知人から下記のメールが転送されてきましたので、こちらにも転載・告知しておきます。その知人曰く、「在日コリアンが北の核開発に抗議する運動」で、「この運動の中心の方々は、脱北者支援でも大きな役割を果たしてくれております」との事です。「ご賛同頂ける方は国籍に関係なくご来場下さい」との事なので、勿論日本人でも参加できます。
昨今、北朝鮮問題とか拉致問題と言えば、安倍政権が「苦しい時の北朝鮮頼み」とばかりに、自身の悪政を糊塗したり治安強化や排外主義を煽ったりするのに一枚看板のように利用する様がやたら鼻につきますが、これはそんな流れとは無縁な催しである事は、主催者団体の名前からも明らかです。皆さんも是非奮ってご参加下さい。
■北朝鮮の核兵器は在日にとって何を意味するか・名古屋セミナー
時 間:2007年6月24日(日) 開場13:00 開会14:00~16:00
場 所:ゼミナールプラザ 第6会議室
金山総合駅より徒歩7分、金山プラザホテル隣 駅より案内あり
プログラム:
【第1部】 ビデオ上映「朝鮮戦争」
【第2部】 講演「朝鮮戦争と北朝鮮の核開発」(講師 高ヨンチョル氏)
※ヨンは「永」、チョルは「吉が左右に2つ」
【第3部】 講演「北朝鮮の問題を通して在日コリアンの未来と人権を
考える」(講師 宋貞智・金一男)
※ご賛同頂ける方は国籍に関係なくご来場下さい。
主 催:北朝鮮の核廃棄を求め在日コリアンの人権を守る会
世話人代表 河炳俊 【近江渡来人倶楽部】
宋貞智 【民族差別と闘う大阪連絡協議会】
金一男 【時調(三行詩)の会】
事務局:近江渡来人倶楽部
※「近江渡来人倶楽部」については下記URLを参照。
http://www1.odn.ne.jp/tryjing/index.html
ついでに、以前ブログ記事で告知していた下記の集会も、期日が迫ってきましたので改めて再掲しておきます。昨今は中国も北朝鮮と同様、しょうもない排外主義キャンペーンのターゲットにされているようですが、街宣右翼や石原慎太郎や勝共連合みたいな事ばかり言っていたのでは、日本人も中国人も救われないのは明らかです。「米国ネオコン追従」と「戦前引きこもり」の延長で「中国人を追い出せ、やっつけろ!」ではなく、「中国・北朝鮮にも日本にも、真の人権と民主主義を!自由と平等と生存権と、共に平和に生きる権利を!」「万国のプレカリアート、団結せよ!」。
■「六・四」天安門事件十八周年記念集会
時 間:2007年6月3日 PM 6:00~8:00
場 所:東京芸術劇場5F大会議室
住 所:東京都豊島区西池袋1-8-1
主催者:民主中国陣線日本支部、中国民主運動海外連合会議日本支部
担 当:林飛 辺寧
TEI 03-5907-5660
FAX 03-5907-5662
交 通:JR山手線・地下鉄丸の内線・有楽町線 池袋西口徒歩1分
昨今、北朝鮮問題とか拉致問題と言えば、安倍政権が「苦しい時の北朝鮮頼み」とばかりに、自身の悪政を糊塗したり治安強化や排外主義を煽ったりするのに一枚看板のように利用する様がやたら鼻につきますが、これはそんな流れとは無縁な催しである事は、主催者団体の名前からも明らかです。皆さんも是非奮ってご参加下さい。
■北朝鮮の核兵器は在日にとって何を意味するか・名古屋セミナー
時 間:2007年6月24日(日) 開場13:00 開会14:00~16:00
場 所:ゼミナールプラザ 第6会議室
金山総合駅より徒歩7分、金山プラザホテル隣 駅より案内あり
プログラム:
【第1部】 ビデオ上映「朝鮮戦争」
【第2部】 講演「朝鮮戦争と北朝鮮の核開発」(講師 高ヨンチョル氏)
※ヨンは「永」、チョルは「吉が左右に2つ」
【第3部】 講演「北朝鮮の問題を通して在日コリアンの未来と人権を
考える」(講師 宋貞智・金一男)
※ご賛同頂ける方は国籍に関係なくご来場下さい。
主 催:北朝鮮の核廃棄を求め在日コリアンの人権を守る会
世話人代表 河炳俊 【近江渡来人倶楽部】
宋貞智 【民族差別と闘う大阪連絡協議会】
金一男 【時調(三行詩)の会】
事務局:近江渡来人倶楽部
※「近江渡来人倶楽部」については下記URLを参照。
http://www1.odn.ne.jp/tryjing/index.html
ついでに、以前ブログ記事で告知していた下記の集会も、期日が迫ってきましたので改めて再掲しておきます。昨今は中国も北朝鮮と同様、しょうもない排外主義キャンペーンのターゲットにされているようですが、街宣右翼や石原慎太郎や勝共連合みたいな事ばかり言っていたのでは、日本人も中国人も救われないのは明らかです。「米国ネオコン追従」と「戦前引きこもり」の延長で「中国人を追い出せ、やっつけろ!」ではなく、「中国・北朝鮮にも日本にも、真の人権と民主主義を!自由と平等と生存権と、共に平和に生きる権利を!」「万国のプレカリアート、団結せよ!」。
■「六・四」天安門事件十八周年記念集会
時 間:2007年6月3日 PM 6:00~8:00
場 所:東京芸術劇場5F大会議室
住 所:東京都豊島区西池袋1-8-1
主催者:民主中国陣線日本支部、中国民主運動海外連合会議日本支部
担 当:林飛 辺寧
TEI 03-5907-5660
FAX 03-5907-5662
交 通:JR山手線・地下鉄丸の内線・有楽町線 池袋西口徒歩1分
ある知人から下記のメールが転送されてきたので、ブログにもアップしておきます。
「六・四」天安門事件十八周年記念集会
時 間:2007年6月3日 PM 6:00~8:00
場 所:東京芸術劇場5F大会議室
住 所:東京都豊島区西池袋1-8-1
主催者:民主中国陣線日本支部、中国民主運動海外連合会議日本支部
担 当:林飛 辺寧
TEI 03-5907-5660
FAX 03-5907-5662
交 通:JR山手線・地下鉄丸の内線・有楽町線 池袋西口徒歩1分
しかし中国といえば、少し前にニュースで話題になったのが、重慶の楊武さん一家による「史上最強の立ち退き拒否」。都市再開発を進める市政府に対して、生活権擁護を掲げて一歩も引かず、開発業者に家の周りを掘り崩されて自宅が陸の孤島になっても頑強に抵抗(記事冒頭の写真)。最終的には和解で決着したようですが。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070326-00000012-rcdc-cn
この時、楊武さんは、自宅の屋上に中国国旗(五星紅旗)を掲げて抵抗しました。これは、同時期に全人代(全国人民代表大会、日本の国会に相当)で審議されていた物権法(公民の私有財産保護を規定)にあやかろうという魂胆は勿論あるのでしょうが、それと同時に、中国国旗が、今の中国共産党政府の思惑とはまた別の意味で、「人民的抵抗」や「人民解放」のシンボルとして捉えられているという証左でもあります。少なくとも今の日本の「日の丸・君が代」では、まかり間違えても絶対にこうはならないでしょう。
中国国内におけるこの種の現象は、例えば、資本家や党官僚の横暴に抗して、労働争議や土地立ち退き・徴税拒否に立ち上がった民衆が、ストやデモの現場でインターナショナル(下記参照)を歌って自分たちの闘争を鼓舞したり、という場面で見られます。前述の六四天安門事件(1989年)の時も、民主化運動のリーダーだった学生たちが歌ったのはインターナショナルでした。
http://www.panda-mag.net/keyword/ta/tenanmon.htm
1956年のハンガリーでも、1989年の中国・天安門でも、民衆が求めたのは、「人間の顔をした社会主義」であり「真の民主主義」「名実共に人権が尊重される世の中」です。それを求めて「ニセモノの社会主義」に闘いを挑んだのです。だから、彼ら・彼女らの民主主義と人権を求める闘いが、国境を越えて、同じ様に民主主義と人権を求める全世界の人々の心を揺り動かしたのです。日本でも、大阪・釜ヶ崎の日雇い労働者が、自分たちを排除しようとする機動隊に向かって、「お前たちのやっている事は天安門と同じじゃないか!」と叫んだのです。彼ら・彼女らが求めたのは「真の民主主義」であって、ネットカフェ難民を生み出すような「エセ民主主義」では断じてありません。
昨今は、中国・北朝鮮の話題と言えばもう、いつもいつも「反日デモ」や「不法滞在」を格好の口実にして、「チョーセン人やシナ人をやっつけろ!」といった偏頗な言説が大手を振ってまかり通っています。しかも、その同じ輩が同じ口で、自国内における社会的弱者の人格や生存権を貶めるような言説を平気で垂れ流しています。それでは、中国の共産党独裁が、単に日本のブルジョア独裁にすり変わっただけにしか過ぎません。私たちが求めるのは、そんな「ニセモノの民主主義」ではありません。「ホンモノの民主主義」です。その実現に向けて、「万国のプレカリアート(下記参照)よ、団結せよ!」。
・注:プレカリアート=「不安定(プレカリアス)な雇用や生活を強いられている労働者(プロレタリアート)」を意味する造語。ワーキング・プアを政治的・階級的に表現した言葉。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88
・インターナショナル(国際労働歌)について
ウィキペディアによる解説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB_%28%E6%AD%8C%29
ソウル・フラワー・ユニオンによるアレンジ歌謡(MP3)
http://folk.ntnu.no/makarov/temporary_url_20060919zkkfg/internationale-jp-sfms.mp3
「六・四」天安門事件十八周年記念集会
時 間:2007年6月3日 PM 6:00~8:00
場 所:東京芸術劇場5F大会議室
住 所:東京都豊島区西池袋1-8-1
主催者:民主中国陣線日本支部、中国民主運動海外連合会議日本支部
担 当:林飛 辺寧
TEI 03-5907-5660
FAX 03-5907-5662
交 通:JR山手線・地下鉄丸の内線・有楽町線 池袋西口徒歩1分
しかし中国といえば、少し前にニュースで話題になったのが、重慶の楊武さん一家による「史上最強の立ち退き拒否」。都市再開発を進める市政府に対して、生活権擁護を掲げて一歩も引かず、開発業者に家の周りを掘り崩されて自宅が陸の孤島になっても頑強に抵抗(記事冒頭の写真)。最終的には和解で決着したようですが。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070326-00000012-rcdc-cn
この時、楊武さんは、自宅の屋上に中国国旗(五星紅旗)を掲げて抵抗しました。これは、同時期に全人代(全国人民代表大会、日本の国会に相当)で審議されていた物権法(公民の私有財産保護を規定)にあやかろうという魂胆は勿論あるのでしょうが、それと同時に、中国国旗が、今の中国共産党政府の思惑とはまた別の意味で、「人民的抵抗」や「人民解放」のシンボルとして捉えられているという証左でもあります。少なくとも今の日本の「日の丸・君が代」では、まかり間違えても絶対にこうはならないでしょう。
中国国内におけるこの種の現象は、例えば、資本家や党官僚の横暴に抗して、労働争議や土地立ち退き・徴税拒否に立ち上がった民衆が、ストやデモの現場でインターナショナル(下記参照)を歌って自分たちの闘争を鼓舞したり、という場面で見られます。前述の六四天安門事件(1989年)の時も、民主化運動のリーダーだった学生たちが歌ったのはインターナショナルでした。
http://www.panda-mag.net/keyword/ta/tenanmon.htm
1956年のハンガリーでも、1989年の中国・天安門でも、民衆が求めたのは、「人間の顔をした社会主義」であり「真の民主主義」「名実共に人権が尊重される世の中」です。それを求めて「ニセモノの社会主義」に闘いを挑んだのです。だから、彼ら・彼女らの民主主義と人権を求める闘いが、国境を越えて、同じ様に民主主義と人権を求める全世界の人々の心を揺り動かしたのです。日本でも、大阪・釜ヶ崎の日雇い労働者が、自分たちを排除しようとする機動隊に向かって、「お前たちのやっている事は天安門と同じじゃないか!」と叫んだのです。彼ら・彼女らが求めたのは「真の民主主義」であって、ネットカフェ難民を生み出すような「エセ民主主義」では断じてありません。
昨今は、中国・北朝鮮の話題と言えばもう、いつもいつも「反日デモ」や「不法滞在」を格好の口実にして、「チョーセン人やシナ人をやっつけろ!」といった偏頗な言説が大手を振ってまかり通っています。しかも、その同じ輩が同じ口で、自国内における社会的弱者の人格や生存権を貶めるような言説を平気で垂れ流しています。それでは、中国の共産党独裁が、単に日本のブルジョア独裁にすり変わっただけにしか過ぎません。私たちが求めるのは、そんな「ニセモノの民主主義」ではありません。「ホンモノの民主主義」です。その実現に向けて、「万国のプレカリアート(下記参照)よ、団結せよ!」。
