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マニュアル人間にはこちらもマニュアルで対抗する

2023年01月22日 09時16分58秒 | 職場人権レポートVol.3

この件はブログに書こうかどうか迷いましたが、やっぱり書く事にします。昨年12月26日に、職場でちょっとした事件が起こりました。私の勤務先は某スーパーの物流センターですが、そこでは私の勤務先企業以外にも、多くの会社が商品の製造や仕分け・配送業務に携わっています。

その中で私は他の数人のバイトと共に、主に農産物の仕分けに携わっています。1日の作業は先ず玉葱・じゃが芋の仕分けから始まります。前日に隣の農産加工センターで袋詰めされ、プラスチックケースに入れられた玉葱やじゃが芋に、出荷先の店のラベルを張り、仕分け場に持って行って各店別に仕分けを行います。

ところが、12月26日は前日のうちに玉葱・じゃが芋の加工が終わらず、一部が当日に持ち越されてしまいました。商品が全部出来上がっていないので、その分のラベル張りも当然後回しになります。そのラベルをプラスチックの空ケースに入れ、出来上がった分だけ仕分け場に持って行ってました。そして帰って来たら、残りの玉葱のラベルを入れた空ケースが丸ごと無くなっていました。

わずか約5~10分間の出来事です。直ぐに周辺を捜索しましたが出て来ません。あちこち探しましたが出て来ないので、社員とリーダーに報告し、農産加工センターの人にも声を掛けて、センターから玉葱の店別注文リストを発行してもらい、そのリストを基に行方不明になったラベルの店舗を割り出し、何とか再発行して事なきを得ました。

すぐ横に置いてあったラベルが、わずか5~10分の間に無くなるなんて、普通ならあり得ない事です。しかし、私には犯人の目星は付いていました。きっと奴の仕業に違いないと。奴と言うのは、隣の農産加工センターで働いている、他社の自閉症社員Tの事です。ちょうどその時間帯に、私が玉葱のラベルを張っている、そのすぐ横で、Tは空ケースの片付けをしていました。現場には私とTの2人しかいませんでした。多分Tは、ラベルの入った空ケースも、他の空ケースと一緒に取り込んでしまったに違いありません。

普通ならそんな事はあり得ません。ラベルの入った空ケースなぞ、すぐに見分けが付くからです。でも、自閉スペクトラム症の疑いが濃いTなら、空ケースの入ったラベルも、他のラベルと見分けが付かずに、そのまま取り込んでしまう事は十分あり得ます。多分、ラベルもゴミか何かだと思い、そのまま取り込んで、ラベルの中身も見ずに、捨ててしまったのでしょう。

「自閉スペクトラム症(ASD)」は別名「アスペルガー症候群」とも言います。知的な発達の遅れを伴わない自閉症の事です。知的な発達がないどころか、逆に学業優秀で有名大学を卒業した人も多いです。しかし、普通の人とは少し違うので、社会人になってから、周囲とトラブルになる事が多いのです。

Tもその疑いが濃く、農産加工センター運営会社のH社も正直彼を持て余しているのですが、他に配置転換しようにも受け入れ先がないので、そのまま「飼い殺し」にしているのです。そして、私の勤務先企業も、他社のH社の社員である事を理由に、Tに対して「見て見ぬふり」しているのです。

では、自閉スペクトラム症の人は、普通の人と一体どこが違うのか?イギリスの児童精神科医ローラ・ウイングが、その特徴を次の3つにまとめています。①社会性の障害、②コミュニケーション上の障害、③変な「こだわり」がある、の3つです。

しかし、これだけでは余りにも説明が抽象的過ぎて、一体何の事か分からない人も多いと思います。特に①と②の違いがよく分からない人が多いのではないでしょうか(実は私もその1人ですw)。そこで私なりに解釈してみたので、もし間違っていたら指摘して下さい。

①はいわゆる「空気が読めない」状態を指します。上司にため口で喋ったり、太った女性に平気で「デブ」と言ったり等、非常識な言動を繰り返す。だから、そういう人は、子供の頃も集団遊びにはなじめず、積み木やゲーム等の一人遊びを好みます。

