『銘酒居酒屋・赤鬼』赤鬼だより

東京三軒茶屋にある『銘酒居酒屋・赤鬼』のスタッフが、お酒周り、お店周り、そして旬のよしなしごとをトツトツと綴ります。

神無月10月、今月の四品その1

2008-10-01 16:56:24 | 酒の肴
神様が出雲に大集合するといわれる10月。
地上では稲も蕎麦も果実も収穫を迎え、
みのりの月でもありますね。
今年は晩夏からの雷雨や台風の影響で
いささか身体に変調をきたしている方もいらっしゃると思います。
そんな折りこそ、ゆったりと、
おいしいお酒と肴で秋を感じる至福のときを。

季節感と工夫をこめて、今月もあたらしい四つの料理を
メニューボードにのせてみました。
毎月変わるこの「今月の四品」は、
日々つくっていくうちにマイナーチェンジもあり、
みなさんのご意見と舌に磨かれていくものでもあります。
どうぞぜひ、召し上がってみて、ご感想をお聞かせくださいな。

さて、それでは以下順次、ご紹介していきましょう。





冬瓜の海鮮春雨あんかけ


夏は冷やしてサラダ仕立てに、冬はあたたかいスープに。
冬瓜は半年にわたってその滋味をもたらしてくれる素材。
赤鬼では丸のままの冬瓜をその都度下ごしらえし、
ていねいに出汁で煮含めてつかっています。
水気と繊維をたっぷりふくみ、ほかの素材の味を吸って
ふくらませてくれるこの冬瓜を、今回は
海のもののたっぷり入ったあんかけにしました。

あさりの出汁がきいたあんには、
海老や白身魚、それにプチプチした春雨が入って、
ひすい色の冬瓜をひきたてています。
すこし肌寒くなってきた秋の夜は、
こんなやさしい味の煮もので体を温めてくださいな。





神無月10月、今月の四品その2

2008-10-01 16:33:56 | 酒の肴
戻り鰹と酒盗味噌の共和え

カツオがとてもおいしい季節になりましたね。
お刺身でも、身の引き締まり味の乗ったカツオはよく出ます。
今回はそのカツオを使って、ちょっとひとひねりした酒肴を
つくってみました。

大きめに切ったカツオの身を、白味噌と酒盗、そして
みじん切りの大和芋と穂紫蘇で和えました。
とも和えというとアンコウやイカがよくつくられますね
(さかなの身と肝、のように同じ素材をあわせたものを
とも和えと言います)。
ここでは、ねっとりと旨みのある鰹に、
その内臓の塩辛である「酒盗」の塩味、
大和芋の食感、ぴりりとした穂紫蘇が渾然一体となり、
味噌の優しい味とコクが全体をまとめています。
つまみながらするするとお酒が進む、粋な一品ですよ。

ちなみにこの穂紫蘇は健生庵山愚から直送の無農薬のもの。
お刺身にもお付けしていますので、ぜひ取れたてを
召し上がってください。
口がさっぱりしてお魚との相性も抜群です。

神無月10月、今月の四品その3

2008-10-01 16:07:39 | 酒の肴
マコモタケのもちもち揚げ

料理名を聞かなければ「え、これなあに?」と思われるでしょう。
筆者も「すいとん?ニョッキ?」と、最初は判りませんでした。
じつは、煮たり炒めたりの中華料理で良く使われる、
あの筍と瓜のあいのこのようなマコモタケの、フリットなのです。
マコモ茸と書かれることもあってきのこのように思われがちですが
水生植物の茎なのですね。
擦り下ろしたマコモタケとあらみじんに切ったマコモタケを
片栗粉でまとめてさらっと素揚げにしています。
ほのかな甘味と、モチモチした不思議な食感が、
あとをひきクセになりそうな、楽しい一品です。


神無月10月、今月の四品その4

2008-10-01 15:55:10 | 酒の肴
里芋の煮浸し、茸のジュレがけ

これから冬にかけて、土のものが滋味をたくわえてくる季節ですね。
今回はしっとりと、里芋の煮びたしをつくりました。
上品な出汁で煮含めたほくほくの里芋を冷やし、
濃いめの出汁と醤油で調味したジュレに茸を取り混ぜて
上からトロリとかけたものです。
きのこ類はエノキや舞茸、椎茸、シメジなど、その日によって変わります。
山のものと里のものの取り合わせをさっぱりと、
風味豊かに召し上がってくださいな。