アンナプルナサウス C1 1975年9月
最近の長雨の日々にはうんざりですが、山からもすっかり遠ざかりウダウダした平凡な暮らしを送っています。試しに体重計に乗ってみるとやはり1.5kgのオーバーで、中性脂肪が日に日に体にまとわり付くような気分で憂鬱です。
インターネットで色々やっていると本を読む機会が減ってしまい、最近は本屋で山の本を買い求めることなどすっかり無くなった。本屋さんに寄っても「立ち読み歓迎」を良いことに、山の雑誌は立ち読みにがぎるとばかりでヒマ潰しの日々でした。もともと立ち読みには私の得意分野。ちなみにかつて東京での某スポーツ用品メーカーの営業マン時代、サボりにサボって新宿の紀伊国屋書店で、山の単行本を3度ほど立ち読みで「完読?」した実績が有ります。
最近およそ15年ぶりに買い求めた本が有る。「エベレストから百名山へ」重廣恒夫著(光文社2003年)。この重廣恒夫氏とは、ヒマラヤ登山に関心のある方であれば誰でもご存知の人で、日本山岳会を中心とした数多くのヒマラヤ登山隊を率い、多くの8000m峰のバリエーションルートの初登攀を成し遂げた方。しかも自らエベレスト、K2、カンチェンジェンガを初めとする困難なルートを完登した、世界的にもトップのクライマーでもある方。
この方はカリスマ的存在の小西政継氏とか、国民栄世賞の植村直巳氏とは異なり、華々しくマスコミに登場する事は無く一般的にはあまり知られてい無いが、日本のヒマラヤクライミングのレベルを世界トップレベルに押し上げた、日本山岳界の素晴らしい功労者として知られている。
この本の内容は登山隊の隊長としての高度かつ困難な責務と、自信がクライマーとしての死線を彷徨うような過酷なクライミング、そしてまったく意外な日本百名山へと大きく舵を切って行く過程が興味深い。特にエベレスト北壁初登攀での臨場感ある記録は素晴らしく、本人にとっても実に考え深い登山だったと思う。あまり飾り立てた文面でもなく、率直ながら困難を極める山登りの中から、山の楽しみ、山登りの醍醐味を見事に伝える本に思える。山が人生や夢と等価であった時代の面影が本書から感じられる。今まであまり伝えられる事の無い、知られざる壮絶な物語が描かれている。
この本は実に懐かしくもまた、時代の変遷を強く感じさせる現実でもある。かつての田舎山屋の私達でも、レベルとスケールの違いは途方も無い落差があったが、少なくても気持ちだけは同じで似たような目的意思を共有しながら登っていた。いわゆるヒマラヤ至上主義で、山はもちろんの事、実社会でも山を中心に全てが廻っており、仕事を取るか山を取るかという極道的な世界。仕事を取った良識のある人間は次第に戦列から離れていき、今思えば家族、会社の方には多大な迷惑をかけっ放しだった。
しかしこの方は素晴らしいサラリーマン人生を送っている方で、オニツカ(現アシックス)に勤務されながら、17隊もの数に上るヒマラヤ登山隊に参加している。しかもその個人負担金の多くをを会社からもらっているという実に羨ましい方。通常この世界では考えられない優遇で、よほど仕事が出来てで会社の評価も高く、しかも人望があってまた上司に恵まれた方なのだろう。ただそれだけではなく直接社長に直訴する位の実績と度胸があったからではないか。私もかつて一度だけは会社に目をつぶてもらった事はあったが、二度目となると即退場処分が目に見えていた。しかもこの方日本百名山を123日で完登するに当たり、会社にアウトドア事業部キャンペーンの一環として企画書を持ち込み、結局会社の全面バックアップの末達成してしまう。私から見れば理由はどうあれ、自分自信が登りたかったから登った様に見えるのだが。
こういう事ををいまさら考えてみると、山登りでも仕事でも結局最後まで諦めずやり通した人のみ栄冠が輝くという事実で、途中で弱気になったり中途半端に終わってしまう我々とは人間が違うと感じる。時間がたつと後は後悔だけが残り、内輪で呑んだくれた時には単なる昔話だけで盛り上がるという事になる。気が付いたときには自分の気力、体力が低下し、あの時登っておけば良かったと後悔する。それだったら自分の実力にあっただけの山登りでも、後で納得する結果を伴う様たまには真剣になってみる事も必要だろう。
最近の長雨の日々にはうんざりですが、山からもすっかり遠ざかりウダウダした平凡な暮らしを送っています。試しに体重計に乗ってみるとやはり1.5kgのオーバーで、中性脂肪が日に日に体にまとわり付くような気分で憂鬱です。