・注:プレカリアート=「不安定(プレカリアス)な雇用や生活を強いられている労働者(プロレタリアート)」を意味する造語。ワーキング・プアを政治的・階級的に表現した言葉。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88
・インターナショナル(国際労働歌)について
ウィキペディアによる解説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB_%28%E6%AD%8C%29
ソウル・フラワー・ユニオンによるアレンジ歌謡(MP3)
http://folk.ntnu.no/makarov/temporary_url_20060919zkkfg/internationale-jp-sfms.mp3
以前の記事「北朝鮮とどう向き合うか―1.21シンポ参加報告」でも触れた事ですが、「北朝鮮とどう向き合うか」については、左右のスタンスが大きく異なります。
国内外での拉致や政治犯収容所、極度の個人崇拝、特権階級の存在と人民の飢餓。この元凶である金正日体制は清算されなければならない、そこまで行かなくても、少なくともこんな政治はゴメン蒙る。この北朝鮮問題の<現状認識>については、右翼と左翼の間でもそんなに意見の違いは在りません。しかし、その前後の、北朝鮮問題の拠って生まれた<原因>と、それを解決するための<方針、展望>は、右翼と左翼とでは全然異なります。
右翼は、「金正日体制は共産主義の申し子である」と説き、「日米ネオコンの力で、イラク戦争と同じやり方で、北朝鮮とそれを支援する中国の共産主義を打倒しなければならない」と主張します。
それに対して左翼は、「金正日体制は東西冷戦の申し子である」と説き、イラク戦争の様な侵略戦争には反対します。日米ネオコンを当てにするなどという「別の独裁で以って独裁を制す」やり方などではなく、あくまで日本国憲法や世界人権宣言の論理で北朝鮮の独裁に対抗します。その上で、ある人たちは太陽政策による緊張緩和・開放促進を主張し、また別の人たちは東欧型の革命による解放を主張します。有体に言えば、ざっとこういう風に分かれるのではないでしょうか。
これを縦横の座標軸で説明してみます。横軸は左端が左翼、右端が右翼。対する縦軸の指標は左右両方に二種類あり、右側が国権(国益)、左側が人権です。こうして横の左右軸、左縦の人権軸、右縦の国権軸という三本の軸を設定します。次にグラフを二本引きます。国権軸下端から人権軸上端に向かう左肩上がりの人権度グラフを一本と、人権軸下端から国権軸上端に向かう右肩上がりの国権度グラフをもう一本。この二本のベクトルが交差する座標点にあるのが北朝鮮問題なのです。(あまり上手く説明できませんが・汗)
この「北朝鮮とどう向き合うか」という問題は、「戦争もリストラも人権抑圧もゴメンだ」という当ブログにおける最大のテーマでもあります。私は、今までこの問題について、ずっと考えてきました。そして、この間の北朝鮮難民支援活動へのささやかな参加を通して、この問題について、ようやく、自分の進むべき道がおぼろげながら見えてきた様に思えます。
「北朝鮮問題にどう向き合うか」について、以下が自分なりに決めた結論です。
・あくまでも、日本国憲法や世界人権宣言が指し示す、平和・人権・民主主義を基調に考える。
・その観点から、北朝鮮の人権抑圧を非難し、脱北者救援・定着活動を支援する。その事を通して、北朝鮮民主化促進と同時に、日本国内における排外主義克服・多民族共生の在るべき姿を追求する。
・「別の独裁(ネオコンによる帝国主義戦争)で以って独裁(金正日体制)を制す」イラク戦争のような形での「解決」、東アジア・日本民衆の「平和に生きる権利」「人間らしい暮らしや幸福を求める権利」「自分たちの将来を自分たちで決める権利」を犠牲にして憚らないような形での「解決」、改憲・右傾化・増税・生活破壊・売国政治の方向には明確に反対する。
拉致問題が表面化してこの方、よく「北朝鮮・拉致問題の解決には右も左も無い」という事が言われました。これは、確かに言っている事は間違いではありませんが、実際には奇麗事にしか過ぎないと思います。先の座標軸の説明で言うと、確かに二本のベクトルが交わる点はありますが、互いのベクトルが向かう先はそれぞれ右肩上がりと左肩上がりという様に、全然方向性が異なります。
米国や安倍政権を巡る左右の評価の違いに、それが最も鋭い形で現われています。教基法・憲法改悪・靖国参拝・教科書・従軍慰安婦・命令放送の問題然り。WE・消費税増税・食と農の安全・格差社会・グローバル化・国内産業空洞化の問題然り。沖縄・岩国・在日米軍再編・海外派兵・アフガン・イラク・パレスチナ・新植民地主義の問題然り。
それらの問題のどれをとっても、右翼側の言い分は「北朝鮮・拉致問題がある限り、我々日本国民は米国ブッシュ政権や日本の安倍政権を支持しなければならない」というものでしょう。それに対して左翼側(というよりは我々)の言い分はというと「いくら北朝鮮・拉致問題があるからと言われても、こんな自分たちを貶め苦しめるような政治など支持できるか!」というものです。誰が、こんな「自分で自分の首を絞めるような真似」など容認できますか。
これは断じて、単なる「イデオロギー」の問題などではありません。拉致被害者と同様に、こちらも生活がかかっているのです。いくら「日本を信じろ」と言われても、そう簡単に「はいそうですか」という訳にはいきません。
そういう実際にある矛盾を「右も左も無い」の奇麗事でウヤムヤにするから、得てしてミイラ取りがミイラになってしまったり、逆にそれを怖れる余り、問題自体から目をそむけてしまったり、という事が起こるのです。「右も左も無い」のではなく、「右と左の違い」を正直に認めた上で、その相反するベクトルが交わった瞬間においては期せずして「別個に進んで撃つ」事もある。それぐらいで丁度良いのではないかという気がします。
運動の歩調を左右で無理に合わせる必要もありません。「救う会」が北朝鮮経済制裁発動を求めているからといって、左翼が同じ様にそれに歩調を合わせたり無理に態度表明をする理由はありません。内部で今すぐ結論が出ない間は無理に結論を出そうとしたりなどせずに、目先の脱北者救援に精力を注いでおれば良いのです。一致点を見出だす努力は必要だと思いますが。
これはまた右翼側にも言える事だと思います。「家族会」の座り込みを巡って「救う会」支持者の間で意見が割れた事がありましたが、これは左翼側の戦術を無理に真似ようとした所があったのかも、という気がします。
そうではなくて、左翼・右翼でそれぞれが自分たちの得意分野や持ち味を生かして、それぞれが北朝鮮問題に取り組む。左翼ならば日朝交流や在日の人権擁護、右翼ならば日米政権との太いパイプを生かすとか。両者はそもそも拠って立つ世界観・価値観が違うので、ベクトルが交差する事は殆どありませんが、偶にはベクトルが交差する瞬間も在る。これ位に割り切った方が、結果的に北朝鮮問題解決の進展にも資する事に繋がるのでは。
国内外での拉致や政治犯収容所、極度の個人崇拝、特権階級の存在と人民の飢餓。この元凶である金正日体制は清算されなければならない、そこまで行かなくても、少なくともこんな政治はゴメン蒙る。この北朝鮮問題の<現状認識>については、右翼と左翼の間でもそんなに意見の違いは在りません。しかし、その前後の、北朝鮮問題の拠って生まれた<原因>と、それを解決するための<方針、展望>は、右翼と左翼とでは全然異なります。
右翼は、「金正日体制は共産主義の申し子である」と説き、「日米ネオコンの力で、イラク戦争と同じやり方で、北朝鮮とそれを支援する中国の共産主義を打倒しなければならない」と主張します。
それに対して左翼は、「金正日体制は東西冷戦の申し子である」と説き、イラク戦争の様な侵略戦争には反対します。日米ネオコンを当てにするなどという「別の独裁で以って独裁を制す」やり方などではなく、あくまで日本国憲法や世界人権宣言の論理で北朝鮮の独裁に対抗します。その上で、ある人たちは太陽政策による緊張緩和・開放促進を主張し、また別の人たちは東欧型の革命による解放を主張します。有体に言えば、ざっとこういう風に分かれるのではないでしょうか。
これを縦横の座標軸で説明してみます。横軸は左端が左翼、右端が右翼。対する縦軸の指標は左右両方に二種類あり、右側が国権(国益)、左側が人権です。こうして横の左右軸、左縦の人権軸、右縦の国権軸という三本の軸を設定します。次にグラフを二本引きます。国権軸下端から人権軸上端に向かう左肩上がりの人権度グラフを一本と、人権軸下端から国権軸上端に向かう右肩上がりの国権度グラフをもう一本。この二本のベクトルが交差する座標点にあるのが北朝鮮問題なのです。(あまり上手く説明できませんが・汗)
この「北朝鮮とどう向き合うか」という問題は、「戦争もリストラも人権抑圧もゴメンだ」という当ブログにおける最大のテーマでもあります。私は、今までこの問題について、ずっと考えてきました。そして、この間の北朝鮮難民支援活動へのささやかな参加を通して、この問題について、ようやく、自分の進むべき道がおぼろげながら見えてきた様に思えます。
「北朝鮮問題にどう向き合うか」について、以下が自分なりに決めた結論です。
・あくまでも、日本国憲法や世界人権宣言が指し示す、平和・人権・民主主義を基調に考える。
・その観点から、北朝鮮の人権抑圧を非難し、脱北者救援・定着活動を支援する。その事を通して、北朝鮮民主化促進と同時に、日本国内における排外主義克服・多民族共生の在るべき姿を追求する。
・「別の独裁(ネオコンによる帝国主義戦争)で以って独裁(金正日体制)を制す」イラク戦争のような形での「解決」、東アジア・日本民衆の「平和に生きる権利」「人間らしい暮らしや幸福を求める権利」「自分たちの将来を自分たちで決める権利」を犠牲にして憚らないような形での「解決」、改憲・右傾化・増税・生活破壊・売国政治の方向には明確に反対する。
拉致問題が表面化してこの方、よく「北朝鮮・拉致問題の解決には右も左も無い」という事が言われました。これは、確かに言っている事は間違いではありませんが、実際には奇麗事にしか過ぎないと思います。先の座標軸の説明で言うと、確かに二本のベクトルが交わる点はありますが、互いのベクトルが向かう先はそれぞれ右肩上がりと左肩上がりという様に、全然方向性が異なります。
米国や安倍政権を巡る左右の評価の違いに、それが最も鋭い形で現われています。教基法・憲法改悪・靖国参拝・教科書・従軍慰安婦・命令放送の問題然り。WE・消費税増税・食と農の安全・格差社会・グローバル化・国内産業空洞化の問題然り。沖縄・岩国・在日米軍再編・海外派兵・アフガン・イラク・パレスチナ・新植民地主義の問題然り。
それらの問題のどれをとっても、右翼側の言い分は「北朝鮮・拉致問題がある限り、我々日本国民は米国ブッシュ政権や日本の安倍政権を支持しなければならない」というものでしょう。それに対して左翼側(というよりは我々)の言い分はというと「いくら北朝鮮・拉致問題があるからと言われても、こんな自分たちを貶め苦しめるような政治など支持できるか!」というものです。誰が、こんな「自分で自分の首を絞めるような真似」など容認できますか。
これは断じて、単なる「イデオロギー」の問題などではありません。拉致被害者と同様に、こちらも生活がかかっているのです。いくら「日本を信じろ」と言われても、そう簡単に「はいそうですか」という訳にはいきません。
そういう実際にある矛盾を「右も左も無い」の奇麗事でウヤムヤにするから、得てしてミイラ取りがミイラになってしまったり、逆にそれを怖れる余り、問題自体から目をそむけてしまったり、という事が起こるのです。「右も左も無い」のではなく、「右と左の違い」を正直に認めた上で、その相反するベクトルが交わった瞬間においては期せずして「別個に進んで撃つ」事もある。それぐらいで丁度良いのではないかという気がします。
運動の歩調を左右で無理に合わせる必要もありません。「救う会」が北朝鮮経済制裁発動を求めているからといって、左翼が同じ様にそれに歩調を合わせたり無理に態度表明をする理由はありません。内部で今すぐ結論が出ない間は無理に結論を出そうとしたりなどせずに、目先の脱北者救援に精力を注いでおれば良いのです。一致点を見出だす努力は必要だと思いますが。
これはまた右翼側にも言える事だと思います。「家族会」の座り込みを巡って「救う会」支持者の間で意見が割れた事がありましたが、これは左翼側の戦術を無理に真似ようとした所があったのかも、という気がします。
そうではなくて、左翼・右翼でそれぞれが自分たちの得意分野や持ち味を生かして、それぞれが北朝鮮問題に取り組む。左翼ならば日朝交流や在日の人権擁護、右翼ならば日米政権との太いパイプを生かすとか。両者はそもそも拠って立つ世界観・価値観が違うので、ベクトルが交差する事は殆どありませんが、偶にはベクトルが交差する瞬間も在る。これ位に割り切った方が、結果的に北朝鮮問題解決の進展にも資する事に繋がるのでは。
こういう人が未だによくいます。TVが北朝鮮や拉致問題のニュースを流す度に、「北朝鮮なんかやっつけてしまえ」とか「このチョンが」とか、そういう言葉を平気で吐く人が。そんな場面に何度も出くわすと、もういい加減ウンザリきます。「戦後日本の60年の歩みは一体何だったのか」と、つくづく思います。
