jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

今更ですが、傑作です ・・・・・ BLUES FOR THE VIET CONG / STANLEY COWELL

2023-03-07 | ジャズ・p

 

春休み、通っていた自動車教習所のスクール・バスのカー・ラジオからロリンズの「アルフィーのテーマ」(DIFFERENTLY)が流れた。感ずるものがあり、即、モダン・ジャズを聴くと心に決め、京都に戻った時、下賀茂高木町から一本松に変わった新しい下宿先に荷物を置いた足で荒神口の「シァンクレール」へ直行、赤い絨毯を上った。

当時のSJ誌の掲載広告です。

 

何から何まで分からない中で、ロイドの”FOREST FLOWER”が掛ったのは、今、思えば幸運だった。エアメール便でいち早く「シァンクレール」に入荷していたのだろう。他のジャズ喫茶はどこもまだ置いてなかった。いきなり、キースの名を覚えた。次にインパクトを受けたピアニストは”WHY NOT / MARION BROWN”を聴き、ぞっこん惚れ込んだカウエル。1stリーダー作がこの”BLUES FOR THE VIET CONG”(1969年、英ポリドール)

 

 

初めて聴いた時、自分勝手な期待感(先進的でアコースティク一本鎗)が大き過ぎたのか、やや古いスタイルの曲からエレピ(2曲)まで聴かせる広角スタンスにやや戸惑いを隠せなかったけれど、今回、改めて本腰を入れて聴き直した所、ファースト・インプレッションが消し飛んだ。アップ・テンポの3曲は期待していた本線の通りで、取り分け”The Shuttle”は中~後半に掛けて怒涛の勢いで迫る情念のうねりに圧倒される。

また、タイトル曲の「ベトコン」(南ベトナム解放民族戦線)とカウエルの接点?は知らないけれど、兵力で勝るアメリカ軍を敗走させた「ゲリラ戦術」の不気味さをエレピを使い、これでもか、と演出している。ブギウギ調のロジャース・ハート作”You Took Advantage Of Me”にしても、自分の文脈に落し込み、しっかりと自身の語法で表現している。いずれも、「なんでも出来まっせ」なんて安易な発想から生まれたものではない。

傑作にランク・アップした要因は JIMMY HOPPSのドラミングです。煥発にして多彩なHOPPSに背後からインスパイアーされたカウエルはキース、コリアに勝るとも劣らぬ初リーダー作を誕生させた。ビシッ、バシッ、シャーン、ドスーン、ホント聴き物です。

なお、余計なお世話ですが、再発モノの中に音が冴えないヴァージョンがあるそうなので、ここは是非、英ポリドール盤(オリジナル盤)のご用意を。

 



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