「ある日」
# 1
ビルの屋上から 見下ろす
小さな 売地の一画
鉄線で囲われた
あれは母なる大地の 捕獲された姿
雑草にあれ果てた顔だ
長方形に切り取られた土地
切手を貼り付けるように
ぺたんと住所を押し当てられて
「売地」と名付けられた
お問い合わせの電話の
先にいるのは誰
# 2
古い家に囲まれて
窮屈で息も 詰まりそうな土地に
鉢植えの花は 咲き誇ったのだろうか
どんな夢が そこに持ち込まれ
腐れていくのか
# 3
切り分けられた母を
助ける 術もない僕は
高層ビルの一部屋で 宙ぶらりん
青空と大地の間で
通り過ごすだけの 生を
消化不良のまま 飲み下して
焼かれる体は
コンクリートの墓の中
母の胸に
眠ることすらも ままならない
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