『銘酒居酒屋・赤鬼』赤鬼だより

東京三軒茶屋にある『銘酒居酒屋・赤鬼』のスタッフが、お酒周り、お店周り、そして旬のよしなしごとをトツトツと綴ります。

神無月十月、今月の四品 その1

2010-10-01 13:51:36 | 酒の肴
天高く馬肥ゆる秋。

きびしい残暑から抜け出て、空は日増しにたかくなり、
過ごしやすい季節になろうとしている昨今。
みなさまは、いかがお過ごしでしょうか。
おいしい日本酒、飲まれてますか?
おいしい旬のもの、召し上がっていらっしゃいますか?

毎月毎月、スタッフが知恵を絞りあれこれ試作しながらつくる
「今月の四品」。
今日から、十月のメニューになりました。
今回も力作ぞろいです。
「食欲の秋」に見合うとりどりの四品、
ぜひ召し上がってくださいね!


それでは順にご紹介してまいります。



「塩豚ロース煮」

季節の変わり目、しかもこんなに急激な変化は、
身体に大きく影響しますね。
たまった夏の疲れもあり、異動の時期の忙しさもあり、
連休が多くて稼働日は忙しく、
しかもついこの間まで30度を越えていたとはおもえない
朝晩の冷え込み。

そんなときのスーパーお助け食材は、なんといっても豚肉です!
中国では昔から、疲労回復・滋養強壮に豚肉が効くとされてきました。
その理由が現代ではちゃんと立証されています。
まず、豊富なビタミン。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるのに不可欠な栄養素で、
これが不足すると乳酸がたまってしまう(つまり疲労)、大事なもの。
豚肉には、牛肉の十倍ものビタミンB1が含まれているそうです。
ほかにも、脳の働きをよくするビタミンB12や、代謝をよくするビタミンB2、
皮膚や粘膜の健康維持に役立つナイアシン、老化防止に効果のあるビタミンEなど、
豚肉はビタミン類の宝庫!
さらには良質なたんぱく質の供給源でもあり、
脂身に含まれる脂肪はコレステロールを下げてくれる働きもあり。
これだけ揃えば栄養食で美容食、と言われるのも納得です。

お肉屋さんから吟味して買った上質の豚ロースを
やわらかく、さっぱりと、塩味で煮て、
シャキシャキの葱をたっぷり、
そして、特製の柚子芥子味噌を添えて。
噛みしめるとじんわりふんわり、お肉のうまみがひろがります。

ちなみに、葱には上述のビタミンB1の吸収を助ける
アリシンが含まれているので、味だけでなく栄養の相性もバッチリ。
おいしくてシンプルなひと皿は、元気のもとでもあるのです。


(中村作)



神無月十月、今月の四品 その2

2010-10-01 13:22:16 | 酒の肴
「秋鮭とジャガイモの味噌鍋」


今年も、「秋味」の季節がやってきました。
秋刀魚と並ぶ秋のお魚の代表というイメージがある、秋鮭。
しかし、「脂の乗った」旬の秋刀魚、とは対照的に、
秋の鮭は、さっぱりしているのだそうです。
それは、鮭が産卵のために沿岸部(やがては生まれた川)に
帰ってくる季節だから。
つまり、体の脂肪は白子や卵のためにつかわれるので、
身には余分な脂がまわらず、それが幸いして
脂やけしないで旨みをもった熟成、長期保存ができるということ。

そんなこの季節の鮭に相性抜群なのは、お味噌。
ちゃんちゃん焼きでもおなじみの組み合わせです。
もともと鮭は独特の生臭みから「鮏」という字だったそうです。
それを消してコクに転化し、味を引き立ててくれるのが
お味噌というわけです。

今月の、「赤鬼定番の小鍋だて」は、
まさにそのゴールデンコンビである秋鮭&お味噌味でつくりました。
ホクホクのジャガイモと、あさりなどの魚介類が名脇役。
お魚のうまみたっぷり、目の前で蓋をとれば拡がるお味噌のこうばしさ。
お腹のそこからあったかくなる具だくさんのお鍋です。
もちろん、日本酒との相性バッチリですよ。

(北原作)





神無月十月、今月の四品 その3

2010-10-01 13:08:00 | 酒の肴
「秋野菜の豆乳グラタン」


今年の夏は、それはそれは、暑かったですね。
しかも残暑が長々と尾を引いたあげくに、突如気温が下がりました。
その急な変わりように、いま、筆者の周りでは風邪引きさん続出です。

夏の間に冷房で冷え、秋雨前線でまた冷えてしまった
この季節の身体をあたためる、あっつあつのグラタンをつくりました。
秋といえば芋類、キノコのおいしい季節。
薩摩芋、里芋、南瓜、椎茸、などなどを鶏肉と一緒に、
「特製豆乳チーズソース」で和えて、こんがりと焼き上げています。
ヘルシーな豆乳に、隠し味のゴルゴンゾーラ。
やわらかいなかにコクのあるクリーミーなソースが
ほくほくの具によく絡んで、あとをひくおいしさです。
ぜひ、おためしあれ。
ほっこりと、あたたまりますよ。

(中村作)

神無月十月、今月の四品 その4

2010-10-01 12:54:35 | 酒の肴
「秋刀魚の立田揚げ」


夏の終わりから晩秋にかけて、産地が南下しつつ旬を迎えるさんま。
しかし今年、8月から9月にかけては、高価だったり品薄だったり。
海水温の上昇で、北海道ではかなり沖合いに出ないと
漁ができないサカナがいないという状態だったようです。
よって、今年の秋刀魚の出足は、ゆっくりめ。
それでもようやく秋らしく涼しくなった昨今は、
あぶらの乗ったあの姿が、安くたくさん見られるようになりました。

王道の塩焼きも美味しいですが、
ちょっとひと手間かけた、秋刀魚の立田揚げを作ってみました。

立田揚げ(立田は料理用当て字でもとは竜田)とは、
お醤油などで下味をつけた具材に片栗粉をまぶして揚げたもの。
さらにその由来をひもといてみると、
奈良の紅葉の名所である竜田川にちなんだネーミングのようです。
つまり、白い衣は川波、お醤油に染まった赤い具が紅葉というわけ。
なかなか風流ですね。

ひらいて丁寧に下味をつけた秋刀魚をカリっと揚げたてで、
とくれば、ビールもお酒もおいしくなること間違いなし。
名前もなかみもまさに旬の、一品です。

(北原作)