アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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全国一斉漁民ストの過去・現在・未来

2008年07月18日 22時57分59秒 | 福田第2次投げ出し政権
・全国一斉休漁にご理解をお願いします(全漁連)
 http://www.zengyoren.or.jp/oshirase/pdf/kyuryo.pdf
・一斉休漁 漁師悲鳴…5年で燃料費3倍「出漁すれば赤字」(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080715k0000e040040000c.html
・「燃料高もう限界」20万隻休漁へ 東京でデモも(朝日新聞)
 http://mfeed.asahi.com/business/update/0714/TKY200807140239.html
・15日に一斉休漁  燃料費高騰の窮状を訴え(中日新聞)
 http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008071302000060.html?ref=related

 この7月15日に、全国の漁協が一斉休漁し、東京や各地域で決起集会を開いて、燃費高騰に抗議しました。魚価が全然上がらないのに、投機マネーなどの影響で燃料費が以前の3倍に値上がりし、「これではもう食べていけない」と、全国で20万隻以上の漁船が出漁を取り止めました。
 第一次産業従事者は、サラリーマンなどとは違い、一旦収穫期や漁期を逃したら、次の収穫期・漁期まで無収入となるのです。しかも燃費高騰なんて、漁民には何の責任もない事ではないですか。中央の決起集会には閣僚級の与党政治家も多数参加したそうですが、「中国・四川や宮城・岩手の大地震と同様に、激甚災害の指定を」という漁民の声を、それらの政治家はどう受け止めたのでしょうか。
 主催者団体の全漁連や大手マスコミは、世間の目もあるので「一斉休漁」などと遠慮がちに書いていますが、もうこれはどう見ても「漁民スト」でしょう。ならば一層の事、はっきりそう書けば良いのに。事態の緊急性・重大性から言っても、決してそれは言い過ぎでも何でもないでしょう。若しそこで下手に「言い過ぎだ」なんて言おうものなら、もうその政治家にとっては、次の選挙は無いも同然でしょう。

 このニュースを見てもつくづく思うのは、「食い物の恨みは恐ろしい」という事です。過去の歴史を紐解いてみても、「食い物の恨み」が暴動や革命に至った例が幾多もあります。ロシア革命然り、終戦直後の食糧メーデー然り。
 思えば大正時代の米騒動も、発端は富山の漁師婦人たちによる抗議運動から火がついたのでした。第一次大戦・シベリア出兵に伴う米価高騰に怒った婦人たちが米穀商を襲い、その動きが瞬く間に全国に広まり、時の寺内軍閥内閣を打倒するまでに至りました。この事件は、形としては自然発生的な騒動で終わりましたが、その後に続く大正デモクラシー高揚のキッカケともなった事件でした。しかし、民衆運動はその後、治安維持法によって次第に押さえ込まれ、ファシズムの台頭に取って代わられる様になりましたが。
 そのファシズム台頭の時期に書かれたのが、プロレタリア作家・片岡鉄平による「綾里村快挙録」という小説です。確かこの小説も、網元の封建的支配と闘う漁師たちの話だった筈。謂わば「蟹工船」の漁師バージョンともいうべき作品ですが、残念ながら詳しい資料が見つかりません(誰か詳しい人がおられたらコメント願います)。

・地元誌「月刊グリ」で紹介された名古屋米騒動の記述
 http://www2n.biglobe.ne.jp/~midori/back_numbers/91/imamukashi.html
・再考横山源之助と米騒動(立花雄一・大原社会問題研究所)
 http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/499/499-3.pdf#search='越中女房一揆'
・食糧メーデーと天皇プラカード事件(大原社会問題研究所)
 http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/534/534-4.pdf#search='食糧メーデー'

 その中で見たのが、先日の16日放送のTBS「緊急報道スペシャル!~食糧危機~あなたは生き残れますか」。ここでもまず前述の全国一斉休漁と漁民決起集会の話題がまず冒頭で取り上げられ、日本の第一次産業全体が存亡の危機に立たされている事が、分かりやすく紹介されていました。
 一斉休漁の次に紹介された棚田崩壊の実態も凄まじいものでした。ほんの30年ほど前までは美田で鳴らした山口県の棚田が、次々に耕作を放棄され雑草が生い茂る荒地にまで変貌し、その隣の集落も全員移住で廃村と化した様は、もう見ているだけでも痛々しかったです。

