しているのも、いま述べた懸念を念頭に置いているものと思われるのです。

 第三には、この問題は、全地球規模における核兵器廃絶の課題と切り離して考えられないということです。

 2005年の核不拡散条約の再検討会議が、アメリカを中心とする妨害によって、2000年の同会議における核兵器国による核廃絶の「明確な約束」履行の進展がまったく無に帰す結果に終ったことは、世界で認められていることです。それどころか、この間アメリカは、9.11同時多発テロを契機として、国際法上の「国家の自衛権」の概念を勝手に拡張し、「先制攻撃的自衛」を主張するばかりか、その「攻撃」に核兵器によるものも含むとするなど、とんでもない論理を振りかざして、世界を核脅迫と一国支配の下に置こうとしています。
 核兵器に対する国際世論のもう一つの潮流が、単に核兵器のみならず、核エネルギーの利用についてさえ、現存する実用上の利用に、地球・地域環境保全の見地から疑問符を投げかけているときに、前世紀に破綻した「核抑止力論」を「進化」させた「先制核攻撃正当化論」を主張するなど、到底許されるものではありません。
 北朝鮮政府がいう「自国防衛力の強化」という口実も、単なる抽象的な「北東アジア・国際社会の平和と安全」ではなく、このような観点からこそ、批判される必要があると思います。「核拡散の阻止」という観点にしても、「なぜ」核拡散を阻止する必要があるかという根本問題に遡って、問う必要があると思うのです。
 本当に、北朝鮮が国家としての存立を軍事的にも確保したいと思うのであれば、自ら「核抑止力論」などに依拠することなく、世界の民衆の核兵器廃絶の運動に合流して、自身が参加しているはずの非同盟諸国首脳会議2006年「ハバナ宣言」がいうとおりに、期限を切った核廃絶の努力こそ強調すべきものです。
 そして、その立場に立ってこそ、アメリカが2000年の「明確な約束」に背き、核脅迫による一国支配主義を推し進めている現実に対して、国際社会の共感を得ることができるはずではないでしょうか。

 第四は、こうした北朝鮮政府の誤った行動を是正させるために、何が必要かということです。

 もちろん、某政党がいうように「国際社会の一致結束した対処」は必要でしょう。
 しかし、「一致結束して」「平和的・外交的」に解決を促しても、相手である北朝鮮政府がこれに応じなければ、意味はありません。某政党などは、「いまの北朝鮮政府の行動は、却って北朝鮮の安全保障を危うくする」といっていることからも、北朝鮮政府が未だに「穏やかな説得の対象」であるかの如く考えているように思われますが、疑問です。
 国際社会が、中国政府を含めていわば「さじを投げている」のも、そうした「論理的説得」が通用しない相手であることに、業を煮やした結果とは言えないでしょうか。
 アメリカも、そこにつけ込んでいるのだと思います。チリ政府声明が「世界の平和と安全を乱す不必要な挑発だ」と述べていることも、そうした事態を指しているものだと思います。
 今回の結末がどうあれ、一つの妥協的結論にしても、北朝鮮政府にすれば、瀬戸際外交による「成果」だと自己評価してしまう危険があります。中国政府にしても、現在の経済成長路線にとっては、自国を含む地域・世界の平和と安定こそが必要であると考えたために、北朝鮮に「強い自制」を求めているだけであって、本当に核廃絶を現実的なものとするために、核拡散を阻止する必要があると考えていることが政策行動の主因になっているとは、あまり考えられません。

 そうした中で、今回のような「核対抗」行動を是正するいちばんの保障となりうるのは、やはり、核兵器使用によって真っ先に危険に曝される「一般民衆」の声だと思います。
 ですから、単なる外的な「国家的圧力」の効果を過大視することなく、それぞれの国内における民衆の平和を願う声を、当該国政に反映させることこそ、「核対抗」国家間対抗是正への根本的な保障となるのではないでしょうか。

 今回、日本の安倍首相は、「冷静」な対応を強調しています。これを好機として、私たちも、上記諸観点からの「冷静な」対応に、是非努めなければならないのではないかと、愚考する次第です。
(転載終了)
 http://6413.teacup.com/1/bbs
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

