風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

夏の空真一文字や雲の筆 【季語:夏の空】

2018年07月21日 | 俳句:夏 天文
真昼時のこと
電車に乗ってぼんやりと
車窓から外を眺めていました

久しぶりに陽射しの強い
夏らしい一日
少し開かれた窓からは
甘い草の香りが入って来て
鼻腔をくすぐります

空も夏らしい青い色
その下に横たわる山の峰も
随分と色を濃くしています

その空には何の迷いもない筆使いのように
真っ直ぐに引かれた雲が一つ漂い
僕は視線を奪われていました

雨音の猛りにも倦む梅雨長き 【季語:梅雨】

2018年06月16日 | 俳句:夏 天文
その夜は風も強く
随分と雨音が激しく
窓や屋根を高い音で叩いていました

近くの樹木が激しく揺れて
梢がなっているのでしょうか
その音も耳の中に届きました

普段であれば
窓の外の音が気になってしょうがないのですが
そこは雨の音に慣れてしまう梅雨の時分

猛る雨音も気にならずに
すぐに眠りについてしまいました

雨白く空縫い付ける梅雨の入り 【季語:梅雨】

2018年06月02日 | 俳句:夏 天文
梅雨に入るとしばらくの間は
ぐずりがちの空が続くのかと思うと
晴れた空が恋しく思えます

その日も朝遅く目を覚ますと
雨だれの音が聞こえていました

窓を開けると
大粒の雨が白い糸を引くように
空から次々に落ちています

風景はかすみ
空も白い縫い目で一杯で
しばらく続く梅雨を暗示しているようでした

つり革の手は老いてあり夏の月 【季語:夏の月】

2017年07月22日 | 俳句:夏 天文
いつものように電車に乗って
家路へと向っていました

夜ももう遅い時間
その日も色々と忙しく
ぐったりとして
電車のつり革につかまっていたのですが

何気なくつり革を握る自分の手を眺めると
皺深く節々が骨ばり
とても年老いて見えました

我ながらその手にギョッとして
窓の外を眺めると夏の明るい月

僕の胸の内の戸惑いには
まるでそ知らぬ顔でした

駅で待つ腕時計にも夏の空 【季語:夏の空】

2017年07月15日 | 俳句:夏 天文
とある午後のことでした
駅でなかなか来ない電車を待っていました

時刻表を見たら
もうとっくに電車が到着している時間
先を急いでいることもあって
事故でもあったのかなと
少しやきもきとしながら
腕時計を覗き込んだのですが

その腕時計の中には青い夏の空
つられるように顔を上げて空を眺めていたら
電車が遅れていることぐらいで
イライラとしている自分が
ちっぽけでつまらなく思えてきました

邪魔な虫逃げ込んでくる長き梅雨 【季語:梅雨】

2017年06月24日 | 俳句:夏 天文
よく飽きないなと思うほど
毎日雨が続いていました

そのせいでしょうか
空気を入れ替えようと
少し窓を開けると
そのわずかな隙間から
蚊や蝿などが入ってきます

虫も雨に濡れることを
嫌がっているのでしょうか

家の中に入ると
どこか元気が良くなったように
部屋中を忙しく飛び回っています

そのとばっちりを受け
蚊に刺されて一人
夜中に目を覚まし
薬を塗る僕がいました

狛犬の涙の数や梅雨深し 【季語:梅雨深し】

2017年06月17日 | 俳句:夏 天文
雨の降り止まない日
傘を差しながら
とある神社の側を通りがかりました

長い石段が続き
その上の方には大きな鳥居
どうなっているのだろうと思い
階段を上ることにしました

その階段の両脇のところには
二匹の狛犬がいたのですが
頭から雨をかぶり
それが目を伝わって涙を流しているようです

いつまでも降り続いている雨
涙は後から後からとまりません

これでは梅雨が通りすぎても
涙の跡が消えないのではと
ちょっと心配に思えるぐらいでした

かき鳴らすギターの音にも梅雨の鈍 【季語:梅雨】

2017年06月10日 | 俳句:夏 天文
朝から
窓の外にはシトシトと
小雨が降り続いていました

部屋の中にいても
湿気が高いのでしょうか
着ているシャツが
ジメジメと肌にまとわりついてきます

僕はいつものように
ギターを取り出して弾いてみたのですが
ギターさえもが
どこかシットリとしているよう

かき鳴らす音にも
いつもの明るさがなくて
雨に鈍色に染められているようでした

水際や歓声わんさと炎天下 【季語:炎天下】

2016年07月09日 | 俳句:夏 天文
空から降り注ぐ陽射しに
肌が焦げるようにさえ感じられる炎天下
その下にはたくさんの日傘が花を開き
強い陽射しを嫌がっています

けれど子供たちは
そんな陽射しさえ栄養とするかのように
青い水際に集まっては歓声をあげて
肌の色を褐色に染めていきます

暑い夏を嫌がるのはきっと
そんな水際での涼しい遊びを忘れてしまった
大人だけなのかもしれません

時には小さな子供のように
冷たい水に遊んでみることで
夏の楽しさをもう少し
感じられるのかもしれません

洗い物干す暇くれぬ梅雨の空 【季語:梅雨】

2016年07月02日 | 俳句:夏 天文
梅雨に入ってから
傘を手放せない日々が続いています


激しい雨音に目を覚ますこともあり
また雨かと重い気分になったりします

そんな梅雨の空ですから
ちょっとした
晴れ間を見つけるのも一苦労

梅雨の空とは関係なく
溜まって行く洗濯物を干す
長い晴れ間がなかなか見つけられずに

湿った洗い物をぶら下げる部屋は
外の湿度が移り住んだように
ジメジメとしたままです