アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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バイト・ファースト!

2017年01月25日 07時45分40秒 | 職場人権レポートVol.3

 数日前のニュースで、トランプ大統領の就任式の様子を流していました。ニュースでは、就任会場に集まった人数も歴代大統領と比べるとまばらで、会場の外では、映画監督のマイケル・ムーアや俳優のマドンナなども加わって、50万人もの人間が反トランプ集会に参加した事が報じられていました。(関連動画

 トランプ大統領は、選挙戦のさなかでも女性蔑視や移民差別の発言を繰り返し、国民のわずか4割からしか支持されないまま、番狂わせで大統領に就任する事になりました。普通は、どんな大統領でも、ご祝儀相場で最初は高めの支持率が出るものです。しかし、このトランプ大統領に限っては、政権発足当初から支持よりも不支持の方が多い、正に前途多難な門出となりました。これはまた同時に、たとえ国民の4割からしか支持されない人物でも、大きな州で他候補より1票でも多く得票できれば、全国規模ではたとえ相手候補の票の方が上回っていても全て死票となってしまう、米国大統領選挙のいびつさをも、全世界に再認識させる結果となりました。

 その中で、ひとり日本の安倍首相だけは、米国内だけでなく全世界で反トランプ・デモが吹き荒れるさなかでも、「何があっても米国に従うのみ」と、ジャイアンにどこまでも媚びへつらうスネ夫の醜態を、またしても世界にさらけ出す事になりました。トランプ自身が「ご破算にする」と言っているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)にも、いまだに未練たらしく固執して、「見捨てないで」と逆にTPP批准を進めようとするに至っては、「安倍は一体どこの国の首相か?」と言いたくなります。こんな売国奴でも「愛国者」のように振る舞える日本は、つくづくお目出たい国だなと思います。

 でも、そんなトランプの様な人物でも、そこそこ人気があるから大統領になれたのです。トランプ支持層の多くは、五大湖沿岸のラストベルト(寂れた地帯)に住む貧しい白人だと言われています。かつては、製鉄所や自動車工場の立ち並ぶ屈指の工業地帯として、米国の繁栄をけん引した、自分たちの街が、今や外国に職を奪われシャッター街と化してしまった。失望にうちひしがれた彼らには、「外国人から職を取り戻し、再び強い米国を実現する!(Make America Great Again!)」と叫ぶトランプが、救世主のように見えたのでしょう。

 真の繁栄は、どこか強い国が弱い国をねじ伏せて、自分の言いなりにする事では実現されません。それで、もし一時の繁栄を築く事が出来ても、更に強い国が現れれば「いたちごっこ」になるだけです。そうではなく、強い国も弱い国も、みんなともに繫栄できるようにしないと、本当の繁栄なぞ在り得ません。今の米国の衰退も、ただ単に「外国に職を奪われた」のだけが原因ではありません。それまでの半世紀以上に及ぶソ連との東西冷戦や、核戦争一歩手前まで行ったキューバ危機、ベトナム戦争やアフガニスタン戦争、イラク戦争への出費で、際限のない軍拡競争に巻き込まれ、国全体が疲弊していったところに、真の原因があります。軍拡優先から民需優先に産業構造を切り替えない限り、「貧しい白人」も「貧しい女性」や「貧しい有色人種」も救われません。トランプのように大企業減税一本槍のやり方では、「貧しい白人」は、外国人に代わって白人の大金持ちから搾取されるだけに終わってしまいます。

 その一番肝心な事を、日本のマスコミは一切指摘しません。トランプがまだ泡沫候補だった時は、面白おかしく彼の差別発言を取り上げておきながら、彼が大統領になった途端に「今太閤」と持ち上げる。トランプの掲げる「米国第一主義(America First)」に対しても、より一層の米国追従を説くばかり。沖縄の辺野古・高江の米軍基地建設強行についても、あれだけ知事選挙や総選挙で新基地建設反対の民意が示されたにも関わらず、相変わらず建設工事をごり押ししようとしています。TPPや原発推進についても同様です。国民の健康や暮らしよりも、米国言いなりで己の保身しか顧みない安倍は、一体どこの国の首相なのでしょうか?

 よろしい。そんなにトランプの「米国第一主義」を持ち上げるなら、私も「非正規第一主義」「バイト・ファースト」を掲げるまでです。選挙のたびに自民党や、安倍応援団と化した「維新の党」に投票し、投票しなくても棄権という形で安倍の悪政を黙認し続ける「社畜」どもに対して、今さら「同じ労働者」とみなす気には到底なれません。会社や社員が、我々、非正規労働者を「使い捨ての駒」とみなし続ける限り、我々も「非正規第一主義」で対抗するまでです。トランプなら認められて、我々には認められない、そんな不公平はもはや通用しません。

バイト・ファースト(非正規第一主義)具体化の例

(1)時給千円への即時引き上げ断行!

