自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

大学時代/アルバイト/社会体験/人体実験

2016-03-16 | 体験>知識

人並みにアルバイトをした。
アルバイトに始終していた苦学生にくらべたら、たわいのない体験だが、わたしにとっては得難い人生経験だった。
定番の家庭教師、大掃除はもちろん経験した。
太秦の撮影場で1日だけ「新選組始末記」のエキストラをした。 
寺田屋から死体を運び出す役だった。
祇園祭では後祭の鉾曳をやった。
土色っぽい袷のワンピース(ロングはっぴなら恰好いいが)を着せられてピラミッド造営用の巨岩を曳く労働者群を連想した。
理工学部の研究室で集計、いや足し算を一日中やった。
電卓のない時代、筆算をやるのが面倒くさくなって、大きな数字を頭から暗算することを思いついて計算スピードを上げた。
食パン1斤が25円、ラーメン1杯が35円だった時代、500円のアルバイト代はありがたかった。
土建の補助作業では日当の500円でステーキとワインをレストランでとりクラッシックを楽しむ老紳士がいたのがなぜか思い出される。
アルバイト先にも自転車で往復したから京都の地理に詳しくなり、京都が自分の身の丈に合った大きさの都市だということを実感した。
この体験がなかったら京都を第三の故郷として懐かしむことにはならなかったと思う。
付属病院で精子提供のアルバイトをする学友がいた。
何人ものこどもができた分だけ夫婦に幸せを運ぶわけだが将来こどもが悩むかもしれない可能性を考えると複雑な気持になる。
わたしの附属病院でのアルバイトは薬の臨床試験だった。
注射直後に体が熱くなった。食後にも採血採尿したように記憶する。
現場で初めて「簡単なテスト」が何であるか知るわけだが、今だったら人権問題だろう。インフォームド・コンセンサスの概念が普及すのは30年後である。
ネットで調べたら今では高額報酬が得られる100%安全な治験とあった。
日帰りで3万円以上が相場らしいが、わたしの場合500円超だったように思う。
わたしは人生でこのほかにも2度大病にともなう人体実験(観血手術)を経験することになる。