②はいわゆる「パニック障害」です。相手と視線を合わすことが出来ない。顔が引きつる(チック反応)、すぐ逆ギレする等。ちょっとした物音や蛍光灯の光にも異様に拒絶反応を示す等も、厳密には「パニック障害」ではないが自閉スペクトラム症の特徴の一つです。

③はいわゆる「融通が利かない」。電話を聞きながらメモを取る等、2つの動作を同時にする事が出来ない。マニュアル的な反復動作を好み、突発的な変化に上手く対応出来ない、臨機応変に物事に対処出来ない等。

実際Tにもその傾向が強く現れています。だから、前述の空ケースの片付けの時も、「早く空ケースを片付けて商品の置き場所を確保しなければならない」という事ばかりで頭が一杯になり、普通ならすぐに気付くはずのラベルの入った空ケースも、ゴミと勘違いして一緒に取り込んでしまったのです。これは、一点にだけ注意が集中し、他の部分が見えなくなる「シングル・フォーカス」という症状で、「パニック障害」の一種です。

Tの「パニック障害」は他にもあります。以前にも書いた「何度注意しても、午前中の商品仕分け中に平気で昼からの商品を突っ込んで来る」もその一つです。昼からの商品(1便)の方が量が多いので、午前中の商品(2便)仕分けエリアにも、昼からの商品を突っ込んで来るのです。でも、先に出荷するのは午前中の商品なので、それ以外の商品を持って来られても邪魔になるだけです。

しかし、Tの頭の中は、「1便の商品の置き場所を確保する」事しか念頭にない、つまり「自分の都合しか考えない」ので、2便の作業時間も常に1便優先なのです。幾ら1便の荷物が多くても、先に積み込むのは2便の商品なので、昼までは2便優先で出荷しなければならないのに。ところが、Tにはそんな変な「こだわり」があるので、「融通が利かない」のです。

そこで私たちも一計を案じました。アスペルガー関連本を買って来てバイト仲間で回し読みし、そこから一定の対策をひねり出しました。自閉スペクトラム症の特徴の一つである「融通が利かない」「マニュアル的な反復動作を好む」点に着目し、こちらで新たにマニュアルを作る事にしたのです。作業場の境界にテープで区切り線を引き、「2便の場所に1便を置くな」と床に明記しました。そうしたら、Tはその区切り線よりも内側には、1便の商品を突っ込んで来る事はなくなりました。マニュアル人間には、こちらもマニュアルで対抗するしかないのです。

 

しかし、これはあくまで対症療法です。本当に必要なのは、自閉スペクトラム症の人も、それ以外の人も、共に安心して協同で作業が出来る職場環境づくりです。いたずらに「空気が読めない」と言って排除するのではなく、マニュアル的・オタク的な知識(列車の時刻表や型番など)には抜群の記憶力を発揮するという、自閉スペクトラム症の特性を生かした職場環境を、会社の責任で用意する事です。

発明王のエジソンや相対性原理を発見したアインシュタインも、一説によれば自閉スペクトラム症だったのではないかと言われています。2人とも子どもの頃は、学校の勉強が出来ずに、殻に閉じこもっていました。しかし、やがてその独創的な発想が、数々の発明や発見を導き出しました。

それをせずに、安易にバイトに丸投げするばかりでは、私たちも対症療法以上の事は出来ません。会社が何もしないのに、何故バイトだけが、他社の自閉スペクトラム症社員の面倒まで見なければならないのか?しかも、その現実に目の前にある問題を放置して、このくそ忙しい年末繁忙期に、わざわざ会社は安全標語のアンケート提出を私たちバイトに求めて来ました。余りにも人をバカにした対応なので、私は「アスペルガーに気を付けろ」と、アンケート用紙に書いて出してやりましたw。

これがラベル紛失などの凡ミスだけで済んでいたらまだ良いですが。やがて凡ミスだけでは済まなくなり、社員同士のトラブルや衝突にまで発展して、最悪、関東大震災後に起こった福田村の虐殺(香川県の行商人一行が千葉県の同村で方言が通じず、在日朝鮮人と間違われて虐殺された)みたいな事になったとしても、それは100%会社の責任です。

コメント (1)
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