 独仏など他の先進国の最低賃金がとっくに時給1500円の大台に乗り、日本と同様に時給が低かった米国でも、大都市では1500円に迫る勢いとなっている。その日本でも、東京や横浜では既に最低賃金の時給が900円を超えている。今や時給千円への引き上げ要求は、ゼイタクどころか最低限の要求になろうとしている。そんな中で、ウチの会社だけが、いつまでも時給800円台や900円台の低水準に甘んじていて良いはずがない。ウチの会社もゆくゆくは時給1500円台を目指すべきだろう。その中で、時給千円への引き上げについては、もう待ったなしで今すぐにでも断行すべきだ。

 

(2)通勤交通費の実費支給!

 ウチの会社の通勤交通費は最大でも月1万円までしか出ない。しかも、月20日以上出勤してようやく1万円だ。そこから、有休も含めて休んだ日数に応じて500円ずつ減額される事になっている。以前はもっと酷かった。日数に応じて減額どころか、1日でも20日を切ったら交通費支給が打ち切られていた。2月のように出勤日数が少ない月は、1日休んだだけで、もう交通費も全く出なかったのだ。同じ1ヶ月でも、出勤日数の多い少ないによって月1万円も差が出るのは余りにも不公平だし、交通費欲しさに無理に出勤して、負傷したり伝染病が広まったりして逆に業務に支障を来すようでは、当人にとっても会社にとってもマイナスでしかない。そのように、私などがずっと要求してきて、ようやく出勤日数に応じて月1万円まで支給されるようになったのだ。これはこれで、一つの進歩ではあるが、元々、仕事する為に電車やバスに乗って来るのだから、交通費ぐらい必要経費として実費全額を支給すべきである。

(3)非正規間の差別撤廃!

 同じ非正規労働者同士でも、直接雇用の契約社員と外部の派遣社員や外国人留学生とでは、賃金も、契約時間も、交通費支給や社会保険の有無などの契約内容も、社員食堂の価格などの福利厚生面についても、細かな格差がある。例えば、直接雇用の契約社員については、社員と同様に1食400円で食券を購入できるが、外部の派遣社員などについては、食券販売が認められていない為に、1食540円の割高な値段で、券売機で食券を購入しなくてはならない。それが嫌さに、コンビニ弁当で済まそうと思っても、弁当ガラもゴミ箱に捨てられないようになってしまった。派遣社員にとっては嫌がらせ以外の何物でもない。こんな差別は今すぐ撤廃すべきだ。今後は、雇用形態の違い如何に関わらず、時給も労働条件も食券の値段も全て同じとする。

(4)「ルール優先」から「人間優先」の運営に変える。

 ウチの会社には色々「謎」のルールが存在する。その一つに「月曜から次の日曜までの1週間に公休日を必ず2日入れなければならない」というルールがある。これだけを見れば、いかにも労働者の健康に配慮しているかのように思われるかも知れないが、実際にはこのルールの為に、逆にかえって自由に休みが取れなくなってしまっている。
 例えば、いつもは毎週水曜日と日曜日が公休だが、急に月曜日に休まなければならない用事が出来たとする。今までなら、バイト同士で公休日を融通し合って、自分は月曜日に休む代わりに日曜日は出勤するようにしていたのだが、それでは公休日が週1日だけになってしまうからダメという事になった。2週間の間では休日数は変わらず、連続勤務も最大4日に抑えられるにも関わらず。

そうなると、月曜日に休む為には、公休日以外に有給休暇として別途申請するか、次の水曜日を月曜日にずらす以外に方法がない。でも、そんな事をしたら、翌日の火曜日から次の日曜日まで、連続5日勤務になってしまう。水・月曜日休みの当初のスケジュールでは、木曜日から日曜日までの連続4日勤務で済むのに。労働者保護の為のルールをしゃくし定規に適用して、かえって労働者を苦しめる結果になってしまっているのだ。こんなルールは今すぐ見直すべきだ。(もちろん、自分から望んで、このように変更したい場合は一向に構わない)