この発言の裏には、「北朝鮮の恫喝、瀬戸際政策に屈するな」という想いがあるのは確かでしょう。しかし、この手の人がこういう発言をすればするほど、北朝鮮・拉致問題の実際の解決は逆に遠のいてしまうのです。
これは何故かと言うと、この手の人たちというのは得てして、北朝鮮問題を、単に「日本人拉致の問題」「日本vs韓国・北朝鮮・中国の、民族・国家対立の問題」としてしか理解出来ないからです。だから、金正日や北朝鮮の事をクソミソには言うが、その当事国の犠牲者である在日コリアン・帰国者・脱北者の救援の問題には逆に事の外無関心で冷淡なのです。中には「在日の北朝鮮帰国者は自分の意志で北朝鮮に行ったのだ、たとえ騙されて行ったとしてもそれは当人の自己責任であって、日本人拉致被害者と同じには扱えない」、もっと酷いのになると「朝鮮人がどうなろうと知ったこっちゃ無い、日本人の拉致被害者だけ助かれば良いのだ」と言わんばかりの人までいます。
確かに、「救う会」系や右翼の中にも、脱北者・帰国者救援や在日コリアンの地位向上の問題に取り組まれている人は少なくありません。また、「拉致被害者家族会」の方々の多くが脱北者・帰国者救援や在日の問題にも心を寄せてくれている事も確かです。実際、横田さんなどは民族学校への心無いバッシングに対して非難の声を挙げました。
しかしその裾野(拉致問題支援者)はどうかというと、まるで「親の心子知らず」ともいうべき心理で、相も変わらず朝鮮人・在日コリアンバッシングに奔走しているだけなのです。
よく脱北者救援と言うと、何か北朝鮮国内に潜入して意図的に脱北や内乱を扇動する運動であるかのように捉えられる向きもあるようですが、実際は違います。脱北の手助けもしますが、それはあくまで脱北者本人の意志によるものです。そして、脱北の危険も然る事ながら、寧ろ本当の困難は脱北後の定住にあるのです。言葉も喋れず、日本での勤労の経験も技能も無い脱北者の方に、日本語を教え住居や勤務先を斡旋する、そういう地味で苦労も多い地道な運動なのです。また、在日コリアン社会との協力・連携も不可欠です。
それに対して最大の壁として立ちはだかっているのが、何かといえば自国本位の歪んだナショナリズムを振り回し、在日の人たちを「チョーセン」と蔑み、事あるごとに外国人バッシングに走る、この手の人たちなのです。
中国・韓国などの北朝鮮周辺諸国が何故北朝鮮を持て余しているかといえば、金体制崩壊を機に脱北者・北朝鮮難民が自国に大挙して押し寄せてくるのを怖れているからです。この難民問題について、いきなり全員救出とまでは行かなくても、その道筋(難民受入れの国際的枠組み構築と各国での一定程度の受入れ・生活支援)さえつける事が出来れば、冷戦の仇花である金正日体制など自然に瓦解し、北朝鮮問題は基本的に全て解決するのです。北朝鮮問題の基本はあくまで人権問題です。核放棄や安全保障などは全て二次的な問題です。況してや民族・国家対立や「自国本位の国益」の問題なんかでは決してありません。
しかし安倍政権は、自身の有力な支持基盤でもある「この手の人たち」を敵に回すようなことなどは絶対にしません。それでも一国の政権担当者ともなれば、流石に「この手の人たち」の価値観だけでは実際の政治は回らない事も、薄々は分ってきたようではありますが。それでも、これだけ支持率が低落している中にあっては、ただひたすら「この手の人たち」に阿り排外主義を煽り立てて、それを自身の内閣と自民党政治の安定に利用しようとしているだけなのです。
この発言の裏には、「北朝鮮の恫喝、瀬戸際政策に屈するな」という想いがあるのは確かでしょう。しかし、この手の人がこういう発言をすればするほど、北朝鮮・拉致問題の実際の解決は逆に遠のいてしまうのです。
これは何故かと言うと、この手の人たちというのは得てして、北朝鮮問題を、単に「日本人拉致の問題」「日本vs韓国・北朝鮮・中国の、民族・国家対立の問題」としてしか理解出来ないからです。だから、金正日や北朝鮮の事をクソミソには言うが、その当事国の犠牲者である在日コリアン・帰国者・脱北者の救援の問題には逆に事の外無関心で冷淡なのです。中には「在日の北朝鮮帰国者は自分の意志で北朝鮮に行ったのだ、たとえ騙されて行ったとしてもそれは当人の自己責任であって、日本人拉致被害者と同じには扱えない」、もっと酷いのになると「朝鮮人がどうなろうと知ったこっちゃ無い、日本人の拉致被害者だけ助かれば良いのだ」と言わんばかりの人までいます。
確かに、「救う会」系や右翼の中にも、脱北者・帰国者救援や在日コリアンの地位向上の問題に取り組まれている人は少なくありません。また、「拉致被害者家族会」の方々の多くが脱北者・帰国者救援や在日の問題にも心を寄せてくれている事も確かです。実際、横田さんなどは民族学校への心無いバッシングに対して非難の声を挙げました。
しかしその裾野(拉致問題支援者)はどうかというと、まるで「親の心子知らず」ともいうべき心理で、相も変わらず朝鮮人・在日コリアンバッシングに奔走しているだけなのです。
よく脱北者救援と言うと、何か北朝鮮国内に潜入して意図的に脱北や内乱を扇動する運動であるかのように捉えられる向きもあるようですが、実際は違います。脱北の手助けもしますが、それはあくまで脱北者本人の意志によるものです。そして、脱北の危険も然る事ながら、寧ろ本当の困難は脱北後の定住にあるのです。言葉も喋れず、日本での勤労の経験も技能も無い脱北者の方に、日本語を教え住居や勤務先を斡旋する、そういう地味で苦労も多い地道な運動なのです。また、在日コリアン社会との協力・連携も不可欠です。
それに対して最大の壁として立ちはだかっているのが、何かといえば自国本位の歪んだナショナリズムを振り回し、在日の人たちを「チョーセン」と蔑み、事あるごとに外国人バッシングに走る、この手の人たちなのです。
中国・韓国などの北朝鮮周辺諸国が何故北朝鮮を持て余しているかといえば、金体制崩壊を機に脱北者・北朝鮮難民が自国に大挙して押し寄せてくるのを怖れているからです。この難民問題について、いきなり全員救出とまでは行かなくても、その道筋(難民受入れの国際的枠組み構築と各国での一定程度の受入れ・生活支援)さえつける事が出来れば、冷戦の仇花である金正日体制など自然に瓦解し、北朝鮮問題は基本的に全て解決するのです。北朝鮮問題の基本はあくまで人権問題です。核放棄や安全保障などは全て二次的な問題です。況してや民族・国家対立や「自国本位の国益」の問題なんかでは決してありません。
しかし安倍政権は、自身の有力な支持基盤でもある「この手の人たち」を敵に回すようなことなどは絶対にしません。それでも一国の政権担当者ともなれば、流石に「この手の人たち」の価値観だけでは実際の政治は回らない事も、薄々は分ってきたようではありますが。それでも、これだけ支持率が低落している中にあっては、ただひたすら「この手の人たち」に阿り排外主義を煽り立てて、それを自身の内閣と自民党政治の安定に利用しようとしているだけなのです。
※TB先の方へ:記事題名を標記の様に一部改題しました。
前号記事でも告知の下記シンポジュームに参加してきました。当日は仕事なので当初は不参加のつもりでしたが、お陰さまで何とか有休が取れましたので参加する事が出来ました。(記事の写真は、会場で販売していた脱北少年手記のCD-ROM)
シンポジューム「北朝鮮とどう向き合うか~東アジアの平和と人権を求めて~」
・日時:2007年1月21日(日) 午後1時30分~午後5時
・会場:KCC会館(在日韓国基督教会館) 大阪市生野区中川西2-6-10
・基調講演:小牧輝夫さん(国士舘大21世紀アジア学部長)
・パネリスト・発言者:
郭辰雄さん(コリアNGOセンター運営委員長)
波佐場清さん(朝日新聞元ソウル支局長)
石丸次郎さん(アジアプレス)
古野喜政さん(毎日新聞元ソウル支局長、アムネスティ大阪応援団)
在日コリアンの脱北者の方
・主催:「北朝鮮とどう向き合うか」実行委員会
(社)アムネスティインターナショナル日本・コリアチーム
日本ジャーナリスト会議関西支部(JCJ)
自由ジャーナリストクラブ(JCL)
ジャーナリストネットほか
会場となった会館は大阪・生野のコリアタウンの中にあります。その5階ホールでシンポジュームが始まりました。私が行ったのは開演間際で、参加者はざっと60名ぐらい。最終的には70~80人は入ったのでは。マスコミも日本と韓国のメディアが1社づつ取材に来ていました。
当日の議事進行は、上記の基調講演の後、それぞれのパネリストが発言する形になりました。発言が一巡し終わったらもう5時前で、多分そこからパネル・ディスカッションが始まったのでしょうが、残念ながら私はまた別の短時間バイトが控えていたので、そこで退出しました。
参加した感想ですが、まず意外だったのが、全体レジュメが無かった事。入口の受付で資料類は沢山戴きましたが、式次第に相当するものはありませんでした。基調講演→パネル・ディスカッションという流れであるのが明白なので、敢えてそういうものは出さなかったのかとも思いますが、視聴者にとってはやはり必要なものです。それぞれのパネル発言の要旨が予め書かれていたらもっと分りやすかったし、実際には上記以外にあとお二方がパネリストで出ていたのですが、文書での紹介が無かったので、その方の正確なフルネームや肩書きは最後まで分らず仕舞でした。
シンポジュームのテーマは、一言で言うと「日本の左派・リベラルとして北朝鮮にどう向き合うか」というものでした。かつては社会主義国として北朝鮮を肯定的に評価し、帰国運動にも協力してきた過去を持つ日本の左派が、金日成・正日体制下での人権抑圧や個人崇拝が次第に明るみになってくる中で、どう向き合ってきたのか。そして、二度にわたる小泉訪朝や日朝平壌宣言、その中で明るみになった北朝鮮の拉致問題、その後の嵐の様な北朝鮮バッシングの中で、どう向き合っていくべきなのか。それを探るべくして開かれたのが、当日のシンポジュームでした。
北朝鮮の人権抑圧や個人崇拝は、誰が見ても異常だ、許せない、あんなものは社会主義でも何でも無い。しかし他方で、ブッシュがイラクに対して行ったような一国覇権主義の侵略戦争や米国流民主主義(その実態は新自由主義)の押付けでは、東アジアが戦場になるだけで、真の解決にはならない。互いの対立・憎悪をことさら煽るだけの北朝鮮バッシングにも反対。ここまでは、私も含めて、参加者のほぼ全員の共通認識だっただろうと思います。
そこから先が、パネラーによってかなり違う、温度差がある。そう感じました。小牧さん・郭さん・波佐場さんは、後者の方に力点を置いて、ブッシュ・ドクトリンや、安倍政権が進める北朝鮮への経済制裁や、日本国内の北朝鮮バッシングを批判していました。それに対して、石丸さん・古野さんは、北朝鮮の独裁は韓国の軍事独裁と比べてもメチャクチャなもので、いつかは崩壊するし、させなければならない。但しそれを考える上での軸足は、米帝や靖国への賛美ではなく、あくまでも日本国憲法や世界人権宣言でなければならない。大雑把に言えばこういう対比になります。
その中でつくづく思った事は、「左派=親北・反日=日朝国交正常化推進」「右派=反北・親日=経済制裁賛成」という(最近は右派vs左派に加えて安倍vs小泉という形にもなりつつある様ですが)紋切り型の類型化で個人の意見を裁断する事が、如何に現実離れしているか、という事です。
右派では、安倍や西村真悟の様な「反北・親日」だけでなく、小泉や山崎拓の様な「親北・媚中」も居るし、安倍にしても本当はどこまで「反北」なのか、という事は、マスコミ報道からも窺い知る事が出来ます。
これは左派でも同じで、北朝鮮の人権抑圧を非難している古野さんや、脱北者への取材や救援活動を行っている石丸さんは、ネオコンや右翼かというと、そうではないでしょう。実際には「股裂き・ごった煮」状態とも言える状況を呈しているのが左派の現実です。基調講演者や何人かのパネラーが制裁反対・人道支援を言ったその尻から、脱北者の一人が「今のままの北朝鮮支援は金正日体制を潤す事にしかならない」と訴えていたのを見ても、つくづくそう感じました。これは私の身近な範囲でもそうです。共産党支持で憲法9条改悪反対だが北朝鮮経済制裁には賛成なんて人も珍しくはない。他方、人道援助を主張している人も、みんながみんな北朝鮮政府べったりという訳ではなく、中には政府の案内員(ガイド兼監視役)を煙に巻いて村民に直接手渡しで援助しようとしている活動家もいるのです。
私自身はどうかというと、前から言っているように、北朝鮮への経済制裁も、その反対の日朝国交正常化も、正直言って「どちらが正論か」態度を決めかねているのが本音です。何故かと言えば、一番肝心な当事者である「当の北朝鮮人民がどちらを支持しているのか」が、依然として見えてこないからです。
確かに、断片的な情報は色々伝わってきます。「喜び組」から「コッチェビ」の映像まで。しかし、当の(権力者でないごく普通の)北朝鮮人民が「金正日体制を一体どう捉えているのか」という一番肝心な事が、日本ではなかなか見てこないのです。相変わらず個人崇拝の対象として崇め奉られているのか、それとも東欧圏崩壊前夜のポーランド・ハンガリー・東ドイツや、パンチャヤット崩壊前夜のネパール、アパルトヘイト崩壊前夜の南アの様な状況にまで民衆の覚醒が進んでいるのか、その所が実際には曖昧模糊としている。逆に覚醒どころか、長年に渡る情報鎖国と移動の自由の制限(大阪で例えると、西成から八尾に移動するのにも当局の許可が必要)によって、他国だけでなく自国の北朝鮮の事も、自分の身の回りの事以外は一切知らない(1969年のアポロ月面着陸のニュースも知らなかった)、そういう話も出ていました。
