自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

思想形成で影響を受けた媒体

2013-01-17 | 体験>知識

1952年3月のある朝、わたしは教室の掲示板に書いた。
ソ連の偉大な政治家スターリン死去!
共産党系で組合活動にも熱心だった担任は興奮気味につぶやいた。
「こういう捉え方ができる君はすごい」
これにはわたしが驚いた。
わたしは新聞、ラジオが大きく取り上げて騒いでいるから単純に「偉大」と表現しただけで思想的背景は何もなかった。
いやそれどころか先生の期待から程遠い白に近かっただろう。
父母の日常会話の影響が濃厚だった。
田舎ではメディアや世間の空気を吸うかぎり赤ではなく白に染まるほかなかった。
ちなみに校内演説会の一弁士にいやいや選ばれたときの演題は「日ソ不可侵条約を破棄して対日参戦に踏み切ったソ連の裏切りを弾劾する」だった。北方4島はこのとき占領された。
新聞、ラジオのまったくの受け売りだったが教師からも誰からもコメントがなかった。
近年日教組が諸悪の根源のように言われ、タメにする鷹派の攻撃目標になっているが、わたしに関するかぎり日教組の影響力は皆無だった。
学校の授業内容が文部省検定の教科書からはみ出すことはなかった。
先生が組合の会議に出るために授業を自習の時間にするのが嬉しかった。

 


コミュニティが活きていた時代/ガキ大将/伝承の力

2013-01-02 | 体験>知識

コミューニティに相当するキーワードはいろいろある。
共同体が一番目に来ると思うが、自治と伝統が本質を衝いている。
加賀の一向宗、京、堺の町衆、惣村等古い時代の社会の基盤は共同体であり、政治権力が変わっても自治と伝統により運営されていた。
戦後もしばらくコミュニティが活きていた。
子供の世界でもガキ集団があった。
ある寒い冬の日、中学上級生をまじえた5、6年生が山際の平地に集まった。
畑と杉林の間は未利用の空間で枯れた低い雑草に覆われていた。
経験者が火消し用に杉の生枝をみなに採らせた。
そして平地の真ん中の立ち枯れの草に点火した。
火は環状にゆっくり燃え広がる。
手が付けられなくなりそうな所を杉の枝でたたいて火を消した。
運動と火力でわれわれは十分に暖をとることができた。
自主管理された悪戯、当時はそれが普通だった。
今こんなことをすれば消防車が出動する。
ヒトという動物は焚き火をすることで人類になった。
焚き火ができなくなった人類の未来を案じる。