風のささやき 俳句のblog

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合唱祭(とある中学校で) 【詩】

2024年10月17日 | 

「合唱祭(とある中学校で)」

中学生になると
小学生とは随分と違うものだと
一年生の発表を見て思っていたが
二年生、三年生とその期待が更に
嬉しい方に裏切られた、僕の思う以上に
上手になって行ったから

何が違うのだろう
体の大きさも、そこから来る声の響き
特に男の子たちのテノールやバスは
芯がしっかりと音が通るようになり

けれど一番はきっと
真面目に向かい合う姿勢
一生懸命なこと、その真剣さを
大事に思えるということ
もうそこまで、一人前になっているということ

僕の子供はと言えばまだ一年生で
どこか、恥ずかしさとか、おどけを見せて
(僕も、そうだったことを思い出す)

けれど、喧嘩ばかりに使っていた声を
いつのまにか合わせることを覚え
人の声を聞き、その音色に合わせ、響かせようと

解きほぐせば、一つ一つの声
その特徴のある声が、聴けば自分の子供だとわかる
重なりあい、束ねられて、大きな声の調べに溶け込み
響き合う、肌にもその声の震えを感じる

心も重なり、あわせているのだね
それぞれの悩み、ちょっとした不仲
勉強への不安、怠けたい気持ち、恥ずかしい気持ち
それらは一瞬、心の裏側に押し込めて
一生懸命に声を振り絞る

そんな真剣さは、僕はしばらく
忘れてしまっている、むしろ打算ばかりで、不真面目だ
だから君たちがとても羨ましくて
少しこそばゆいのか
ちょっと自分を揺すぶられている
素敵な時間をどうもありがとう

そうして、君たちにとっても
とても大切な時間だったこと
後から、きっと、気が付くのだろうね



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