若し前者の様な状況ならば、そんな体制相手に徒に宥和政策に拘泥していても仕方が無いし、反対に後者の様な状況ならば、そんな状況でいきなり外部からお仕着せの「民主主義」を押付けたって、イラクの二の舞にしかならない。元ロシア工作員のリトビネンコ氏の毒殺疑惑絡みで「ロシアは恐ろしい、怖い国」と言わんばかりの排外主義キャンペーンが一部で流されています(事実余り褒められた人権状況でないのは確かです)が、あのロシアのプーチン独裁政権にしても「民主化」の中から生まれたものであるにも関わらず、当時の「民主化」を手放しで礼賛した連中が今になってロシア・バッシングに興じているのも、何だかね。
それに対して、実際の所はどうなのか。昨年末の日本テレビ系列の北朝鮮ルポで、国内北朝鮮人のよるビデオ・インタビューの場面が出ていましたが、いくら非公然とはいえ、あそこまで堂々と撮影できるのか、そこまで情報鎖国が緩んでいるのか、それを実は当日に石丸さんにお聞きしたかったのですが、とうとう聞けず仕舞で残念でした。
以上が、私が「経済制裁か日朝国交正常化か」の二者択一の踏み絵に対しては、態度を保留している理由です。漏れ伝わってきた噂によれば、私はどうやらネット界では「制裁反対・国交正常化推進派」に色分けされている様なので、この場で改めて立場表明をしておきます。
しかもオマケにこの事で、数年前に拙サイトの、出来て間無しの当時の旧掲示板にいきなりやってきて、「態度保留の権利も認めない」と、運営趣旨にまで散々難癖をつけて出て行った、トラブル件数の数だけHNを持つ(わら)某「ラ帝・勝共豚」が、どこかでまたまた内ゲバをやらかした折に、そこで何と、いきなり外野の私の名前を挙げて、お門違いな内ゲバの場にまで過去のこの経緯を持ち出していた様ですが、迷惑千万な話です。こちらは折角忘れかけてやっていたのに、けったくそ悪いったらありゃしない。「分らない事については意見表明を差し控え、とりあえず目の前の苦難の救援を優先する」、これの一体どこが悪いのでしょうかね。それで数年前の話をまたぞろ、しかも私とは何の関係も無い話の場にまで唐突に自分から持ち出してきて、未練たらしい事この上ない。
もう一つの立場表明は、私の北朝鮮批判の立脚点は、「救う会」系などに典型的な「日本人が拉致された、日本国家が蔑ろにされた」というのとは、質的に全然違うという事です。私の場合は、かつての「北朝鮮・スターリン生協」での勤務経験もあって、「ああいう究極の人権抑圧、ヤラセ・格差社会は許せない」という、謂わば「スターリン主義的なもの」に対する嫌悪感から来ています。
私の北朝鮮批判は格差・差別・抑圧・不正義に対する憤りから来るのであって、「国家」がどうのこうのという意識は殆どありません。だから北朝鮮だけでなく、その合わせ鏡の「和風・北朝鮮」=ブッシュ・小泉・安倍政治にも激しく抗うのです。最近は「救う会」支援者の拉致板界隈も、ネオコンの「安倍派」とネオリベの「小泉カムバック待望派」に分かれている様ですが、私にとっては「どちらも同じ穴の狢」「どちらもゴメン蒙る」としか言いようがありません。
シンポジュームでも最後の方の発言で出ていましたが、「北朝鮮と同じ論理で北朝鮮を批判しても仕方が無い」「我々はあくまで日本国憲法や世界人権宣言の観点から北朝鮮の国家体制を批判し人民に手を差し伸べていく」―これに尽きると思います。「制裁か宥和か」の二者択一の踏み絵に徒に振り回されるような愚は避け、あくまでも前述の立場に軸足を置いて、とりあえず目の前の北朝鮮人民や脱北者の方の苦難軽減に少しでもお役に立てる事が出来れば―そういう気持ちでいます。現在日本にいる脱北者の方の大半が、大阪の生野・八尾・東大阪近辺に集中居住している事も、シンポジュームに出て初めて知りました。実は自分の身近な地域の問題でもあったのだと、今更ながら思いました。
前号記事でも告知の下記シンポジュームに参加してきました。当日は仕事なので当初は不参加のつもりでしたが、お陰さまで何とか有休が取れましたので参加する事が出来ました。(記事の写真は、会場で販売していた脱北少年手記のCD-ROM)
シンポジューム「北朝鮮とどう向き合うか~東アジアの平和と人権を求めて~」
・日時:2007年1月21日(日) 午後1時30分~午後5時
・会場:KCC会館(在日韓国基督教会館) 大阪市生野区中川西2-6-10
・基調講演:小牧輝夫さん(国士舘大21世紀アジア学部長)
・パネリスト・発言者:
郭辰雄さん(コリアNGOセンター運営委員長)
波佐場清さん(朝日新聞元ソウル支局長)
石丸次郎さん(アジアプレス)
古野喜政さん(毎日新聞元ソウル支局長、アムネスティ大阪応援団)
在日コリアンの脱北者の方
・主催:「北朝鮮とどう向き合うか」実行委員会
(社)アムネスティインターナショナル日本・コリアチーム
日本ジャーナリスト会議関西支部(JCJ)
自由ジャーナリストクラブ(JCL)
ジャーナリストネットほか
会場となった会館は大阪・生野のコリアタウンの中にあります。その5階ホールでシンポジュームが始まりました。私が行ったのは開演間際で、参加者はざっと60名ぐらい。最終的には70~80人は入ったのでは。マスコミも日本と韓国のメディアが1社づつ取材に来ていました。
当日の議事進行は、上記の基調講演の後、それぞれのパネリストが発言する形になりました。発言が一巡し終わったらもう5時前で、多分そこからパネル・ディスカッションが始まったのでしょうが、残念ながら私はまた別の短時間バイトが控えていたので、そこで退出しました。
参加した感想ですが、まず意外だったのが、全体レジュメが無かった事。入口の受付で資料類は沢山戴きましたが、式次第に相当するものはありませんでした。基調講演→パネル・ディスカッションという流れであるのが明白なので、敢えてそういうものは出さなかったのかとも思いますが、視聴者にとってはやはり必要なものです。それぞれのパネル発言の要旨が予め書かれていたらもっと分りやすかったし、実際には上記以外にあとお二方がパネリストで出ていたのですが、文書での紹介が無かったので、その方の正確なフルネームや肩書きは最後まで分らず仕舞でした。
シンポジュームのテーマは、一言で言うと「日本の左派・リベラルとして北朝鮮にどう向き合うか」というものでした。かつては社会主義国として北朝鮮を肯定的に評価し、帰国運動にも協力してきた過去を持つ日本の左派が、金日成・正日体制下での人権抑圧や個人崇拝が次第に明るみになってくる中で、どう向き合ってきたのか。そして、二度にわたる小泉訪朝や日朝平壌宣言、その中で明るみになった北朝鮮の拉致問題、その後の嵐の様な北朝鮮バッシングの中で、どう向き合っていくべきなのか。それを探るべくして開かれたのが、当日のシンポジュームでした。
北朝鮮の人権抑圧や個人崇拝は、誰が見ても異常だ、許せない、あんなものは社会主義でも何でも無い。しかし他方で、ブッシュがイラクに対して行ったような一国覇権主義の侵略戦争や米国流民主主義(その実態は新自由主義)の押付けでは、東アジアが戦場になるだけで、真の解決にはならない。互いの対立・憎悪をことさら煽るだけの北朝鮮バッシングにも反対。ここまでは、私も含めて、参加者のほぼ全員の共通認識だっただろうと思います。
そこから先が、パネラーによってかなり違う、温度差がある。そう感じました。小牧さん・郭さん・波佐場さんは、後者の方に力点を置いて、ブッシュ・ドクトリンや、安倍政権が進める北朝鮮への経済制裁や、日本国内の北朝鮮バッシングを批判していました。それに対して、石丸さん・古野さんは、北朝鮮の独裁は韓国の軍事独裁と比べてもメチャクチャなもので、いつかは崩壊するし、させなければならない。但しそれを考える上での軸足は、米帝や靖国への賛美ではなく、あくまでも日本国憲法や世界人権宣言でなければならない。大雑把に言えばこういう対比になります。
その中でつくづく思った事は、「左派=親北・反日=日朝国交正常化推進」「右派=反北・親日=経済制裁賛成」という(最近は右派vs左派に加えて安倍vs小泉という形にもなりつつある様ですが)紋切り型の類型化で個人の意見を裁断する事が、如何に現実離れしているか、という事です。
右派では、安倍や西村真悟の様な「反北・親日」だけでなく、小泉や山崎拓の様な「親北・媚中」も居るし、安倍にしても本当はどこまで「反北」なのか、という事は、マスコミ報道からも窺い知る事が出来ます。
これは左派でも同じで、北朝鮮の人権抑圧を非難している古野さんや、脱北者への取材や救援活動を行っている石丸さんは、ネオコンや右翼かというと、そうではないでしょう。実際には「股裂き・ごった煮」状態とも言える状況を呈しているのが左派の現実です。基調講演者や何人かのパネラーが制裁反対・人道支援を言ったその尻から、脱北者の一人が「今のままの北朝鮮支援は金正日体制を潤す事にしかならない」と訴えていたのを見ても、つくづくそう感じました。これは私の身近な範囲でもそうです。共産党支持で憲法9条改悪反対だが北朝鮮経済制裁には賛成なんて人も珍しくはない。他方、人道援助を主張している人も、みんながみんな北朝鮮政府べったりという訳ではなく、中には政府の案内員(ガイド兼監視役)を煙に巻いて村民に直接手渡しで援助しようとしている活動家もいるのです。
私自身はどうかというと、前から言っているように、北朝鮮への経済制裁も、その反対の日朝国交正常化も、正直言って「どちらが正論か」態度を決めかねているのが本音です。何故かと言えば、一番肝心な当事者である「当の北朝鮮人民がどちらを支持しているのか」が、依然として見えてこないからです。
確かに、断片的な情報は色々伝わってきます。「喜び組」から「コッチェビ」の映像まで。しかし、当の(権力者でないごく普通の)北朝鮮人民が「金正日体制を一体どう捉えているのか」という一番肝心な事が、日本ではなかなか見てこないのです。相変わらず個人崇拝の対象として崇め奉られているのか、それとも東欧圏崩壊前夜のポーランド・ハンガリー・東ドイツや、パンチャヤット崩壊前夜のネパール、アパルトヘイト崩壊前夜の南アの様な状況にまで民衆の覚醒が進んでいるのか、その所が実際には曖昧模糊としている。逆に覚醒どころか、長年に渡る情報鎖国と移動の自由の制限(大阪で例えると、西成から八尾に移動するのにも当局の許可が必要)によって、他国だけでなく自国の北朝鮮の事も、自分の身の回りの事以外は一切知らない(1969年のアポロ月面着陸のニュースも知らなかった)、そういう話も出ていました。
若し前者の様な状況ならば、そんな体制相手に徒に宥和政策に拘泥していても仕方が無いし、反対に後者の様な状況ならば、そんな状況でいきなり外部からお仕着せの「民主主義」を押付けたって、イラクの二の舞にしかならない。元ロシア工作員のリトビネンコ氏の毒殺疑惑絡みで「ロシアは恐ろしい、怖い国」と言わんばかりの排外主義キャンペーンが一部で流されています(事実余り褒められた人権状況でないのは確かです)が、あのロシアのプーチン独裁政権にしても「民主化」の中から生まれたものであるにも関わらず、当時の「民主化」を手放しで礼賛した連中が今になってロシア・バッシングに興じているのも、何だかね。
それに対して、実際の所はどうなのか。昨年末の日本テレビ系列の北朝鮮ルポで、国内北朝鮮人のよるビデオ・インタビューの場面が出ていましたが、いくら非公然とはいえ、あそこまで堂々と撮影できるのか、そこまで情報鎖国が緩んでいるのか、それを実は当日に石丸さんにお聞きしたかったのですが、とうとう聞けず仕舞で残念でした。
以上が、私が「経済制裁か日朝国交正常化か」の二者択一の踏み絵に対しては、態度を保留している理由です。漏れ伝わってきた噂によれば、私はどうやらネット界では「制裁反対・国交正常化推進派」に色分けされている様なので、この場で改めて立場表明をしておきます。
しかもオマケにこの事で、数年前に拙サイトの、出来て間無しの当時の旧掲示板にいきなりやってきて、「態度保留の権利も認めない」と、運営趣旨にまで散々難癖をつけて出て行った、トラブル件数の数だけHNを持つ(わら)某「ラ帝・勝共豚」が、どこかでまたまた内ゲバをやらかした折に、そこで何と、いきなり外野の私の名前を挙げて、お門違いな内ゲバの場にまで過去のこの経緯を持ち出していた様ですが、迷惑千万な話です。こちらは折角忘れかけてやっていたのに、けったくそ悪いったらありゃしない。「分らない事については意見表明を差し控え、とりあえず目の前の苦難の救援を優先する」、これの一体どこが悪いのでしょうかね。それで数年前の話をまたぞろ、しかも私とは何の関係も無い話の場にまで唐突に自分から持ち出してきて、未練たらしい事この上ない。
