1968年8月4日、パワーツリー・レコードに吹き込まれた一枚。カヴァが絶頂期を思わせるなかなかGooなデルマーク・レーベルの国内盤。
トリオ盤ではオフィシャルのラスト・セッションとなっている。
僅か数年前はマイルスの黄金リズム・セクションと謳われたメンバーだが、時代の変遷は余りにも早い。
マイルスに「タバコに火を付けるマッチ」とまで言われた存在感も「ハード・バップ」というタバコ自体の衰退とともに徐々に・・・・・・・・
本作はケリーのオリジナルを3曲含めているが、些かポップ色のイメージが濃く、当時のケーリーの立ち位置を反映している。
このレコードを聴く際、カートリッジをEMPIRE 4000D/1に付け替える。面倒とは思わない。
ユニークな外観通り、音も個性的。解像度はそれほど高くないけれど、独特の低域の膨らみ、そして中~高域にかけての響き方が、他のカートとは一味も二味も違う。
その4000D/1のトーン・キャラが薄まりつつあるケリーの内面的密度を上手くサポートしてくれる。
ラストはビートルズ・ナンバー‵Yesterday’
まるで3年後の1971年4月12日の終着点に向かうホームストレッチを逆らうことなく「昨日、その前の昨日、そのまた前の昨日・・・・・・・」と昔日を日捲りしているかのように穏やかだ。
ただ、意図的なのか、収録時間によるものか、途中でフェード・アウトしている。意図的ならばアルバム制作側の感性は凄い。この作品は死後にリリースされている。
でも、一ファンとしてはFULLで聴きたいとも思う。
ジャズ・ピアニストで一番知られているのがピーターソン、一番人気があるのはエヴァンス、けれど、一番愛されているのはケリーだろう。
39歳は早すぎる。
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