 戦後1950年代ぐらいまではほぼ100%近かった日本の食糧自給率が、何故今の39%に至るまで下落してきたのか。この番組はそこにもきちんと焦点を当てていました。それが言わずと知れた米国の小麦戦略です。米国は自国の余剰農産物を世界支配の武器に使ってきました。貧しい第三世界の国々に自由競争を押し付けて、余剰農産物をダンピング輸出し、当該国の胃袋を支配してきたのです。戦後米国に支配された日本は、その格好のモデルケースとなりました。学校給食に積極的にパン食が導入されたのも、まず次世代の子供に狙いを定めて、偏に国民の食生活を米国好みのものに改造する為でした。そして日本農民には減反や機械化が押し付けられ、重化学工業主導の高度経済成長と相まって、日本の食料自給率はどんどん低下していきました。

 「日本に農業などいらない、日本はひたすら工業製品を輸出して、食料は米国や豪州から買えば良い」というのが、日米財界の教えでした。そうして米国は軍事力や食糧で、日本は工業力で、世界を支配したのです。「国益」というのは、そういう資本家の私益を誤魔化す為の、レトリックに他なりません。とにかく自分たちの私益を守る事が最優先で、日本国民の食の安全性や安定確保など、本当は二の次、三の次だったのです。
 しかし、それが曲がりなりにも機能していたのは、世界の食糧供給にまだ余裕があったからです。やがて地球温暖化の影響で、異常気象や大干ばつ、大洪水が世界各地で頻発するようになります。農産物輸出国は、ますます自国民の食糧確保を優先するようになります。或いは米国の様に、更に食糧を世界支配の道具にする国も出てきます。これらの大きな食糧輸出国は、自国の農業は高関税や補助金で守りながら、貧しい第三世界や日本のような国々には、WTOを通して関税撤廃や補助金削減を迫っているのです。正にダブル・スタンダード(二重基準)、エコヒイキの最たる姿です。

 この様な、大規模な環境破壊を伴う米国流の「安かろう悪かろう」農業・食生活ではダメだ。家族経営を母体としたヨーロッパ型の小規模・高付加価値農業の発展で、国土保全や食の安全性、食文化保持を図ろう。大量消費ではなく、フード・マイレージ(地産地消)やスロー・フードな食生活を。――これが、先述のTBS「食糧危機」特番の結論でした。
 当該番組は、食糧危機の問題を、単に漁船の燃料費高騰の現象面だけでなく、その背景にある食糧自給率の低下や、農業荒廃、米国の食糧戦略の実態まで踏み込んで分かりやすく解説した、稀に見る良い番組でした。昨今の視聴率稼ぎが見え見えの三流バラエティ番組の氾濫の中で、大手資本がスポンサーの民放が、よくぞここまで踏み込んだ番組を作れたものだと、感心しました。

 しかし、その上で敢えて注文を付けるならば、更にもう一捻りが必要なのでは、という感じも同時に持ちました。更に求められる一捻りとは、【この結論では、下手すれば、単なる一国ユートピア的な地産地消・「ロハス」・「国産品愛用」運動のレベルに止まってしまうだけではないか?】という懸念に、どう答えるかという事です。
 自然破壊の大量消費でジャンクフード漬けの生活ではなく、地産地消や環境に優しい農業・食生活の方が、そりゃあ良いのに決まっています。しかし世界の現実は、記事添付の「遺伝子組み換え作物の国別栽培状況」図が示す通りであるのも、また冷厳な事実なのです。多分、米国産牛肉の輸入自由化の次には、遺伝子組み換え作物の輸入自由化が俎上に上ってくる可能性が大です。それに対抗するには、狭い一国ユートピア的な「ロハス」・「国産品愛用」運動のレベルでは、不十分ではないでしょうか。