もう一つの立場表明は、私の北朝鮮批判の立脚点は、「救う会」系などに典型的な「日本人が拉致された、日本国家が蔑ろにされた」というのとは、質的に全然違うという事です。私の場合は、かつての「北朝鮮・スターリン生協」での勤務経験もあって、「ああいう究極の人権抑圧、ヤラセ・格差社会は許せない」という、謂わば「スターリン主義的なもの」に対する嫌悪感から来ています。
私の北朝鮮批判は格差・差別・抑圧・不正義に対する憤りから来るのであって、「国家」がどうのこうのという意識は殆どありません。だから北朝鮮だけでなく、その合わせ鏡の「和風・北朝鮮」=ブッシュ・小泉・安倍政治にも激しく抗うのです。最近は「救う会」支援者の拉致板界隈も、ネオコンの「安倍派」とネオリベの「小泉カムバック待望派」に分かれている様ですが、私にとっては「どちらも同じ穴の狢」「どちらもゴメン蒙る」としか言いようがありません。
シンポジュームでも最後の方の発言で出ていましたが、「北朝鮮と同じ論理で北朝鮮を批判しても仕方が無い」「我々はあくまで日本国憲法や世界人権宣言の観点から北朝鮮の国家体制を批判し人民に手を差し伸べていく」―これに尽きると思います。「制裁か宥和か」の二者択一の踏み絵に徒に振り回されるような愚は避け、あくまでも前述の立場に軸足を置いて、とりあえず目の前の北朝鮮人民や脱北者の方の苦難軽減に少しでもお役に立てる事が出来れば―そういう気持ちでいます。現在日本にいる脱北者の方の大半が、大阪の生野・八尾・東大阪近辺に集中居住している事も、シンポジュームに出て初めて知りました。実は自分の身近な地域の問題でもあったのだと、今更ながら思いました。
昨年11月29日に初投稿の前号に引き続き第2弾という事で、今回は北朝鮮関連だけになりますが、私自身がネットで見つけたものやメールで回ってきたものの中から「これは」というモノを、下記に掲載しておきます。
●シンポジウム 北朝鮮とどう向き合うか
~東アジアの平和と人権を求めて~
<日 時> 2007年1月21日(日) 午後1時30分~午後5時
<場 所> KCC会館(在日韓国基督教会館)
大阪市生野区中川2-6-10
<発言者>
小牧輝夫さん(国士舘大21世紀アジア学部長)
郭辰雄さん(コリアNGOセンター運営委員長)
波佐場清さん(朝日新聞元ソウル支局長)
石丸次郎さん(アジアプレス)
<コメンテーター>
古野喜政さん(毎日新聞元ソウル支局長、アムネスティ大阪応援団)
在日コリアンの脱北者の方
<資料代> 1000円
<主 催> 「北朝鮮とどう向き合うか」実行委員会
(社)アムネスティインターナショナル日本・コリアチーム
日本ジャーナリスト会議関西支部(JCL)
自由ジャーナリストクラブ(JCL)
ジャーナリストネットほか
<連絡先> 06-6727-8400
http://korea-ngo.org/pdf/12.pdf
●フォーラム「北朝鮮帰国者運動とは何だったのか」
[日時]
・2007年2月3日(土)
[タイムテーブル]
・17時00分 - 開場
・17時45分 - 18時00分 プログラム-1:ビデオ上映
・18時00分 - 18時15分 プログラム-2:ミニコンサート
・18時15分 - 18時30分 休憩(15分)
・18時30分 - 20時30分 プログラム-3:パネルディスカッション
[プログラム-1:ビデオ上映]
・「語られなかった北朝鮮帰国者問題」(制作:IAW 太田慎一)
[プログラム-2:ミニコンサート]
・田 月 仙(チョン・ウォルソン)
<曲目> 「高麗山河わが愛」/「ふるさと」/「故郷の春」
[プログラム-3:パネルディスカッション]
・宮塚利雄(みやづか としお) :山梨学院大学 教授
・石丸次郎(いしまる じろう) :アジアプレス・インターナショナル
・田 月仙(チョン・ウォルソン):声楽家
・河 炳俊(ハ・ビョンジュン) :コリア渡来人協会 代表
・坂中英徳(さかなか ひでのり):脱北帰国者支援機構 代表
[会場]
・新宿明治安田生命ホール
住所:〒160 - 0023 東京都新宿区西新宿1 - 9 - 1
URL:http://meijiyasuda-life-hall.com/
[入場料]
・¥1.000-(資料含)
[主催]
・脱北帰国者支援機構
住所:〒101-0061東京都千代田区三崎町3-6-14 第2ハンタービル3階
電話:03-5214-3839 FAX:03-5214-3838
URL:http://www.kikokusyashien.com
●シンポジウム 北朝鮮とどう向き合うか
~東アジアの平和と人権を求めて~
<日 時> 2007年1月21日(日) 午後1時30分~午後5時
<場 所> KCC会館(在日韓国基督教会館)
大阪市生野区中川2-6-10
<発言者>
小牧輝夫さん(国士舘大21世紀アジア学部長)
郭辰雄さん(コリアNGOセンター運営委員長)
波佐場清さん(朝日新聞元ソウル支局長)
石丸次郎さん(アジアプレス)
<コメンテーター>
古野喜政さん(毎日新聞元ソウル支局長、アムネスティ大阪応援団)
在日コリアンの脱北者の方
<資料代> 1000円
<主 催> 「北朝鮮とどう向き合うか」実行委員会
(社)アムネスティインターナショナル日本・コリアチーム
日本ジャーナリスト会議関西支部(JCL)
自由ジャーナリストクラブ(JCL)
ジャーナリストネットほか
<連絡先> 06-6727-8400
http://korea-ngo.org/pdf/12.pdf
●フォーラム「北朝鮮帰国者運動とは何だったのか」
[日時]
・2007年2月3日(土)
[タイムテーブル]
・17時00分 - 開場
・17時45分 - 18時00分 プログラム-1:ビデオ上映
・18時00分 - 18時15分 プログラム-2:ミニコンサート
・18時15分 - 18時30分 休憩(15分)
・18時30分 - 20時30分 プログラム-3:パネルディスカッション
[プログラム-1:ビデオ上映]
・「語られなかった北朝鮮帰国者問題」(制作:IAW 太田慎一)
[プログラム-2:ミニコンサート]
・田 月 仙(チョン・ウォルソン)
<曲目> 「高麗山河わが愛」/「ふるさと」/「故郷の春」
[プログラム-3:パネルディスカッション]
・宮塚利雄(みやづか としお) :山梨学院大学 教授
・石丸次郎(いしまる じろう) :アジアプレス・インターナショナル
・田 月仙(チョン・ウォルソン):声楽家
・河 炳俊(ハ・ビョンジュン) :コリア渡来人協会 代表
・坂中英徳(さかなか ひでのり):脱北帰国者支援機構 代表
[会場]
・新宿明治安田生命ホール
住所:〒160 - 0023 東京都新宿区西新宿1 - 9 - 1
URL:http://meijiyasuda-life-hall.com/
[入場料]
・¥1.000-(資料含)
[主催]
・脱北帰国者支援機構
住所:〒101-0061東京都千代田区三崎町3-6-14 第2ハンタービル3階
電話:03-5214-3839 FAX:03-5214-3838
URL:http://www.kikokusyashien.com
私はこの正月は仕事でテレビも殆ど見ませんでしたが、唯一の例外が1月2日夜9時からNHK総合テレビで放送された特集番組「青海チベット鉄道~世界の屋根2000キロをゆく~」です。この番組は鉄道マニアの端くれとしてじっくり堪能させてもらいました。
中国の省・自治区の中でチベットだけは未だ鉄道が開通していなかったのですが、それが昨年の夏に開通して旅客営業を開始した(形式上は未だ試運転期間らしいが)という事で、NHKが取材してきました。番組では、鉄道建設の苦労や、高地鉄道特有の様々な工夫、沿線の自然・風土、乗客の素顔などを映し出していました。
車内ゴミの完全回収システムなどの環境対策や、酸素吸入器が車内に備え付けられ高山病対策が施されている事など、個々の点については私があれこれ書くよりも記事末尾添付の参考資料の方が詳しいので、そちらを参照して下さい。ただ、次の点だけはその参考資料にも記述が見当たらなかったので、ここで補足しておきます。
鉄道建設に際してはチベット高原の永久凍土対策に悩まされたそうです。永久凍土の上に直に線路を引いたのでは熱で地盤が緩んでしまいますので、その対策として、特殊な措置を施した冷気通風用の配管パイプが線路に沿って何本も並んでいました。また、トンネル工事の際にも冷気をトンネル内に送り込んで地盤の緩みを防いだそうです。
今までは南米のアンデス山脈を横切るペルー中央鉄道のティクリオ峠(海抜4781m)が世界最高所の鉄道通過地点でしたが、今回の青海チベット鉄道(青蔵鉄道とも言う)の全通で、その記録はチベット高原のタングラ峠(同5072m)に塗り替えられました。そういう事もあって、この鉄道には世界各地から観光客も大勢押しかけていました。番組ではイタリアや台湾からの観光客の姿が、出稼ぎから帰郷中のチベット人家族と併せて映し出されていました。そして、車窓から見るココシリ自然保護区の野生動物の姿や、崑崙山脈、黄河・長江源流地帯、ニェンチェンタングラ山系の雄姿を堪能させてもらいました。
この青蔵鉄道については、中国のチベット弾圧政策に引き寄せて、鉄道開通をことさら揶揄する<だけ>のサイトも散見されます(2chなどはその筆頭)。こういう見方に対しては、鉄道ファンの端くれとしては少し抵抗を感じます。鉄道開通によって中国のチベット侵略が助長されるという指摘自体は決して間違ってはいないと思いますが、それを言い出せば米国・豪州の大陸横断鉄道やロシアのシベリア・バム鉄道、日本の北海道や第三世界の旧植民地の鉄道などもみんなそうです。
朝鮮半島の鉄道なども元々は日本が日清戦争の兵員輸送の為に敷設したものですし、アフリカ・エリトリアの鉄道などはエチオピア侵略の為にイタリアが敷設したものです。ペルーのインカ世界遺産・マチュピチュに行くのに乗る観光鉄道も、元々はキヤバンバ地方のコーヒーをモノカルチャー輸出する為に外国資本が敷いたものです。それを抜きにして青蔵鉄道の場合<だけ>をことさら貶めるのは、フェアじゃないと私は思います。
ただNHKもNHKです。如何にお正月番組の旅行記だとは言え、流石にあの内容では「中国政府のプロパガンダだ」と言われても仕方がありません。いくら中国政府の協力・協賛によって作られた番組であったとしても、チベット動乱の歴史に直接触れるのは無理としても、取材・編集の仕方によってはもう少し陰の部分も取り上げる事が出来たのではと思います。
そう思って番組の場面を思い返すと、また別の側面も垣間見えてきます。例えば、列車には豪華な食堂車が併設されていて、ビジネスマンや外国人観光客などはそこで中国料理を堪能していましたが、チベット人の帰郷客などは車内販売の弁当やカップ麺やパンで食事を済ませていました。車内販売の弁当はご飯に野菜炒めと目玉焼きの副菜がついて、別にチキンを焼いたやつなども売っていて、これはこれで結構美味しそうでしたが、やはり食堂車のメニューと比べるとかなり見劣りがします。
また観光客や帰省客に混じって、ラサにメノウやヒスイの行商に行くチベット人の若者の姿や、外の景色には眼もくれずにコンパートメントで商談に耽っている中国人ビジネスマンの姿を映し出していましたが、前者の若者は如何にも山師風の雰囲気を漂わせていましたし、後者の中国人ビジネスマンに至っては「大量仕入れでチベットで安くモノが売れる」という意味の事を言っていました。そのダンピングによってチベットの域内産業や現地住民の暮らしがどうなるかという事には全然無頓着というか、もうむき出しのグローバリズムというか、かつて中国を侵略した帝国主義者も斯くやと思わせるような事を。
そして番組では、今回開通した青海省・ゴルムドとチベット・ラサの間の鉄道にほぼ並行して走っている国道(青蔵公路)を、乗用車やトラックが疾走する横で五体投地を繰り返しながら数ヶ月かけて巡礼の旅を続けているチベット人たちの姿も映し出していました。その中で、チベット人たちが五体投地を繰り返すのを尻目に見ながら列車が横の線路を駆け抜けていき、それを見た巡礼者がNHKのインタビューに対して「何か変な気持ちだ」と答えている場面がありました。多分この巡礼者の心の中に去来したのは、「ラサまで鉄道に乗れば一足飛びに行けるのに、俺は一体何をやっているのだろう」という言い知れぬ虚無感だったろうと思います。巡礼者を、人の心をそんな荒廃した惨めな気持ちにさせる開発って、一体何なんだろうか。そういう意味でも、いろいろ考えさせられた番組でした。
・青海チベット鉄道~世界の屋根2000キロをゆく~(NHK年末年始特集番組)
http://www.nhk.or.jp/winter/gtv/gtv_61.html
・青海チベット鉄道(中国登山・トレッキング相談所)
http://www1.vecceed.ne.jp/~watagi/page013.html
・チベット鉄道紀行(同上)
http://www1.vecceed.ne.jp/~watagi/page015.html
・チベットではこんなことが起きている(超入門チベット問題)
http://www.tibet.to/mondai/mondai2.htm
・現在のチベットの状況(ダライ・ラマ法王日本代表部事務所)
http://www.tibethouse.jp/situation/index.html#12
