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南海電鉄「犬鳴山温泉&ハイキングきっぷ」のパンフレットより
12月9日(木)の公休日は、寒さも和らぎ絶好の小春日和となったので、気分転換に、また一人でぶらっとハイキングに行ってきました。今度の行き先は犬鳴山です。南海本線の泉佐野駅からバスで約30分、大阪と和歌山の府県境近くにある、温泉と霊場で有名な所です。
その日は、午前中に片付けなければならない用事が少しあったので、犬鳴山に着いた時には、もうお昼どきになっていました。バスを降りて、小さな旅館街を行くと、ひなびたカフェテラスがあったので、そこで昼食を取ることにしました。
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犬鳴山の旅館街とカフェテラスの飼い猫「さくらちゃん」。猫は最初、人見知りしていたが、頭を撫でてあげたら徐々になついてきました。
大阪府の周辺部には、摂津峡や天見(あまみ)、奥水間(おくみずま)などの温泉郷が存在します。いずれも天然温泉で、地元の湯治客(とうじきゃく)が中心のローカルな温泉郷ですが、その中でも、この犬鳴温泉郷だけが、旅館街もある府内で唯一の温泉集落なのだとか。温泉の泉質は純重曹冷鉱泉(ナトリウム・炭酸水素塩泉)で、美肌効果や皮膚病の治療、疲労回復に効果があるのだそうです(参考資料)。私は冬はいつもアカギレに悩まされているので、ちょうど良いかも。
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カフェテラスを出てしばらく行くと、霊場の入口をくぐります。ここから先はもう修験道の聖域です。犬鳴川の渓谷に沿って岩だらけの道が続きます。その道に沿って電線が奥に向かって伸びていました。多分、この奥にあるお寺に通じているのでしょう。「電柱や電線なぞ渓谷美の景観にそぐわない」と眉をしかめる人も中にはいるでしょうが、この時の私にとっては、この電線も、不安定な足場を補う格好の目印となりました。
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やがて最初の滝が見えて来ます。これが「両界の滝」で、別名「犬鳴大明神」として崇め祀られてきたと、案内板にありました。
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その先にあるのが「瑞龍門」、別名「行者迎えの門」です。この門をくぐると、道は石畳となり少し歩きやすくなります。
この先で参拝路と別れて左の階段を登ると修験道資料館の前に出ますが、あいにく今日は閉館日でした。その代わりに、ここで散りそめ寸前の山の紅葉を堪能する事ができました。
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再び参拝路に戻り、しばらく行くと、護摩壇のある広場や赤い橋があります。
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そして、横に「出世稲荷」と「九頭龍(くずりゅう)大神」が見えてきます。「出世稲荷」と言うからには、拝めば転就職や昇進に恵まれるのでしょうか。どちらにしても、面接試験が散々な結果に終わった今となっては、もう後の祭りです。
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その先にあるのが、犬鳴の地名の由来ともなった「義犬の墓」です。伝説によると、犬を連れた猟師が、けたたましく吠える犬に、猟の邪魔をされたと勘違いし、怒って犬の首をはねてしまいます。ところが、実は犬が吠えていたのは、猟師を狙う大蛇の存在を教える為でした。首を切られた後も犬は大蛇に噛み付き、そこで絶命します。それを知った猟師は、愛犬を弔う為に出家し、ここで修行に励んだとの事です。それを聞いた宇多天皇の命により、それまでの「一乗山」から「犬鳴山」に山の名前が変わりました。
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「義犬の墓」を通り過ぎた後も次々と史跡が現れます。左が「厄除(やくよけ)十一面観世音」、右が「身代わり不動明王」。
