自民党の新総裁に岸田文雄氏が選出されましたが、私はこの人には何も期待しません。
そもそも自民党総裁選そのものが茶番劇ではないですか。新総裁は党員・党友票382票と国会議員票380票の合計で過半数を取った候補2名の決選投票で決まったそうですが、110万の党員・党友と382人の自民党国会議員が、何故同じ380票台なのか?国会議員は1人1票の値打ちがあるが、1党員は国会議員の約2800分の1の値打ちしかない(110万÷382)って、もう差別そのものじゃないですか。それで、党員・党友票では河野氏が第1位で岸田氏は第2位だったのに、国会議員の票で首位が逆転してしまったのでは、党員の意向が全然反映されていないじゃないですか。
もともと自民党自体が、与党とはいえ一政党にしか過ぎないのに、その一政党の代表選挙を、まるで国家の一大事であるかのように報じるマスコミ自体に私はうんざりしていましたが、それを脇においても、これでは余りにも党員が可哀そうです。党の主人公はあくまで一人一人の党員であるはずです。それが本来の民主主義です。ところが、この総裁選では国会議員が、党員の2800倍もの投票権を行使しています。国会議員なんて党の要職でも何でもなく、ただの有権者の代表に過ぎないのに。こんな不公平な規定に、マスコミや国民だけでなく当の党員も、よく黙っているなと思います。
おまけに選出過程も無茶苦茶です。自民党総裁選挙には次の4人の方が立候補しました。河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子。4人とも自民党員なので、政策も大筋では違いはありません。憲法改正も消費税も言っている事は4人とも同じです。森友問題の再調査を表明しているのも野田氏1人だけです。他方で、経済政策では、岸田氏は「これまでの新自由主義的なやり方を見直す」と言い、他の3人とは明らかに違っていました。
新自由主義とは、一言で言えば規制緩和です。「政府は企業のやる事に口出しするな。何でも企業に任せていたら上手くいく。法人税引き上げで福祉国家を目指すなぞ邪道だ。政府はもっと企業活動を後押しすべきだ」という考え方です。今までは、この考え方に基づき、法人税を引き下げ消費税をその穴埋めに使って来ました。規制緩和で、非正規雇用もどんどん増やして来ました。それに異を唱えたのは、4人の中では岸田氏だけでした。
自民党総裁選第1回投票で、岸田氏が256票で首位、河野氏は1票差で2位、高市氏が上位2人には引き離されながらも200票近く得票し3位、野田氏は3人から大きく引き離され4位に終わりました。しかし、4人とも総得票782票の過半数381票を下回ってしまったので、上位2人による決選投票にもつれ込みました。普通なら、3位の高市氏は同じ新自由主義派の河野氏を応援するのが筋でしょう。森友再調査以外の他の政策では、どの候補も主張は似たり寄ったりなんだから。
河野氏の経済政策は「菅路線の継承。デジタル・脱炭素分野への投資促進」、高市氏の経済政策も「アベノミクスの継承。危機管理と成長分野で投資促進」。どちらも規制緩和推進の新自由主義派です。岸田氏の「新自由主義見直し」とは相いれないはずです。ところが実際は、「河野は中国べったりだ」という理由で、高市氏の票は河野氏にではなく岸田氏に流れました。
そこで「河野は中国べったり」の根拠についても調べてみましたが、よく分かりませんでした。「河野氏の父、河野洋平氏が慰安婦問題について中国寄りの河野談話を公表した」「河野氏の経営する日本端子という会社が中国と取引している」と言うのが、「中国べったり」の根拠らしいですが、父と子は別人格です。そんな事言い出せば、親父の封建的な価値観に反発して実家を飛び出した私も「家父長制論者」にされてしまいます。私の勤めている中小企業も、中国に現地法人があるので「中国べったりの反日企業」になってしまいます。
だから、こんな「根拠」には何の意味もありません。ただただ「河野憎し」「敵の敵は味方」の論理で高市氏が河野氏支持に回っただけです。自民党は、二言目には「野党共闘は野合だ」と言いますが、自分達の方がよっぽど「野合」じゃないですか。立憲民主党・共産党・社民党・れいわ新選組の野党4党が市民団体と交わした政権合意には、「安保法制廃止、森友問題などの疑惑再調査、消費税廃止」などの明確な公約があります。その公約を差し置いて、共産党以下の政党が、首位の立憲民主党憎しで、安倍・菅政権べったりで新自由主義派の「維新の会」に票を流すような事があり得るでしょうか?そんなあり得ない事が、自民党総裁選では起こりました。
