温泉に入る前に、まず犬鳴山の霊場にお参りしました。犬鳴山は修験僧の役行者 (えんのぎょうじゃ)が開いた日本最古の霊場で、七宝瀧寺(しっぽうりゅうじ)というお寺を中心に、渓谷沿いに滝や険しい岩場が点在しています。
犬鳴山の名前も、大蛇が猟師を襲おうとしていたのを、猟犬が見つけ吠え立てたので、猟師が「うるさい!」と怒って猟犬の首を斬り捨ててしまった後で、頭だけになってもなお蛇を咥えて離さなかった猟犬を見て、猟師が犬を弔う為に出家した故事に由来します。
左:塔の滝、右:7つの滝全てが記載された昔の地図
犬鳴山の名前の元になった猟犬の墓を通り過ぎ、韋駄天明神に腰痛防止のお願いをしたら、いよいよ七宝瀧寺の本堂と行者の滝です。この行者の滝で修験僧が滝に打たれて修行します。本格的な修行はこの滝の上の山の中で行われます。その山中にも修行の為の祠や岩場が点在しています。そこによじ登って行く為の鎖が行者の滝の横に付いています。
左:猟犬の墓、右:韋駄天神(腰痛防止の神様)
犬鳴山の修行の中には、奈良県の大峰山などで行われている度胸試しの「覗き」もあるようです。縄で足を括りつけられ、先輩の僧たちの手で引っ張られた修験僧が、断崖絶壁から下をのぞき込む荒行です。一般の方でも申し込めば修行体験できるそうです。うちの会社でも、出来の悪い社員に渇を入れる為に、社員研修で修行に参加させたらどうでしょうか?w。
犬鳴山は、標高こそ低いものの谷が険しいので、大阪の近くにいながら、まるで深山幽谷に迷い込んだかのような気分が味わえます。行者の滝から更に奥へハイキングコースは延びています。最終ゴールは山頂付近の五本松の展望台です。展望台の近くにはハイランドパーク粉河という休憩所もあり、レストランで簡単な食事もいただけます。でも、ここから先はもうハイキングというより登山に近くなるので、今回はパスして麓の温泉街まで戻ります。
左:行者の滝(遠くから見た図)、右:同(間近に見た図。崖をよじ登る鎖も付いている)
温泉街まで戻ったらもう正午過ぎになっていました。お昼は温泉街の外れにある「カフェテラス空」という喫茶店で、犬鳴地鶏の唐揚げ定食をいただきました。前菜も付いて税込千円です。その値段で地元産の新鮮なお肉や野菜がいただけるので、旅館のランチよりはるかにお得です。喫茶店も古風な落ち着いた感じで癒されました。
左:カフェテラス空(外観)、右:同(店内)
左:犬鳴地鶏の唐揚げ定食(前菜)、右:同(メインディッシュ)
温泉は「み奈美亭」という旅館の温泉に入りました。割引券もその旅館が発行したものです。霊場の渓谷を潤した犬鳴川が温泉街の中を流れ、やがて樫井川と名を変え大阪湾に注いでいます。旅館の内風呂や露天風呂からは犬鳴川の渓谷が見渡せます。私が温泉に入った時は他に先客が誰もいなかったので、露天風呂からの眺望もこっそり写真に撮らせてもらいました。
左:み奈美亭(外観)、右:同(露天風呂からの眺望)
お土産には和歌山県産のジャバラ(注)ジャムと柿の羊羹、大阪湾で獲れたガッチョ(メゴチ)の唐揚げ、熊野牛のカレーを購入しました。こちらは割引クーポンなぞ持っていなかったので、ちょうど税込二千円かかりました。少し使いすぎたかも知れません。(注)ジャバラ:和歌山県北山村に自生する幻の果実。みかんの様な形をしていて栄養豊富。
旅館の看板犬「さくらちゃん」も、初めて来た時は宿泊客にワンワン吠えていましたが、今やこんなに人懐こくなりました。私も動物好きなので癒されます。
その熊野牛のカレーを今夜の夕食にいただきました。レトルトパウチのカレーで、案の定、具はほとんど入っていませんでした。そんな事もあろうかと、事前にヒレカツを買っておいて良かったです。大根サラダやカボチャポタージュスープと一緒にいただきました。
左:看板犬のさくらちゃん、右:ホテルで買ったお土産
実は犬鳴山温泉以外に近くの健康ランドの入浴割引券も持っています。しかし、その健康ランドはいつも満員なので、いつしか行かなくなりました。これからは、少し遠いですが静かに、ゆっくり入浴できる犬鳴山温泉の方に日帰り入浴に行く事にします。