風のささやき 俳句のblog

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動かずに、地下鉄、人込み、出入口、チャバネセセリの、そっと、危ない【短歌】

2024年10月01日 | 短歌

いつもの地下鉄の出口を上りました
少し混んでいたので
前の人に合わせて上って行きました

階段を上り終えたところで
足を下ろそうとすると
その近くには羽をたたんで動かない
チャバネセセリが一頭

僕もまるで気が付かなかったのですが
出口のコンクリートの床の部分に
溶け込んでいます

どう考えても
そのままでは踏まれそうだったので
気になったのですが
僕の後ろからも人が上ってきていたので
邪魔にならないようにそのまま進みました

何故、あんなところで
羽を休めていたのか分からないのですが

あの後すぐに、飛び立ってくれたのなら良いのですが
しばらく気になっていました


秋の夜や毛布にくるまる蓑虫か三匹川の字その間に眠る 【短歌】

2024年09月24日 | 短歌

朝夕が大分肌寒くなってきました

いつもの如く夜遅くまで眠らない三男を
眠らせようと一緒に眠っていました
本当は一番早く眠らせたいのですが
夜になるとハイテンションになって
子供たちの中で一番遅くまで起きています

俺、夜行性だからと言うので
昼に生活をしろと怒るのですが
それを聞いてゲラゲラと笑っていたりします

特に週末は遅いことが多く
その日も11時を過ぎていました

声を出さずに静かにしていると
やがて静かな寝息が聞こえてきました
ようやく寝たようです

それを確かめようと枕元のスタンドの灯りををつけると
毛布にくるまって首だけ出している三男の姿
まるで首だけを出している蓑虫のように見えました

そうしてその向こうには
同じような姿で寝ている長男と次男も

僕はその三人に挟まれて
窮屈な思いをしながら眠りにつきました


思うほど、僕苦しめるもの、少ないよ 人苦しめるほど、皆、暇なし 【短歌】

2024年09月17日 | 短歌

若い頃には人目が気になり
外を歩くのも苦痛に思うような時がありました

人が僕に悪意を持っていて
痛めつけようと向かってくるような感覚

けれど段々と年を重ねると
そんな悪意は結構少なくて
それ以上に、皆が自分のことで苦しんでいて
人に対して悪意を向ける余裕も
あまりないことを感じるようになりました

もちろん、そんな自分を持て余して
人に攻撃を向ける人も少なくはないのですが

ある意味、僕が思っている以上に
人は僕には関心が無いと言うこと
それを感じるだけで、心が少し楽になる気もします

人の目にがんじがらめにされて
動けなくっていた心が一息をつきます

自分を苦しめるものは
人ではなくて自分の考えや認識であることが多いですね
でもそれが素直に納得できるまでには
きっと時間も必要なのですが


宵の道出くわす野鳥の案内人「あら」と声出る逃げぬ後追う 【短歌】

2024年09月10日 | 短歌

賑やかな街を歩いていました
目的の場所に行こうと
ちょっと細い路地裏を通ると

目の前に可愛い野鳥が道路の上を歩いていました
思いがけない出会いに
鳥好きの僕は
思わず「あら」と声を出してしまいました

その鳥は初めて見る黄色を中心とした綺麗な鳥でした
その後、ネットで調べてみたのですが
一瞬の記憶もあやふやになっていて
これだと言い切れる鳥の名前は見つけられませんでした

その可愛らしい鳥は
近くに寄っても逃げることなく
僕の前をちょこちょこと歩いて行きます

僕は道案内人を得たように
その後を静かについていきました


入り混じる、季節の頃や、生温き 宵闇、ごっちゃに、蝉と虫、の声 【短歌】

2024年09月03日 | 短歌

少し前から虫が鳴き始めました

その日も随分と暑い日で
夜になっても、その暑さが続き
帰りがけ聞こえた虫の声が予想外で驚きました

自分の中では虫が鳴きだすには
まだ早いという感覚があったからです
それが簡単に打ち破られた驚きでした

まだ蝉の声も聞こえたり
ただ、確かに、朝や夜の風は秋の香りを含み
季節が交差する時分にいることを感じていました


耐えかねて自分の重さに首を折る頭でっかちひまわりくんが 【短歌】

2024年08月27日 | 短歌

自転車で走っていたら
畑に育つ向日葵の一つが
首をぐにゃりと曲げて下を向いていました

花が周りの向日葵よりも
異常に大きいのです
その重みに耐えかねて
首を曲げてしまったのですが

何故自分で支えられないほどに
大きな花をつけてしまったのかしらと
ちょっと哀れに思い
ブレーキをかけて一瞬
その前に立ち止まってしまいました

頭が重ければ支えきれない首も折れるのは
自然の理ですし分かりそうなものですが
振り返ると自分も頭でっかちになっていることが
往々にしてあります

ついつい理屈と言い訳が先行して
頭が一杯になってそれを自分で支えていられなくなって

向日葵を嗤う以上に自分の方が
首を折った姿でいることが多く
気が付いていなかった自分の姿を
目の前に見せつけられたような気がして
しばらくその向日葵の姿が
頭から離れずにいました


怒りにて封蝋をして閉じた今日このところこれ目覚めもこれだ【短歌】

2024年08月20日 | 短歌

ここの所忙しいせいか
イライラとしながら一日を終わらせることが
少なくありません

例えば嫌なことを思い出しながら
蒲団の中で気を揉んでいるとか

その怒りの気分は
次の日にも持ち越されるようですね
何となくイライラとしながら目を覚まして

その悪循環にここの所
嵌っている気がして
少し心落ち着ける時間を見つけて
安らかな気持ちで眠らなければですね


糸電話、君のひそひそ、声、届く 震える心、伝える手、ないか 【短歌】

2024年08月13日 | 短歌

昔、学校の実験で糸電話を作り
友人と話をした覚えがあります

何故こんな簡単な仕掛けで
声が聞こえるのだろうと
とても不思議で驚きの気分だったことを
思い出します

そんな風に人の心の震えも
そのままに届くような道具があれば
便利だし、誤解も少ないのだろうなと思います

言葉に乗せるとどうしても上手く伝えられず
もどかしさばかりが募るばかりです

それでも言葉ぐらいしか
今のところ心を伝える手立てはないので
それを磨かなければと思います


ぎっしりの蔦押しやぶらん夏の窓 眩しさ、緊張、力、均衡す 【短歌】

2024年08月06日 | 短歌

今年も夏の間に蔦が伸び
駅の外側から壁を乗り越えて
ホームの方まで侵入していました

毎年、楽しみにしているのですが
だんだんと、ホームへ入り込む
割合が増えている気がします

その蔦の勢いは透明な窓を眺めると一目瞭然で
今にも窓を打ち破って押し入ろうとする勢いです

そうしてそれに負けまいと力を入れる窓という構図に
夏の光が緊張感を与えていました


一つとて同じではない夏雲が何故懐かしく、胸、明るます【短歌】

2024年07月30日 | 短歌

夏のこの時期
空を見て、雲を眺めていると
どこか懐かしさが込み上げてきます

夏の雲の形状は一つとして同じ物はなくて
何に、懐かしさが呼び起こされるのか
夏の雲の色合いなのか、質感なのか

いずれにしろ、その根っこは
子供の頃に田舎で過ごした
夏休みの思い出にあるようです

楽しかった時間は大切ですね
それが今でも胸に蘇って
自分を慰めたりしてくれるのですから

秋田に遊びに出かけている三男も
沢山の満ち足りた時間を
持って帰って来てくれればと期待するばかりです