メンフィス出身者達を一堂に集めた1959年のスタジオ・セッションもの。リーダーをはっきりと決めていない作品ですが、一応、F・ストロジャー(as)のリーダー・アルバムと言っていいでしょう。こうしたリーダー不明確の作品は、話題に上ったり、紹介される機会が少ないので、徐々に記憶から弾き出され、埋もれてしまうケースが多いですね。
昔からコレクターズ・アイテムの一つとして知られている。また、タイトル通り、土地柄から連想される「土」の香りがプンプンしているので、こうしたアーシーな演奏を好むファンには堪らない一枚です。
メンバーは、
F・ストロジャー(as)、G・コールマン(ts)、B・リトル(tp)、L・スミス(tp)、P・ニューボーン(p)、C・ニューボーン(g)、G・ジョイナー(b)、C・クロスビー(ds)。
全4曲、8分台(2)、10分台(2)としっかり時間を取っていて中身の濃い演奏が収録されている。
オクテットで演奏されるTOPの”Things Ain'T What They Used To Be”のソウルフルな流れとカヴァ・ペインティングが良くマッチしている。
本作の目玉は管が抜けたB-1の”After Hours”、R・ヘインズの”WE THREE”でも知られるブルージーな人気曲ですね。P・ニューボンのカルテットで演奏され良い味が出ていますが、この曲調はストロジャーが得意としているので、個人的にはストロジャーを入れて欲しかった。
本作をストロジャーのリーダー作品とする理由の一つがラストのストロジャーをフューチャーした”Star Eyes”
10分を超す長丁場だが、苦も無くスタンダードを吹き切るストロジャーに実力の程が窺われる。同世代の言葉は悪いが「B級アルト」の中で頭一つ抜きん出ていて、クイル、ジェンキンス、レッド辺りではこうはいかないだろう。車の変速機に例えるならば、彼らは3段位ですが、ストロジャーは5~6段位あり、それだけ引き出しが多く演奏の幅が広いです。
テーマをフェイクしながら エンディングに入る技量はなかなかですね。好演です。
リアルタイムで正規にリリースされた作品はV・Jに1枚、ジャズランドに2枚ありますが、V・Jにもう一枚、録音したワン・ホーンもの”HERE’S FRANK STROZIER”(国内盤)が長年、未発表となったのはストロジャーにとって痛かった。
特段、インパクトがある作品ではありませんが、蔦とレンガ、そしてランプが醸し出すノスタルジックな世界、カヴァと言い内容と言い、Gooですよ。
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