・映画「ココシリ」公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/mountainpatrol/site/top.html
中国の省・自治区の中でチベットだけは未だ鉄道が開通していなかったのですが、それが昨年の夏に開通して旅客営業を開始した(形式上は未だ試運転期間らしいが)という事で、NHKが取材してきました。番組では、鉄道建設の苦労や、高地鉄道特有の様々な工夫、沿線の自然・風土、乗客の素顔などを映し出していました。
車内ゴミの完全回収システムなどの環境対策や、酸素吸入器が車内に備え付けられ高山病対策が施されている事など、個々の点については私があれこれ書くよりも記事末尾添付の参考資料の方が詳しいので、そちらを参照して下さい。ただ、次の点だけはその参考資料にも記述が見当たらなかったので、ここで補足しておきます。
鉄道建設に際してはチベット高原の永久凍土対策に悩まされたそうです。永久凍土の上に直に線路を引いたのでは熱で地盤が緩んでしまいますので、その対策として、特殊な措置を施した冷気通風用の配管パイプが線路に沿って何本も並んでいました。また、トンネル工事の際にも冷気をトンネル内に送り込んで地盤の緩みを防いだそうです。
今までは南米のアンデス山脈を横切るペルー中央鉄道のティクリオ峠(海抜4781m)が世界最高所の鉄道通過地点でしたが、今回の青海チベット鉄道(青蔵鉄道とも言う)の全通で、その記録はチベット高原のタングラ峠(同5072m)に塗り替えられました。そういう事もあって、この鉄道には世界各地から観光客も大勢押しかけていました。番組ではイタリアや台湾からの観光客の姿が、出稼ぎから帰郷中のチベット人家族と併せて映し出されていました。そして、車窓から見るココシリ自然保護区の野生動物の姿や、崑崙山脈、黄河・長江源流地帯、ニェンチェンタングラ山系の雄姿を堪能させてもらいました。
この青蔵鉄道については、中国のチベット弾圧政策に引き寄せて、鉄道開通をことさら揶揄する<だけ>のサイトも散見されます(2chなどはその筆頭)。こういう見方に対しては、鉄道ファンの端くれとしては少し抵抗を感じます。鉄道開通によって中国のチベット侵略が助長されるという指摘自体は決して間違ってはいないと思いますが、それを言い出せば米国・豪州の大陸横断鉄道やロシアのシベリア・バム鉄道、日本の北海道や第三世界の旧植民地の鉄道などもみんなそうです。
朝鮮半島の鉄道なども元々は日本が日清戦争の兵員輸送の為に敷設したものですし、アフリカ・エリトリアの鉄道などはエチオピア侵略の為にイタリアが敷設したものです。ペルーのインカ世界遺産・マチュピチュに行くのに乗る観光鉄道も、元々はキヤバンバ地方のコーヒーをモノカルチャー輸出する為に外国資本が敷いたものです。それを抜きにして青蔵鉄道の場合<だけ>をことさら貶めるのは、フェアじゃないと私は思います。
ただNHKもNHKです。如何にお正月番組の旅行記だとは言え、流石にあの内容では「中国政府のプロパガンダだ」と言われても仕方がありません。いくら中国政府の協力・協賛によって作られた番組であったとしても、チベット動乱の歴史に直接触れるのは無理としても、取材・編集の仕方によってはもう少し陰の部分も取り上げる事が出来たのではと思います。
そう思って番組の場面を思い返すと、また別の側面も垣間見えてきます。例えば、列車には豪華な食堂車が併設されていて、ビジネスマンや外国人観光客などはそこで中国料理を堪能していましたが、チベット人の帰郷客などは車内販売の弁当やカップ麺やパンで食事を済ませていました。車内販売の弁当はご飯に野菜炒めと目玉焼きの副菜がついて、別にチキンを焼いたやつなども売っていて、これはこれで結構美味しそうでしたが、やはり食堂車のメニューと比べるとかなり見劣りがします。
また観光客や帰省客に混じって、ラサにメノウやヒスイの行商に行くチベット人の若者の姿や、外の景色には眼もくれずにコンパートメントで商談に耽っている中国人ビジネスマンの姿を映し出していましたが、前者の若者は如何にも山師風の雰囲気を漂わせていましたし、後者の中国人ビジネスマンに至っては「大量仕入れでチベットで安くモノが売れる」という意味の事を言っていました。そのダンピングによってチベットの域内産業や現地住民の暮らしがどうなるかという事には全然無頓着というか、もうむき出しのグローバリズムというか、かつて中国を侵略した帝国主義者も斯くやと思わせるような事を。
そして番組では、今回開通した青海省・ゴルムドとチベット・ラサの間の鉄道にほぼ並行して走っている国道(青蔵公路)を、乗用車やトラックが疾走する横で五体投地を繰り返しながら数ヶ月かけて巡礼の旅を続けているチベット人たちの姿も映し出していました。その中で、チベット人たちが五体投地を繰り返すのを尻目に見ながら列車が横の線路を駆け抜けていき、それを見た巡礼者がNHKのインタビューに対して「何か変な気持ちだ」と答えている場面がありました。多分この巡礼者の心の中に去来したのは、「ラサまで鉄道に乗れば一足飛びに行けるのに、俺は一体何をやっているのだろう」という言い知れぬ虚無感だったろうと思います。巡礼者を、人の心をそんな荒廃した惨めな気持ちにさせる開発って、一体何なんだろうか。そういう意味でも、いろいろ考えさせられた番組でした。
・青海チベット鉄道~世界の屋根2000キロをゆく~(NHK年末年始特集番組)
http://www.nhk.or.jp/winter/gtv/gtv_61.html
・青海チベット鉄道(中国登山・トレッキング相談所)
http://www1.vecceed.ne.jp/~watagi/page013.html
・チベット鉄道紀行(同上)
http://www1.vecceed.ne.jp/~watagi/page015.html
・チベットではこんなことが起きている(超入門チベット問題)
http://www.tibet.to/mondai/mondai2.htm
・現在のチベットの状況(ダライ・ラマ法王日本代表部事務所)
http://www.tibethouse.jp/situation/index.html#12
・映画「ココシリ」公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/mountainpatrol/site/top.html
昨日18時半から日本テレビ系列で放送された緊急特集番組「お前は誰だ 金正日が怖れる男・・・リ・ジュン」を見ました。
私、実を言うと、もう最近は「北朝鮮モノ」番組には辟易していました。何故かと言うと、最近のこの手の番組と言うのはもう、視聴率稼ぎのお涙頂戴か、興味本位でヘイトスピーチ・戦争扇動の北朝鮮・在日バッシングか、安倍・ネオコンの提灯持ち番組か、ばかりだったので。特に命令放送以後はNHKのニュースも心持ちそんな報道ばかりがやたらと目に付き出して。その裏で、教育基本法"やらせ改悪"のニュースは大手全国紙でも準三面記事扱いで、Yahoo!ニュースでもトップページに約30分間流しただけで後は直ぐに他の話題と差し替えられていた。この間そういう情報操作を露骨に見せ付けられていたので、最初にこの番組の見出しを見た時も、どうせ安倍官邸筋の息のかかった「やらせ・準国策」番組だろうとタカをくくっていたのです。
しかし、番組のソースがアジアプレスの石丸次郎氏で、拉致板界隈だけでなく拙ブログ周辺界隈でも話題に上りだしたので、俄然興味が湧いてきて急遽見る事にしました。近頃跋扈しているその手のキワモノ番組とは異なり、非常に良い番組でした。
妻や娘を飢餓で亡くし決死の想いで国境の豆満江を渡って中国に脱北したリ・ジュン(仮名)が、現地で脱北者取材を続けていた石丸次郎氏と出会い、石丸氏からビデオ撮影の技術を学んで再び北朝鮮に潜入し、北朝鮮の内情をビデオ撮影。ここに、史上初の北朝鮮人国内反体制ジャーナリストが誕生しました。
北朝鮮の内情については、今までもRENKなどが撮影したビデオがあるのですが、如何せん、それらは脱北の様子や国内反体制ビラの隠し撮りまでが精一杯で、その反体制ビラにしても、それがどれだけの裾野を持って北朝鮮国内で流通しているのかが、イマイチよく分りませんでした。
それに対してリ・ジュンのビデオは、名も無き民衆の実際の生活の様子を、克明にしかも広範囲に捉えていて、非常に説得力がありました。移動中の鉄道車内で通行許可証を持たない親子が乗務員につまみ出されている様子、電力供給が滞り度々臨時停車を余儀なくされた車内の乗客が外に出て女性も化粧直しに余念が無い様子、金目のものと交換する為に肥料の積み込み現場で貨物列車に群がり落ちこぼれた肥料をかき集めている群衆の様子などが撮影されていました。
また、それを統制強化で乗り切ろうとしている様子や、その統制が全然機能しなくなっている様子も。糾察隊の腕章をつけた女性が街中を練り歩いたりしているのですが、民衆はもうそんな奴らの言う事など馬耳東風で好き勝手な事をしています。
清津(チョンチン)では、製鉄所の職員がもうずっと給料が支払われないので職場全体で工場をホッポリ出して屑拾いに専念していたり、コッチェビ(ホームレスの孤児)の存在を尻目に真昼間から川原でバーベキュー大会をしている男女が大勢いて派手な歌舞音曲に興じて糾察隊もお手上げの状況だったり。その横で先軍政治で優遇されている筈の人民軍兵士が腹をすかせて寝そべっていた。鉄道車内でも、帰郷中の若者兵士が栄養失調の余り食べ物を一切受け付けなくなって横たわっていた。
北朝鮮では職場の出勤状況を逐一警察に報告しなければならないのだそうですが、その一方で食う為、生きる為の職場放棄があちこちで広がっている。この様子では警察の方も、適当な報告をでっち上げて後は自分たちも屑拾いに出掛けていっているのではないか、そういう気がします。国内統制という点では戦時中の日本も同じ様なものでしたが、北朝鮮の場合はもう配給網自体が完全に崩壊してしまっています。この様な状況では、如何に軍国青年・乙女と言えども、生き抜く為には職場を放棄するしか他に方法がない。
その中でもとりわけ興味を引いたのが朝鮮労働党地方幹部へのインタビュー。党・政府が掲げている「強盛大国」のスローガンが、豊かな国を意味するのではなく、ただただ核保有だけを意味していた事を上の方から初めて聞かされて、「俺は今まで騙されていた」と地方幹部が思わず漏らしてしまうくだりです。先の飢えた人民軍兵士の映像と言いこの幹部の発言と言い、金正日体制は既に中間支配層からも見捨てられつつあるのではないか。
ただ一つ疑問に思うのは、リ・ジュンが何故こんなにビデオ取材やインタビューまでやってのける事が出来るのか、という事です。「決死の覚悟で取材敢行」という割には、余りにも手際が良すぎるというか。番組では「最近北朝鮮では結婚式をビデオに録画しておく事が流行している」という話が紹介されていたので、ビデオ取材も別段物珍しいものではなくなってきているという事なのでしょうか。ビデオ自体も、庶民にとっては相変わらず高嶺の花ではあっても、一昔みたいに「見た事も触った事も無い」状況では無くなってきているのかも。事実、平壌の上層市民の間では携帯電話も使われ始めていると言うし。仮にも石丸次郎プロデュース・アジアプレス責任編集の特集番組と銘打つ以上は、他のヤラセ紛いの興味本位なワイドショー番組とは一線を画しているとは思っていますが。
この番組が他の北朝鮮モノと決定的に違うのは、北朝鮮国内現地の住民生活や民衆の息吹が直に伝えられている点です。他の北朝鮮モノ番組が、やれ金ファミリーの後継者がどうたら「喜び組」がこうたら、金正日やブッシュや安倍がどう言ったこう言ったとかいう事ばかりを興味本位に垂れ流しているだけなのに対して、この番組はそうではなく、「国内現地の民衆がどう考えているか、情報をどう受け止めているか」という一番肝心な事を伝えてくれている点です。それも「民衆の解放」という立場にしっかり視点を据えて。金正日批判ビラが国内で蒔かれたとか、そういう情報も従来から在るには在りましたが、今までは断片的な情報に止まり、それが国内で実際にどれだけ大衆的な広がりを有しているかという一番肝心な事がよく分りませんでした。そういう情報は全て「脱北者の伝言」という形でしか得られませんでした。ところが今回、それがこういう形で伝えられました。
勿論、今回伝えられた「民衆の息吹」も、敢えて穿った見方をすれば、確かに北朝鮮国内の一断面にしか過ぎないのかも知れません。また、革命情勢(民衆生活の困窮)が自動的に革命に結びつく訳でも勿論ありません。当該番組の中でもコメンテーターの一人が、「民衆は強かだが、動物的な生存要求のレベルに止まっている(そのままでは政治変革には直結しない)」という意味の事を言っていました。但しそれは日本でも同じ事です。日本にもワーキング・プアだけでなくヒルズ族や安倍・小泉・石原支持者もゴマンと居ます。