転載:北朝鮮への制裁反対!(まっぺん氏、四トロ板二次会掲示板)

2006年10月14日 21時37分18秒 | 北朝鮮・中国人権問題
(転載開始)
北朝鮮への制裁反対!
投稿者:まっぺん 投稿日:10月12日(木)11時53分36秒

●北朝鮮の国家的性格について

北朝鮮はスターリニスト金日成の指導のもと、未来に希望を持つ人民によって建国されましたが、その体制は共産主義に向かうのではなく、官僚化・硬直化の一途をたどり、もはやどこから見ても「共産主義」とはほとんど無縁なカルト国家にまで堕落してしまったと言えます。まがりなりにも彼の国が存立し得ているのは、まったく国民の合意によるものではなく、只々上意下達の党組織を使った国民監視体制と軍の権力とによるものでしかありません。北朝鮮人民は、いわば支配層による権力維持のための「いけにえ」であり「人質」なのです。北朝鮮二千万国民が「拉致」されているようなものです。あんな国家を「スターリニスト国家」と言ってはいけない。それでは北朝鮮を誉めすぎです。例えばオウム真理教とか統一協会が間違って国家権力をにぎったら、あんな風になるのじゃなかろうか。違うところがあるとすれば、唱えるお題目が「神ホトケの教え」と「まるくすの教え」という違いだけにすぎません。

●制裁措置とアメリカの動向

国連憲章の第41条が経済制裁で42条が軍事的措置だそうで、臨検は42条に含まれます。で、いまアメリカは42条の制裁までを主張し(ってーことは、北朝鮮の周囲に軍艦を配置するってことだね)、一方中国は41条まで、って言ってる。結論がどっちになるかわからないけど、もし42条が採用されれば北朝鮮と米韓とのあいだで軍事的緊張が高まるのはまちがいありません。もしそうなれば北朝鮮は米軍による直接攻撃の対象となるでしょう。北朝鮮の経済状況から考えても北朝鮮軍は非常に弱体でたちまち崩壊し、アフガンやイラクのように国家体制の崩壊に行き着くでしょう。それは「核戦争」にまでいくのか? 核開発については、例え開発に成功していたとしても、まぁ1発か2発。それをアメリカまで飛ばす能力は北朝鮮にはまだありませんから、その点についての心配はまったくないので、もし北朝鮮側が軍事的挑発をすればアメリカは直接軍事介入に躊躇はしないでしょう。

●鍵をにぎるのは中国の動向

北朝鮮側もそこまでは判っている。だから、制裁されたら「宣戦布告と解釈する」と、精一杯、威勢を張ってはみても、到底戦争にまで踏み込む事はできないだろう。せいぜい「核実験」や「ミサイル発射」などのデモンストレーションを繰り返すしかやる事がない。金正日体制のジレンマはますます深く北朝鮮を被っている状態です。ここで、最大の焦点は中国の動向という事になるでしょう。日本がこれまでにない強硬措置として北朝鮮船籍の船の入港全面禁止を決定しましたが、北朝鮮の貿易全体に占める割合は大したことはない。貿易額が一番多いのは38パーセントを占める中国と28パーセントを占める韓国で、中国が42条の軍事的措置に反対しても41条に従って経済制裁を実施すれば、これは極めて大きな打撃を北朝鮮にもたらすことになります。中国はどこまで「制裁」を実施するのか。それによって北朝鮮の国家体制の展望が左右されます。経済交流の全面停止などという事になれば北朝鮮は絶望的となります。

●誰も「人民」のことを考えていない

しかし、こうした「国家間のかけひき」の中で、二千万北朝鮮人民の事はどの国もとりあげようとしていません。金正日体制の酷さは、もはや満天下に明らかですが、周辺諸国の誰もが彼らへの「制裁」を口にしながら、それが北朝鮮人民にどんな影響を与えるのかを誰も考えていない。最初に書いたように北朝鮮はもはや人民をいけにえにしたカルト国家といっていい状態であるために、どんな制裁を与えようと、支配者たちは与えられた制裁を全て人民に押しつけ、「敵の攻撃」と宣伝し敵への憎悪を扇動しながら、人民の犠牲の上にタラ腹食ってしこたま蓄財して生き延びていくに違いありません。制裁をすればするほど、人民の犠牲が増えるだけであり、また宣伝に踊らされる人民の憎悪が増すだけなのです。だから、経済制裁には何の効果も期待できないどころか、金正日体制による人民抑圧・搾取を手伝っているだけであり、むしろそれを増幅させるだけにすぎません。

●今こそ「制裁」ではなく「支援」を!

