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ダニ及びダニ感染症についての覚書

2021年07月28日 08時41分00秒 | 西成南京虫騒動

まずダニの種類ですが、主にヒョウダニ(ヒョウヒダニとも言う)、チリダニ、コメダニ、ツメダニ、イエダニ、マダニの6種類があります。そのうち、ヒョウダニ、チリダニ、コメダニは、主にチリや人間の毛髪、米粒などの食べかすを餌とするもので、人間を直接噛む事はありません。それでも病原菌を媒介する事には変わりないので、害虫として捉えられています。それに対し、コメダニ以下を餌とするツメダニは、誤って人間も噛む事があります。さらに恐ろしいのがイエダニとマダニで、これらは直接人間を襲い、蚊のように血を吸います。

しかし、コメダニなどは、小さくて肉眼では見れないものもあるのに対し、イエダニやマダニは比較的大きく(体長約1センチ)、肉眼でもはっきり認識できますが、これらは本来主に外の草むらなどに棲息しているはずです。それが何故、私の部屋で頻繁に目撃されるようになったのか?布団・カーペットはクローゼットに隔離し、ダニに汚染された布団は布団袋で密閉しました。段ボールも全て一掃して、公休日には必ず掃除をするようにしました。それなのに、むしろ掃除をこまめに行い、ダニアースやバルサンを散布するようになってから、ダニが頻繁に目撃されるようになりました。

それもこれも、マンションの老朽化がダニ出没の原因ではないでしょうか。特に、私の部屋の外の廊下が雨漏りで水漏れし、穴まで開いているのが、非常に怪しいです。古いマンションなので雨漏れするのは一定仕方ありませんが、穴まで開くのは非常に珍しいのではないでしょうか?上はもう屋上なので、隕石でも落ちてこない限り、穴なぞ開きようもないのに。少しの雨でも穴が開くほど、既に建物が湿気まみれになっていたのではないか?入居当初から、廊下の壁紙が剥がれ落ちていたのも、そのせいではないか?

しかも、ダニを媒介とする感染症について調べると、更に恐ろしい事が書いてあります。厚生労働省ホームページに、ダニ感染症についての記述があります。以下がそのページですが、比較的よくまとまっているので、長文になりますが、そのまま引用します。

ここでは次の6つの感染症が上げられています。①クリミア・コンゴ出血熱、②ダニ媒介脳炎、③回帰熱、④ツツガムシ病、⑤重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、⑥日本紅斑熱。そのうちで③④⑥については、感染症法で、都道府県知事への届出が必要な四類感染症に指定されています。

その中で、特に今のダニ騒動と関わり合いのありそうな項目②④⑤⑥について、さらに詳しく引用します。

●ダニ媒介脳炎

・病原体:フラビウイルス科フラビウイルス属に分類されるダニ媒介脳炎ウイルス
・感染経路:ヒトへの感染は主にマダニの刺咬によるが、ヤギの生乳の飲用によることもある。
・潜伏期間:7~14日
・臨床症状:
 ヨーロッパ亜型による感染では、そのほとんどが二相性の経過をたどります。第一相では発熱、頭痛、眼窩痛、全身の関節痛や筋肉痛が1週間程度続き、解熱後2~7日間は症状が消え、その後第二相には、痙攣、眩暈、知覚異常、麻痺(まひ)などの中枢神経系症状を呈します。致死率は1~2%、回復しても神経学的後遺症が10~20%にみられるといわれています。
 極東亜型による感染では、ヨーロッパ亜型のような二相性の病状は呈しませんが、極東亜型に感染した場合、徐々に発症し、頭痛、発熱、悪心、嘔吐が見られ、さらに悪化すると精神錯乱、昏睡(こんすい)、痙攣および麻痺などの脳炎症状が出現することもあります。致死率は20%以上、生残者の30~40%に神経学的後遺症がみられるといわれています。
 シベリア亜型に感染した場合も徐々に発症しますが、その経過は極東亜型と比較して軽度であり、脳炎を発症しても麻痺を呈することはまれです。その致死率は6~8%を超えることはないと報告されています。しかしながらシベリア亜型と進行型慢性ダニ媒介脳炎との関連が示唆されており、進行性慢性ダニ媒介脳炎では1年を超える長期の潜伏期間あるいは臨床経過をたどります。
・診断:血液、髄液から病原体の検出や病原体遺伝子の検出、特異的IgM抗体の検出あるいは急性期血清から回復期血清への特異的IgG抗体上昇の検出
・治療:対症療法(しかない)

●ツツガムシ病

・病原体:つつが虫病リケッチア(Orientia tsutsugamushi)
・感染経路:つつが虫病リケッチアを保有するツツガムシに刺されて感染する。
・潜伏期間:5~14日
・臨床症状:全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症する。体温は段階的に上昇し数日で40℃にも達する。刺し口は皮膚の柔らかい隠れた部分に多い。刺し口の所属リンパ節は発熱する前頃から次第に腫脹する。第3~4病日より不定型の発疹が出現するが、発疹は顔面、体幹に多く四肢には少ない。テトラサイクリン系の有効な抗菌薬による治療が適切に行われると劇的に症状の改善がみられる。重症になると肺炎や脳炎症状を来す。北海道を除く全国で発生がみられる。発生時期は春~初夏及び晩秋から冬であるが、媒介ツツガムシの生息地域によって異なる。
・診断:血液や病理組織から病原体や病原体遺伝子の検出、血清から抗体の検出
・治療:テトラサイクリン系の有効な抗菌薬

