深い眠りから不意に呼び起こされたDL-102は初め機嫌が悪かったが、徐々に直ってきた。
好きなカヴァの一枚。
ガーランドには、BNでお馴染みのR・マイルスがデザインした'GROOVY’という秀逸なカヴァがあります。
一方、本作はエズモンド・エドワーズが担当。エドワーズはフォトグラファー、プロデューサー、そしてレコーディング・エンジニァとして多くの名作に携わっている。
一例(フォト)では、W・ヤングの'FOR LADY’、コルトレーンの'COLTRANE’(Prestige)、ドーハムの'QUIET KENNY’、マイルスの'WORKIN´’他・・・・・・等々。
青のモノトーン摺りはBNぽいけど、この妙なひねりを入れないストレートな表現が何ともノスタルジックでGooです。
針を降ろすといきなり威勢のいいジャブが飛び出してくる。さすが元プロ・ボクサー、もうガーランドの独壇場という感じです 。S・ジョーンズのbがゴリゴリと追い、A・テイラーのブラシが奥目ながら小気味よくリアルに響く。
2曲目、ゆったりとしたテンポの'See See Rider’でいつものガーランド・ワールドが広がります。これだね。
DL-102はMC型カートリッジですが出力が3mVと高く、MMポジションにダイレクト接続がOK、インピーダンスが240Ωと変則ですが特別問題ありません。
再生周波数は50Hz~10kHzと高域がストンと落ち、常用しているA・テクニカのモノ・カートリッジが20kHzまで伸び、やや華やかなトーン・キャラに対し、「質実剛健」と言えそうですね。遠近法を使った絵画を観ているような「奥行き感」がしっかり出てくるので50年代のジャズLP(モノラル)にピッタリかも。
オーディオ的デリカシーさを求める場合、増幅が少ないライン・トランスを一段入れるとぐっと良くなる、という街の噂もあります。ただ適したモデルは少ないようです。
全編を通し、張りのあるガーランドのp、ジョーンズの骨太のb、ツボを心得たテイラーのブラシ・ワーク、ありふれた常套句しか思い浮かばいけれど、余計な講釈を垂れるまでもありません。うぅ~ん、演奏もDL-102も上等だねぇ~
1959年4月17日、ゲルダー・スタジオで録音。自信に満ちたプレイを聴かせる。
アメリカの佳き時代を彷彿させるカヴァ、見飽きません。