問題は、そのどちらかより本質的・根源的で、取り上げられなければならない事柄かという事です。NHKのワーキング・プア特集番組の編集者に対して「ド貧民が、必死だな」というメールを送りつけて来るような"人間のクズ"と心性を同じくする輩が、さも尤もらしく北朝鮮の格差・階級社会を批判しても、そんなモノが人の心に響く事はありません。それに対して、「民衆の解放」を視座に据え、その息吹を伝えた取材こそが、真に人の心に迫ってくるのです。今回はそういう意味では、稀に見る良質の取材番組でした。リ・ジュンが起爆剤となって、更に多くの北朝鮮国内反体制ジャーナリストが後に続く事を祈って。
・緊急生SP「お前は誰だ」公式HP(日本テレビ)
http://www.ntv.co.jp/sunday/scoop/
・同上番組の案内ページ(アジアプレス)
http://asiapress.org/
(番外編)
・しょこたん☆ぶろぐ
確か中川翔子も上記番組にコメンテーターの一人として出ていて、ブログに番組の感想を載せるとかいう話も出てなかったっけ・・・(半分・怒)。
http://yaplog.jp/strawberry2/
私、実を言うと、もう最近は「北朝鮮モノ」番組には辟易していました。何故かと言うと、最近のこの手の番組と言うのはもう、視聴率稼ぎのお涙頂戴か、興味本位でヘイトスピーチ・戦争扇動の北朝鮮・在日バッシングか、安倍・ネオコンの提灯持ち番組か、ばかりだったので。特に命令放送以後はNHKのニュースも心持ちそんな報道ばかりがやたらと目に付き出して。その裏で、教育基本法"やらせ改悪"のニュースは大手全国紙でも準三面記事扱いで、Yahoo!ニュースでもトップページに約30分間流しただけで後は直ぐに他の話題と差し替えられていた。この間そういう情報操作を露骨に見せ付けられていたので、最初にこの番組の見出しを見た時も、どうせ安倍官邸筋の息のかかった「やらせ・準国策」番組だろうとタカをくくっていたのです。
しかし、番組のソースがアジアプレスの石丸次郎氏で、拉致板界隈だけでなく拙ブログ周辺界隈でも話題に上りだしたので、俄然興味が湧いてきて急遽見る事にしました。近頃跋扈しているその手のキワモノ番組とは異なり、非常に良い番組でした。
妻や娘を飢餓で亡くし決死の想いで国境の豆満江を渡って中国に脱北したリ・ジュン(仮名)が、現地で脱北者取材を続けていた石丸次郎氏と出会い、石丸氏からビデオ撮影の技術を学んで再び北朝鮮に潜入し、北朝鮮の内情をビデオ撮影。ここに、史上初の北朝鮮人国内反体制ジャーナリストが誕生しました。
北朝鮮の内情については、今までもRENKなどが撮影したビデオがあるのですが、如何せん、それらは脱北の様子や国内反体制ビラの隠し撮りまでが精一杯で、その反体制ビラにしても、それがどれだけの裾野を持って北朝鮮国内で流通しているのかが、イマイチよく分りませんでした。
それに対してリ・ジュンのビデオは、名も無き民衆の実際の生活の様子を、克明にしかも広範囲に捉えていて、非常に説得力がありました。移動中の鉄道車内で通行許可証を持たない親子が乗務員につまみ出されている様子、電力供給が滞り度々臨時停車を余儀なくされた車内の乗客が外に出て女性も化粧直しに余念が無い様子、金目のものと交換する為に肥料の積み込み現場で貨物列車に群がり落ちこぼれた肥料をかき集めている群衆の様子などが撮影されていました。
また、それを統制強化で乗り切ろうとしている様子や、その統制が全然機能しなくなっている様子も。糾察隊の腕章をつけた女性が街中を練り歩いたりしているのですが、民衆はもうそんな奴らの言う事など馬耳東風で好き勝手な事をしています。
清津(チョンチン)では、製鉄所の職員がもうずっと給料が支払われないので職場全体で工場をホッポリ出して屑拾いに専念していたり、コッチェビ(ホームレスの孤児)の存在を尻目に真昼間から川原でバーベキュー大会をしている男女が大勢いて派手な歌舞音曲に興じて糾察隊もお手上げの状況だったり。その横で先軍政治で優遇されている筈の人民軍兵士が腹をすかせて寝そべっていた。鉄道車内でも、帰郷中の若者兵士が栄養失調の余り食べ物を一切受け付けなくなって横たわっていた。
北朝鮮では職場の出勤状況を逐一警察に報告しなければならないのだそうですが、その一方で食う為、生きる為の職場放棄があちこちで広がっている。この様子では警察の方も、適当な報告をでっち上げて後は自分たちも屑拾いに出掛けていっているのではないか、そういう気がします。国内統制という点では戦時中の日本も同じ様なものでしたが、北朝鮮の場合はもう配給網自体が完全に崩壊してしまっています。この様な状況では、如何に軍国青年・乙女と言えども、生き抜く為には職場を放棄するしか他に方法がない。
その中でもとりわけ興味を引いたのが朝鮮労働党地方幹部へのインタビュー。党・政府が掲げている「強盛大国」のスローガンが、豊かな国を意味するのではなく、ただただ核保有だけを意味していた事を上の方から初めて聞かされて、「俺は今まで騙されていた」と地方幹部が思わず漏らしてしまうくだりです。先の飢えた人民軍兵士の映像と言いこの幹部の発言と言い、金正日体制は既に中間支配層からも見捨てられつつあるのではないか。
ただ一つ疑問に思うのは、リ・ジュンが何故こんなにビデオ取材やインタビューまでやってのける事が出来るのか、という事です。「決死の覚悟で取材敢行」という割には、余りにも手際が良すぎるというか。番組では「最近北朝鮮では結婚式をビデオに録画しておく事が流行している」という話が紹介されていたので、ビデオ取材も別段物珍しいものではなくなってきているという事なのでしょうか。ビデオ自体も、庶民にとっては相変わらず高嶺の花ではあっても、一昔みたいに「見た事も触った事も無い」状況では無くなってきているのかも。事実、平壌の上層市民の間では携帯電話も使われ始めていると言うし。仮にも石丸次郎プロデュース・アジアプレス責任編集の特集番組と銘打つ以上は、他のヤラセ紛いの興味本位なワイドショー番組とは一線を画しているとは思っていますが。
この番組が他の北朝鮮モノと決定的に違うのは、北朝鮮国内現地の住民生活や民衆の息吹が直に伝えられている点です。他の北朝鮮モノ番組が、やれ金ファミリーの後継者がどうたら「喜び組」がこうたら、金正日やブッシュや安倍がどう言ったこう言ったとかいう事ばかりを興味本位に垂れ流しているだけなのに対して、この番組はそうではなく、「国内現地の民衆がどう考えているか、情報をどう受け止めているか」という一番肝心な事を伝えてくれている点です。それも「民衆の解放」という立場にしっかり視点を据えて。金正日批判ビラが国内で蒔かれたとか、そういう情報も従来から在るには在りましたが、今までは断片的な情報に止まり、それが国内で実際にどれだけ大衆的な広がりを有しているかという一番肝心な事がよく分りませんでした。そういう情報は全て「脱北者の伝言」という形でしか得られませんでした。ところが今回、それがこういう形で伝えられました。
勿論、今回伝えられた「民衆の息吹」も、敢えて穿った見方をすれば、確かに北朝鮮国内の一断面にしか過ぎないのかも知れません。また、革命情勢(民衆生活の困窮)が自動的に革命に結びつく訳でも勿論ありません。当該番組の中でもコメンテーターの一人が、「民衆は強かだが、動物的な生存要求のレベルに止まっている(そのままでは政治変革には直結しない)」という意味の事を言っていました。但しそれは日本でも同じ事です。日本にもワーキング・プアだけでなくヒルズ族や安倍・小泉・石原支持者もゴマンと居ます。
問題は、そのどちらかより本質的・根源的で、取り上げられなければならない事柄かという事です。NHKのワーキング・プア特集番組の編集者に対して「ド貧民が、必死だな」というメールを送りつけて来るような"人間のクズ"と心性を同じくする輩が、さも尤もらしく北朝鮮の格差・階級社会を批判しても、そんなモノが人の心に響く事はありません。それに対して、「民衆の解放」を視座に据え、その息吹を伝えた取材こそが、真に人の心に迫ってくるのです。今回はそういう意味では、稀に見る良質の取材番組でした。リ・ジュンが起爆剤となって、更に多くの北朝鮮国内反体制ジャーナリストが後に続く事を祈って。
・緊急生SP「お前は誰だ」公式HP(日本テレビ)
http://www.ntv.co.jp/sunday/scoop/
・同上番組の案内ページ(アジアプレス)
http://asiapress.org/
(番外編)
・しょこたん☆ぶろぐ
確か中川翔子も上記番組にコメンテーターの一人として出ていて、ブログに番組の感想を載せるとかいう話も出てなかったっけ・・・(半分・怒)。
http://yaplog.jp/strawberry2/
拉致被害者の蓮池薫さんが北朝鮮に連れ去られた後、工作員として日本に再上陸して自らも拉致を行っていたという記事が、今週発売の「週刊現代」に掲載されています。
この話が拉致板界隈で話題になっていた事は、私も数日前に知りましたが、私はてっきりガセネタだと思っていました。確かに今になって考えてみれば、北朝鮮に拉致されたり渡ったりした人が、彼の地で洗脳されて工作員として再び日本にやって来る可能性も、必ずしも無きにしも非ずです。実際、有本恵子さんを拉致したよど号ハイジャック犯の八尾恵の例もあります。ただ、まさか蓮池さんもそうかも知れないとは、ちょっと考えられませんでした。但し万が一その可能性があったとしても、指弾されるべきなのは蓮池さんでなく、彼を無理やり工作員に仕立て上げた北朝鮮政府の方ですが。
だから「週刊現代」がその記事を載せたのを目にした時には我ながらびっくりして、早速昨日その雑誌を買って読みました。当該記事の要旨は、1986年3月に、当時愛知県下の小学校教員だった横井邦彦さんという人が、校内の体育館で蓮池薫さんに拉致されそうになったというものです。その人は教員を辞めて参院選の候補者として政治活動に専念しようとしていた矢先だったので、「国政選挙の候補者を拉致したら日本中が大騒ぎになるぞ」と一喝して、危うく難を逃れたのだそうです。
昨日の段階では「週刊現代」の当該記事を読んで、特定失踪者調査会の荒木和博さんの「その可能性は否定出来ない」というブログ記事の影響もあり、何よりも実名での告発が為されたという事で、私も少し色めき立ちましたが、冷静に考えたら細部では色々と辻褄の合わない事があるようです。下記のYouTubeのビデオの中で重村智計教授が指摘している様に、最初から北朝鮮から工作員として来た事を匂わすような事をいきなり初対面の人間に言っていたり、人影の無い山奥とかではなくわざわざ街中の小学校に入り込んできて拉致工作に及んだりとか。私も疑問に思ったのは、何故よりによって社会主義労働者党などという、左派ではあるが必ずしも北朝鮮べったりでもない泡沫政党の候補者を、わざわざ拉致しようとしたのか、という点です。
その一方で、政府や「救う会」は、当の拉致被害者本人には一切何も語らせる事無く、常に自分たちが全面に出て当事者の意向を代弁するという形で対応してきました。この事が逆に、政府や「救う会」は、自分たちにとって都合の良い情報だけを公式発表として小出ししているのではないか―という疑念も、どうしても払拭する事が出来ないのです。これはメディア・スクラムから当事者を守る為の措置だと政府は主張するのでしょうが、それも程度問題です。今の様な政府広報・官製報道一点張りの対応が、逆に興味本位の憶測や疑念を増幅している面もあるのではないでしょうか。
まあ、今回の「謎」についてはとりあえず見解保留という事で、参考資料だけ覚書としてリストアップしておきます。
・蓮池さんが日本人拉致? 「週刊現代」特ダネの真贋(J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2006/12/26004615.html
・「蓮池薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた」(週刊現代)
http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/061228/top_01_01.html
・「週刊現代」拉致関連記事の怪しさ(ぼやきくっきり)
横井邦彦氏が自分のブログ「労働者のこだま(国内政治)」に掲載していた、「週刊現代」特ダネの元の体験談(現在は前記の横井ブログからは削除されている)が収録されている。
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid209.html
・蓮池薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた 1/2
http://www.youtube.com/watch?v=dxMVaSBxY34
・蓮池薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた 2/2
http://www.youtube.com/watch?v=yuVxShFLAvY
・荒唐無稽な拉致記事-週刊現代に蓮池薫さんが抗議文(救う会ニュース)
http://www.sukuukai.jp/houkoku/log/200612/20061216-2.htm
・「週刊現代」の記事について(特定失踪者問題調査会ニュース)
http://www.chosa-kai.jp/cyosakainews/kongetunews/news061226.TXT