一方では北朝鮮人民の抑圧支配の上に世界と対立する金正日指導部、また他方では「制裁」の名によって人民に今以上に過酷な犠牲を与えようとする周辺諸国。双方共が、二千万の窮乏する人民を視野の外に置き去りにしたまま支配層同士のあいだだけで喧嘩をしているのが、現在のすがたです。このような欺瞞と偽善の国際的駆け引きには反対します。国家が最も重視すべきはそれぞれの国の人民であり、人民にとって最もよい結果をもたらす方向での駆け引きをしてほしいと思います。その点で、中国にはよりすばらしい「制裁」がある事に注目してほしい。それは中国に10万人~30万人くらい潜在的に移住しているといわれる「隠れ難民」です。彼らを正式に「難民」と認定し、彼らの居住・就業・通行の自由を認めるべきです。そして世界各国がこれら難民に対してあらゆる支援の手を差し伸べる事です。それが北朝鮮人民に最も希望を与えながら同時に北朝鮮支配層にも打撃を与えるものとなるでしょう。
(転載終了)
 http://6305.teacup.com/mappen/bbs?
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緊急抗議!北朝鮮核実験

2006年10月10日 01時32分31秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 まさかと思っていたが、本当にやってしまった、北朝鮮の核実験。どういう理由であろうと、またどんな国であろうと、核実験や核兵器の使用は容認できません。

 北朝鮮が「大国による核兵器の独占・軍拡に反対する」というのなら尚更、圧倒的多数の非核保有国や世界の反戦世論に依拠して、核兵器の即時廃絶を主張し、非核政策を追求する事で、核保有国を包囲すべきであった筈です。しかし北朝鮮はそうせず、あろうことか、大国の核独占・核軍拡を非難しながら、それを口実にして自らも進んでその「核独占」の仲間入りをしてしまいました。これは、どう言い訳しようとも「自らも米・ロ・英・仏・中・インド・パキスタンなどの核保有国と同じ立場に堕した」「アメリカ帝国主義や日本の排外主義者と同じ土俵で、目糞鼻糞を笑い合う」と言うにしか過ぎません。

 「核武装の均衡による戦争抑止」を主張する核抑止論では、絶対に「戦争の抑止」などは出来ません。何故なら、この理論の土俵に立つ限り、「均衡を図る」という名目で、相手との際限のない軍拡競争に引きずり込まれるだけだからです。況してや、たかが数発の核兵器を持ったところで、どれだけの「戦争抑止」になるでしょうか。核軍拡は更なる核軍拡や国際緊張を呼び込むだけです。
 ソ連が崩壊したのも、それは北朝鮮が言うような「自由化による思想的退廃」などに因るものなどではなく、核軍拡で国民経済が破綻してしまったからです。それは、米ソ冷戦をどうにか生き存えた米国にも言える事です。北朝鮮も、自国や周辺国の民衆を巻き添えにしながら、米ソ両国と同じ道を歩んでいるのです。

 そして忘れてはならないのは、現代の核戦争においては、「勝者も敗者もなく、共に自滅するしかない」という事です。世間の一部では「使える小型核兵器」だの「ピンポイント攻撃」だの「ミサイル防衛構想」などと言った似非戦略論が横行していますが、そんなものはいずれもマヤカシにしか過ぎません。
 核の連鎖の中では、核戦争が「限定」なんかで終わる保証など、何処にもありません。「ピンポイント」による「綺麗な戦争」など実際には在り得ない事も、イラク戦争での「ファルージャの虐殺」や劣化ウラン弾の悲劇や、先のレバノン戦争での民間人ジェノサイドや白燐弾・クラスター爆弾による被災の惨状を見れば一目瞭然です。「ミサイル防衛構想」に至っては論外で、そんな「縁日の屋台の射的」みたいな感覚で戦争を弄ばれたのでは、庶民は堪ったものではありません。

