檻【詩】
2024年03月14日 | 詩
「檻」
自分から鉄格子を閉めて、僕は檻に閉じこもった
半分やけくそに、腕に力を入れた勢いで
鉄のぶつかる鈍い音がした、口の中に沸き立つ血の味がした
心の鉄格子も閉じて、錠前を締めた
黴臭く湿ったコンクリートの灰色の壁
小さな明かり窓の鉄格子、小さな一つの雲でさえ
入りきらない、そこで暮らすことを、僕は受け入れて
手垢のついた読み古しの本と、毎日の悔いと
悔い改まらない心は文句で、理不尽な仕組み
憎い人たちの顔、落ち着かない気分
眠り足りない目覚めと、追われる夢とを繰り返して
こんな処からは早く逃れたいと、けれど逃れた先の
生活を思い描けない、生活を送る自信もない
だから慣れきった、牢獄の中で、文句と一緒に時間、費やすのだ
誰かに手を引かれて、ここまで連れて来られた気がしていたけれど
違う、自分で進んで囚われの身になったのだ
鍵もこの手に、握りしめているのに、出ることもしない
一歩外に歩き出す、決心さえできないこと
薄々と感じてはいるけれど、だから余計に人のせいにしている
この牢獄を出たのなら、肌に当たる風は
季節の色合いごとに、心地よいものだろうか
心の不服以外の、例えば木々の葉擦れの音や
浜辺に打ち寄せる波の音、鳥の鳴く声、虫の鳴く声
誰かの僕に、笑いかける声も聞こえるだろうか
それでもここから、一歩も踏み出す力が湧かない
足が退化して、動かないように感じられて
僕を閉じ込めた者に対する呪いの言葉、吐き出して憂さを晴らす
ことが大好きな、僕なのだ
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