●重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

・病原体:ブニヤウイルス科フレボウイルス属の重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome : SFTS)ウイルス
・感染経路:主にSFTSウイルスを保有するマダニに刺咬されることで感染する。
・潜伏期間:6~14日
・臨床症状:発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)を主張とし、ときに、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴う。血液所見では、血小板減少(10万/㎣未満)、白血球減少(4000/㎣未満)、血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められる。致死率は10~30%程度である。
・診断:血液、血清、咽頭拭い液、尿から病原体や病原体遺伝子の検出、 血清から抗体の検出
・治療:対症療法(しかない)
・予防:草の茂ったマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用し、サンダルのような肌を露出するようなものは履かないことなど、マダニに咬まれない予防措置を講じる

●日本紅斑熱

・病原体:リケッチアの一種 リケッチア・ジャポニカ(Rickettsia japonica)
・感染経路:病原体を保有するダニに刺咬されることで感染する。
・潜伏期間:2~8日
・臨床症状:頭痛、発熱、倦怠感を伴う。発熱、発疹、刺し口が主要三徴候であり、ほとんどの症例にみられる。つつが虫病との臨床的な鑑別は困難である。ただし、詳細に観察すると、発疹が体幹部より四肢末端部に比較的強く出現する(つつが虫病では主に体幹部にみられる)、つつが虫病に比べ、刺し口の中心の痂皮(かさぶた)部分が小さいなどの特徴がある。検査所見:CRPの上昇、肝酵素(AST、ALT)の上昇、血小板の減少など
・診断:主に、間接蛍光抗体法、間接ペルオキシダーゼ法による血清診断が行われる。紅斑熱群リケッチアは種間で血清学的交差反応が強く、R. japonicaを抗原として用いれば全ての紅斑熱群リケッチア症の診断が可能であり、輸入感染症にも対応できる。また、類似疾患との鑑別のため、つつが虫病リケッチアの抗原を併用することが望ましい。また、ペア血清を用いた抗体上昇を確認することが望ましい。急性期においてはIgM抗体も検出されないことが少なくない。刺し口の痂皮、皮膚(発疹部)の生検、抗菌薬投与前の急性期末梢血中からのリケッチアDNA検出。
・治療:本症を早期に疑い適切な抗菌薬を投与することが極めて重要である。第一選択薬はテトラサイクリン系の抗菌薬である。なお、βラクタム系の抗菌薬は全く効果がない。
・予防:ワクチンはないため、媒介ダニの刺咬を防ぐことが極めて重要である。また、発生時期および発生地を知り、野山など感染するおそれがある地域に立ち入らないことが重要である。なお、農作業や森林作業でやむを得ず立ち入る際には、(1) 長袖、長ズボンを着用し、サンダルのような肌を露出するようなものは履かない(2) ダニ忌避剤を使用する(3) 作業後早めに入浴し、ダニの付着について確認を行うことが大切である。

以上が厚生労働省ホームページからの引用です。「致死率10~30%」とか、「ワクチン不在で対症療法で処理するしかない」とか、何か恐ろしい事が書いてあります。

ダニはゴキブリやクモと比べると、体長も小さく、そんなに気持ち悪くもないので、世間の人は軽視しがちです。私も以前はそうでした。しかし、危険性からすると、ゴキブリやクモなんかよりも、ダニの方がはるかに恐ろしいのです。ゴキブリも感染症を媒介しますが、少なくとも人間を直接襲う事はありません。クモも、毒グモ以外は人間を襲わないし、むしろ害虫を食べてくれる有難い存在なのです。

でも、最近はゴキブリもクモも全然見かけません。衛生環境が改善されたからですが、あいりん地区では、それが逆にマイナスに作用しているようです。ダニの天敵であるゴキブリやクモが、階下や周辺の居酒屋に集まってしまい、マンションの上の住居スペースからいなくなってしまったのではないでしょうか。それで余計にダニが繁殖するようになったのではないかと、推測しています。

でも、今更こんな事を家主に言って、家主を訴えても、裁判では100%負けてしまいます。今の賃貸業法では、ダニやゴキブリは、元々そこに居ているものと判断されるからです。実際にその通りなんだから仕方ありません。それを管理・予防するのは、あくまでも賃借人の役目であると見なされます。たとえ、マンションがどんなに老朽化していようと、それを承知で賃貸契約した住民の方に責任があると、見なされてしまうのです。

では、どうしたら良いのか?ダニは熱と乾燥に弱いので、布団乾燥機やコインランドリーの乾燥機で焼き殺してしまうのが一番良いそうですが、高価な布団乾燥機はおいそれとは買えません。コインランドリーの乾燥機も、あんなところまで大きくて重たい布団を、そのまま持って行く訳にはいきません。第一、あいりん地区のコンランドリーの小さな洗濯機では、布団は洗えません。布団の天日干しも、ダニの予防にはなりますが、既に布団に住み着いてしまい、布団の中に潜り込んでしまったダニには、あまり効果はないようです。窓を開けて換気と言うのも、治安の悪い西成で、最上階の出窓に固定されたガラス窓を取り外して、網戸に取り換えるのは余りにもリスクが大きすぎます。

とりあえず、撤去した布団とカーペットは、次の粗大ゴミ収集日に廃棄してしまうつもりですが(その収集日も最短でまだ1週間以上もある)、それでもダニが出没するようなら、引っ越しする事も考えています。

しかし、引っ越すにしても、今の非正規雇用の給料では、高家賃の優良物件には住めません。我々のような非正規雇用の労働者でも安心して住める公営住宅の拡充を望みます。今は五輪開催中で、どのテレビ番組も五輪一色ですが、住環境が整備されないうちは五輪どころではありません。何度でも言います。五輪よりも命!五輪よりもコロナ対策!


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