(5)備品も仕事も簡素化する

 ウチの会社は「行き当たりばったり」で仕事をして来た為に、非常に仕事がやりにくくなっている。例えば、「行き当たりばったり」で備品購入を進めて来た為に、カゴ車だけでもL・S・青の3種類、台車も赤ドーリー・青ドーリー・鉄キャリーの3種類と、備品の数は全然足らないのに、やたら種類ばかりが増え、確保に駆けずり回る一方で保管の手間だけが増えるようになってしまった。それ以外にも、二重検品(前検、後検)などの「意味のない仕事」「仕事の為の仕事」が余りにも多すぎる。その為、業務が煩雑になり、かえって事故やミスが増える結果となってしまっている。この際、かねてから使い勝手の悪かった青カゴと鉄キャリーについては、全て廃棄処分とする。これを機に、他の備品や業務についても、簡素化、一本化の方向で、積極的に整理していく。

(6)ダメ社員、ダメ管理職のリストラを断固進めていく。

 ウチの会社は、昔はド底辺企業だったせいか、今も社員のレベルが総じて低い。文章を書かせても、漢字どころか平仮名もまともに書けない社員がいる。もはやマネジメント以前の問題だ。現場には平社員だけで、所長・副所長の下には主任もグループ長も不在なのも、それに見合う人材が育っていないからだ。そのくせ、本社にはやたら役職者が多い。バイトの給与が低く抑えられているのも、現場の声が上に届かず業務改善や労働環境の整備が進まないのも、ひとえに会社の人事構成が、このように逆ピラミッド型になってしまっているからではないか。
 仕事の出来ない社員、やる気のない社員なぞ要らない。平仮名も満足に書けない社員なぞ、もはや論外だ。今後は、全社員に研修や資格取得を義務付け、付いて来れない社員は、前述の青カゴや鉄キャリーと同様に、どんどんリストラし、浮いた経費でバイトの時給アップや業務改善を推し進める。

(7)外国人労働者には、最低限の日本語会話能力取得を義務付ける。

 外国人労働者も日本人と分け隔てなく、同一労働同一賃金の原則を適用すべきだ。トランプが主張するような外国人排斥の動きには組しない。しかし、日本で働く以上は、最低限の日本語の会話能力が無ければ、お話にならない。外国人労働者には、最低限の日本語会話能力を求める。本当は、掲示物やポスターの漢字が読めて内容も理解できるレベルまで求めたいところだが、たとえそれが無理でも、最低でも平仮名とカタカナぐらいは読めないと、仕事を教える事なぞ到底できない。これは外国人差別でも何でもない。
 もちろん、今でも建前上は、最低限の日本語会話能力がなければ就労できない事になっているが、実際は「何でもアリ」だ。そこをとりあえず、今、会社にいる日本語が全く喋れない人については、雇った会社の責任で、日本語の日常会話が喋れるようになるまで、日本語学校への通学時間を保障すべきだ。金が無いというなら、会社が賃金を補助してでも。その上で、一年後に外部団体が主催する日本語能力テストの結果を見て、日頃の勤務態度も考慮した上で、正式に採用するかどうか見極めれば良いのではないか。
 そして、外国人労働者に対してだけでなく、既存の日本人社員に対しても、外国語や他国文化への理解や意欲についてのテストを随時行い、人事評価の基準にすべきだ。職場内の掲示や社員食堂のメニューも外国語併記に変える。メニューにも外国料理を積極的に取り入れる。外国人を雇う以上はそこまで責任持て。それが嫌なら最初から外国人なぞ雇うな。

 もし、私が社内でトランプのような立場になる事が出来れば、とりあえず上記の公約だけでも即実行に移したいと思います。

 かつて、赤木智弘という人が、「戦争こそが我々の希望だ」という事を言って、議論になった事がありました(当時のブログ記事)。この赤木という人も、一介の中年フリーターでした。かつて就職氷河期に若者だった人が、中高年になっても正社員になれずに、フリーターのまま一生を終わらなければならなくなった。こんな格差社会の日本に一体だれがした。正社員やマスコミなどの知識人じゃないか。もはや、戦争でも起こって下剋上の世の中にでもならない限り、非正規の人間は一生浮かばれない、と。そして同時に、俺も本当は戦争なぞ起こって欲しくはないのだ。戦争になっても、生き残る事が出来るのは金持ちだけで、貧乏人は国家の「使い捨ての駒」として殺されるだけだから。そんな事は百も承知の上で、でも、ひょっとしたら万が一、自分が生き残る事が出来るかも知れない。俺はその万が一のチャンスに掛ける、と。
 この赤木の物言いを、「怠け者のわがまま」と一笑に付している限り、第二、第三のトランプや橋下徹が現れ、非正規も正社員も、白人も有色人種も、「自国に雇用を取り戻す」という掛け声の下で、「日産のカルロス・ゴーン」や「ソフトバンクの孫正義」みたいな連中に、ずっと搾取され続けるようになるでしょう。

コメント (1)
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