その昔、カヴァの変色が酷くクズ値同然で入手した一枚。ワトキンスがBassでなくCelloを弾くという?も手伝っていたのかもしれない。
所が、これがビッグ・サプライズ!
久しぶりにターン・テーブルに。
兎に角、Celloが見事にソロ楽器として成り立ち、しかも驚くほどスイングしている。「何となく堅物」という先入観、イメージは直ぐ消え去る。
NEW JAZZの音の良さは定評がありますが、RVGによる録音がイイ。いい意味でゲルダーらしくないゲルダーの音で、ナチュラルな音の魅力がギュッと詰め込まれている。
そして、演目の良さ。"Confessin’”、"I Remembar You”、"Imagination”が入っていますが、一番の聴きものはB-1、ワトキンスのオリジナル"Andre’s Bag”。哀愁たっぷりのジプシー・メロディ、Celloの音色が信じ難いほどピッタシ決まっている。更にラティーフのfl、H・ローソンの感傷的なソロも泣かせてくれる。どこかでこの曲が流れたら、その場で耳だけでなく体全体がフリーズするでしょう(笑)。
また、ペッパーの名演で知られる"Imagination”、情緒纏綿に弾き語るワトキンスのソロに驚きを隠せません。恐れ入りました。
本作は1960年録音でモノラル・カッティングされているはず?と考え、SHURE44G・N44-1(MONOスタイラス)を。音の粒立ち、輪郭はDL-102に比べやや後退するもののアコースティックな心地よい響き、否、香りが部屋いっぱいに広がります。
時にはグルヴィーに、時にはブルージーに、そしてセンチメンタル、ロマンティックに、ホーン・ライクにどんどん攻めるワトキンスのCello、清らかでインパクトあるラティーフのfl、渋い味を聴かせるローソンのP、これは快作間違いなし。
幻のレーベル「トランジション」の中でも超レア盤の一枚と知られる"AT LARGE”。
1979年キングからリリースされた国内盤です。ライナー・ノーツでは1955年録音と記載されていますが、1956年12月8日が正しいようです。
イースト・コースト・ジャズの気運が高まった時期にレコーディングされ、今の耳で聴くとやや緩く聴こえるけれど、その後のハード・バップ・シーンを彩る面々が参加している所がポイントですね。ただ、ワトキンスのリーダー作としての存在感はそれほど濃くありません。
RVG・スペシャル・エディション版のCDも持っており、曲順がレコードのA、B面と逆になっていますが、何も言及されていない。
二つを聴き比べると、LPはややハイ落ちでシンバルが奥に引っ込んでいるのに対し、CDはまるで強壮剤を注入したようにエネルギー感が増し、シンバルもちゃんと出て良いのが、何だか50年代が遠ざかっているような気がしないでもない。
因みに、Goldmine誌ではオリジナル盤がNMで$1,200、一方、"SOULNIK”は$60、その差は20倍!ですが、内容は・・・・・・・
1962年、自動車事故で他界、享年27。真に惜しい逸材でした。
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