インターネットで色々やっていると本を読む機会が減ってしまい、最近は本屋で山の本を買い求めることなどすっかり無くなった。本屋さんに寄っても「立ち読み歓迎」を良いことに、山の雑誌は立ち読みにがぎるとばかりでヒマ潰しの日々でした。もともと立ち読みには私の得意分野。ちなみにかつて東京での某スポーツ用品メーカーの営業マン時代、サボりにサボって新宿の紀伊国屋書店で、山の単行本を3度ほど立ち読みで「完読?」した実績が有ります。
最近およそ15年ぶりに買い求めた本が有る。「エベレストから百名山へ」重廣恒夫著(光文社2003年)。この重廣恒夫氏とは、ヒマラヤ登山に関心のある方であれば誰でもご存知の人で、日本山岳会を中心とした数多くのヒマラヤ登山隊を率い、多くの8000m峰のバリエーションルートの初登攀を成し遂げた方。しかも自らエベレスト、K2、カンチェンジェンガを初めとする困難なルートを完登した、世界的にもトップのクライマーでもある方。
この方はカリスマ的存在の小西政継氏とか、国民栄世賞の植村直巳氏とは異なり、華々しくマスコミに登場する事は無く一般的にはあまり知られてい無いが、日本のヒマラヤクライミングのレベルを世界トップレベルに押し上げた、日本山岳界の素晴らしい功労者として知られている。
この本の内容は登山隊の隊長としての高度かつ困難な責務と、自信がクライマーとしての死線を彷徨うような過酷なクライミング、そしてまったく意外な日本百名山へと大きく舵を切って行く過程が興味深い。特にエベレスト北壁初登攀での臨場感ある記録は素晴らしく、本人にとっても実に考え深い登山だったと思う。あまり飾り立てた文面でもなく、率直ながら困難を極める山登りの中から、山の楽しみ、山登りの醍醐味を見事に伝える本に思える。山が人生や夢と等価であった時代の面影が本書から感じられる。今まであまり伝えられる事の無い、知られざる壮絶な物語が描かれている。
この本は実に懐かしくもまた、時代の変遷を強く感じさせる現実でもある。かつての田舎山屋の私達でも、レベルとスケールの違いは途方も無い落差があったが、少なくても気持ちだけは同じで似たような目的意思を共有しながら登っていた。いわゆるヒマラヤ至上主義で、山はもちろんの事、実社会でも山を中心に全てが廻っており、仕事を取るか山を取るかという極道的な世界。仕事を取った良識のある人間は次第に戦列から離れていき、今思えば家族、会社の方には多大な迷惑をかけっ放しだった。
しかしこの方は素晴らしいサラリーマン人生を送っている方で、オニツカ(現アシックス)に勤務されながら、17隊もの数に上るヒマラヤ登山隊に参加している。しかもその個人負担金の多くをを会社からもらっているという実に羨ましい方。通常この世界では考えられない優遇で、よほど仕事が出来てで会社の評価も高く、しかも人望があってまた上司に恵まれた方なのだろう。ただそれだけではなく直接社長に直訴する位の実績と度胸があったからではないか。私もかつて一度だけは会社に目をつぶてもらった事はあったが、二度目となると即退場処分が目に見えていた。しかもこの方日本百名山を123日で完登するに当たり、会社にアウトドア事業部キャンペーンの一環として企画書を持ち込み、結局会社の全面バックアップの末達成してしまう。私から見れば理由はどうあれ、自分自信が登りたかったから登った様に見えるのだが。
こういう事ををいまさら考えてみると、山登りでも仕事でも結局最後まで諦めずやり通した人のみ栄冠が輝くという事実で、途中で弱気になったり中途半端に終わってしまう我々とは人間が違うと感じる。時間がたつと後は後悔だけが残り、内輪で呑んだくれた時には単なる昔話だけで盛り上がるという事になる。気が付いたときには自分の気力、体力が低下し、あの時登っておけば良かったと後悔する。それだったら自分の実力にあっただけの山登りでも、後で納得する結果を伴う様たまには真剣になってみる事も必要だろう。
重廣さん、懐かしいお名前です。何かのデモンストレーションの時に同行されていて、登りを拝見したことがあります。信頼性のようなものを感じた覚えがあります。
かつてドロミテ地方の壁を数多く登られたのでしょうか?私はネパールでチャン、ロキシーなどの劣悪な酒に酔いしれていましたが、ワインの奥深い世界には興味が沸きます。