 以前でしたか、東京都内のお蕎麦屋さんで拉致問題の取り組みをした団体がありました。当該団体のイベントを紹介する掲示板投稿の中に、「グローバル化なんて糞食らえだ、我々はあくまで日本古来の伝統を守るのだ、だから拉致問題のイベントもお蕎麦屋さんで行うのだ」というものがありました。
 しかし私に言わせると、「蕎麦も大半が外国産なのに、今頃何を言っているのかなw」という感じでしかありませんでした。更に言うならば、先の7月15日に行われた燃費高騰抗議の漁民決起集会には、靖国派右翼議員の稲田朋美も参加していましたが、彼女こそ小泉チルドレンの一員として、今まで散々「新自由主義の手先」として振舞ってきたくせに、何を自分の都合の良い時だけ「愛国者気取り」でいるのか、と。

 但し、これは別に右翼だけに限った話ではなく、左翼・リベラルにも同じ様な事が言えるのです。日本生協連が、先の中国産冷凍餃子事件に続いて、ハーフ・カシミヤ・セーターの件でもお詫びの広告を出していますが、こういうのを見ると、「生協よ、お前もか」「所詮は生協もモンサント社と似たようなものじゃないか」と思ってしまいます。いくら一国単位で地産地消を追及しても、それだけでは、単なる一国ユートピア主義的な「国産品愛好」運動でしかない。
 本当にグローバリゼーションの矛盾を乗り越えようとするならば、こんな「国産品愛好」運動の枠なぞ超えて、「ダーウィンの悪夢」「おいしいコーヒーの真実」などの映画の題材ともなった国際間の搾取・貧困・格差体制そのものの止揚・廃絶を目指すべきです。そういうフェアトレードや反帝国主義の視点を欠いた、単なる「ロハス」・「国産品愛好」レベルの反・新自由主義、反グローバリズム運動では、結局は「ミイラ取りがミイラになってしまう」結果にしかならないのではないでしょうか。

・シリーズ日本の食2008 Vol.4 日本から魚が消える日(朝日放送・素敵な宇宙船地球号)
 米国の後を追う飽食中国、しかし同一モデルの日本がそれを笑えるか?
 http://www.tv-asahi.co.jp/earth/midokoro/2008/20080413/index.html
・〈格差の現場:1〉農業 高齢化、山間地耕作阻む(朝日新聞)
 番組でも取り上げられた山口県中山間地に広がる耕作放棄の惨状。
 http://www2.asahi.com/senkyo2007/localnews/yamaguchi/SEB200706200013.html
・「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活(鈴木猛夫)
 「食糧自給出来ない国は他国の言いなりになる」とブッシュ自ら白状しているのに・・・。
 http://www.fujiwara-shoten.co.jp/book/book423.htm
・ソバの収穫高と輸入量・及びソバの自給率(大阪・上方の蕎麦)
 蕎麦ですら自給率21%の現状抜きに、「国産品愛好」を唱えても無駄。
 http://www10.ocn.ne.jp/~sobakiri/soba-jikyuu.html
・モンサント社7つの大罪(グリーンピース・ジャパン)
 http://greenpeace.or.jp/docs/gm/monsanto.pdf
・遺伝子組み換え作物の国別栽培状況(日本モンサント)
 上記7つの大罪を他所に、栽培地は世界に広がる。
 http://www.monsanto.co.jp/data/countries/index.shtml
・巨大魚めぐる負のグローバル化~映画「ダーウィンの悪夢」(JANJAN)
 我々が大量消費する冷凍魚がアフリカの生態系を破壊し貧困を拡大する。
 http://www.news.janjan.jp/culture/0609/0609240680/1.php
・映画「おいしいコーヒーの真実」公式HP
 300円コーヒーのうちで原産国農民の取り分は僅か数円。
 http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/
・「ハーフカシミヤセーター・シリーズ」についてのお詫び(日生協)
 生協も、所詮はモンサント社と五十歩百歩だったのか・・・?
 http://jccu.coop/info/announcement/2008/07/post_318.html
コメント
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