自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

身は故郷、心は宙COSMOへ

2013-11-13 | 体験>知識

卒業を境に故郷と縁が切れ始めた。
わたしは西へ、進学校に決定。
学友たちは東へ、私立または公立高校に進む。
同じ国鉄久大線草野駅で乗降りしても単線で本数が少なく出会うことがない。
大学進学を選んだときに未知の広い世界に飛び出す覚悟ができていたと思う。
中学時代は思いっきり遊べた。
高校時代は勉強一筋で受験競争を勝ち抜く。
故郷の地縁は切れ、食べる、予習する、寝るだけの家だけが残る。
心はすでに故郷にはなく宙をさまよっていた。

卒業の日の思い出は何もない。
ただ一つ消したいのに消えない埋め火のような後悔の記憶がある。
人気のない渡り廊下の階段で別のクラスのK嬢から付き合ってほしいと告白を受けた。
すれ違いざまで思いがけなかったこともあり、つっけんどんに即座に「断る」と言って立ち去ってしまった。
その一瞬間に大脳は能力を全開して身も蓋もない結論を出していた。
Nへの純愛がある。
Kはタイプでない。
母子ともにグラビア写真から抜け出してきたような美人だ。
化粧も衣装も流行の最先端を走り派手だ。
わたしは育ちから身勝手だ。
彼女は清水の舞台から飛び降りるほどの煩悶と決意をもって告白したはずだ。
後年それに気付いたが後の祭りだ。
わたしは一度も中学の同窓会に出ていない。
それが出なかった理由ではないが彼女に合わせる顔がないのも事実だ。