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「韋駄天(いだてん)大明神」の祠(ほこら)と、そのいわれを書いた案内板。足腰の痛み封じの神様だそうで、毎月第一日曜日には、この前で痛み封じのお祈りが行われるそうです。腰痛の持病を抱える私にとっても、決して他人事ではないので、ここだけは私も少し真剣にお祈りしました。
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霊域の一番奥に「七宝瀧寺(しっぽうりゅうじ)」があり、境内の「行者の滝」では、今でも滝に打たれる修験者の姿を見る事ができます。この七宝瀧寺は、奈良時代に活躍した役小角(えんのおずの)という有名な修行僧が開いた真言宗のお寺で、奈良県・大峰山の霊場よりも早く開かれたそうです。
もともと、この犬鳴渓谷には大小あわせて48もの滝があるそうです。そのうち、主なものだけでも7つあり、それが寺の名前の由来にもなっています。私が確認できたのは、前述の「両界の滝」とこの「行者の滝」の2つだけですが。
参拝路はもうここで終わりですが、ハイキングコースはこの後もずっと続きます。七宝瀧寺に向かう参拝路と分かれ、横の急な階段を登ると、突然、一車線の舗装道路に出ます。これが林道犬鳴東手川(とてがわ)線で、葛城山や五本松の展望台の方まで続いています。実は、参拝路と並行する形で、この林道も山の奥に通じているのですが、いかんせん、この林道はやたら曲がりくねっていて、おまけに麓(ふもと)の温泉街には通じていないので、帰りに温泉に立ち寄る為には、岩だらけの渓谷沿いの参拝路で戻るしかないのです。(冒頭の地図参照)
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この林道を犬鳴トンネルまで進みます。ハイキングコースは、この奥の五本松の展望台まで続くのですが、現地に着いたのがもう昼前だったので、今日はここで引き返す事にします。
地図には犬鳴隧道(ずいどう)と書かれているこのトンネルこそが、何を隠そう、「犬鳴の化けトン」と呼ばれる心霊スポットなのです。今までも、「夜に首なしライダーや少女の霊に出くわした」という噂(うわさ)が絶えない場所でした。
しかし、私が見た限りでは、何の変哲もない普通のトンネルでした。改修工事が行われる前の素掘りのトンネルだった頃は、もっと凄い雰囲気だったそうですが。
私が思うに、現場は一車線しかない林道で、付近には街灯もない上に、トンネルに入る直前に急カーブがあり、トンネル内もカーブしている事で、この周辺が修験道の霊場である事と相まって、夜ここを通るドライバーの恐怖心から、そんな根も葉もない噂が広まっていったのではないでしょうか。
だって、本当に「霊の力」なぞという物があるなら、そのパワーで面接試験も通るはずだし、秘密保護法や戦争法の強行採決も阻止できたはずです。この前のダブル選挙でも、大阪維新を打ち倒す事ができたはずです( *`ω´)キリッ。ところが、現実には全然そんな事は起こらなかった。この一事だけでも、心霊現象なぞ実際には存在しない事が分かります。
実は私、昔は結構こういう心霊話が好きでした。その手のテレビ番組があると必ず見てました。でも最近は、「着信アリ」などの映画の影響からか、「スマホを操る霊」「メール交換する霊」などの安っぽい心霊体験談の胡散(うさん)臭さや、駆け出しの三流芸人に安いギャラで体験談をしゃべらせるテレビ局の姿勢に疑問を感じ始め、今はむしろ、そういう心霊話の嘘を暴くようになりました。例えば、こちらの過去の記事のように。
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帰りは再び渓谷沿いの岩だらけの参拝路を下ります。これは途中の「白瀧大神」(例の犬に噛み付かれた大蛇を祀ったものか?)と、道の真ん中に立っている全長38メートルの「のっぽ杉」。
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帰りの温泉は、この「み奈美亭」という旅館の温泉に入りました。なかなかいい湯でした。この「み奈美亭」も含め、5軒の旅館や入浴施設があり、いずれも千円以下で日帰りの入浴サービスが受けられます。ハイキングコースから離れた旅館の方が入浴料は若干安いですが、その分、施設が古かったりします。
右の写真は、その旅館の飼い犬です。「犬鳴」の故事にちなんで飼い始めたのでしょうか。但し、前述のカフェテラスの猫とは違い、「噛み付かれる恐れがあるので、むやみやたらと触らないように」との注意書きがあったので、この犬については、名前もうかがわずに、遠くから撮影するだけにしておきました。