『銘酒居酒屋・赤鬼』赤鬼だより

東京三軒茶屋にある『銘酒居酒屋・赤鬼』のスタッフが、お酒周り、お店周り、そして旬のよしなしごとをトツトツと綴ります。

皐月五月、今月の六品 その1

2012-05-03 09:40:10 | 酒の肴
風薫る五月となりました。
雨で肌寒い日もありますが、
気温はぐんぐん上がって陽のしたでは汗ばむようなこの頃。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

名物の月替わり料理「今月の六品」、
ゴールデンウィークまっただなかの朔日から
五月のメニューになりました。
今月も逸品揃いです、どうぞぜひ、おためしください!
いつものようにひとつずつ、ご紹介していきます。



「明日葉の黒胡麻和え」

滋養強壮、そして抗菌作用で知られる「明日葉」は、
別名八丈草ともいわれ、健康食品にも多用される葉野菜。
伊豆諸島では大島系の「赤茎」と八丈島系の「青茎」など
ところによって少しずつ種類が違うのだとか。
セリ科のほろ苦さと独特の風味を持つ葉は、天ぷらなどで
クセを和らげていただくのが一般的なようです。

この、栄養たっぷりの明日葉で一品作ったのはもちろん
八丈島出身のスタッフ浅沼です。
島では日頃からよく食されている野菜だそうですが、
ここではお酒にも合うように、シンプルに茹でて胡麻和えにしました。
炒って当たった黒胡麻のこうばしさと油気が、
明日葉の強い個性とぴったり合わさって、
甘さと苦みとコクの、力強いハーモニー。
箸休めというよりは箸をすすませお酒もすすむ、逸品です。

(浅沼作)



皐月五月、今月の六品 その2

2012-05-03 09:28:49 | 酒の肴
「そら豆の挟み揚げ」

上を向いて生るから、天豆というのだとか。
下ぶくれの愛嬌あるかたちと独特の風味で
この季節、大人気の酒肴となるそらまめは、
さっと茹でたのもよし、
さやごと焼き上げたのもまたよし。
(焼きそらまめはボードメニューにも登場します)。
その「季節の味」を、ちょっとひとひねりして、
おいしい揚げものに仕立ててみました。

ほんのり甘辛味に生姜を利かせ、半生に仕上げた豚挽肉を、
生のそら豆で挟み、天衣をつけてさっくり揚げています。
挽肉のやさしいうまみがホクホクのそら豆に絡まり、
添えた抹茶塩のさわやかさがさらに風味をひきたてます。
ひと手間かけたそら豆の一品、
どうぞジューシーな揚げたてを召し上がってください。

(菅作)


皐月五月、今月の六品 その3

2012-05-03 09:12:41 | 酒の肴
「穴子の押し寿司」

お寿司屋さんで「初夏の味」といえば、
やはり、穴子でしょうか。
夏にかけて白焼きや煮付けで登場させてきたアナゴですが、
今回初めて「押し寿司」に仕立ててみました。

新鮮な穴子を店で捌き、甘辛すぎずふんわりと炊きあげ、
これまたきれいな鮨飯に乗せてかるく重しをかけました。
しっとりと味のしみたつややかな穴子と
きれいに締まったご飯がきゅっと一体になって、
それが口の中でほどけていく旨さは、押し寿司ならでは。
魚も米も極上であるからこそうまれるこの上品さ、
添えた本わさびも爽やかに、
初夏の味を存分に楽しんでくださいな。

(大内作)


皐月五月、今月の六品 その4

2012-05-03 08:57:15 | 酒の肴
「帆立貝とアスパラガスの焼き浸し」

さわやかな五月は帆立貝の旬。
お刺身でも磯辺焼きでも人気のこのホタテ貝柱をつかって
洒落たひと皿ができました。
合わせたのはこれまた今が旬の、アスパラガスです。

焼いてから浸し地に着けたアスパラガスと新鮮な生の帆立貝を
自家製くるみ醤油で召し上がっていただきます。
アスパラのほろ苦さは伸びゆく生命力の力強さ。
口の中でとろけるような貝の旨みが踊る帆立貝。
そのまま食べてもおいしいふたつですが、
胡桃、カシューナッツ、ピーナッツ、胡麻などをブレンドした
特製くるみ醤油をからめると
ナッツの濃厚なコクが加わって、さらに風味絶佳。
お刺身ともお浸しとも違う粋な取り合わせを
お酒とともに、ほっこり味わってくださいな。

(中村作)



皐月五月、今月の六品 その5

2012-05-03 08:40:39 | 酒の肴
「鴨ロース三色焼き」

桜からつつじ、菜の花、チューリップ、
そして目にも鮮やかな若葉が青葉にかわってゆく季節。
そんな自然の花畑をうつしとったようなひと皿が登場しました。
「鴨ロースの三色焼き」です。

鳥専門店から仕入れている新鮮な鴨をしっとりと炊き上げ、
スライスして三色の具を挟んで軽くオーブンで焼いています。
黄色はびしゃ玉(卵をふんわりクリーム状に仕立てたもの)、
緑は湯がいてあらく潰した枝豆、赤はプチトマトです。
そのまま食べても美味しい柔らかシコシコの鴨に、
丁寧に下拵えした具材それぞれの風味が加わって、絶妙のハーモニー。
この手間と組み合わせ、板長でなければできない仕事です。
目にも舌にも愉しくておいしい、極上のひと皿を召し上がれ。

(菅作)

皐月五月、今月の六品 その6

2012-05-03 08:20:10 | 酒の肴
「いわしのロールキャベツ」

この「今月の六品」のなかに必ずひとつ入る定番、
いわゆる「赤鬼の小鍋立て」。
一年十二ヶ月、季節を折り込みながら、
中身もいろいろかわっていきます。
気温が上がって爽やかになってきたこの季節は、
ちょっと凝った煮もの炊きものを土鍋でちょいと仕上げて
お出しするスタイルになったりします。
そこで、今月はこれ。鰯のロールキャベツです。

新鮮な鰯をたたいてつみれのタネをつくり、
春キャベツできゅっと巻きました。
ほんのりお醤油味の出汁で野菜と煮込んでいます。
キャベツのやさしい甘さに包まれたつみれは
青魚のしっかりした旨味と生姜がきれいに合わさって、
ほろほろと口の中でほどけます。
人参、大根、ブロッコリーの彩りもきれいな
どことなく和洋折衷で栄養たっぷりの「初夏の小鍋」。
ぜひ、召し上がってくださいな。

(竹下作)