 まるで日露戦争の頃と同じ様な感覚で、「切った張った」の勝負に現を抜かしている日米のネオコンも北朝鮮の金正日も、共に「終わっています」。その中でもとりわけ指弾されるべきなのは、勿論、金正日の方です。
 確かに米国も、イラク侵略戦争の例でも明らかなように、お世辞にも褒められるような国ではありません。米国は、確かに北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しで非難しています。しかしその一方で、「米国の方からは侵略も攻撃も仕掛けはしない」という事も6ヶ国協議の中では明言しています。そもそも、その様に名指しで非難され金融制裁を課されたりするのも、米国ブッシュ政権による先制攻撃戦略の問題点も然る事ながら、元はといえば、拉致・麻薬取引・通貨偽造などの数々の国際的不正行為を事実行ってきた北朝鮮が自ら招き寄せた結果でもあるのです。そして、6ヶ国協議の対話の枠組みをぶち壊してきたのは、常に金正日の方です。大体、核兵器を「自衛の為の戦争抑止力」(朝鮮中央通信)などと規定している時点で、金正日もレーガン・ブッシュ・石原慎太郎などの戦争屋と同類の、同じ穴の狢でしかない事が露呈しています。
 ネオコンも金正日も、そんなに戦争ゲームをしたければ、自国民や他国民を巻き添えにしたりせずに、誰もいない所で、誰にも迷惑をかけずに、自分たちだけで気の済むまでやれば良いのです。

 核兵器は、まやかしの「抑止と均衡」に拠る事無く、直ぐにでも廃絶されるべきものです。被爆国民の一人として、このような論理は絶対に容認できるものではありません。「戦争反対、東アジアに平和を、あらゆる国の核軍拡に反対する」という一点で、今回の北朝鮮核実験の暴挙に緊急抗議します。

(参考)

・「地下核実験に成功」 北朝鮮発表、地震波検知(共同通信)
 http://topics.kyodo.co.jp/nkoreanuke/
・北朝鮮の核実験実施発表の全文(ロイター)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061009-00000337-reu-int
・【核開発】なぜ今日?北朝鮮が狙った一石「四鳥」とは…?(朝鮮日報)
 北朝鮮の核実験は、やはり安倍訪中・訪韓への意趣返しと、6ヶ国協議復帰圧力への駄々コネでしかなかったようです。
 http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/09/20061009000054.html
・【核開発】核実験行われた咸鏡北道花台郡とは?(同上)
 http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/09/20061009000029.html
・核実験実施発表に強く抗議する(広島県原水禁、同・平和運動センターの抗議文)
 「核武装や武力でなく、対話による解決こそが、真の平和実現にとって最も有効であり、北朝鮮の安全保障につながるのはないか。対話による解決こそ人類の知恵ではないか。」「民衆の上に立つ指導者であるなら、核開発・武力増強に心血を注ぐのではなく、民衆の衣食住を中心にした生活の改善・充実をさせることこそ重要であり、なによりも優先して取り組みべき課題ではないか。対話を通じてこそ、休戦協定にとどまっている朝鮮戦争を終結させることにつながるのではないか。」
 http://www3.ocn.ne.jp/~gensui/news/kita-kogi2.htm
・核実験予告に抗議の座り込み(中国新聞)
 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200610050307.html
・「厳重に抗議」被爆者・拉致被害者ら、非難の声(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061009it12.htm?from=top
・北朝鮮の核開発(原水爆禁止日本国民会議)
 http://www.gensuikin.org/nw/n_korea-.htm

 被爆地・広島では、5日の北朝鮮核実験予告に引き続いて今回の核実験に際しても、被爆者団体や労組・市民団体によって、昨日から原爆慰霊碑の前で、座り込みの緊急抗議行動が行われています。また、日本各地の在日コリアンの方たちも、今回の暴挙に対して抗議の声を上げ始めています。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする