魚をたくさん網にかけ過ぎた漁船が、魚群の重みで転覆させられるという事故が、昨年の暮れ近くにありました。
漁業も、営業目標をトンで表すようになると、どうしても量の獲得が第一になります。
観光産業も、客の数にとらわれ過ぎると、ただ押し掛けて通り過ぎてゆくだけの、野犬の集団とさほど変わらない団体が、次々にやってくることになります。
後に残るのは、ゴミと排泄物と、騒音の残響です。
清掃で片づけられるもの、時間が経てば消えるものはまだよいとしても、文化につけられた傷あとは、修復に大変な努力が要ります。
注ぎ込み過ぎた水は、必ず溢れ、そしてこぼれ、つまり想い出のあとさき、ということになってしまうのです。