この話が拉致板界隈で話題になっていた事は、私も数日前に知りましたが、私はてっきりガセネタだと思っていました。確かに今になって考えてみれば、北朝鮮に拉致されたり渡ったりした人が、彼の地で洗脳されて工作員として再び日本にやって来る可能性も、必ずしも無きにしも非ずです。実際、有本恵子さんを拉致したよど号ハイジャック犯の八尾恵の例もあります。ただ、まさか蓮池さんもそうかも知れないとは、ちょっと考えられませんでした。但し万が一その可能性があったとしても、指弾されるべきなのは蓮池さんでなく、彼を無理やり工作員に仕立て上げた北朝鮮政府の方ですが。
だから「週刊現代」がその記事を載せたのを目にした時には我ながらびっくりして、早速昨日その雑誌を買って読みました。当該記事の要旨は、1986年3月に、当時愛知県下の小学校教員だった横井邦彦さんという人が、校内の体育館で蓮池薫さんに拉致されそうになったというものです。その人は教員を辞めて参院選の候補者として政治活動に専念しようとしていた矢先だったので、「国政選挙の候補者を拉致したら日本中が大騒ぎになるぞ」と一喝して、危うく難を逃れたのだそうです。
昨日の段階では「週刊現代」の当該記事を読んで、特定失踪者調査会の荒木和博さんの「その可能性は否定出来ない」というブログ記事の影響もあり、何よりも実名での告発が為されたという事で、私も少し色めき立ちましたが、冷静に考えたら細部では色々と辻褄の合わない事があるようです。下記のYouTubeのビデオの中で重村智計教授が指摘している様に、最初から北朝鮮から工作員として来た事を匂わすような事をいきなり初対面の人間に言っていたり、人影の無い山奥とかではなくわざわざ街中の小学校に入り込んできて拉致工作に及んだりとか。私も疑問に思ったのは、何故よりによって社会主義労働者党などという、左派ではあるが必ずしも北朝鮮べったりでもない泡沫政党の候補者を、わざわざ拉致しようとしたのか、という点です。
その一方で、政府や「救う会」は、当の拉致被害者本人には一切何も語らせる事無く、常に自分たちが全面に出て当事者の意向を代弁するという形で対応してきました。この事が逆に、政府や「救う会」は、自分たちにとって都合の良い情報だけを公式発表として小出ししているのではないか―という疑念も、どうしても払拭する事が出来ないのです。これはメディア・スクラムから当事者を守る為の措置だと政府は主張するのでしょうが、それも程度問題です。今の様な政府広報・官製報道一点張りの対応が、逆に興味本位の憶測や疑念を増幅している面もあるのではないでしょうか。
まあ、今回の「謎」についてはとりあえず見解保留という事で、参考資料だけ覚書としてリストアップしておきます。
・蓮池さんが日本人拉致? 「週刊現代」特ダネの真贋(J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2006/12/26004615.html
・「蓮池薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた」(週刊現代)
http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/061228/top_01_01.html
・「週刊現代」拉致関連記事の怪しさ(ぼやきくっきり)
横井邦彦氏が自分のブログ「労働者のこだま(国内政治)」に掲載していた、「週刊現代」特ダネの元の体験談(現在は前記の横井ブログからは削除されている)が収録されている。
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid209.html
・蓮池薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた 1/2
http://www.youtube.com/watch?v=dxMVaSBxY34
・蓮池薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた 2/2
http://www.youtube.com/watch?v=yuVxShFLAvY
・荒唐無稽な拉致記事-週刊現代に蓮池薫さんが抗議文(救う会ニュース)
http://www.sukuukai.jp/houkoku/log/200612/20061216-2.htm
・「週刊現代」の記事について(特定失踪者問題調査会ニュース)
http://www.chosa-kai.jp/cyosakainews/kongetunews/news061226.TXT
この間、当ブログでは主に教育基本法改悪阻止の論陣を張ってきたので他の話題についてはなかなか取り上げる事が出来ませんでしたが、北朝鮮人権問題の分野では「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」の一環として下記の企画が開催されていました。その生中継の様子がメールで送られてきたので、こちらでも紹介しておきます。
当該企画の内容は二本立てで、各々が数時間に渡るプログラムの生中継なので、実は私も未だ殆ど視聴出来ていません。私が視聴し終わるのを待っていたのでは完全に時期外れになってしまいそうなので、先に紹介だけしておきます。
(以下、当該プログラムより転載)
【1】北朝鮮人権大使サミット
・日時:12月12日(火)午前9時開場(生中継予定=9~17時)
・共催:日本実行委員会、アメリカ合衆国実行委員会
・会場:独立行政法人国際協力機構(JICA)国際協力総合研究所・国際会議場(最寄り駅:市ヶ谷)
・プログラム:
第Ⅰセッション 北朝鮮の深刻な人権問題の解決にどのようにアプローチするか
第Ⅱセッション 大量難民流出にどう対処するか
パネルディスカッション 北朝鮮難民の定住と今後について
【2】講演会―北朝鮮地下核実験と強制収容所
・日時:12月13日(水)18:00開場(生中継予定=18~21時)
・主催:北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
・会場:星陵会館(最寄り駅:永田町)
・プログラム:
北朝鮮地下核実験と完全統制区域政治犯 核実験用の地下トンネルを掘らされたのは・・・
講師:姜哲煥(北朝鮮政治犯収容所体験者)
北朝鮮の全体主義体制と強制収容所
講師:小沼堅司(専修大学法学部教授)
金正日の犯罪と全世界の対応の道
講師:小川晴久(二松学舎大学教授、守る会名誉代表)
(転載終了)
・下記URLをクリックすれば上記企画の視聴用ページが表示されます。
http://www.netlive.ne.jp/archive/event/061212-061213.html
この機会に、北朝鮮人権問題の中の帰国者問題について、前から思っていた事を少し書きます。
今年9月の共産党・志位委員長の韓国訪問で、志位委員長がソウルの西大門刑務所跡にある歴史館を訪れ、朝鮮独立運動の志士に追悼の献花をしました。この事に対して靖国史観派の一部が何やら薄汚い悪罵を投げかけたそうですが、私はこれは当然の行為だと思っています。これは、戦前から帝国主義戦争反対・植民地解放を掲げた共産党だからこそ出来る事です。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-09-09/2006090902_03_0.html
しかしそうであるなら尚の事、北朝鮮人民の人権状況、とりわけ北朝鮮帰国者のそれに対しても、綱領にも掲げている人民解放の大義や国際連帯の精神に沿って、「救う会」などの国家主義的主張とは一線を画した左派独自の立場から、経済制裁(またはその逆の国交正常化)などの他の課題とは区別して難民救援に限定した形ででも、党として救援の手を差し伸べるべきではないでしょうか。北朝鮮帰国者の在日コリアンの方にはかつて共産党員として活動した方も大勢おられるのですから。
北朝鮮帰国事業の問題については、旧掲示板でも何度か突っ込んだ議論が為されました。帰国事業そのものは、在日コリアンを厄介払いしようとしていた日本政府と、朝鮮戦争後の復興で労働力を必要としていた北朝鮮政府の、当時の双方の思惑の一致の下に行われました。そしてその事が、当時の在日朝鮮人運動の路線転換(朝連・民戦から総連結成へ)を巡る日朝両党間の水面下の確執にも微妙に影を落していました。そういう意味では、ただ単に「左翼が在日コリアンを騙して北朝鮮へ連れて行った」という様な単純な問題ではない事は確かです。しかし、北朝鮮に渡った帰国者から向こうの窮状が次第に伝えられて来る中で、共産党はどの様に対応したのでしょうか。中央委員会出版局発行の「日本共産党の×十年」などの公式党史では、この事については殆ど触れられていません。ここにも科学のメスが入れられ、朝鮮独立運動の志士と合わせて帰国運動の礎となったかつての党員にも献花してこそ初めて、その国際連帯も、より真実性に裏打されたものになるのではないでしょうか。
http://www.geocities.jp/afghan_iraq_nk/ronten7.htm
当該企画の内容は二本立てで、各々が数時間に渡るプログラムの生中継なので、実は私も未だ殆ど視聴出来ていません。私が視聴し終わるのを待っていたのでは完全に時期外れになってしまいそうなので、先に紹介だけしておきます。
(以下、当該プログラムより転載)
【1】北朝鮮人権大使サミット
・日時:12月12日(火)午前9時開場(生中継予定=9~17時)
・共催:日本実行委員会、アメリカ合衆国実行委員会
・会場:独立行政法人国際協力機構(JICA)国際協力総合研究所・国際会議場(最寄り駅:市ヶ谷)
・プログラム:
第Ⅰセッション 北朝鮮の深刻な人権問題の解決にどのようにアプローチするか
第Ⅱセッション 大量難民流出にどう対処するか
パネルディスカッション 北朝鮮難民の定住と今後について
【2】講演会―北朝鮮地下核実験と強制収容所
・日時:12月13日(水)18:00開場(生中継予定=18~21時)
・主催:北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
・会場:星陵会館(最寄り駅:永田町)
・プログラム:
北朝鮮地下核実験と完全統制区域政治犯 核実験用の地下トンネルを掘らされたのは・・・
講師:姜哲煥(北朝鮮政治犯収容所体験者)
北朝鮮の全体主義体制と強制収容所
講師:小沼堅司(専修大学法学部教授)
金正日の犯罪と全世界の対応の道
講師:小川晴久(二松学舎大学教授、守る会名誉代表)
(転載終了)
・下記URLをクリックすれば上記企画の視聴用ページが表示されます。
http://www.netlive.ne.jp/archive/event/061212-061213.html
この機会に、北朝鮮人権問題の中の帰国者問題について、前から思っていた事を少し書きます。
今年9月の共産党・志位委員長の韓国訪問で、志位委員長がソウルの西大門刑務所跡にある歴史館を訪れ、朝鮮独立運動の志士に追悼の献花をしました。この事に対して靖国史観派の一部が何やら薄汚い悪罵を投げかけたそうですが、私はこれは当然の行為だと思っています。これは、戦前から帝国主義戦争反対・植民地解放を掲げた共産党だからこそ出来る事です。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-09-09/2006090902_03_0.html
しかしそうであるなら尚の事、北朝鮮人民の人権状況、とりわけ北朝鮮帰国者のそれに対しても、綱領にも掲げている人民解放の大義や国際連帯の精神に沿って、「救う会」などの国家主義的主張とは一線を画した左派独自の立場から、経済制裁(またはその逆の国交正常化)などの他の課題とは区別して難民救援に限定した形ででも、党として救援の手を差し伸べるべきではないでしょうか。北朝鮮帰国者の在日コリアンの方にはかつて共産党員として活動した方も大勢おられるのですから。
北朝鮮帰国事業の問題については、旧掲示板でも何度か突っ込んだ議論が為されました。帰国事業そのものは、在日コリアンを厄介払いしようとしていた日本政府と、朝鮮戦争後の復興で労働力を必要としていた北朝鮮政府の、当時の双方の思惑の一致の下に行われました。そしてその事が、当時の在日朝鮮人運動の路線転換(朝連・民戦から総連結成へ)を巡る日朝両党間の水面下の確執にも微妙に影を落していました。そういう意味では、ただ単に「左翼が在日コリアンを騙して北朝鮮へ連れて行った」という様な単純な問題ではない事は確かです。しかし、北朝鮮に渡った帰国者から向こうの窮状が次第に伝えられて来る中で、共産党はどの様に対応したのでしょうか。中央委員会出版局発行の「日本共産党の×十年」などの公式党史では、この事については殆ど触れられていません。ここにも科学のメスが入れられ、朝鮮独立運動の志士と合わせて帰国運動の礎となったかつての党員にも献花してこそ初めて、その国際連帯も、より真実性に裏打されたものになるのではないでしょうか。
http://www.geocities.jp/afghan_iraq_nk/ronten7.htm