もっと言えば、岸田氏の「新自由主義見直し」も、甚だ怪しいものです。岸田氏自身が、「新自由主義・アベノミクス」路線の安倍政権の下で、ずっと外務大臣を務めて来たのですから。岸田氏が本当にそう思うなら、何故その時に見直しを表明しなかったのか?幾らでも進言する機会はあったはずなのに、安倍政権の下では何も言わず、総裁選に立候補するようになってから、急に「分断から協調へ」と言われても、「今頃何言ってんだ?」という事にしかなりません。
岸田氏は、総裁選挙の決意表明で「日本の民主主義が危機にある」とも言っていましたが、これも眉唾物です。安倍政権の最大の疑惑である森友問題の再調査も拒否して、2018年7月5日の西日本豪雨のさなかに、「赤坂自民亭」と称して、党本部で安倍氏と一緒に酒盛りに興じておきながら、「危機も糞もあるか」と思います。自分達の方がよっぽど「野合」であり「危機」そのものじゃないですか。岸田新総裁就任後の党内人事も、麻生副総裁に甘利幹事長、高市政調会長と、安倍派に牛耳られています。これでどうやって「危機克服」や「新自由主義見直し」が出来るのでしょうか?
だから、自民党にも新総裁にも、私は何も期待しません。このコロナ禍の中で、入院も出来ずに自宅療養で亡くなる人が後を絶たず、失業や休業で路頭に迷う人も大勢いるのに、病院や保健所の拡充も言わずに、消費税減税も言わず、女系天皇にも選択的夫婦別姓にも反対し、賛成論者を「中国べったりの反日」と叩くだけ。そんな自民党総裁選のどこに期待できるでしょうか?
それでも敢えて「期待」するなら、せめて役所提出書類に西暦も使えるようにして欲しいです。元号よりも西暦の方が便利なので、私は日常生活ではもっぱら西暦を使用して来ました。ところが役所ではいまだに元号しか使用できません。だから住民票の申請でも使えるのは元号のみです。免許証の更新も、今の免許証は平成34年に失効するそうですが、平成34年が西暦何年に当たるのか全然分からず、ペーパードライバーなのでいちいち調べるのも面倒くさいと、警察から更新呼び掛けの通知が来るまで、もうそのままにしています。ダブルワークの面接で履歴書を書く際も、西暦なら簡単に書けるのに、いちいち元号で書かなければならないので、昭和と平成の使い分けに苦労しました。そこに令和も加わるとなるともう、はっきり言ってウザいです。
女系天皇や選択的夫婦別姓の是非について延々と議論する位なら、公文書での西暦の選択使用についても是非議論していただきたい。勿論すぐにでも認める方向で。そっちの方が、ハンコ廃止よりもよっぽど現実的な公約だと思います。女系天皇や選択的夫婦別姓よりも、よっぽど簡単に実現できる公約だと思います。集中豪雨の際にも宴会でうつつを抜かし、このコロナ禍の中でも天皇がどうたらとか、そんな浮世離れした議論しかできないなら、それ位すぐにでも実現してほしいです。
ただ、警察だけはうるさく、前回3年前に免許センターに更新に行った時、最近では珍しく横柄な確認係の若い警官と喧嘩しそうになりました(苦笑)結局申し込み窓口では西暦で書いた申請書が受理されましたが。でも不愉快だったのは確か。警察もウヨクの巣窟ですから。
公的機関でも他の民間機関でも、(一応ですが)世界標準の西暦の使用に早く変えさせたいもの。同じ東アジアの中国・朝鮮でももう1世紀以上前に廃止された元号なる旧時代の遺物に、21世紀の今になっても頑なにしがみついているこの国は、一体何なんだと不気味にさえ思えてきます。本当に文明社会の一員?
ところで記事と直接の関係はありませんが、西成区の鶴見橋3丁目に、下の記事(と動画)で紹介されているキリスト教会があります。「メダデ教会」
https://www.fnn.jp/articles/-/242725
偶々この記事と動画を観て、心に迫るものがありました。色々問題もあるのかもしれませんが、本当の意味での「信徒の共同体」と言える教会が、日本にもあるんだなと新鮮な感動を覚えました。私がもし大阪に住んでいたら、一度行ってみたいとも。西成と言う地域に改めて興味が湧きました。